一から学ぶ東洋医学 No.30 蔵象(2)肝 肝の病証(1) | 春月の『ちょこっと健康術』

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こんにちは ニコニコ

 

昨日の肝の生理と病理でご紹介した『黄帝内経』の春の養生法、「春の3か月」っていつなんでしょう? それについては、「肝を助けて春を元気に過ごそう」に書いてました。 立春から穀雨までの3か月。 今年は、2月4日から5月4日までかしらね。

 

何しろ以前は怒涛の勢いでブログ記事をアップしてましたから、この手の疑問について、すでに書いた可能性が高いんです。 頭の隅に「これ、どっかで書いたかも?」っていうサインが出る。 だから、まずは自分のブログをチェック。 自分のブログを開けて、ブログ内検索をします。

 

で、自分が忘れないようにするためにリンクを貼ってたら、記事がリンクだらけになったりして…(笑)。 リンクは、もちろん最初は読んでくださる方々の利便性を考えて貼ってたんだけど、最近はもっぱら自分用になってますぅ(笑)。

 

今年の立春と立夏を調べたときに発見したんですが、国立天文台のホームページって、なかなか興味深いの。 暦計算室に歴象年表があって、月の満ち欠けや太陽の位置がわかるだけじゃなくて、二十四節気もカレンダーになってました。

 

さてさて、これから始まるのは肝の病証。 病証というのは、精の病理に書いたことの繰り返しになりますが、「病は疾病の過程」で、「証は証候のことで、疾病の過程におけるある種の類型、あるいはある段階での病態の特徴」(『中医基本用語辞典』より)で、診察した時点での病態。 手当ての結果はもちろんのこと、時間経過や環境変化などの影響を受けて、変わることがあります。

 

生理物質の病態には、量的な不足と機能減退による虚証と、量的な有余と気機阻滞による実証がありましたね。 臓腑の病態も同様に、虚証と実証に大別できるのですが、生理作用とその病理の機序(病機)によって分けることもあります。 ちなみに、病理の機序というのは、生理状態から病理状態になっていくきっかけと順序で、東洋医学では病機と言います。

 

それで、臓腑の病証をどうするかって考えたんだけど、病機で分けることにします。 そのほうが、生理とのつながりを理解しやすいかなぁ…と思うので。 虚実については、虚実の絵文字ラベルをつけますね。 ついでに、寒熱の区別も、つけられるときはつけときます。 かんが実寒、きょかんが虚寒、ねつが実熱、きょねつが虚熱ですよ。

 

1 肝病(肝の病証)の病機

 

肝の生理作用との対比で、肝陽・肝気の失調、肝陰・肝血の失調に分類して、外邪によるものを別枠とします。

 

(1) 肝陽・肝気の失調

 

肝陽・肝気って何よ? 同じものじゃないの? はい、そうです。 前回、肝気=肝の陽気=肝陽としてました。 でもね、便宜上、陽の一番陽らしいところが出たとき、つまり熱を帯びたときに肝陽、そうでないときに肝気として使い分けています。

 

肝陽・肝気は、亢進しやすく、横逆しやすく、鬱滞しやすい。 そのため、有余となりやすく、実証を起こしやすいという特徴があります。 横逆というのは、上下に行くはずのものが横へ行ってしまうことで、隣にある脾胃に影響しやすいことを示しています。 

 

肝陽・肝気の失調は、↓以下の病証として現れます。

・ 肝気の疏泄失調 → 肝気鬱結証実

・ 肝陽の亢進 → 肝火上炎証実ねつ、肝陽上亢証虚実、肝陽化風証(肝風内動証)虚実

 

(2) 肝陰・肝血の失調

 

肝陰は、肝陽との対比で、陰の陰らしいところ、すなわち清熱(熱を冷ます)や寧静(安寧と鎮静)が出ているときに使いますが、単に血以外の津液や精も含めた陰液として使われることもあります。 肝の場合は、肝陰の主力は肝血になりますけどね。

 

肝陰・肝血は、肝の滋養と肝陽の抑制に働きますが、不足しやすく、虚証を起こしやすいという特徴があります。 

 

肝陰・肝血の失調は、↓以下の病証として現れます。

・ 肝血の不足 → 肝血虚証虚、血虚生風証(肝風内動証)虚

・ 肝陰の不足 → 肝陰虚証虚、肝陽上亢証虚実、陰虚動風証(肝風内動証)虚きょねつ

 

肝陽上亢証が、肝陽の亢進にも肝陰の不足にも入ってること、気づかれました? 病態として、肝陽が亢進した状態を肝陽上亢と言うんですが、肝陽が亢進する原因は肝陰の不足にあるからです。 元を正せば、肝陰の不足に入れとくのが正解かも。

 

肝陽上亢証については、もうひとつ。 虚実って何よって思われませんでした? 原因は肝陰の不足だから陰虚で虚きょねつなんですけど、それがブワ~ッと上昇すると、身体の上のほうに出る症状が実ねつ症状になるんですよ。 だから、上が実で下が虚の上実下虚(じょうじつかきょ)で虚実

 

(3) 外邪によるもの

 

外邪、すなわち外から入ってくる病邪によって起こるものです。 結果的に、肝陽・肝気や肝陰・肝血を傷つけるので、↑上の(1)か(2)に分けちゃってもいいんだけど、原因が外邪にあるということで、別枠にしておきます。

 

・ 寒邪によるもの → 寒滞肝脈証実かん

・ 熱邪によるもの → 熱極生風証(肝風内動証)実ねつ

 

外邪による↑上のふたつ、初耳ですよね? まだ外邪の話、してませんしね。 それに、( )内にある肝風内動証も気になったでしょ? 肝陽化風、血虚生風、陰虚動風、熱極生風の4か所にあるしね。

 

体内に生じた風邪を内風と言います。 肝はで、風も。 なので、内風は肝に影響しやすく、肝の病証となる。 で、内風による病証をまとめて、肝風内動証と呼びます。 内風が生まれた原因によって、4つに分けられているんです。 その原因は、名称を見ればわかりますよね? 漢字のこういうとこってホントに便利。

 

今回は前書きだけでも長くなってしまったので、この辺にしておきます。 掲載予定の病証の数も、当初考えてたのより増えちゃったので、たぶん2~3回に分けると思います。

 

一天一笑、今日も笑顔でいい一日にしましょう。

 

 

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