こんにちは
いよいよ年末ですねぇ…。 今年は11月後半から、急に寒くなって、一気に師走気分になってしまったので、今になって、逆に年末気分が薄まっていました。 でも、いよいよ本物の年末。 この時期、仕事納めの後は緊張感が抜けて、よくカゼをひくので気をつけないと。 皆様もお気をつけて。
生理物質も精の生理と病理、気の生理と気の病理、血の生理と病理と終わって、今回は津液の生理と病理です。 生理物質の話とはいえ、どうしても臓腑の機能も絡んでしまって、前の東洋医学講座みたいに蔵象を先にしておいたほうが良かったかなぁ…。
それに、東洋医学用語は、どうしても漢字が多くなるし、文章的にも硬くなりやすい。 だからと言って、軟らかくしすぎても、反って意味が通じにくくなることもあるよねぇ…。 なので、後で書き直したり、書き足したりなんてこともあるかもしれません。 その場合はちゃんとご報告しますが、悪しからずご了承ください。 また、ご意見、ご質問はいつでも、何なりと、お寄せくださいませ。
津液とは?
(a) 人体を構成し生命活動を維持する基本物質(生理物質)のひとつであり、体内の正常な水液の総称である。
(b) 強い滋潤作用で全身を潤す。 栄養分も含むため、滋養にも働く。
(c) 気の推動作用を受けて、脈外を循環する。
(d) 一部の津液は脈中に入り、血の構成成分となる。
津液は水液、つまり水のような液状の物質。 津と液は、その性状や機能、分布する部位に違いがあるのですが、割と簡単に津が液になったり、液が津になったりするので、津液としてまとめて扱います。
わざわざ「正常な水液」としているのにはワケがあります。 体内で滞ったときは、血が瘀血(おけつ)になるように、津液は痰湿(たんしつ)となります。 瘀血(おけつ)と痰湿は、体内でできる病理物質としてまとめられるのですが、このことについては、病因のところで扱いますね。
津液を分けるとすると、
・ 津は、サラッとして流動性が高く、滋潤作用が高く、皮毛や肌肉、九竅に分布する。
・ 液は、粘り気があって流動性が低く、滋養と潤滑に働き、関節や臓腑、髄海、脊髄に分布する。
西洋医学的にいうと、津はリンパ液とか組織液、血漿など、液は粘液、関節包液、脳脊髄髄液などってことになりますかね。
九竅は、天地の九州に相対するものとして、天人合一思想に出てましたが、人体の九つの竅(あな)で、両目、両耳、両鼻孔、口、前陰(尿道口)と後陰(肛門)を指しています。
津液の働き(津液の生理作用)
(a) 滋潤・滋養する
津液は、強い滋潤作用、つまり潤いを与える作用を持っています。 また、栄養成分も含んでいて、組織間隙に入り込んで、組織や器官、臓腑を滋養します。 血に滋養作用があるのは、その血を構成するのが、栄養成分豊富な営気と津液だからなんですね。 皮膚や髪のしっとり感、目や唇のうるうる感、筋肉や関節の滑らかな動き、髄海や脊髄の働きなど、津液の滋潤・滋養作用によるものです。
(b) 血脈を満たす
津液は、気とともに脈外をめぐります。 また、血脈を滋養し、血の構成成分として血脈を満たし、脈中をめぐります。 血脈の内外にある津液は、互いの不足を補うように、血脈を出たり入ったりします。
津液の化生と代謝
(a) 後天の精(水穀の精微)から化生する。
水穀の精微の水分が津液となります。 気・血のところでは言及していませんが、飲食物(水穀)を消化し、その精微を吸収して、気や津液に化生するのは、脾の運化作用です。 津液は営気とともに、これも脾の運化作用で、肺に運ばれます。
(b) 全身を循環し、腎へ送られる。
肺の宣発作用で全身へと送り出され、肝の疏泄作用の補助も受けて、全身をめぐった後、肺の粛降作用で腎へと運ばれます。
(c) 腎で分別されて、不要なものは尿に化生される。
腎では、再利用できるものと不要なものとに分別されます。 再利用可能な津液は肺へ戻され、不要なものは尿に化生されて膀胱へと送られ、排泄されます。
津液の病理
津液の病態は、不足と停滞の2種類に大別されます。
(1) 津液の不足による病態
津液不足証
(a) 病態: 津液の化生不足あるいは津液の流失によって、津液が量的に不足した状態。
(b) 原因
・ 飲食物(水穀の精微)の摂取が不足して、後天の精が少なく、津液の化生が少ない。
・ 津液の化生に関わっている脾の機能低下があるために、津液の化生が少ない。
・ 過剰な発汗や激しい嘔吐・下痢などで、津液が流失している。
・ 体外からの熱邪や、体内で発生した熱邪によって、津液を失う。
(c) 症状
津液不足の特徴は、潤い不足による乾燥症状。 津液には滋養作用がありますが、どっちかっていうと、潤す作用のほうが前面にきます。 なので、不足すると、口や唇、鼻、のど、皮膚、髪など、あっちこっちが乾く。 体内の水分が少ないのですから、当然尿量は減ります。 便も乾いて、出にくくなります。
(2) 津液の停滞による病態
痰湿証
(a) 病態: 津液が停滞して、痰湿が生じた状態。
痰湿は、停滞したために本来の生理作用を発揮できなくなった津液の総称です。 密度の違いで、薄い順に、湿(しつ)、水(すい)、飲(いん)、痰(たん)と分けることもできますが、それぞれの境界の線引きが難しいので、まとめて痰湿としています。
(b) 原因
・ 津液の代謝に関わる脾・肺・腎の機能低下で、津液を正常にさばけない。
・ 気滞によって、津液の循環が阻害される。
・ 水分の過剰摂取。
・ 多湿な自然環境、雨や水にぬれることの多い生活環境。
(c) 症状
サラサラの水も、溜まって淀めば、濁って重くなる。 そんなものが体内に停滞していれば、身体も重だるいし、浮腫も生じます。
密度が薄いうちは、まだましで、全体的に水っぽい程度ですが、停滞する痰湿が濃くなって、塊になってくるとやっかい。 しかも、気血の流れに乗って、移動しては症状を起こす。 瘀血(おけつ)は流れにくいけど、痰湿は流れやすい。 でも、解消しにくい。
どうせもとは水でしょ、なんて高を括ると大変です。 心悸、眩暈、頭痛、食欲不振から、運動障害、意識障害、精神障害に、腫瘍まで、さまざまな症状を起こすし、場合によっては命に関わることも無きにしも非ず。
津液はサッパリスッキリ、短いものとなりました。 何か書き忘れてるような気もして、ちょっと不安だけど、ま、いっか。
一天一笑、今日も笑顔でいい一日にしましょう。
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