おはようございます
これまで毎年花を咲かせていた枝が折れてしまったので、今年は残念ながら、牡丹(ぼたん)は花をつけないままでした。今、芍薬(しゃくやく)は見事に花を咲かせ、百合(ゆり)はつぼみが膨らんできているところです。
この時季になると思いだすのが、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言い回し。七七七五の都都逸(どどいつ)ですけど、江戸時代から言われてきたことなんでしょうかね。
女性の美しさ、美しい女性を形容する言葉だというのが定説ですが、何かほかにも意味がありそうな気がして、ちょっと調べてみました。
定説となっている美人の形容としては、
芍薬 … まっすぐにスラリと伸びた茎の先に花を咲かす → 立ち姿の美しさをあらわす
牡丹 … 横向きに枝分れした先に花を咲かす → 座り姿の美しさをあらわす
百合 … しなやかな茎の先にうつむき加減に花を咲かせ、風に揺れる → 歩く姿の美しさをあらわす
となっています。
また、一説には、
芍薬 … 立った状態で、上からみると美しい
牡丹 … 座った状態で、横からみると美しい
百合 … 歩きながらみると美しい
とあります。
花の咲く順番からすると、牡丹→芍薬→百合なので、「座っていた美人が、立ちあがって、スッと歩いて行く」なんてことも想像できたりしますが…。
いずれにしても、大輪で派手目な花たちですよね。え?百合はそんなことないって?ん~、でも百合の花って、けっこう大きいし、香りは強いし、決して地味な花じゃないと思いますけど…。
まぁ、いずれも美人をあらわすには、うってつけってところでしょうか。大輪の花でも、ヒマワリじゃ、美人っていうより、元気っ娘って感じですもんね。
さて、東洋医学なんてものをやってると、どうしても漢方と結びつけたがるクセがあって、そっちのほうにも何か関係がないかどうか探ってみました。
芍薬
生薬名: 芍薬(シャクヤク)
薬用部位: 根(外皮を取り除いたものが白芍、外皮がついたものが赤芍)
四気 : 微寒性
五味 : 白芍…苦味・酸味、赤芍…苦味
作用: 抗炎症、抗けいれん、鎮痛、鎮静、収れん、血管拡張、血圧降下など
作用の強さ : 中品(ちゅうぼん)
女性ホルモンの分泌をととのえる作用もあり、熱性お血には牡丹皮(ぼたんぴ)と桃仁(とうじん)が、冷えや貧血には当帰(とうき)や川芎(せんきゅう)などが配合されます。また、「こじれたカゼの漢方薬は?」 でご紹介した漢方薬のいくつかにも、配合薬として入っています。
牡丹
生薬名: 牡丹皮(ボタンピ)
薬用部位: 根皮(根の芯を抜いたもの)
四気 : 微寒性
五味 : 辛味・苦味
作用: 解熱、体温降下、鎮痛、抗けいれん、血糖降下、抗アレルギー、抗炎症、強心、抗凝結、利尿など
作用の強さ : 中品(ちゅうぼん)
古来、産後の煎じ薬やお血の治療薬として使われてきました。お血があって、足が冷え、顔がのぼせる場合などによく処方される桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や加味逍遥散(かみしょうようさん)には、牡丹皮と芍薬が配合されてます。
百合
生薬名: 百合(びゃくごう)
薬用部位: 鱗茎の鱗片
四気 : 微寒性
五味 : 甘味・苦味
作用: 滋養強壮、鎮咳、去痰、解熱、抗ヒスタミン、利尿、精神安定など
作用の強さ : 中品(ちゅうぼん)
慢性の咳や慢性副鼻腔炎、不眠や精神不安の薬として使われてきました。が、百合の場合は、生薬としてよりも、食品の百合根(ゆりね)のほうが親しみがありますね。
こうしてみてくると、なんとなく女性との関係ありそうですね。芍薬と牡丹は、女性薬として知られる当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)とか、加味逍遥散(かみしょうようさん)とかに入ってますもの。
百合も、肺を潤して咳を止める作用があるので、これを拡大解釈すれば、肺を潤して肌をきれいにするとも言えますし、精神を安定させて不眠を解消できるので、女性特有のイライラも鎮まると考えることもできる。
芍薬・牡丹・百合の生薬を上手に使うことで、美しい女性になれる…と、考えられなくもない。ちょっと無理があるかもしれませんけど。
とはいえ、やっぱり定説通りの解釈が、一番しっくりくるかな。一天一笑、今日も笑顔でいい1日にしましょう。
ヒメウツギ
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