ある日、夜中に湯船に浸かりながらふと思い付いた事を、翌日に身体の上で試したら一発解決。ある事への意識が過剰になっていたのを気が付かず。でも、音やコントロールからはマズイと感じてる状態が続いていた。
その意識の部分は低音へのアプローチ。
もう何年も改善出来ないか?と思っている低音でのアンブシュアのバランスだが、手を加えると必ず全体がうまく機能しなくなる為に、戻したりを繰り返していた。
バロックトランペットや大きなマウスピースで吹くナチュラルトランペットでは、上から降りてくるアンブシュアと全く同じバランスで自然に音が並ぶのに普通のトランペットでは少し手を加えていた。
音程やコントロールに少し限界を感じていた部分でもある。もちろん、現場では色々な手を使ってそれらをカバーするのだが気になっていた所。
そこを、スランプから抜けたヒントを基に改善出来ないかと、この二週間ゆっくりと取り組む。
大抵、アンブシュアや低音を特別に取り組むと上が駄目になったり全体の筋肉が強張ってしまい上手く結果に繋がらない(ハズィングも同様に筋肉に負荷がかかり過ぎてしまいコントロールを失うので、僕は勧めないし自分でもやらない。)
さて、取り組みつつ、意識が強過ぎたり、どうしても表面的な部分に意識が集まったりして紆余曲折、前進後退しながらある所に収まってきた。予想通りのバランス。
ここに来るには先ずは今までのサウンドやイントネーションに慣れた耳を先にチューニングしないと上手くいかない。こういう時は鍵盤やチューナーが便利。音が曇らない様に音程を正確に捉えて行く状態を丁寧に追うと、アンブシュアは中音域からのバランスをしっかり保ったまま下に降りて来られる。今までよりもっと変化の少ない精度。
この練習、今までは低音をさらうと、どうしてもコントロールや音色が大味になりがちで不調になっていた~イメージから外れる。
今回はそうで無くて、より自分のコントロールの精度が上がるのを感じている。コンディションも良くなる。低音域のサウンドの繊細な柔らかさも感じ取れる。
サウンド、イントネーション、アンブシュア、喉の歌う感覚、身体の支え がピッタリとバランスしないとはまらない。
この、はまった所を追い求めると最低音(今回の場合はベー管のファの♯)やその上のソの♯、シ、辺りが特に上の音をバランスよく吹くためのアンブシュアやその他のバランスをシェイプアップするのにとても有効な事を発見。それらの音の前にラ、シ♭ は助けになる。下のドからシに移る時にどれだけ同じ響き表情、アンブシュア、正確な音程でしなやかに動けるか?が手掛かりとして自分には良い。最低音でも唇は自然に閉じている。沢山の息も必要無い。喉はオープン~リラックスして歌っている。クールダウンの確認にも有効。(緩めるためで無く、ハイトーンへ繋がる良いバランスを確認する為に)
ペダルはこの延長上なんだと確信はしたがまだこれから時間がかかるかな。
プレスも最小限で済むし全てのバランスを感じ取れる。低音でオーというシラブルを使うのも余り勧めない。全体が開き過ぎて行きもオーバーブロウとなる~自分がなっていた状態はこれに近い。
最小限で適度な軽いプレス、下から上まで一定のバランスを保ったアンブシュア、自然な呼吸を生む身体の支え、どの音域でも自然に TA と話せる舌の自由さは(これが出来ればニュアンスとして様々なシラブルが使える)、ある時期には意識的に無視する~少し逸れていても許容をする方が良くても、最終的には全て必要な物だと思う。そこを判ってないと、癖は癖で終わってしまう。自分は器用で無く、素材としてもあまりラッパに向いているとは言えないが、一つづつ紐解いていくと枝葉が取り除かれて幹の部分が見えて来る。
今回は、その中でも一番大きくて見ないふりをして来た、出来ないかも?と諦めていた部分に手を出した。
そのおかげでこの先に進む方向が大きく広がって行く。これは楽しい。
因みに低音が自然なアプローチでスムーズに鳴らないマウスピースはモダンでもバロックでも真っ先にNGかな。(リードを吹き続ける、クラリーノを吹き続けるなど特殊用途を除く)低い音がスムーズにならないと「小細工が要る」と、高い音が楽でも何処かに変な抵抗を生む要素が有る事が多い。大抵そう言う個体はセンターを捉えられないので サウンドそのものの反応も遅い。でも、ヒトと言うのは何十分の一秒の違和感からもそれを察知して、強く吹いたり、舌の力を使ったりするから逆に音の頭がハッキリすると感じたりもする。
そこの違いが聴き取れないとマウスピース(楽器も)も選べない。
今のマウスピースはその辺りの不具合をマウスピースが教えてくれるというか、不具合が有るとコンディションが落ちるので逆に楽。