• 38 愛へ

    「ハナコだいじょうぶ?」

    シュン達は、小さな はげ山に、ハイキングにきました。

    「ねえ。ちょっと、ひとやすみしようよ」

    ハルナがハナコのために 言いました。

    ハナコは肺(はい)が 一つなので、長く歩いたりする時は、時々お休みをしないといけません。

    「早くてっぺんに行きたいの」

    きつねのコノハとコノミは そう言うと、さっさと先に行ってしまいました。

    「みんな先に行っていいよ」

    ハナコがいうと、シュンとハルナは やさしくほほえんで、

    「友達じゃない」

    そう言うと、近くにある切りかぶにこしをかけました。そして、3人でお茶をのみました。

    「ハナコ ゆっくりでも てっぺんに来れたね!!」

    シュン達がてっぺんにつくと、コノハとコノミはお弁当を食べていました。

    「わあ。大きなおむすび!!」

    すぐにシュン達もいっしょに、お弁当をひろげて楽しくすごしました。         つづく

  • 38 愛の最初へ

    あの時、食べてくれれば良かったのに、何度もルルは思いました。

    右足を怪我して動けないうさぎのルルを狼のバレンは食べずに見逃しました。

    バレンの瞳が優しかった。

    本当は、素敵なはずよ。

    ルルは、誰かがバレンに食べられたという噂を聞いても、信じていました。

    ― 愛って なんでしょうね ― 

    ルルは手紙を書きました。

    でも 一行でした。

    “あなたの中で 生きたい ” 

    この苦しみに比べれば、食べられてしまった方がいいと思ったのです。

    神様は意地悪ですね。叶わない相手だと本当はわかっていても好きになります。

    バレンタインの日 ルルはバレンの前に行きました。

    そして、バレンの中へと消えました。

    後に残った手紙を見て、バレンは吐き出したルルの骨を その手紙に包んで、桜の木の下に埋めました。

    そして、

    「今度は、おれもうさぎに生まれたい」

    そうつぶやきました。  おしまい

  • 37 ハートへ

    うさぎのルルは、片思いの狼のバレンへ思いを伝えたいと思っていました。そこで、長い手紙を書こうと思いました。

    もうすぐバレンタインです。

    ルルは、毎晩机に向かってペンを持つのですが、

    心に思いがあふれすぎて、言葉が何もでてきません。

    もしも、バレンが 私の事を嫌いだったら 

    もしも、他に好きな人が いたら

    もしも、 もしも、 もしも、

    幾つものもしもが、ルルのペンの動きを止めます。 

    どうすれば、バレンの心を手にするような素敵な文が、書けるのでしょう。

     窓に映る影を見て、もしやバレンではないかと、そっと窓を開けてみたりしました。

    しかし、その影はお月様が庭の楠の木を映したものでした。

    「バレンが会いに来てくれたのならいいのに」 

    ルルは窓の外に果てしなく続く闇を見詰めていると涙が出てきました。

    一匹狼に相手はいらない。

    友達はみんな忘れなさいと言います。

    でも、ルルは忘れられません。 つづく

  • 37 ハートへ

    どんな物でも、触れ合い過ぎるとまさつを起こしてすりへって、形を変えてしまうでしょう?

    恋はね。一番、合わなくなりやすいわね。 

    しかも、強い痛みをともなったりしてね。

    友達という形ならね、形が簡単だから余裕があるの。

    一番簡単なのは親子ね。どんなにすり減っても、親のハートが形を変えて合わなくなる事は、少ないけど、最近はそうでもないみたいね。 

    あなたの恋の形に合うハートと出逢ったのね。 

    それを知らせる為に そこが苦しいのよ。すてきな男の子がいなかった?」 

    「あぁ!うん」 

    「ほほほ、その子のハートとピッタリ合うといいわね。複雑なものだから彼の方がどうかしらねぇ。」 

    「どうしたらいい?」 

    アキナは、一生懸命な顔で聞きました。

    「まず、友達でためしてごらんよ。 本当に合うかどうかね。ほほほ。 

     そうそう 丁度いいじゃない、バレンタインとかいうお祭りがあるから 

     その時にチョコにカードを添えて あげればいいわ」 

    「うまく いく?」 

    「そんなのは わかんないわよ。ほほほ。ホーなんて、毎日チョコを食べてるからあげてもわかんないんだから…」 

    「えっ?」 

    「ほほほ、何でもないわ。風のつぶやきよ。気にしない。気にしな」 

    そういうと、ポーおばあちゃんは また ため息をついて遠くを見つめました。  おしまい

  • 36 うわさへ

     森一番の長老ふくろうのホーおじいちゃんは、 

    大好きなチョコを銀紙からはずす手を止めて、にやりとしました。 

    「わしの友達のポーばあさんの所へお行き」 

    どうやら、ハルナのお姉ちゃんのアキナは むねがどきどきする事があったようです。けれども、

    なぜだか はずかしくてママにも言えなくて、ホーおじいちゃんに相談をしに来ました。

    しかし、ホーおじいちゃんにそう言われて 

    今度はポーおばあちゃんの所へやってきました。

    「おや、おや。アキナちゃん。ほほほ」

    ポーおばあちゃんは、アキナの話を聞いて口に手をあてて笑いました。 

    そして、ハートというものについて 話しを始めました。

    「誰もの胸にね。幾つかのハートの形のくりぬきがあってね。一番複雑な 形をしたハートのくりぬきに恋という名前がついているのよ。

    なかなか そのくりぬきにはピッタリ合う物がなくてねぇ。 私も何度 ピッタリだと思った事か…」 

    そう言うと、おばあちゃんはため息をつき遠くを見つめました。  つづく

  • 36 うわさの最初へ

    「私は、ラズベリーの方が心配だわ。うわさっていうのはね、あまりするものじゃないのよ。

    本当かどうかわからない事を言って、みんなを怖がらせるなんて」

    ママは顔をくもらせました。

    ピンポンポンポン

    みなさん 今晩は 7時のニュースです。

    先ほど 我森の研究者達が 噂の星についての研究結果を 発表しました。

    あの星は 本当は存在していないそうです。

    光だけが 森に届いているのだそうです。

    なので、落ちてくる心配はありません。

    森のニュースが流れました。

    次の日から あのうわさはぴたりと やみました。

    ― 小さな噂は 誰が止めればいいのでしょう ―

    ママは、ラズベリーの木に小さな実を見つけました。

    「ふふっ 良かった。今年はお天気が少し変だったから、 貴方もいろいろ様子を見ていたのね」

    ママが、ラズベリーに話かけました。

    「ママ、良かったぁ。今年も秋の赤いジャムが食べられるね」

    シュンは、胸をなでおろしました。   おしまい
  • 「ねえ、ねえ。ちょっと。あの大きな星が落ちてくるんですって」

    「まぁ…。どうしましょう」

    森中の皆がある噂で大騒ぎです。

    「ママ、大変だね。どうなるんだろ」

    シュンも噂を聞いて心配になりました。

    シュンの窓から見える、桜の木の上のあの大きな星が落ちてくるらしいのです。

    「さぁ。どうかしら、うわさだから」

    ママは、あまり気にしていないようです。

    「えっ?ママは、怖くないの?」

    シュンは驚いて聞きました。すると、ママは

    「もしね、本当の事なら長老のホーおじいちゃまがみんなに逃げるように言われるでしょ」

    と、落ち着いて言いました。

    「そうだね」

    シュンも、何だか落ち着いてきました。

    桜の木の下の小さなラズベリーが今年は まだ実をつけません。いつもならもう美味しそうな実がたくさんついている時期なのです。

    噂は、そこら辺りからきているようです。 つづく

  • 35 つよさ よわさの最初へ

    なんだか ハルナはうれしくなりました。

    「ハナコちゃん、いつもえらいなって ママと話すの。コノハちゃんにあんなに意地悪されても、一度もハナコちゃんはコノハちゃんに意地悪しないんだもの。私なら すぐ 言い返すのに」

    おばさんは、大わらいしました。

    「それが ハルナちゃんで それが ハナコちゃんなのよ」

    ハルナは、きちんとはわかりませんでしたが、それでいいと思いました。

    「ハルナちゃん、コノハちゃんは、人魚姫のお話を思い出して家でこっそりきっと泣いてるよ」

    「そうかもね」

    ハルナとハナコは、顔を見合わせて、大わらいしました。 おしまい

  • 31 ほたるへ
  • 34 お誕生日会へ

    「人魚姫、かわいそう」

    ハナコが、しくしく泣いています。

    「こういう時に 一番よく泣くのがハナコちゃんよね」

    意地悪コノハが、鼻でわらいました。

    「こういう時に いつもそう言うのがコノハちゃんだね」

     ハルナが、言葉をコノハに投げつけました。

    「ふんっ。弱虫 ハナコちゃん、何よ、ハルナちゃんは冷たいから泣かないの?」

    コノハがハルナに言い返しました。

    「コノハちゃんに言われたくないわね」

    「ふんっ」

    コノハは、イーダをして、帰って行きました。

     週に一度、しかのミーナおばさんが、みんなに紙しばいをしてくれます。

    大きなかしの木の下にみんな集まって、見まます。

    「おばちゃん、ハナコちゃんは弱虫じゃないよね」

    ハルナがミーナおばさんに聞きました。ハナコはハンカチで鼻をかんでいます。

    すると、おばさんは笑いながら

    いじわるは 弱さから でるもの 

    やさしさは 強さから でるもの 

    と言いました。

    「ハナコちゃんは 強いのよ。だから かわいそうなお話には泣くことができるのよ。意地悪には 負けないわね」 

    おばさんに言われて ハナコは

    「はい」

    と、泣くのをやめて返事をしました。 つづく

  • 34 お誕生日会の最初へ

    木曜日の朝

    「シュン。私の所にもお手紙来たよ!コノハちゃん。忘れていたみたい」

    ハナコは、うれしそうに 言いました。

    「そっか。じゃぁ プレゼントを考えてみんなで 行こうね!」

    シュンもうれしそうに言いました。

    「お手紙にね。ピーマン食べられるように なるのが 目標です。って書いてあったよ。面白いね」

    ハナコが、くすくす笑いながら言いました。

    「えっ!」

    シュンとハルナは 顔を見合わせました。

    「コノハちゃんって…」

    シュンはため息をつきました。 おしまい

  • 35 つよさ よわさへ