あの時、食べてくれれば良かったのに、何度もルルは思いました。
右足を怪我して動けないうさぎのルルを狼のバレンは食べずに見逃しました。
バレンの瞳が優しかった。
本当は、素敵なはずよ。
ルルは、誰かがバレンに食べられたという噂を聞いても、信じていました。
― 愛って なんでしょうね ―
ルルは手紙を書きました。
でも 一行でした。
“あなたの中で 生きたい ”
この苦しみに比べれば、食べられてしまった方がいいと思ったのです。
神様は意地悪ですね。叶わない相手だと本当はわかっていても好きになります。
バレンタインの日 ルルはバレンの前に行きました。
そして、バレンの中へと消えました。
後に残った手紙を見て、バレンは吐き出したルルの骨を その手紙に包んで、桜の木の下に埋めました。
そして、
「今度は、おれもうさぎに生まれたい」
そうつぶやきました。 おしまい