• 33 かみなり様へ

    月曜日の午後。

    「ハナコちゃん。土曜日11時に ぶなの木の下で会おうね!」

    「うん」

    「プレゼントは、何にしようか…」

    「えっ!! 何のプレゼント?」 

    「えっ。ハナコちゃん知らないの?コノハちゃんのお誕生日会だよ」

    どうやら、ハナコだけが知らなかったようです。

     そこに、コノハが通りがかりました。

     シュンは、コノハに怒って言いました。

    「コノハちゃん。なんで ハナコちゃんを呼ばないの?」

    するとコノハは、

    「だって、ハナコは いても いなくても 同じだもの」

    と、言いました。それを聞いてシュンは、

    「じゃぁ。ぼくは、行かない!!」

    と、言いました。隣にいたハルナも

    「私も行かない!!」

    と、言って シュンと ハルナは帰って行きました。

    次の日 

    「ちょっとー。あんた達 なんで ハナコちゃんがいないと 駄目なのよ」

    コノハが 口をとがらせています。 

    「あのさ、ぼく ピーマンが嫌いだったの。

    でもママが体の為に食べないとだめだって言ったの。ピーマンも 大好きなにんじんも 同じ野菜で、どっちも 同じようにぼくの体にいいんだって、味が違うだけだって。

    誰かが ハルナちゃんは好きでも シュンは 嫌いって 言ったらどうする?って。

    それから がんばって 食べていたら 今は平気だよ。ピーマンもおいしいよ」

    シュンが、すこし強く言いました。

    すると、

    「私はピーマン食べられるもの!!」

    と、コノハが、もっと口をとがらせて言いました。そして、あっちへ行ってしまいました。 つづく

  • 33 かみなり様の最初へ
  • すると、かみなりさまは おどろいて、

    「おまえの勇気にめんじて 今年は 晴れにしてやる」

    そう言って、遠くへ いきました。

    「シュン君 ありがとう」

    ひこぼしさまは シュンの手をにぎって お礼を言いました。

    次の夜 7月7日 きれいに晴れて 星が かがやきました。

    シュンは、夜空を見上げてほほえみました。

    「ひこぼしさま、良かったね」

    そして、その次の日の夕方、また雷が あばれていました。けれども、もう シュンは こわがりませんでした。

    「シュン 平気なの?」

    雷が怖くてハルナが、聞きました 

    「うん。かみなりさま ほんとうはやさしいのさ」

    そう言って シュンは空を見上げました。 おしまい


  • 32 イルカのルカ金貨へ

    ごろごろ ぴかっ

    「わああああっ」

    シュンとハルナは、雷がこわくて杉の木の穴の中で 身を寄せ合ってちぢこまっていました。

    少しして こわい音が遠くなると 雨が降り出し、二人は 走って家にかえりました。

     その夜 シュンはゆめを見ました。

    きらめく星の川岸に ひこぼしさまと いっしょに立っていました。

    向こう岸で おりひめさまが、手をふっています。

    「シュン君 明日の夜、やっと おりひめに会えるんだよ」

    「よかったね」

    「ああ、もう3年も待っているんだ」

    「えっ、3年も?」

    「うん。去年もおととしも 雨でね」

    「そう。今年はだいじょうぶだといいね」

    その時です。

    ごろごろ ぴかっ

    すぐそばに、かみなりさまが やってきました。

    「ひこぼし 今年も 雨を降らせてやるぞ!」

    シュンは、こわくてたまりませんでしたが、おへそを両手でかくしながら

    「なんで! そんな意地悪するの!」

    と、叫びました。 すると、かみなりさまは

    「なんだ おまえは、どうせおれは きらわれ 者だ 。あばれてやるんだ!」

    と、どなり返しました。

    「だから きらわれるんだろ!」

    シュンは、だんだん こわさより いかりの方が大きくなってきました。

    「おまえの耳を片方おれさまに くれるなら、天気にしてやるぞ」

    シュンは、考えました。

    そして 

    「いいよ!」

    と言いました。  つづく

  • 32 イルカのルカ金貨の最初へ

    「ありがとう…最高のプレゼントだ!!」 

     あなたも 大切な人に心を込めたプレゼントを どうぞ― 

    ルカは涙をかくすために、上を向いて水を吹き、自分の顔にかけました。 

    「あまり逢えないけれど、いつも君を思っているよ。友達だもの」 

    シュンとハルナが、そう言ってほほえみました。 

    「そっか。 ああ ぼくは、はじめて気がついたよ。月がなくても金貨が見えるって」 

    どうやら、今夜は金貨がきらきらとルカの心にも降ったようです。 おしまい

  • 31 ほたるへ

    砂の山が波に 何度もさらわれます。

    「やぁ、どうしたの?」

    ぷっと いるかのルカが、シュンのほほに水を吹きかけました。

    「おお、ルカ。君を待っていたんだよ。ひさしぶり」

    「そうか。金貨を見にきたのかな?今日は三日月だから、量が少ないよ」

    すると、シュンとハルナはパッと左右に別れて

    「お誕生日 おめでとう!」

    と、言いました。

    「ぷっぷっぷっ!覚えていてくれたの…」

    ルカはおどろいて、水を続けて3回吹きました。

    「ほら、君のお城だよ」

    今日は、ルカの誕生日のようです。

     シュンとハルナは、ルカがそばまで見にいけるように、波うちぎわのぎりぎりのところでお城を作っていました。なので、何度も波に邪魔されて砂のお城を作り直した事が、ルカには わかりました。 つづく

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  • 31 ほたるの最初へ

    「ママ、この森はずっとこのままだよね」

    シュンは、心配になりました。

    「そうするには、みんなが守らないとだめね」

    ママはつぶやきました。

    「何をしたらいいの?」

    シュンは、ママをじっと見て聞きました。

    ― 何をしたらいいのでしょう― 

    できる事でいいから、それぞれが、考え守ればいいことだと、ママは言いました。

     青い空と緑沸き立つ森、 透き通る水と胸いっぱに吸い込みたくなる風 

     ほたるの舞を、永遠に見る事ができるような環境を みんなさんも、考えてみませんか。 おしまい

  • シュンとママが、線香花火の最後の一本をバケツに落とした時でした。

    川原なでしこの花びらに、一匹のほたるがとまり、話しを始めました。

    「ぼくは、昨日の夜 そこの大きな杉の木のてっぺんに、のぼったんだ。そしたら 遠くにもぼくらの仲間がいたよ。ぼくらの何倍もの大きさで、おどろいたよ」

     シュンのママはそれを聞くと、とても悲しそうな顔をしました。

    ほたるが見たのは、人間が住む灰色の町のあかりでした。

     ママがまだ子供の頃は、この森はもっと広く果てしなく続いていて、人間の町はとても小さかったそうです。

     それが、いつの頃からか、森の動物たちがとうめいな袋に顔をつっ込んで、息ができなくなりそうになったり、近くの小川で魚が死んでいたり、

    手の無い赤ちゃんが生まれてしまったりと、悲しい出来事がたくさん起こり始めました。

    それと同時にどんどん、人間の町は大きくなりこの森は小さくなって行きました。 つづく

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  • 30 てづくりの最初へ

    次の日 

    コノハは、新しいキティちゃんの袋を持って来ました。

    ハナコは、コノハにあげた袋と同じ物をママに作ってもらって、持って来ました。

    「ハナコ、スヌーピーのどうしたの?」

    コノハがおどろいたように聞きました。

    「あっ、これ 返す」

    ハナコが、きのうコノハにもらったスヌーピーの袋を出しました。

    「なんでよ」

    「ママが、もう一つ 作ってくれて、返しなさいって」

    「なんでよ。 こんなのなら、幾つでも 買えばいいんだから。いらないわよ」

    「だって…」

    コノハは、スヌーピーの袋をごみ箱に捨ててしまいました。

    「コノハ!!もったいないじゃない。なんで そんなこと するの?」

    ハナコが、おこりました。

    「いいじゃない。私のだもん 何しても!」

    そういうと、コノハは足をどん としてあっちへ行ってしまいました。

    ごみ箱の袋をハルナが拾いながら言いました。

    「ねぇ、給食袋ってみんなママに作ってもらっているじゃない。

    コノハだけだよね。 買った袋を使っているの」

    「あぁ…」

    ハナコの顔が、くもりました。

    「だから幾つでも買えばって、言ったのかも」

    ― 手作りって あたたかいですものね ―

    ハナコとハルナは、急にコノハがかわいそうになりました。

    「コノハの病気は コノハだけじゃないかもね。

    コノハのママも病気だからかも」 

    そういうと ハルナは、スヌーピーの袋をごみ箱へまた落としました。

  • 29 バースデーケーキへ

    「ハナコの袋にはレースがついてるのね。ポッケも…」

    きつねのコノハがうさぎのハナコが持っている給食袋を見て言いました。

    「あら、コノハの持ってる方が、いいじゃない」

    「じゃぁ ハナコ、こうかんしてよ」

    「いいけど」

    コノハは、ハナコの給食袋を欲しがりました。

    「ハナコちゃん、ママに叱られない?」

    シュンは、たずねました。

    「うん。ママのが、良いって言われたって言ったらよろこぶと思う」

    シュンは、不思議に思いました。

    コノハのふくろはスヌーピーの絵で 、女の子ならだれでも 欲しがるものです。けれども、ハナコのふくろは、ハナコのママが残り布で作ったものなのです。

    「コノハは、人の物なら何でも欲しいんじゃない?」

    「そうかなぁ」

    ハルナは、コノハの病気だからと言います。 つづく

  • 29 バースデーケーキの最初へ

    「あぁ、けずった方を下にしちゃだめだよ。生クリームじゃなくて なまり クリームになっちゃうだろ」

    シュウが、目と目の間にしわをよせて言います。

    「わはは、ちょっと黒くなったぁ…」

    ねこのドラが、したを出しました。

    どうやら、エンピツを何本か輪ゴムで束ねて、ハナコに聞いたはしの代わりにしたようです。

    「わぁ、出来た!!」

    シュンが、ばんざいをして叫びました。 

    「ちょっと 私が代表で わたすわ」 

    コノハが みんなの前に出ました。

    「いいえ。今回はハナコさんのおかげです。ハナコさんに持って行ってもらいましょう。みなさん いいですね」

    シュウが 言うと みんなさんせいしました。

    コノハだけ いつものように ぷいっとしています。

    「せーの 先生 お誕生日おめでとうございます!!」

    ホットケーキの上に生クリームといちごがかざってあります。

    「わぁ、みんな ありがとう…」

    先生の目に光るものがありました。  おしまい