• 28 すりへ

    「しまった!!」

    学年で一番頭が良いと みんなが思っている白てんのシュウが叫びました。 

    「どうしたの?」

    「だめです。生クリームが あわ立てられません」

    「えっ? どうして?」

    「ぼくが あわ立てきを わすれたからです」

    「えっ どうする…」

     今日は ルサ先生のお誕生日なので、お昼休みに ホットケーキを 理科室で焼いてプレゼントしようと いうことになっていたのです。

    「なら、ホットケーキだけにすればいいじゃん」

    ねずみのチムが、いいました。

    「だめよ。それじゃぁお誕生日って感じじゃないんじゃないの」

    きつねのコノハが ぶんぶん いいます。

    「ああ、あんなに 昨日の夜 頭の中で本を何度も読んで くり返し練習したというのに…」

    シュウは、頭をかかえて すわりこみました。

    「あのう…」

    みんな一声に声の方へふり向きました。 

    「ママが、やっていたんだけど…」

    うさぎのハナコです。 

    「なによ、早くいいなさいよ」

    コノハが、いらいらしています

    「私がお菓子を作ってる時に あわ立て器をこわして…」

    「それで?」 

    「仕方ないから おはしを何本か輪ゴムで たばにして…」

    ハナコがそこまで言った時です。

    「おぉ それだ!!みんな えんぴつを出して!」

    シュウが、なにかひらめいたように叫びました。

               つづく

  • 28 すりの最初へ

    「おばあちゃん、良かったね。でもどうして、パスは 悪いことばかりするんだろう」

    シュンが、聞きました。

    「どうしてかしらねぇ」

    おばあちゃんは、こまった顔をして答えました。

    「なおらないの?」

    今度は、ハルナが、こまった顔をして聞きました。

    「パスがなおそうと思わないと、なおらないわね」

    「じゃぁ、どうしたらいい?!」

    シュンとハルナがいっしょに聞きました。

    ― どうしたら いいのでしょう?― 

    「そうね。いけないのは、パス。なおさなければいけないのもパス。本当は、私たちは、何もすることがないと思うけれど…。そうねえ。

    もしね、パスがなおそうとしてくれていたら、どうしたらいいかしら?」

    「うーん」 

    「シュン君が、おはしの使い方をママにならったって、前に言ってたわね」

    「うん」

    「さいしょ、へんだった時、どうした?」

    「あぁ、ママがちゅういしてくれた」

    「そうね。どうかしら、みんなでちゅういしてあげるといいかしら?」

    シュンとハルナは、うでぐみをして考えています。

    「ハルナちゃん。そういえば、きつねのコノハちゃんにブスって言われた時、おこったって言ってたわね」

    「うん」

    「コノハちゃんなぜ そう言ったの?」

    「コノハちゃんとけんかになったから」

    「そう。させるようなこと、言わせるようなこと今日の私なら、バックの口を 取りやすいようにあけておかなければね。悪いことがしにくいように、してあげればいいんじゃないかしら」

    「そっか。できにくくすればいいのか」

    おばあちゃんはウインクしてほほえみました。

    悪いことをする方が、ぜったいに悪いけれど、みなさんも、気をつけられることは 気をつけてみましょうね。         おしまい

                           

  • 27 せんせいへ

    シュンとハルナが、学校から帰っていると、

    バス停でふくろうのポーおばあちゃんが、ベンチの下をのぞきこんでいました。

    「おばあちゃん、こんにちは。どうしたの?」

    ハルナが、聞くと 

    「あぁ、おさいふがね。ないの」

    「えっ!落としちゃったの?」

    「うーん。このバックに入れてたんだけど」

    そう言って、おばあちゃんは、ひまわりの形のふくろの中をごそごそとさがしていました。

    シュンとハルナは、おばあちゃんの来た道をいっしょに、さがしてあげました。

    「おばあちゃん、ないねぇ」

    しかたなく、三匹でおおかみのルフおまわりさんの所へ行きました。

    「あぁ、もしかしたら これかな?」

    「あっ それです。どこに?」

    おばあちゃんのさいふがあったようです。

    「さっき、きつねのパスが悪さをしてつかまってね。その時に、持ってたんだよ。

    パスは男なのに 女物のさいふなので 聞いてみたら、ぬすんだっていうから」

    「あらら。気がつかなかったわ」

    おばあちゃんはとてもおどろきました。

    「スーパーで買い物してた時だそうですよ」

    「まぁ、そう。でも、おさいふだけでも もどって来たから良かったわぁ」

    ポーおばあちゃんは、さいふが見つかってうれしそうでした。 つづく

  • 27 せんせいの最初へ

    「先生は 橋をわたるしかないと思っていたんだ。知らなかったな。浅い所」
    ― 知らない事は はずかしくない。それより どんな話も 聞く事が大事だと思いませんか―
    「みんな、だれの話でもちゃんと 聞いて考えてほしいな。先生もヒロ君とドラ君の話が聞けたから、友達を助けることができたのだからね。お願いだ」
    先生は、しんけんな顔でみんなに言いました。
    「はああああい!!」
    みんな元気よく返事をしました。
    「ヒロ君、ドラ君。本当にありがとう もう一度言うよ。ありがとう」
    ヒロとドラは、顔を見合わせて とてもうれしそうでした。           おしまい

  • 28 すりへ
  • 26 プライドへ

    キーンコン カンコン
    さぁ「お話しましょ」の時間です。
    フィオナの小学校では1週間に一度
    お昼からみんなでいろいろな事を 話し合います。
    「先生!聞きたい事があります」
    「ツン君 なにかね?」
    「先生は何でも知てっるけど 知らない事があるんですか?」
    と、きつねのツンが聞きました。すると、さるのルサ先生は、おなかをかかえて笑いだしました。
    「先生もきみたちと一緒で ごはんを食べたり トイレに行ったりするよ。ああ、そうだな。あれは…」

     うららかな午後でした。
    「ヒロ、ドラ。いそいでいるので またな」
    くまのヒロと ねこのドラが 魚つりの糸を川の流れにたらしていました。
    「やぁ 先生。いそいでどうしたの?」
    「いやぁ、川向こうの友達が病気で、すぐに行かないといけないんだ」
    「先生だったら そこに見えてる石の所 そこから歩いてわたるといいよ」
    「えっ?深いだろ」
    「ううん。そこだけは底が山になってて ぼくらいつもそこを 走ってわたるよ。
    だって 向こうの橋まで行くの めんどうくさいんだもの」
    「そっか ありがとう」
     おかげで 先生は友達の所へいつもより ずいぶん 早く着いたそうです。
    そして、友達を病院に連れて行くと もう少し遅かったら 大変な事になったと お医者様に言われ、

    ヒロとドラにとても かんしゃしたそうです。 つづく

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  • 26 プライドの最初へ

    ミーのママのパパは、まじめでりっぱな猫だと有名だったそうです。 

    「父は、私をシャム猫として 美しくしなやかで品を持って、育てたかったの。だから…」 

    シュンのママが、小さな声で言いました。 

    「お父様 いつもあなたを見ていたのね」 

    「ええ。とてもきびしくて、どんな小さなミスもしかられた。足やしっぽの動かし方まで 注意されたわ」 

    ミーのママは、とても悲しそうでした。

    「あなた、とても エレガントよ」

    シュンのママがほほえみながら言いました。

    「でも・・・蝶や 鳥がうらやましかった。風もいいわね」 

    「自由が 欲しかったの?」

    シュンのママがそう聞いた時です。 

    ミーのママは、突然背すじを伸ばして 

    「でも私は、シャムよ」 

    と、いばった感じでそう、言いました。 

    「ミーちゃんは 充分可愛いし優しいわね」 

    シュンのママが、言うと 

    「優しいだけじゃだめよ。父親に似て 毛並みが良くないもの」 

    ミーのママが、言葉を吐きだすように言いました。 ミーのパパは、野良猫です。

    ― なにを 言っているか 自分自身 自分の言葉がわかっていますか― 

    ミーの体が小さいのは、いつも 小さくなっているからではないかとシュンのママは思ってしまいました。 

    シュンのママは、言いました。 

    「ミーちゃんも シャムにしたいの? あなたと 同じにしたいの?」

    すると、ミーのママは、黙ったまま空をあおぎ 涙を こぼしました。  おしまい

  • 25 おみまいへ

    今日は森のきのこ狩り。 

    かごいっぱいのきのこを、今夜はシチューにしましょう。

    「あっ ごめんなさい。ごめんなさい」 

    子猫のミーは、かごのきのこをこぼしてしまい、ふるえています。 

    「まったく この子は早くひろいなさい!」 

    ミーのママは爪を出して、とてもおこっています。

    「そんなにおこらなくてもねぇ。ミーちゃん、だいじょうぶよ」

    シュンのママが、ミーに声をかけて、ひろうのを手伝いました。 

    すると、 

    「あなたには関係ないでしょ。ミーは私の娘よ。きちんと育てないと」

    ミーのママが、シュンのママに言い返しました。 シュンのママは、何も言い返せません。 

    周りの空気が重くなるのをみんな感じていました。 

     ミーのママがうつむいたまま

    「ごめんなさい。なぜなのかしら、この子が何かするたびにいらいらするの。 

    最近 眠れなくてね。闇の中から光る目が 、私をじっと見てる気がしてね」 

    と顔を両手でおおいながら言いました。 

    「つかれてるのね」

    シュンのママが、ミーのママの背中をなでようとすると 

    「やっ やめて!」

    ミーのママは、また爪を出しました。つづく
  • 25 おみまいの最初へ

     ハナコが様子を見て

    「先生持っていっていい?」

    と、ポポ先生にたずねるとポポ先生はクラスのみんなに

    「他に持って行く人はいませんか?」

    と、たずねました。

    すると

    「今日は 私がホットケーキを持って行きます」

    とハルナが言いました。

    ポポ先生は、ほほえみならが

    「みんな できることでいいと思いますよ」

    と言いました。

    次の日から みんな自分でできるいろいろな物をお見舞いに、持って行きました。

    先生の退院の日

    「みなさんのおかげで 寂しくなかったよ。

    これは、まだ入院されてるみなさんに、さしあげて帰ります」

    と皆からのプレゼントを見ながら、先生は言いました。

    みんなが 元気に

    「はああああい」

    と、答えると

    「しっ」

    病室では お静かに。

    先生が、人さし指を立てて言いました。

    「うっ」

    みんなは、一声に 口を手で押さえました。 おしまい

  • 24 ことばへ

     シュン達の担任のルサ先生が入院しています。そこで、クラスのみんなでお見舞いに行きました。

    ハナコがお見舞いにお花を持っていくと

    「おお、きれいだね。ありがとう!」

    先生はとても喜びました。

     次の日から先生に喜んでもらって嬉しいハナコは毎日お花を持って行きました。

     すると女の子達の中から、ハナコばかりという声が出ました。

     シュン達を今ルサ先生の代わりに教えて下さっているポポ先生が

    「ハナコさん。他の人もお花を持って行きたいみたいだから、少しお見舞いに持って行くのをお休みしてね」

    とハナコに言いました。

    ハナコは、言われた通りにお休みしていました。すると、やがてお花が花瓶から空になりました。   つづく

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  • 24 ことばの最初へ

    「とうちゃん、ばかたれ言わないでよ。ドラの教育に悪いじゃない。ばかたれ!」

    あらら?ママも・・・

    「ぷっ。かあちゃんもばかたれって言った!!」

    「あらら…」

    みんなで大わらいです。

     

    ―悪い言葉が悪いのですか?使う人の心が 悪いのですか?―

     森の葉が赤くなると鮭が帰ってきます。

    「とうちゃん、今年も鮭さんのあみ、みんなであまないとな」

    「そうだな、そろそろ用意する頃だな」

    パパが、窓から見える山を見つめながら言いました。すると、ママも外をながめて言いました。

    「あんたたちのセーターも、そろそろあまないとね」

    「ばかたれ、楽しみに待ってるよ」

    パパは、うれしそうに言いました。    おしまい