• 26 プライドの最初へ

    ミーのママのパパは、まじめでりっぱな猫だと有名だったそうです。 

    「父は、私をシャム猫として 美しくしなやかで品を持って、育てたかったの。だから…」 

    シュンのママが、小さな声で言いました。 

    「お父様 いつもあなたを見ていたのね」 

    「ええ。とてもきびしくて、どんな小さなミスもしかられた。足やしっぽの動かし方まで 注意されたわ」 

    ミーのママは、とても悲しそうでした。

    「あなた、とても エレガントよ」

    シュンのママがほほえみながら言いました。

    「でも・・・蝶や 鳥がうらやましかった。風もいいわね」 

    「自由が 欲しかったの?」

    シュンのママがそう聞いた時です。 

    ミーのママは、突然背すじを伸ばして 

    「でも私は、シャムよ」 

    と、いばった感じでそう、言いました。 

    「ミーちゃんは 充分可愛いし優しいわね」 

    シュンのママが、言うと 

    「優しいだけじゃだめよ。父親に似て 毛並みが良くないもの」 

    ミーのママが、言葉を吐きだすように言いました。 ミーのパパは、野良猫です。

    ― なにを 言っているか 自分自身 自分の言葉がわかっていますか― 

    ミーの体が小さいのは、いつも 小さくなっているからではないかとシュンのママは思ってしまいました。 

    シュンのママは、言いました。 

    「ミーちゃんも シャムにしたいの? あなたと 同じにしたいの?」

    すると、ミーのママは、黙ったまま空をあおぎ 涙を こぼしました。  おしまい