こちらは、何年も前に書いたガリレオ・ガリレイのイラスト。ずいぶん前に書いた作品なので、大人しい感じです。
ガリレオ・ガリレイの性格の激しさは表現できていないかな。
古い大学の教授たちを批判し、論敵と徹底的にやりあったガリレオの性格は、激しく、ねちっこく、相手を倒すまで論争をやめません。自分の発見を他人が自分の手柄にしようとするのに対し、それを批判するためにまるまる一冊本(『偽金鑑識官』)を書いてしまうほどです。
『いきいき物理マンガで実験/冒険』『さりの12のひみつ』で描いたガリレオの方が、より実物の雰囲気に近いのではないかと、自負しています。(*)
頑固そうでしょ?
(*)『さりと12のひみつ』『いきいき物理マンガで冒険』『いきいき物理マンガで実験』
のAmazonへのリンクは下方にあるお知らせのバナーをご利用ください。
さてさて、つい先日、ブログの公式ジャンルを「アート」に変えたばかりなのですが、今回は今まで通り、物理の話が中心(笑)・・・
新型コロナで休校が続いていますので、自宅学習の一助となればと、物理講座の公開を進めていますので、アートな記事はまた、次回に(笑)・・・
いずれ、物理基礎の講座公開もやらなくちゃなと思っています。
さて、そのガリレオが解き明かした「力のモーメント」ですが、剛体のつりあいをきちんと解くときには、力のつりあいとの組み合わせや、支点にする場所についての知識などがないと、うまくいきません。
ガリレオは「力×うで」という物理量(英語ではobjectといいます)が存在し、それがテコの原理をささえていると見抜きました。さらに『レ・メカニケ(機械論』でその他の装置についても詳細な検討をして、すべてに共通する性質として現在「仕事の原理」と呼ばれる、エネルギー保存則につながる重大な発見をしています。
さてさて、ガリレオがせっかく力のモーメントの定義をしっかりやってくれたのに、食わず嫌いで、この分野を苦手にしてしまうのは、もったいないですね。
とはいえ、今まで述べてきたように、剛体のつりあいを身につけるには、ある程度の練習が不可欠です。
力のモーメントは、それほど難しいものではありません。どこが難しいポイントなのかを、【教える側がきちんとポイントを把握して】、【習う側がそのポイントを理解して】いれば、問題なく終了できる分野です。
まあ、そうでないから、剛体のつりあいがにがてな人が、量産されているんでしょうね・・・
この分野のそうまとめとして、力のモーメントのつりあい(回転しない)と、力のつりあい(上下左右に動かない)を組み合わせるタイプの問題を、いくつか練習しておきましょう。
コツがつかめれば、なんということはないところだとわかるはずです。
なお、力のモーメントのつりあいの「回転しない」は、正しくは「回転の加速をしない」つまり「角速度が変わらない」です。もちろん、力のつりあいの「上下左右に動かない」は、正しくは「上下左右に加速をしない」つまり「速度が変わらない」です。
止まっていないときでも、加速していなければつりあいの条件は満たしているので、気をつけましょう。
このプリントでは、剛体のつりあいを考えるときの重要ななポイント3つを枠付きで強調してあります。
1.力のモーメントのつりあいの式をかく。
2.力のつりあいの式をかく。
本質的にいうと、重要なポイントは、上の1・2、たった2つです。
しかし、学生が間違うのは、このお題目を理解していないからではありません。
前回も書きましたが、学生のほとんどは、力のモーメントの計算方法の誤解で失敗します。
重要なポイントの3つめは、
3.力のモーメントの2種類の計算方法のどちらも使える。
ということです。
いままでのくり返しになりますが、教科書や参考書などで力のモーメントの公式として書かれている式、N=FLsinΘは、ムリに覚える必要はありません。
まとめの枠に書いてあるように、FとLが垂直の関係になるように考えて計算すればいいからです。
この式は、大学でベクトルの外積を学んだら、式の意味がわかりやすくなります。逆にいえば、それまではこの式を覚えることになんのメリットもない、ということですね。
ほかの代表的な問題も、2つほど用意してあります。
できそうですか?
じつは、重要なポイント1〜3の他に、大前提として、もう一つ非常に重要なポイントがあります。それは・・・
0.力の矢印を正しく図に描きこむ。
ことです。これができない人は1〜3をいくら練習してもだめですね。
図を書くときのポイントは、作用線から外れて平行移動させてはいけない、ということ。これも、いままで書いてきたことですので、そちらの記事をごらんください。
書き込みを見ながら、ポイントをチェックしていきます。
ポイント0:棒が受けているすべての力、壁からうける垂直抗力R、重力mg、床からうける垂直抗力Nと摩擦力fが、正しく描けたでしょうか。
以前説明したように、Nとfの合力である抗力は、Rとmgの作用線の交点に向かう力になります。
今回は計算により問題を解くので、Nとfの図が、かならずしもこのようになっていなくてもかまいませんが、このことを知っている人と知らない人では、問題の見通しがまるでちがいますね。
ポイント1と3:支点をAに選んで、力Rとmgのモーメントの式をそれぞれ2種類の方法の片方を用いて立てられたでしょうか。そして、その合計が0になるつりあいの式を立てられたでしょうか。
初心者は、実際に剛体が固定されている場所だけが支点と考えがちです。でも、前に書いたように、回転のつりあいの式を立てるときの支点は、どこを選んでもかまいません。剛体はどの点のまわりにも回転しないのですから、どこが支点であってもいいのですね。
支点をAに選ぶのは絶対ではなくて、支点をBに選んでも、重心に選んでも、かまいません。
しかし、その場合は、力のモーメントのつりあいの式がより複雑になります。
Nとf、2つの力がA点にかかっているので、支点をA点に選べば、これらの力のモーメントは0になるため、つりあいの式に登場しません。
力のモーメントの計算法2種が区別つくように、矢印も式も色分けしておきました。
ポイント2:力のつりあいの式をふつうに立てられたでしょうか。
これはカンタンな式ですが、力のモーメントの式に引きずられ、力のつりあいの式でも力にうでをかけてしまう、マヌケな人がいます。あなたは、だいじょうぶですか?
なお、未知数3つに対して、式を3つ立てるのですが、このプリントでは、標準的な方法として、力のモーメントの式を1つ、力のつりあいの式を2つ立てて、解いています。
でも、独立な式が3つあればよいので、もう一つ(例えばB点)支点を選んで、力のモーメントの式を立て、力のモーメントの式を2つ、力のつりあいの式を1つ立てるという方法でも、答は出ます。
まあ、普通の人は、そんなやりかたをすると、面倒くさいのでやりませんが。
なお(2)では、物理基礎で学んだ摩擦力の知識が登場します。「60度より傾けると滑り出した」というのは、「60度のときは滑り出す直前だった」ということ。つまり、このとき、摩擦力は最大摩擦力になっています。
2と3も、1とほとんど同じタイプの問題です。
2では、棒のA端は糸から張力を、壁から垂直抗力をうけ、3では、壁から摩擦力と垂直抗力をうけています。
2と3のちがいはそれくらいです。
ただし、棒の傾きぐあいが異なるので、式も少しずつ異なります。
やはり、力のモーメントの2種類の求め方を色分けして描いておきましたので、チェックしてください。
さしあたって問題を解くだけなら、運がよければ片方のやり方だけで解けますが、両方のやり方を理解していないと解きにくい場合、あるいは解けない場合があります。
かならず、どちらの方法でも力のモーメントを計算できるようにしておきましょう。
関連記事
〜ミオくんと科探隊 サイトマップ〜
このサイト「ミオくんとなんでも科学探究隊」のサイトマップ一覧です。
*** お知らせ ***
日本評論社のウェブサイトで連載した『さりと12のひみつ』電子本(Kindle版)
Amazonへのリンクは下のバナーで。
『いきいき物理マンガで冒険〜ミオくんとなんでも科学探究隊・理論編』紙本と電子本
Amazonへのリンクは下のバナーで。紙本は日本評論社のウェブサイトでも購入できます。
『いきいき物理マンガで冒険〜ミオくんとなんでも科学探究隊・実験編』紙本と電子本
Amazonへのリンクは下のバナーで。紙本は日本評論社のウェブサイトでも購入できます。