物理ネコ教室104剛体のつりあい<総合演習> | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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 こちらは、何年も前に書いたガリレオ・ガリレイのイラスト。ずいぶん前に書いた作品なので、大人しい感じです。

 

 ガリレオ・ガリレイの性格の激しさは表現できていないかな。

 

 古い大学の教授たちを批判し、論敵と徹底的にやりあったガリレオの性格は、激しく、ねちっこく、相手を倒すまで論争をやめません。自分の発見を他人が自分の手柄にしようとするのに対し、それを批判するためにまるまる一冊本(『偽金鑑識官』)を書いてしまうほどです。

 

 『いきいき物理マンガで実験/冒険』『さりの12のひみつ』で描いたガリレオの方が、より実物の雰囲気に近いのではないかと、自負しています。(*)

 

 

 頑固そうでしょ?

 

 

(*)『さりと12のひみつ』『いきいき物理マンガで冒険』『いきいき物理マンガで実験』

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 さてさて、つい先日、ブログの公式ジャンルを「アート」に変えたばかりなのですが、今回は今まで通り、物理の話が中心(笑)・・・

 

 新型コロナで休校が続いていますので、自宅学習の一助となればと、物理講座の公開を進めていますので、アートな記事はまた、次回に(笑)・・・

 

 いずれ、物理基礎の講座公開もやらなくちゃなと思っています。

 

 さて、そのガリレオが解き明かした「力のモーメント」ですが、剛体のつりあいをきちんと解くときには、力のつりあいとの組み合わせや、支点にする場所についての知識などがないと、うまくいきません。

 

 ガリレオは「力×うで」という物理量(英語ではobjectといいます)が存在し、それがテコの原理をささえていると見抜きました。さらに『レ・メカニケ(機械論』でその他の装置についても詳細な検討をして、すべてに共通する性質として現在「仕事の原理」と呼ばれる、エネルギー保存則につながる重大な発見をしています。

 

 さてさて、ガリレオがせっかく力のモーメントの定義をしっかりやってくれたのに、食わず嫌いで、この分野を苦手にしてしまうのは、もったいないですね。

 

 とはいえ、今まで述べてきたように、剛体のつりあいを身につけるには、ある程度の練習が不可欠です。

 

 力のモーメントは、それほど難しいものではありません。どこが難しいポイントなのかを、【教える側がきちんとポイントを把握して】、【習う側がそのポイントを理解して】いれば、問題なく終了できる分野です。

 まあ、そうでないから、剛体のつりあいがにがてな人が、量産されているんでしょうね・・・

 

 この分野のそうまとめとして、力のモーメントのつりあい(回転しない)と、力のつりあい(上下左右に動かない)を組み合わせるタイプの問題を、いくつか練習しておきましょう。

 コツがつかめれば、なんということはないところだとわかるはずです。

 

 なお、力のモーメントのつりあいの「回転しない」は、正しくは「回転の加速をしない」つまり「角速度が変わらない」です。もちろん、力のつりあいの「上下左右に動かない」は、正しくは「上下左右に加速をしない」つまり「速度が変わらない」です。

 

 止まっていないときでも、加速していなければつりあいの条件は満たしているので、気をつけましょう。

 このプリントでは、剛体のつりあいを考えるときの重要ななポイント3つを枠付きで強調してあります。

 

1.力のモーメントのつりあいの式をかく。

2.力のつりあいの式をかく。

 

 本質的にいうと、重要なポイントは、上の1・2、たった2つです。

 

 しかし、学生が間違うのは、このお題目を理解していないからではありません。

 前回も書きましたが、学生のほとんどは、力のモーメントの計算方法の誤解で失敗します。

 

 重要なポイントの3つめは、

 

3.力のモーメントの2種類の計算方法のどちらも使える。

 

 ということです。

 

 いままでのくり返しになりますが、教科書や参考書などで力のモーメントの公式として書かれている式、N=FLsinΘは、ムリに覚える必要はありません。

 まとめの枠に書いてあるように、FとLが垂直の関係になるように考えて計算すればいいからです。

 

 この式は、大学でベクトルの外積を学んだら、式の意味がわかりやすくなります。逆にいえば、それまではこの式を覚えることになんのメリットもない、ということですね。

 

 ほかの代表的な問題も、2つほど用意してあります。

 

 

 できそうですか?

 

 じつは、重要なポイント1〜3の他に、大前提として、もう一つ非常に重要なポイントがあります。それは・・・

 

0.力の矢印を正しく図に描きこむ。

 

 ことです。これができない人は1〜3をいくら練習してもだめですね。

 

 図を書くときのポイントは、作用線から外れて平行移動させてはいけない、ということ。これも、いままで書いてきたことですので、そちらの記事をごらんください。

 

 書き込みを見ながら、ポイントをチェックしていきます。

 

ポイント0:棒が受けているすべての力、壁からうける垂直抗力R、重力mg、床からうける垂直抗力Nと摩擦力fが、正しく描けたでしょうか。

 

 以前説明したように、Nとfの合力である抗力は、Rとmgの作用線の交点に向かう力になります。

 今回は計算により問題を解くので、Nとfの図が、かならずしもこのようになっていなくてもかまいませんが、このことを知っている人と知らない人では、問題の見通しがまるでちがいますね。

 

ポイント1と3:支点をAに選んで、力Rとmgのモーメントの式をそれぞれ2種類の方法の片方を用いて立てられたでしょうか。そして、その合計が0になるつりあいの式を立てられたでしょうか。

 

 初心者は、実際に剛体が固定されている場所だけが支点と考えがちです。でも、前に書いたように、回転のつりあいの式を立てるときの支点は、どこを選んでもかまいません。剛体はどの点のまわりにも回転しないのですから、どこが支点であってもいいのですね。

 

 支点をAに選ぶのは絶対ではなくて、支点をBに選んでも、重心に選んでも、かまいません。

 しかし、その場合は、力のモーメントのつりあいの式がより複雑になります。

 Nとf、2つの力がA点にかかっているので、支点をA点に選べば、これらの力のモーメントは0になるため、つりあいの式に登場しません。

 

 力のモーメントの計算法2種が区別つくように、矢印も式も色分けしておきました。

 

ポイント2:力のつりあいの式をふつうに立てられたでしょうか。

 

 これはカンタンな式ですが、力のモーメントの式に引きずられ、力のつりあいの式でも力にうでをかけてしまう、マヌケな人がいます。あなたは、だいじょうぶですか?

 

 なお、未知数3つに対して、式を3つ立てるのですが、このプリントでは、標準的な方法として、力のモーメントの式を1つ、力のつりあいの式を2つ立てて、解いています。

 でも、独立な式が3つあればよいので、もう一つ(例えばB点)支点を選んで、力のモーメントの式を立て、力のモーメントの式を2つ、力のつりあいの式を1つ立てるという方法でも、答は出ます。

 

 まあ、普通の人は、そんなやりかたをすると、面倒くさいのでやりませんが。

 

 なお(2)では、物理基礎で学んだ摩擦力の知識が登場します。「60度より傾けると滑り出した」というのは、「60度のときは滑り出す直前だった」ということ。つまり、このとき、摩擦力は最大摩擦力になっています。

 

 2と3も、1とほとんど同じタイプの問題です。

 2では、棒のA端は糸から張力を、壁から垂直抗力をうけ、3では、壁から摩擦力と垂直抗力をうけています。

 2と3のちがいはそれくらいです。

 ただし、棒の傾きぐあいが異なるので、式も少しずつ異なります。

 

 やはり、力のモーメントの2種類の求め方を色分けして描いておきましたので、チェックしてください。

 さしあたって問題を解くだけなら、運がよければ片方のやり方だけで解けますが、両方のやり方を理解していないと解きにくい場合、あるいは解けない場合があります。

 かならず、どちらの方法でも力のモーメントを計算できるようにしておきましょう。

 

 

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