物理学の系譜〜4ニュートン2 | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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ミオくん「また、行く?」

とっぴ「行く、行く!」

あかね「ニュートンさんのところね?」

ミオ「うん」

ろだん「上のイラストは・・・どこかで見たな」

ミオ「ひろじさんが前に作った科学者タロットで使われたニュートンの肖像画だよ」

あかね「ああ、あれね。たしか、【魔術師】だったわ」

 

 

ろだん「そう、これこれ。でも、ニュートンって、魔術師って感じじゃないなあ」

ミオ「魔法のように物理学の基本理論を生み出したってことと、もう一つは、本当に魔法に近いことをやっていたからじゃないかな」

とっぴ「え? 何?」

ミオ「ニュートンは物理学以上に、化学というか、錬金術に近い実験にのめり込んでいた。ニュートンの起伏の激しい言動は、実験で使い続けた水銀による中毒症状だったともいわれているよ」

あかね「この間お話ししたときは、そんな感じじゃなかったけど」

むんく「それより、早く行こうよ」

ミオ「うん。じゃ、出発」

 

 

ニュートン「また、うるさいのが来たな」

とっぴ「えへへ、来ちゃいました」

ニュートン「で、今度は何かね」

とっぴ「ええと・・・えと・・・」

あかね「万有引力! リンゴが落ちるのを見て、万有引力の法則を発見したって、本当ですか」

ニュートン「リンゴ? ああ、母の農園にはリンゴの木がいっぱいあったが・・・」

ろだん「そのリンゴが落ちるのを見て、閃いた!?」

ニュートン「いや」

とっぴ「え?」

ニュートン「私が疑問に思ったのは、なぜ月は落ちてこないのか、ということだ」

とっぴ「月?」

あかね「どういうことなの、ミオくん」

ミオ「『プリンキピア』は読んだ? あれにはその分析がくわしく書いてあるよ」

あかね「つい先日、ニュートンさんに会ったばかりよ。いくらなんでも、あんな太い本、一日や二日じゃ、読めないわ」

とっぴ「月が落ちてこないのって、重力が届かないくらい遠いところにあるからじゃない?」

ミオ「少し前、ほら、ガリレオさんが教会と揉めていた頃はね、世界は地上の世界と天上の世界に二分されていた。もちろん、人の頭の中の話だけど」

ニュートン「うむ。地上のリンゴは落ちるが、天上の月は落ちない。それは、地上と天上では、ルールが違うから」

とっぴ「そんな、バカな」

 

ミオ「『プリンキピア』には、月は地球めがけて落下しているということがしっかり書かれている。それは、月もまた、地上のリンゴと同じだといってるんだ。天上界、地上界と、世界を分ける必要はないってことでもある」

とっぴ「え、月って、落ちてるの?」

あかね「月は、地球のまわりで円軌道を描いて回っているんでしょ? だったら、地球から見たら、いつも同じ距離のところにあるわ。ってことは、落ちていないんじゃ・・・」

ニュートン「それは、月が地球めがけて落下した結果だ」

ろだん「ん?」

ニュートン「月は円運動をしているが、それは重力のせいだ。もし、重力がなかったら、月はどこへ向かうかね?」

あかね「ええと、慣性があるから、速度の方向へ・・・あっ!」

とっぴ「え、なになに?」

あかね「(絵を描いて)ほら、そのまま円の接線方向へ進むと、地球から離れることになるわ!」

 

 

ろだん「そうだな」

ニュートン「しかし、地球は月を自分に向かって引きつけ、そのため、月はリンゴのように落ちてくる。その落ちる距離が、慣性で遠ざかるのをキャンセルすると、月と地球の距離は一定に保たれる」

 

 

とっぴ「あっ、ホントだ!」

 

 

むんく「これなら・・・月の公転軌道半径と公転周期から、落下の加速度が計算できる・・・ええと(理科年表で数値を調べ)・・・だいたい、地上の加速度の3600分の1」

とっぴ「ん? ・・・ん?」

むんく「月までの距離は地球半径の60倍だから、力が60の二乗倍、つまり3600倍になって、加速度が3600分の1になった」

あかね「こうやって、万有引力の法則を見つけたの?」

ニュートン「いや、これは考察の1つだ。私が万有引力の法則を発見し、それが逆2乗法則だと証明できたのは、ケプラーの第3法則と、私が見つけた運動の法則及び作用反作用の法則と組み合わせたからだが、ここでそれを語るのはやめておこう」

とっぴ「え、ケチ!」

あかね「失礼よ!」

ミオ「きみたちの教科書に、ニュートンがやった証明が書いてあるから、あとで勉強してみるんだね」

とっぴ「ん〜〜、やっぱり、ケチ!」

 

 

とっぴ「でもさ、どうして重力の法則じゃなくて、万有引力の法則なの? 重力なんだから重力の法則でいいじゃん」

ニュートン「リンゴが地球に引かれて落ちるのを見たら、私でなくても、ひょっとして地球が引っぱっていると思わないかね?」

とっぴ「うん、そうかも。地球は、いろんなものを引きつける重力を持っているって」

ニュートン「だから、私は重力の法則とは名付けなかったのだ。私の作用反作用の法則を覚えているかね」

とっぴ「ええっと、押せば押し返すってやつ?」

ニュートン「すべての力が、作用と反作用のペアの力、すなわち【相互作用】である、ということだ」

とっぴ「えへへ、それだと、ちょっと、ムツカシイかな」

ニュートン「リンゴが地球から受ける重力の反作用はなんだね」

 

 

とっぴ「ええっと・・・あれ?」

あかね「相互作用なんだから、作用がAがBから受ける力なら、反作用はBがAから受ける力・・・」

ろだん「っていうと、この場合は、リンゴが地球から受ける重力の反作用は、地球がリンゴから受ける重力・・・ってことか!」

 

 

ニュートン「重力は地球だけが持っているわけではない。月もリンゴも石ころも持っている。すべてが持つ力だから、私は【Universal Force万有引力】と名付けたのだ」

 

 

あかね「だから、重力じゃなくて、万有引力なのね!」

とっぴ「それなら、石ころ同士だって、引力で引っぱりあってることになるよ」

ろだん「いや、力の大きさの問題だろ。たぶん、石ころと石ころの間に働く万有引力は、普段じゃ気がつかないくらい小さい力なんだ」

むんく「計算してみると・・・ 万有引力の法則の式で・・・万有引力定数Gがだいたい6.67かける10のマイナス11乗だから・・・そのへんのはかりじゃはかれないくらい小さい力になる」

 

とっぴ「アレ? そのGの大きさって、どうやってわかったの?」

ニュートン「太陽と地球、地球と月の関係を調べることで、私はこの万有引力の式を見つけ出したが、残念ながら、Gの値はわからなかった。そのためには、地上で2つの物体間に働く微弱な万有引力の大きさを精密にはかる実験が必要だ」(*)

 

 

ろだん「2つの物体は、なるべく重い物を選べばいい。鉄や鉛の塊がいいな。何かに吊して、2つを近づけて・・・でも、普通のはかりではかれないくらい弱い力をはかるとなると・・・うーん・・・」

ミオ「それは、ニュートンじゃなく、もう少し後になって、キャベンディッシュが行った。どうやったかというと・・・」

ろだん「ちょ、ちょっと、待った! 自分で考えたい! いうな!」

とっぴ「ろだん・・・」

あかね「ろだんなら、考えつきそう・・・」

むんく「うん」

ミオ「じゃ、それは、今度会ったときね。じゃ、ニュートンさん、今日は、これで」

ニュートン「おや、もう帰るのか。もっと・・・いや、まあ、また来たまえ」

とっぴ「うん、また来るよ!」

あかね「また、来ます。光の話も聞きたいし」

ニュートン「まあ、そうだな。それまで、光の研究をさらに進めておこう」

ミオ「では、帰還!」

とっぴ「バイバイ!」

ニュートン「・・・まったく、騒がしい連中だが、楽しくもあるな・・・」

 

 

※下書きを書いた時刻でアップしてしまい、記事の順序が入れかわってしまったので、日付を入れ替えて再アップしました。

(*)万有引力についての詳しい記事は「なぜ逆2乗法則なのか〜『マンガで冒険』第3話「がらんどう星」の裏話1」と「なぜ「万有引力」なのか?〜『マンガで冒険』第3話裏話2」にも書きました。興味のある方はご覧ください。

 

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物理学の系譜〜その1ガリレオの相対性原理

物理学の系譜〜その2ケプラーと惑星の法則

物理学の系譜〜その3ニュートン1

物理学の系譜〜その4ニュートン2

物理学の系譜〜その5トムソン

 
 

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