2018年の中国映画「薬の神じゃない!」の感想文です
この作品、上映期間逃して観れなかったんですよね
レンタル屋さんありがとう






【あらすじ】
妻と離婚し、息子の親権を争う主人公チョン・ヨン。
なんだか胡散臭い強壮薬の売人で、生活は裕福とは言えない。
そんな彼のもとに中国国内で認可されていない薬の密輸依頼が舞い込む。
現行の薬は高価で、患者たちが気軽に買える値段ではない。
チョンが密輸するのはインド製の安価なジェネリック。
薬効は正規品と変わらないのに、認可がないため輸入も販売もできない。
もし密輸・密売がバレれば、立派な犯罪者である。
金に困っているチョンは、渋々ながらもその依頼を受けることに。

依頼してきた男リュも、自身が白血病患者。
更に、白血病の娘を持つポールダンサーの女性スーフェイ、英語が話せるリウ牧師、白血病患者の不良少年ハオが仲間になり、薬が買えずに困っている患者たちにジェネリック薬を密売するネットワークを作り上げる。

2014年に実際に中国で起きたニセ薬事件を元にした映画で、この事件を発端にして中国国内での医薬改革が起きたとか。

以前観た映画「マルモイ」もそうでしたが、市井の人々が権力や強大な組織に立ち向かうのが好きなんですね私…
なんかこう、それぞれが自分の能力を活かして活躍するのが好きなんですよね…
戦隊ヒーローとか勇者シリーズで育ったから…


劇中、ちょくちょく食事のシーンがあるのですが、映えとか意識してない、大衆食堂のごはん!宅飲みの鍋料理!一般家庭のごはん!みたいな感じで美味しそうでした…あのホカホカジューシーな小籠包みたいなやつ…

個性あふれる登場人物が魅力的だし、
社会派なテーマながらコメディ要素もあり
密輸チーム側とそれを追う警察側、双方を描いて飽きさせない展開がとても良かったです!!
面白かった!!!




※注意※ 以下ストーリーの核心部分に触れています
ネタバレしたくない人は以下を読まずにすぐ本作を観てくれ〜〜
















最初はただ金目当てだったチョンが、仲間や仲間の大切な人たちとの交流で変わっていく様子が好き。
自ら嫌われ役になって仲間を守ろうとする姿も好き。

「やらない善よりやる偽善」という言葉があるが、
国がどんなに立派なお題目を掲げようが、法を守ろうが、人の命が救われなければ意味がないのだ。
これはどこの国にも言えることだと思う。

妻の妊娠中に病気が発覚したリュは、一度は「死にたい」と思ったが、子供が生まれて「生きていたい」と思えるようになった、と語る。
しかし、ジェネリックが行き届かなくなったことで絶望し、自殺を図る。
一命は取り留めたものの、つらい治療の甲斐もなく他界する。
彼の葬儀に訪う大勢の人々、おそらく密輸ジェネリックで命を救われた人々なんだろうなぁ…

警察に追われるチョンを守るために囮になって事故死したハオ。
病院に駆けつけたチョンの
「まだ20歳だぞ!なんの罪があって死ぬんだ!!!」という言葉
これはそのまま、病に脅かされる患者たちのことだ。
病魔は年齢や普段の行いに関係なく、突如襲いかかる。

チョンはジェネリックを原価で販売する。
自己の儲けなど度外視している。
ただ薬が、それを必要とする人々の元へ届くように。
彼は薬の神じゃない。命の重さを知っている人間だ。

チョンはついに逮捕される。
しかし裁判では彼の人道に則した行いが認められる。
護送されるチョンが見たのは、沿道に集まったたくさんの白血病患者たち。
(ここで護送車の運転手さんたちが車の速度を落としてくれるの好き)

その中にはリウ牧師、娘を連れたスーフェイ、夫を亡くしたリュ夫人…
そして亡くなったリュとハオの姿も…

こういう!こういう演出、どうしても弱いんですよね!!!!!!!
亡くなった人が主人公を見送ってるっていうの!!!!!!
泣いたわ!!!!!!!!!!!

みんなでごはん食べたり酒飲んだりしてるシーン、良かったなあ…
良い作品でした。