読んだり観たり聴いたりしたもの -115ページ目

お茶にごす。 8巻/西森博之

例によって先月の楽天ポイントで購入。

8巻は、かなり盛り上がって、ギャグのキレも素晴らしかった。

文化系ということで運動部に無条件にバカにされる茶道部。
あのお淑やかな姉崎部長も内心思う所があったのだろう。体育祭へ向けて、部対抗リレーでの、異例の勝ちに行きます宣言で張り切る部員達。
それは、部長なりの、引退へ向けての思いで作りという事でもあるし、引退の事実から目を背けたい部員の代償行為でもあった。

まークン、ヤーマダ、夏帆と、化け物のようなメンツに囲まれて、100m15秒台とかなり俊足の姉崎部長が、まるで鈍足っ子扱いであるのが不憫でもあり、また頼もしくもある。

学園物のノリとして、仲間と一つに打ち込む、一生懸命な姿は素直に胸を打つ。というか、茶道部がどこに力割いてるんですか、という事ではあるが、ひろしも含めた茶道部の一体感にはとても心和む感じだ。
爽やかでエネルギッシュで、そして体育祭当日の緊張感。のびのびと無邪気に走る夏帆。姉崎部長のひたむきな目、その信頼感。期待に文字通り200%応えるまークンと、きらめくような青春の一コマを素晴らしい筆致で描ききっている。

脇役陣も素晴らしい。さり気なく描かれた奥沼さんの心の機微や、副部長のボケ、智花の毒も良かったが、個人的に一番心に残ったのは、アニ研女子の自虐と反跳である。

焼き肉屋は、29日は定休日なんだろうか。

クールに優しく人助けに勤しむまークンを見守るブルー樫沢と口の悪い女。樫沢はすっかりまークンファンでは。

次巻は一波乱の予感。文化祭はどうなる?!


西森博之
お茶にごす。 8巻

ごくせん/森本梢子

有名コミックスを読もうキャンペーンで妻が借りていたので読んでみた。
ドラマ化されていたし、名前はもちろん、おおよその設定ぐらいはおぼろげに知っていた。

読んでみると、まだ1巻と言うこともあるが、それほど動きもなく、スローペースの立ち上がりか。
極道の女性教師という事前情報通りで、とくに予想から外れるようなものはなにもない。

別に面白くない訳ではない。が、凄く興味を引かれたと言うほどでもない。
手元にあれば、まあ、時間があれば読んでも良いかな、と言う程度か。

設定も特に興味なく、絵柄は好きではなく、なにより主人公のヤンクミに全く魅力を感じない所が自分にとってのネックだ。
2巻以降は、こうした印象に変化があるのだろうか。是非期待したい所だ。


森本梢子
ごくせん

文は一行目から書かなくていい 検索、コピペ時代の文章術/藤原智美

寡聞にして知らない作家による文章作成術もの。

内容的には、驚くほど他の本と似ている。実際、ここまで来ると文章をものするにはそれしか道がないのですね、と悟りそうになるほどだ。
曰く、継続的に書くこと、名文を読むこと、時間を置いてから推敲すること、などなど。

他の本にない売りとして、作家生活的な視点からのアドバイスがちょっと面白かった。また、それに付随して、すぐに実戦できるTips的なアドバイスが多く、その点では非常に為になった気にさせる本である。

ライター出身のためタイトルには異様なこだわりを見せ、かなりなりふり構わず煽るように指導が入る。この本のタイトルもそうしたもので、タイトルに期待しすぎないように注意しよう。

藤原智美
文は一行目から書かなくていい 検索、コピペ時代の文章術

コクーン荘1×1/槇村さとる

妻が借りていた本。

密子と風子は、幼なじみで仲良しの従姉妹であった。しばらく疎遠にしていたが、風子の美大進学を機に両親が離婚したことから、大学に近い密子の実家の経営するアパート、コクーン荘に住むこととなる。久しぶりに再会した二人だが、バレエをやめ演劇に打ち込む密子に昔の面影は薄く、風子はとまどう。そして慣れない共同生活の中で、性格の相違から衝突を繰り返す事に。そんな折りに、祖母から遺産相続の話が舞い込んで…。というようなストーリー。

密子は女優に、風子は漫画家に。夢を追う若人達のエネルギッシュな躍動を描いた佳作である。

誰しも、不安と迷いに打ちのめされながら、虚勢を張りつつ、ただがむしゃらに明日を目指すのである。
そうした本音を晒しあい、互いを認めあって、密子と風子は昔以上の親密な関係を取り戻す。

悩みの底は若干浅い気がするし、ラスト辺りはトントン拍子に上手くいきすぎる。
しかし、それでも主人公達の努力を丹念に描いているので、無理感もなく許容でき、爽やかで充実した読後感であると言える。

途中、風子が担当さんから頼まれてピンチに入るベテラン漫画家は、作者の模写なのだろうか。心が折れて衰弱して、弱音を吐いて、泣いて、迷って、逃げて、七転八倒しながら漫画を生み出していく姿がとても印象的だった。

槇村さとる
コクーン荘1×1

理系クン 結婚できるかな?/高世えり子

タイトル通りの漫画である。
理系男子と結婚することになり、常識からは外れた言動に振り回されやきもきする花嫁、といった所を狙った感じか。

何かどこかで見た気がするなあ、と思ったら、先日読んだ、「ダーリンはアキバ系」に、構造がよく似ている。
画力もどっこいだが、ただ、アキバがあくまで漫画風エッセイであったのに対し、こちらは完全に漫画作品として成立していると思われる。
作品自体のレベルもこちらが若干上である。それは、対象(理系クンorアキバ)の掘り下げと、観察者(作者)の心情の表現に関して、こちらの方が1段深いからである。

アキバが、あからさまに対象、観察者、共感者(読者)の3点のバランスを常に気を配った構成だったのに対し、理系クンは、もっと素直に、対象と観察者の関係性に重点を置き、あくまで普通の男女間のそれの延長上に配置しようとする試みがより共感を呼ぶ。

ただ、それでもまだまだ弱いと思う。
アキバでも同じ事を書いたが、やはりどうしても観察者の心情表現が薄いのだ。
確かに理系クンは興味深い。
しかし、例えば私が本当に興味を持つのは、そんな理系クンに興味を持ち恋し生涯を共にしようと決意する、えり子という女性の心理の方である。
理系クンを描くということは、取りも直さず、えり子を描くことである。そして、えり子を描くと言うことは、即ち理系クンを描くことであるのだ。
もう少しえり子サイドからのライトを当てることで、より一層理系クンの造形が浮かび上がっただろう。単に特異なキャラクターを強調するだけでなく、敢えて作品の狙いからは外れた、その底にある普遍性をきちんと描くことで、より深みのある人物として表現でき、結局は、「理系クン」としての個性を強調する事になったであろう。

シリーズものらしいので、他の本でどのような表現がされているか興味がある。

読んでいて、昔読んだ新井素子の結婚物語をちょっと思い出した。こちらの花婿たーさんはどちらかというと文系だったような気がしたが、なんかドタバタ感が似ていたのかも知れない。


高世えり子
理系クン 結婚できるかな?

DS/Wi-Fi対応 世界のだれでもアソビ大全/バランスゲーム/任天堂

任天堂のテーブルゲーム集から2つ目のゲーム紹介。

至って単純なゲームである。

サイドビューの画面で、シーソーのような台の上に、長方形のブロックを、順番に、バランス良く積んで置いてゆく、というだけである。
バランスが崩れ1本でもブロックが落ちてしまうとアウト。最後まで残るのは誰か。

なるべく台が安定するようブロックを置いていくのが基本だが、自分が置きやすいということは他のプレイヤーも置きやすい訳で、あえて難しい置き方をして次のプレイヤーを困らせるというようなワザも必要である。
しかし、ライバル達がその難題をクリアして一周回ってくると、自分に地獄が巡ってくる訳で、諸刃の剣でもある。
この辺の兼ね合いが難しいゲームである。

しかし、そんなに考えずに、ポンポン置いていって、崩れるか崩れないかを楽しむだけもよいだろう。

COMはかなり投げやりに勢い良く置くので、かなりのメンツが早期に脱落する。はっきり言って弱い。しかし、まれにそうした投げやりブロックが、もう次はどこに置いても崩れるのでは?という奇跡のバランスで成功したりするので侮れない。
8人対戦で、人間3人COM5人でプレイすることが多いのだが、1,2回はCOMが勝ったこともある程だ。


任天堂
Wi-Fi対応 世界のだれでもアソビ大全

イタリアで大の字 さおり&トニーの冒険紀行/小栗左多里 トニー・ラズロ

ダーリンシリーズなどで有名な国際カップルが、海外を訪ねて異文化を体験するシリーズみたい。

この本はイタリアである。ちなみにトニーは米国育ちらしい。

もともとのダーリンシリーズなども全く読んだことがなく、この著者の作品は初めてだったが、絵の下手なさくらももこといった感じで、別段光る所もない。ダーリンシリーズは売れてるようだったので、そこにはきっと何かがあるのだろう。

むしろ就労体験に近いような、異文化体験記がメイン。
何日ぐらい取材旅行したんだろうか。1週間2週間では無いはずである。その予算からしてこの出来映えで良いのだろうか、と心配になる程、じつに淡々とあっさり短くまとめてある。これが著者の味なのだろうか。

ただ、至る所に書かれた豆知識的な内容は楽しく為になる。

ハワイ編も同時に拾ってあるので、そちらも読んでみようと思う。

小栗左多里 トニー・ラズロ
イタリアで大の字 さおり&トニーの冒険紀行

天使な小生意気/西森博之

お茶にごす。の繋がりで、気になっていたシリーズ。
そのうちいつか読もうと密かに思っていた所、先日通りがかった古本屋の5冊100円コーナーにバラ積みされていたので、あるだけ買ってきてしまった。でも所々抜けて特に1,2巻が無いのが玉に瑕であった。

その後ようやく1,2巻を購入してきたので、早速読んでみた。

お茶より若干ストーリー色が強い感じ。非常に面白く引き込まれてぐいぐい読んでしまった。

小学生の男子、天使恵(あまつか めぐみ)は、怪しげな老人にもらった本から現れた小悪魔に何でも願い事を叶えてやると持ちかけられ、「男の中の男にしてくれ」と願うが、騙されて女の子にされてしまう。しかし、心の中では、男の中の男を目指したままやんちゃに乱暴に振る舞いながら、女の中の女として美少女に育ってゆく。野蛮とののしられる生活を一変するために、そしてとある秘密の目的で、親友の美木に引っ張られ知人のいない高校へ進学した恵だったが、登校初日から早速トラブル。しかし、その類い希な容姿と、それにもまして希な「男気」に惚れ込んだ蘇我や藤木など一部男子生徒達は、果敢に恵にアタックするのであった。と言うような出だしか。

とりあえず4巻まで読んだ所で、一番印象に残ったのは、藤木である。
どうみてもやられキャラの平凡キャラで終わる筈だった所を、なぜそこまで?という意外な奮闘を見せた事で、強く感銘を受けたのだ。
サブの筆頭は蘇我だろうし、その設定のまま進んで、藤木などは日の目を見ないだろう事は、コミックスの背からも表紙からも分かるが、自分としては彼を応援したい気持ちで一杯だ。

恵は、男とか女とかいう前に、精神構造が小学生のまま成長せず止まっている印象。それはつまり女になってしまったトラウマというか戸惑いを受け入れられないまま、と言うことなのだろう。しかし、その保たれた純粋さがこの物語のキーであり、上記のように蘇我や藤木を惹き付ける源であることは間違いないだろう。

読んでいると結構後付け臭が強いが、ともかく非常に複雑な設定なので、今後の物語のふくらみがとても楽しみである。


西森博之
天使な小生意気

君に届け 14巻/椎名軽穂

発売日に近所の本屋で買ってきた。書くのを忘れてた。

修学旅行の後編である。非日常の中で急速に高まっていく爽子と風早の気持ち。触れ合うほどに近寄って、しかしその事に意識しすぎて、逆に人一人分のスペースに逆戻り。三歩進んで二歩下がる。
まあ、この調子でよいでしょう。ゆっくり大切に進めていって欲しい。

それよりも、この巻で最も気をもんだのは、あやねの事である。あやねが不憫である。
誰かを好きになること。誰かに好かれること。素直に見つめられない自分の心。見えすぎてしまう人の心。

不憫なのがもう一人いた。龍である。
とうとう、ちづに気持ちを伝えて、予想通り、そういう意識したことがないと返される。
ただ、こちらはうすうすハッピーエンドが見えているので、不憫というほどでもないかも。
龍は強いしな。

と言う訳で次巻からの展開が楽しみである。
別マを買おうかとも思ったが、まあ、おとなしく単行本を待とうか。


椎名軽穂
君に届け 14巻

お茶にごす。 7巻/西森博之

この巻も大変面白かった。

優しい自分、を目指すまークンは、自分には心があるのかと悩む。優しい心とは、思いやりとは何ぞや。
つられて夏帆も右往左往。そして優しさと言えばこの人、姉崎部長に突撃しまくる二人。
優しくしたい自分、そして人の目を気にして優しくできなかった自分。自分の心に蓋をしかけた小学三年の部長。諭して解放してくれたお茶の先生。
自分のしたいようにすることにしたんです、という部長のエピソードはほろりとくる。

夏帆は相変わらずよい味を出している。
人を褒められないというのは、実は凄く真摯に人と接している証拠だろう。嘘が付けない、ごまかせない。
実際、部長の事はべた褒めしている訳で、認めた人を褒めることにはやぶさかではないのだ。

犬猿の仲だったまークンと夏帆だが、じわじわと認め合いその溝は埋まってきている。
まあ、くっつくことは100%無いだろうが。
それより、軽高の口の悪い女子がまークンを追っかけそうな気配。

奥沼さんの存在には、いつか気づく時が来るのだろうか。

そろそろ終盤。どういう着地か。次巻も楽しみである。

西森博之
お茶にごす。 7巻