コクーン荘1×1/槇村さとる | 読んだり観たり聴いたりしたもの

コクーン荘1×1/槇村さとる

妻が借りていた本。

密子と風子は、幼なじみで仲良しの従姉妹であった。しばらく疎遠にしていたが、風子の美大進学を機に両親が離婚したことから、大学に近い密子の実家の経営するアパート、コクーン荘に住むこととなる。久しぶりに再会した二人だが、バレエをやめ演劇に打ち込む密子に昔の面影は薄く、風子はとまどう。そして慣れない共同生活の中で、性格の相違から衝突を繰り返す事に。そんな折りに、祖母から遺産相続の話が舞い込んで…。というようなストーリー。

密子は女優に、風子は漫画家に。夢を追う若人達のエネルギッシュな躍動を描いた佳作である。

誰しも、不安と迷いに打ちのめされながら、虚勢を張りつつ、ただがむしゃらに明日を目指すのである。
そうした本音を晒しあい、互いを認めあって、密子と風子は昔以上の親密な関係を取り戻す。

悩みの底は若干浅い気がするし、ラスト辺りはトントン拍子に上手くいきすぎる。
しかし、それでも主人公達の努力を丹念に描いているので、無理感もなく許容でき、爽やかで充実した読後感であると言える。

途中、風子が担当さんから頼まれてピンチに入るベテラン漫画家は、作者の模写なのだろうか。心が折れて衰弱して、弱音を吐いて、泣いて、迷って、逃げて、七転八倒しながら漫画を生み出していく姿がとても印象的だった。

槇村さとる
コクーン荘1×1