理系クン 結婚できるかな?/高世えり子 | 読んだり観たり聴いたりしたもの

理系クン 結婚できるかな?/高世えり子

タイトル通りの漫画である。
理系男子と結婚することになり、常識からは外れた言動に振り回されやきもきする花嫁、といった所を狙った感じか。

何かどこかで見た気がするなあ、と思ったら、先日読んだ、「ダーリンはアキバ系」に、構造がよく似ている。
画力もどっこいだが、ただ、アキバがあくまで漫画風エッセイであったのに対し、こちらは完全に漫画作品として成立していると思われる。
作品自体のレベルもこちらが若干上である。それは、対象(理系クンorアキバ)の掘り下げと、観察者(作者)の心情の表現に関して、こちらの方が1段深いからである。

アキバが、あからさまに対象、観察者、共感者(読者)の3点のバランスを常に気を配った構成だったのに対し、理系クンは、もっと素直に、対象と観察者の関係性に重点を置き、あくまで普通の男女間のそれの延長上に配置しようとする試みがより共感を呼ぶ。

ただ、それでもまだまだ弱いと思う。
アキバでも同じ事を書いたが、やはりどうしても観察者の心情表現が薄いのだ。
確かに理系クンは興味深い。
しかし、例えば私が本当に興味を持つのは、そんな理系クンに興味を持ち恋し生涯を共にしようと決意する、えり子という女性の心理の方である。
理系クンを描くということは、取りも直さず、えり子を描くことである。そして、えり子を描くと言うことは、即ち理系クンを描くことであるのだ。
もう少しえり子サイドからのライトを当てることで、より一層理系クンの造形が浮かび上がっただろう。単に特異なキャラクターを強調するだけでなく、敢えて作品の狙いからは外れた、その底にある普遍性をきちんと描くことで、より深みのある人物として表現でき、結局は、「理系クン」としての個性を強調する事になったであろう。

シリーズものらしいので、他の本でどのような表現がされているか興味がある。

読んでいて、昔読んだ新井素子の結婚物語をちょっと思い出した。こちらの花婿たーさんはどちらかというと文系だったような気がしたが、なんかドタバタ感が似ていたのかも知れない。


高世えり子
理系クン 結婚できるかな?