2025年の当社が新たに挑戦を始めたこと!
2025年も残すところ1ヶ月となりました。この1年を懸命に突き進んできた積もりではあるが、まだ乗り越えるべき大きな課題はいくつも残されたままである。
我々が克服すべき重要な課題をこの時点で整理しておきたい。
1.人口減少時代へ突入したことに伴う様々は経営上・事業上の課題に向き合う!
恒常的な人手不足時代の到来。多くの企業が少子高齢社会を迎え、
若手人材の不足と高齢者雇用の両面で難し対応を余儀 なくされている。
我が社とてその例外ではない。
今後、人材確保の施策強化と同時に、すき間時間を活用したい有能な
パート人材の 採用強化を図り、ブックキーパー部門の充実強化を図る
必要がある。
この施策の意義は二つある。
一つは、関与先の人材不足を支援する記帳代行サービスを
確立することである。
二つには、基幹部門である主査業務から「無償記帳作業」を
引き剥がすことである。
狙うべき効果は生産性向上であることは言うまでもない。
記帳代行の有償化による生産性向上と主査業務における無償記帳作業
を強制的に引き剥がして、監査業務の効率化と品質向上・付加価値向上
の環境整備をすることである。
本年度は4階オフィスを大改装して、ブックキーパー部門のスペース確保
と当該部門の「見える化」を図った。
次年度は、社長を中心に業務の本格稼働を実現されたい。
2.生成AIの適正な利活用を早期に実現する!
生成AIは、あらゆる仕事のやり方を変えてしまう大きなパワーを
秘めている。
この活用に躊躇している時間はない。まずは遮二無二目の前の生成AI
に向き合い、 実際に対話してAIとは何かという本質を理解する経験が
大切。
その経験を通じてAIとの付き合い方を学ぶべき時である。
怖れず怯まずに。
本年度は、生成AIの有償研修コースを導入して生成AIの基礎を習得する
施策を講じているところである。[
] 目指すは「知的作業の効率化と付加価値化」である。
3.RPA導入とその本格活用を目指す!
RPAで作業を効率化できる業務から優先的にPC操作作業の
ロボット化を実現する。
RPAを活用する分野は、生成AIのそれとは全く異なる。
似て非なる別物のツールである。
生成AIは知的で創造的な作業を補完するための「知的情報に
効率的にアクセスしてくれる支援ツール」である。
一方のRPAは既に存在するデジタル情報から、目的に応じた
情報を抽出・集計するためのPC操作を、人手を介さずに自動化する
「PC操作 のロボット化ツール」である。
本年度は、電子申告(eTAX)作業からRPA化を始め、
年末調整や給与計算代行業務へと対象範囲を拡大する予定である。
当面は情報開発室業務を中心にRPA化していくが、
経験と習熟度合に応じてブックキーパー部門、法規部門、総務部門
へと順次拡大していく方針です。
狙いは省人化ではなく
深刻な人手不足時代に不可欠な効率化です。
今も残る先人が残してくれた人生サイクルの妙!
今年もはや残すところ2ヶ月となった。時の流れの速さを実感する。光陰矢の如しである。先月は、我が国憲政史上初めての女性の内閣総理大臣が誕生した。高市早苗新総理その人である。就任も束の間、APEC歴訪を兼ねて米国のドナルド・トランプ大統領が国賓として来日し、高市新首相と日米首脳会談が開催された。折しも米国ではMLBのワールド・シリーズが開催中。トランプ・高市両首脳が会談前の一時、揃ってMLB中継をテレビ観戦して意気投合したことも報じられていた。
会談後は二人揃って横須賀の米軍基地に停泊中の原子力空母ジョージ・ワシントンの艦上に移動して、米兵の前でパフォーマンスとスピーチを披露して、良好な日米同盟関係をアピールした。その結果、就任早々の高市首相の評価は予想以上に高まったようだ。この時点で、石破前総理は名実ともに過去の人となったように思えるから、人の時間感覚は不思議なものである。
もう一方のリーダーであり、タリフマンと呼ばれるトランプ大統領だが、正式に米国の第47代大統領に再就任したのは、なんと今年の1月20日である。まだ就任して一年にも満たない。だがこの間、世界はめまぐるしく変化するトランプ関税政策と紛争や戦争の交渉行方に翻弄され揺れ続けてきた。まだ就任して一年も経過していないのに、この間のトランプ政治の期間は、随分と長い時間が経過したような感覚に捕らわれてしまう。これもまた不思議である。結局、人間は不安や関心を強く持つ局面においては、誰しも意識を集中することを強いられるので、結果的にその状態が長ければ長いほど、人の時間的な感覚は、実際の時間以上に長くも、あるいは短くも感じられるのかも知れない。
さてこの体感的時間の経過感覚は、人の一生という生存期間にも当てはまるような気がする。子供頃の一日や一ヶ月、一年という経過時間の感覚は、還暦を過ぎた高齢者のそれとはだいぶ違ったもののように思える。年齢を重ねれば重ねるほど、一ヶ月、一年の時間の流れはどんどん加速し、気づけば一日があっという間に終わってしますほど短く感じられるのである。人生のなかでもこの経過時間にまつわる「不思議体感」は、どうやら万人が共通して抱く普遍的なものらしい。冒頭で触れた「光陰矢の如し」は、まさにこの普遍的な体感的事実を証明する格言であろう。そして先人は人の一生を時間軸として捉えた人生サイクルを後世に残してくれている。孔子が残した次の言葉である。
吾、十五にして学に志し、三十にして立つ。
四十にして惑わず、五十にして天命を知る。
六十にして耳従い、七十にして心の欲する所に従いその矩を踰えず。
・人生15歳。人生芽吹きの時。色に例えれば青、季節に例えれば春。青春の時と称す。
・人生30歳。世に巣立ち、40歳にして惑わずに世に立ち進む時。
この30歳から40歳の時を色に例えれば朱(赤)、季節に例えれば夏。朱夏の時と称す。
・人生50歳。天命(自分の人生の役割)を知る時。色に例えれば白、季節に例えれば秋。白秋の時と称す。
・人生60歳。周囲の声に聞き従う。70歳。気ままに生きていても道理を外さない。
色に例えれば玄(黒)、季節に例えれば冬。玄冬の時と称す。
この人生サイクルを一生の心得えとなし、刹那的な時間の不思議に惑わされないことだ。
日本の新しい顔は誰になるのか? 焦点は給付付き税額控除制度導入か?
石破総理大臣が辞意を表明した。トランプ関税で功績を挙げて政権維持を図ろうとした節もあるが、交渉相手のトランプ政権の思わぬ反撃を喰らい、再確認・再交渉を余儀なくされてしまった。そんな中で参議院選挙に敗北した結果、衆参両議院ともに少数与党に転落。結果責任を回避することが出来なくなり、辞意表明に追い込まれた。
振り返れば20年前の2005年は、時の首相小泉純一郎が「自民党をぶっ壊す」と叫んで郵政民営化解散を強行し、選挙に大勝した年である。その後自民党は、時の政権小泉から希望の星と称された安倍晋三第一次政権に引き継がれたが、政権途中で健康不安を理由に退陣し、その後、福田・麻生と短命内閣が続いたあげく、総選挙で民主党に敗北して政権を明け渡すことになった。当時国民の期待感が高かった民主党だったが、沖縄の米軍基地問題で鳩山内閣が迷走状態に陥り退陣に追い込まれた。その後の民主党も管直人首相・野田佳彦首相と短命内閣が続くことになった。そして消費税解散で自民党が勝利して第二次安倍政権が誕生する。この間、東日本大震災という未曾有の大災害に襲われ、管直人首相の緊急時における一国のリーダーとしての資質が問われ、政権批判の恰好の攻撃材料になったことを今でも思い出す。
結局この世論の懸念を払拭できないまま、当時の野田総理大臣が解散に打って出た結果、選挙に敗北し、再び自民党が政権の座に返り咲き、間髪を入れずアベノミクスを打ち出したのが2012年の師走の頃であったと記憶する。その後日本経済も低金利政策、円安誘導、機動的な財政出動の三本の矢を政策の柱にして何とかデフレ地獄から抜け出しつつも、新型コロナの世界的なパンデミクスが地球規模で吹き荒れた結果、経済活動の厳しい制限を余儀なくされ、再び安倍首相の健康不安が浮上し、結果、長期政権を投げ出すこととなった。その後、名官房長官と謳われた菅政権が誕生したがこれも短命に終わり岸田政権が誕生。定額減税を置き土産にして退陣し、石破政権へと政権が変わったのだが、2005年の小泉政権から2025年の20年間に実に11人の総理大臣が誕生している。
そして今まさに少数与党に転落した自民党の総裁選で有力候補の一人と目されているのが2005年当時の首相小泉純一郎の子、小泉進次郎氏である。歴史の巡り合わせを感じる。だが、広く世界を見渡せば日本のトップリーダーの争いはコップの中の嵐のようなものである。世界中に吹き荒れるトランプ関税のつむじ風や、法の支配を踏みにじるがの如きウクライナ戦争やイスラエルとハマスの死闘がいつやむともなく続く中、日本の舵取りをするリーダーの選択に多くの国民が関与できない現実は歯痒い限りである。世界平和を維持するために創設された国連も、創立の主要国である常任理事国の拒否権の壁に阻まれ、今や機能不全に陥っている。戦後、日本の多くの政治家は「国連主義」を叫び、日本の防衛も国連に委ねるべきとする国連平和主義が堂々と論議されていた時代が長く続いた。が、今の若い世代に国連の統治力を信用する人はいないのではないかと思う。
そして今、薄ら寒い感情を抱かざるを得ないのが、自民党の総裁選挙の候補者の政策論である。リーダーとして尖った政策や理念がまるで見えてこない。見えてくるのは「給付付き税額控除」などの庶民受けする小役人レベルの話ばかりである。前政権の岸田内閣時代の定額減税のような小手先の政策で国民の支持を得ようとする姿勢が目立ち過ぎると思えてならない。
今、日本は未曾有の「内なる難局」に直面している。それは既に何十年も前から指摘されてきたことである。それは少子高齢社会である。日本の根本の課題はこの一点に付きるのだが、この課題解決策を声高に叫ぶ候補者は今般の総裁選挙では一人も見当たらない。寒むー!
記録的な猛暑日が続き中、背筋が寒くなるニュースが飛び交う現実!
猛烈な酷暑が日本列島を襲っている。8月の猛暑日は23日超に及び最長記録を更新中である。そんな中、神戸市では帰宅した女性がマンションエレベーター内で刺殺されるという痛ましい事件が発生した。犯行の経緯が徐々に明らかになりつつあるが犯人は前日から被害女性の勤務先近辺に出没していた様子がテレビで放送されていた。何とも空恐ろしい限りである。
出没と云えば東北や北海道で熊の出没が毎週のようにニュース番組で報道されている。知床半島の羅臼岳では観光登山客がヒグマに襲われ死亡する悲惨な事故も発生している。
例年8月と云えば80年前の8月6日、広島に原爆が投下された。その3日後の8月9日には長崎に2発目の原爆が投下され多くの死者と被爆者を生んだ忌まわしい日でもある。今年の広島の原爆祈念式典で石破総理大臣は式典挨拶の最後に、被爆詩人・正田篠枝氏の歌集「さんげ」から、『太き骨は先生ならむ そのそばに小さな頭の骨あつまれり』という詩をもって結びとした。
8月は更に長崎から3日後の8月12日には、時代は移るが日航ジャンボ機が御巣鷹山に墜落して500余名の死者を出した大事故が発生している。更にその3日後の8月15日は、時間を再び80年前に戻してみれば終戦を告げる昭和天皇の玉音放送が全国に流れた日でもある。戦後の日本人にとって8月という月は忘れがたい数々の歴史が刻まれた月である。
そんな8月だが、世界においても注目すべき大きな動きが次々と展開されている。8月15日、米国のトランプ大統領とロシアのプーチン大統領との首脳会談がアラスカ州の米軍基地内で実現した。ウクライナ戦争勃発後初めての米ロ首脳会談である。
その3日後の8月18日にはトランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談が行なわれ、その2日後の20日には、ホワイトハウスでトランプ大統領を正面に据えてのウクライナとヨーロッパ主要国の首脳、EUやNATOの首脳が参加した拡大会合が立て続けに開催された。
当然に議題はウクライナ停戦であるが着地点を見い出すには至っていない。議題はロシアが要求する領土割譲とウクライナの中立化・非武装化であるが、「力による現状変更は認めない。」という国際社会の立場からすればその要求が呑めないのは明白であろう。もしこの要求が満たされた場合、その影響は東アジアに及ぶことは火を見るより明らかである。停戦交渉の行方は日本としても重大関心事である。長期交渉は必定だが、落としどころはロシアの支配地域を現状容認するが、法的には容認しないという曖昧戦略と、有志連合による連合軍をウクライナ国内に派兵する安全保障措置を講ずることが和平実現の鍵となるのかも知れない。
中東でもイスラエルとハマスの戦闘は未だに終息せず、ガザ地区は孤立化して餓死者が出ているとも報道されている。戦後80年の比較的平和な時代は終焉を迎えてつつあるのかも知れない。つい最近トランプ大統領は、国防総省を戦争省に改称する意向を明らかにした。現在の国防総省は1947年に改称されたが、その前は1789年以来長きにわたり「戦争省」だったという。
「防衛だけでなく、攻撃も必要だ」と声高に主張するトランプ大統領。
グローバル経済を壟断してアメリカ第一主義の旗の下、相互関税や報復関税を乱発し、中国に対抗心をむき出しにしつつ、国内ではFRB議長に退陣を迫るなど、その過激な言動と行動には枚挙に暇がないが、戦争省と云うに及んでは、これで戦後は終止符を打ち、新たな戦前が始まるのかと思うと猛暑はどころではない。
背筋が寒くなる心境だ。戦後築かれた平和を守り続ける術があることを今は願わざるを得ない。
心に刻みたい二つの題目 「一燈照隅 萬燈遍照」&「信用を大事にせなあかん」
(1)一燈照隅 萬燈遍照(いっとうしょうぐう まんとうへんしょう)
安岡正篤 「天下国家をあれこれ論じるよりも、
まず自分がいる場所を明るく照らせる人間であれ。」
・・・・青年を相手に語られた安岡氏の言葉・・・
おのおのがそれぞれ一燈となって、一隅を照らすこと。
この「一隅を照らす」は、
かの伝教大師がその著『山家学生式(さんげがくしょうしき)』
のなかで提唱しておられることです。
なんで片隅を照らすなどと、
心細いことをいわれたのかとよく考える人がある。
大光明を放つとでも言ってもらいたいところです。
しかし聞くだけなら愉快だが、人間みずから大光明を放つなど、
どうしてなかなか出来るものではない。
つまらない人間も「世界のため!」などと言います。
あれは寝言と変わらない。
寝言よりももっと悪い。
なにも内容がない。
自分自身のためにも、親兄弟のためにも、
ろくなこともできない人間が、
どうして世界 のために、人類のために、なんて大口きけるか。
それよりも、自分が居るその場を照らす。
これは絶対に必要なことで、また出来ることだ。
真実なことだ。
片隅を照らす!
この一燈が萬燈になると「萬燈遍照」になる。
こういう同志が十万、百万となれば、
優に日本の環境も変わりましょう。
(安岡正篤著『青年の大成』より)
(2)「信用を大事にせなあかん・・」
上甲 晃「志ネットワーク:青年塾代表」
『松下幸之助の新社会人に語ったことば』
「一つは、いい会社に入ったと思い続けられるかどうかや。
もう一つは、社会人になってお金が一番大事と思ったらあかんぞ。
もちろんお金も大事だけどな、お金は失くしても取り戻せるんや。
しかし、人生にはこれを失うと取り戻すのに大変な苦労をするものがある。
それは信用や。信用を大事にせなあかん。」
我が社・合同会計の行動理念 積小為大と凡事徹底について
1.積小為大 二宮尊徳のことば
「小さな事を積み重ねることで、大事を為すことができる。」の意。
言い方を代えれば、「大事を為すには、小さな事にも努力を惜しんではならない。」と いうこと。凡事徹底も同意語。
2.世の中の類似例
①『成功は小さい努力の積み重ねやからね。毎日、コツコツ続ける努力なくして
成功はないよ。』 松下幸之助
②『成功のコツは二つある。コツは二つ! つまりコツコツである。』
イエローハット創業者 鍵山秀三郎
要するに、「毎日、目の前にある小さな事を、コツコツやり続けること」が
「成功の花」を開かせるコツなのである。
そしてこの毎日の「コツコツ」が「とんでもない事(結果)を生み出す源となる。
3.『念ずれば花ひらく』 坂村真民
〇念ずれば花開く。
但し、毎日毎日だだ念ずるだけでは99.99%の確率で花は開かない。
得体の知れない神頼みのお願いでは、成功の花は開かないのである。
〇では、花を開かせるための『念ずる』とは、どういうことなのか?
〇それは、だだ念ずるのではなく、
念を実践しなければ花は開かないということである。
もっと分かりやすく言うならば・・・
毎日毎日を、念じながら小さな努力を積み重ねることで花は開くのである。
〇さて、ここでいう「念」とはどういうことなのか?
念という字は、「今」と「心」で成り立っている。
つまりは念とは、「今」、目の前にある小さな事に、
「心」を集中して取り組むということを意味する。
ひと言で云うなら、目の前の「今」に心を集中させる状態をいう。
すなわち・・・
「小さな努力を積み重ねる行為」は、
「念ずることの実践」に他ならないのである。
この「念の実践」をコツコツ続けた人が、
「成功の花」を咲かせることができるのである。
結論
合同会計の行動理念
「積小為大」、「凡事徹底」とは、
「成功の花」を開かせる「念の実践」に他ならない。
トランプ就任100日を経過して思うこと!?
2025年4月29日でトランプ大統領は就任100日目を迎えた。この間、相互関税や中国に対する145%の制裁関税など、大風が吹き荒れた。まさに歴史に残る100日であった。その他にも彼は、不法移民の排除、反ユダヤ政策に基づくDEI政策の廃止や性別は男女のみとする福音派の宗教観を重視した政策を打ち出し、これに異論を唱える知識人の発言に圧力をかけるためか、名門ハーバード大学の補助金を停止する大統領令にも署名した。就任100日間で発令された大統領令は実に142件にのぼるという。まさにトランプショックである。
一方、米国商務省が公表した2005年1~3月期の米国のGDPは年率換算で-0.3%に下落し、景気減速の兆しが現れ始めた。今後は関税の影響を受けてインフレ基調が強まり、景気後退と雇用の減少も懸念される。日々SNSで発信されるトランプ政策は、一貫性を欠き、そのフェイクっぽさが、周囲を予測不能な状態に陥れているのだが、さて、次にやって来る就任200日目には彼はどんな顔を世界にお披露目するのだろうか?誰もが強い関心を抱いていると思う。その関心の中身は、長年積み上げてきた超大国アメリカの国際的信用が著しく毀損されているのか?はたまた強気のディール戦術が功を奏して国民から拍手喝采を受けているのか?ということであろう。
ところで、トランプの支持率は歴代大統領最低の39%を記録したが、彼の支持基盤は思いのほか強固である。これをどう理解すればいいのか。思うにここにアメリカが長年抱えていたジレンマが潜んでいるように思う。
それは、戦後の基軸通貨となった時に遡る。戦後、世界経済再構築のため、戦勝国を中心にドルを基軸通貨と定め、金とドルを交換できる固定相場制の国際通貨制度(ブレトンウッズ体制:1944年開催地名)が発足した。その後、貿易協定GATT(WTOの前身)を軸に世界経済は自由貿易へ移行し、やがて世界の貿易量は飛躍的に増大した。
が、その過程で金と交換できるドル不足が生じ、そのことが貿易障害となる事態に直面した。アメリカの立場では金兌換のドルを無計画に発行すれば自国の金保有は底をついてしまう。簡単にドルを発行できないジレンマに陥ってしまった。この事態を打開するため、ドルの金兌換を廃止し、加えて為替の交換レートも固定相場制から変動相場制に移行すると宣言したのが当時のニクソン大統領である。この二度のニクソンショックを経て、今日の自由貿易と変動相場制が維持発展してきた歴史がある。
しかしその後も世界の貿易量は膨張し続け、基軸通貨ドルの保有を世界中の国が望んだ結果、ドルを大量に供給する必要に迫られた。金の制約から開放されたアメリカもこれに応えてドルを大量に供給し、世界の富を膨らませていった。この時ドル供給源となったのが、アメリカの貿易赤字と財政赤字の双子の赤字である。
2024年のアメリカの貿易赤字は1兆2187億$(約185兆円)。2024年の財政赤字が1兆8330億$(約278兆円)に及び、アメリカの国債発行残高は36兆$(約5,435兆円:GDP比120%)に達する。この間アメリカは製造業が衰退し、雇用も喪失し、ラストベルト化した果てに白人を中心とした中間層が打撃を受け、大量の移民が価値観の分断を生みだした。
トランプが反自由貿易を唱え、高率関税で貿易赤字を解消し、生産拠点をアメリカ国内に呼び戻し、移民を排斥し、伝統的価値観を重視し、黄金時代始まる!と絶叫する背景には、世界にドルという富を供給してきたアメリカのジレンマを克服したいという強い意図があるように思う。
関税男の独壇場はいつまで続くのか。どうする日本!?
アメリカ・カリフォルニア州といえば、大谷翔平が活躍するロサンゼルス・ドジャースを思い出すが、そのカリフォルニア州では大きな山火事が発生し、多くの家屋と死傷者を出す大惨事があったばかり。日本でも、3月に岩手県大船渡市や岡山、愛媛などで大規模な山火事が相次いで発生している。お隣の韓国でも15箇所から同時多発的に山火事が発生し30人に及ぶ死者がでたと報じられている。3月から4月のこの季節は昔から気候の変化に伴う乾燥と山肌に積もった枯れ葉や季節風などの要因が重なり、山火事が発生しやすいと云われている。まさに自然界では何らかの発火現象によって、世界各地で燎原の火が吹き荒れているようだ。
さて、世界ではトランプ関税という辻風が吹きまくっている。
メキシコ・カナダに25%の関税を、中国には10%の追加関税を課すとの先の表明に加えて、4月3日からは例外なしに自動車に25%の関税を課すと表明したのだ。
これによって日本も例外ではないとなれば、我が国の基幹産業である自動車産業を直撃することになり、経済的に深刻な打撃を被ることになるかも知れない。また政治面でも3年を経過したロシア・ウクライナ戦争の和平交渉に乗り出したトランプ大統領だが、その仲介先であるロシアの曖昧な態度に直面して思うように事が運ばない様子が報道されるや否や、今度はロシアの石油を買う国には20%から50%の二次関税を課すと表明するなど、関税・関税の一色である。
同盟国や友好国に対しても見境がないから、その本気度を含めて周辺国は神経を尖らす事を強いられている。唯一の超大国だからできる振る舞いであるが、人心を弄ぶような行動をいつまで続けられるのだろうか? むしろ、この後の各国のリアクションが恐ろしいと思う。それが常人のおおかたの見方・考え方であろう。
奢れる者久しからず。歴史は貴重な戒めを格言として遺しているのだが、今のトランプ大統領にはおそらく聞こえるはずもないだろう。米国は何らかの世界戦略をもって、関税戦術に傾斜を強めているのだろうが、成果がでるまでに時間がかかり過ぎたり、アメリカの弱点を突く、何らかの効果的な抵抗手段が掴めれば関税の効き目は低減する。
そうなっては元も子もない。今はどちらに転ぶか分らないが、スェーデンやポーランド、更にはバルト三国など、ロシアと身近に国境を接している国々では、最近は異口同音に「アメリカ人はもはや信頼できない」と公言する指導者も登場している。加えて軍事予算をGDP比3%にする方針を次々と打ち出している。
極東の日本にいるとなかなか感じづらいが、ロシアとの国境に近い国々はおそらく防衛力増強には相当に真剣であるに違いない。この動きも、トランプが仮にモタモタしてロシア・ウクライナ、はたまたイラン・中国などの対応に行き詰まり始めたら、ますます米国離れが加速する可能性があると思う。
日本はアメリカの同盟国だから大丈夫という考えは通用しなくなるかも知れない。令和7年度の税制改正では「防衛特別法人税」が創設される。基準法人税(500万円控除後)に4%の付加課税をすることになる。たばこ税も増税する。その理由は我が国の防衛予算をGDP比1%台から2%台にするための財源確保である。ウクライナ侵攻に鑑みて、明日は極東の現実になることを慮ってのことである。やがて日本も、関税大国アメリカが信頼に足る国なのか否か自問自答する日が来るかも知れない。新しい戦前が始まらないことを切望する。
「選挙なき独裁者」との批判から暗雲が吹き上がる・・・?
トランプ旋風が本格的に吹き荒れ始めた。2月に入りトランプ政権はウクライナ戦争の和平交渉をサウジアラビアで開いた。
この会議には戦争の一方の当事者であるウクライナとそれを支援するEUは参加せず、アメリカとロシアの政府高官のみで協議した。これに反発したウクライナのゼレンスキー大統領に対して、トランプ大統領は「彼は選挙なき独裁者だ!」と批判した。
返す刀でウクライナの停戦後の平和維持にはEUが責任を持つべきだと主張した。これにロシアのプーチン大統領も「ドナルド」と呼んで親しみを込めてトランプを持ち上げた。大方の予想を超えるトランプとプーチンの思わせぶりな接近に、ウクライナ国民はもとより世界中の人々を唖然呆然とさせたのである。
その舌の根も乾かぬ2月27日の記者会見で、トランプ大統領は記者からの「独裁者呼ばわりした意図」について質問を受けると、「そんな発言したなんて信じられない。」と、平然と前言を覆す。
翌日のゼレンスキー大統領との首脳会談でウクライナの鉱物資源レアアースの権益を確保する合意成立が予定されていることを念頭に置いた発言のようだが、結果は報道されているごとく、記者会見場で双方が罵り合う論争の果てに交渉決裂に終わったが、この結末はロシアの期待感を大満足させたに違いない。
今回のホワイトハウスでの二人の大統領の振る舞いは、和平交渉のテーブルにロシアを引き込むための茶番劇かと疑いたくもなる。かたやカナダ・メキシコにはあらためて25%の関税を課すことや、中国に対して先に発動した10%の追加関税に、更に10%の再追加関税を課すことを公言したりと、どこまでがお芝居なのか常人には全く判断がつかない。トランプ流の数々の発言(虚言・ディール)が現在も今後も絶え間なく続いていくのだろう。
古くから「信なくば立たず」という儒教思想に染まっている日本人には理解しがたい言動の数々である。国際政治とは深謀術策の闇の世界とは聞き及んではいたが、メディアを前してこれほど大胆な振る舞いをする政治家は希有であろう。と同時に、人心を弄んでおいて、本当にうまく事が運ぶのか?という疑問も湧いてくる。
しかしこれまでのトランプ発言の一つひとつを冷静に分析しつなぎ合わせてみると、何かしら大きな戦略的構図が浮かび上がってくる。ウクライナを突き放しロシアに秋波を送るのも、ウクライナには完全領土回復まで戦い続けるという大義に縛られるなと警告し、EU諸国にはヨーロッパの平和は自分達で守れと突き放し、事実そのような動きを生起させつつあるのも、いわばショック療法のようにも思える。ロシアには甘い誘いで警戒感を薄めて停戦のテーブルに着かせる機会を提供しているようにも見える。
ウクライナ和平が成功すればアメリカはロシアを引き寄せられるし、中国とロシアの関係に楔を打つこともできる。そして、イスラエルにはガザを米国が管理しておくから、その間にハマス・ヒズボラ・シリアを失ったイランに対して攻勢をかけ、あわよくばイスラエルの手でイランの核開発拠点を壊滅させようとする戦略も垣間見えるのだ。仮にこれらの戦略の効果が得られれば、アメリカは最大の敵とする中国に対して軍事的リソースを集中することができる。それまでの間は、関税で中国経済を追い込む。
トランプ政権はディール政治を隠れ蓑にして虎視眈々と世界戦略を押し進めているように思える。103万円の壁で三党合意して喜ぶ日本の政治リーダーは幸せである。なぜならば、日本はアメリカの対中戦略の礎石となる地政学上の重要な位置にあるため、さしものトランプ旋風も今のところそよ風で済んでいるがらだ。
「アメリカ・ファースト」と「楽しい日本を目指す」に思うこと・・・
1月20日、世界中の関心を集めたアメリカ合衆国の第47代大統領にドナルド・ジョン・トランプ氏が正式に就任した。4年の春秋を経て2期目の就任式の当日。就任と同時に数十本の大統領令に次々と署名した。その中には国連気候変動枠組条約の協定離脱や世界保健機関(WHO)からの脱退。更にはOECDの国際課税ルールを米国内では適用しないとする大統領令など米国優先主義を明確に打ち出している。その他にも、メキシコ・カナダに25%関税を課すことやメキシコ国境に軍部隊を増派したり、過激な性別イデオロギーに対抗するためとして、性別は「男」と「女」だけだと断言してトランスジェンダーの権利保護やDEI(多様性・公平性・包括性)を見直す方針を鮮明にしている。
更にはアメリカのエネルギー政策を大幅に見直し、「掘って掘って掘りまくれ」の勇ましいキャッチフレーズのもと、国内のエネルギー資源の開発促進やEV車普及の義務化を見直すなど多数の衝撃的な大統領令に署名したのである。更に加えて、「トランプ2.0」では、グリーンランドは米国が購入すべきだとか、メキシコ湾はアメリカ湾に名称を変更すべきだとか、カナダはアメリカの51番目の州になった方がカナダ国民は喜ぶだとか、パナマ運河の管理権を取り戻すとか、アメリカの貿易赤字こそが国民の貧困と国富喪失の根源であるとする主張のもと、関税で国内経済を守りつつ繁栄を取り戻すとして、関税を主管する政府機関「対外歳入庁」を新設することを表明するなど、世界中を驚愕させるに十分な刺激的な発言・発表を繰り返している。今後、超大国アメリカの大統領に返り咲いたトランプ氏の一挙手一投足に目が離せなくなるのは確かなようである。
しかし、2期目のトランプ政権はなぜ就任初日から、かくも大胆な行動に打って出たのだろうか? その訳として広く憶測されているのが、4年の任期の次がないということ。しかも4年の任期中ですら後半3年目からは徐々にレームダック期間に突入する。このことを考慮すると、大統領として権勢をふるえるのはせいぜい就任後2年間であろう。従って、彼が想い描く政策を前に進める時間はかなり限定的である。そう考えると急ぐ理由は分らなくもない。
もう一つの訳は大統領就任の年齢が78歳と高齢であることである。
『知らず。生まれ死ぬる人。いず方より来たりて、いず方へか去る。』とは、鴨長明の方丈記の一文であるが、『人は必ず死ぬ。人生は一回しかない。人はいつ死ぬか分らない。』という生きとし生けるものの宿命から彼自身逃れられるすべはない。この時間的制約がトランプの行動を急き立てているのかも知れない。いずれにしても我々は、かかる劇場型のトランプ政治が世界にどんな影響を及ぼすのか、息を潜めて見守ることになるだろう。
一方、日本のリーダー石破茂総理大臣は、1月の通常国会の施政方針演説で、「楽し日本を目指す」と表明した。その真意は国民一人ひとりが自己実現できる「楽しい日本」を目指し、地方創生を核とする日本列島改造に取り組むということらしい。
田中角栄を師と仰ぐ石破首相らしい発想だが、その政策の中身は殆ど国民には見えてこない。物価高騰に賃上げが追いつかない現状を見るにつけ、国民は自己実現よりも生活防衛が先ではないのか? と嘆息しているのではなかろうか?
トランプ大統領と比較するとそのインパクトの無さと、103万円の壁に汲々としている内向な政治姿勢に思わず溜息が漏れてしまう。戦後80年の日本の政治リーダーの姿を見るにつけ、トランプを軸に激しく動き出した世界情勢に日本はうまく対応できるのだろうか? 一抹の不安を感じざるを得ない。