音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~ -22ページ目

音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

ハンブルク交響楽団

 

【日時】

2023年7月17日(月祝) 開演 14:00

 

【会場】

京都コンサートホール 大ホール

 

【演奏】

指揮:シルヴァン・カンブルラン

ピアノ:マルティン・ガルシア・ガルシア *

管弦楽:ハンブルク交響楽団

 

【プログラム】

ベートーヴェン:「エグモント」 作品84 より 序曲

ショパン:ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調 作品21 *

ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 作品92

 

※アンコール(ソリスト) *

リスト:巡礼の年 第3年 より 第4曲 「エステ荘の噴水」

ショパン:ワルツ 第4番 ヘ長調 作品34-3

 

※アンコール(オーケストラ)

ドヴォルザーク:スラヴ舞曲 ホ短調 作品72-2

 

 

 

 

 

ハンブルク響の京都公演を聴きに行った。

指揮は、1948年フランス生まれ、このオーケストラの首席指揮者を務める巨匠、シルヴァン・カンブルラン。

好きな指揮者であり、これまでも何度か彼の実演を聴いてきたが、ハンブルク響を振るのを聴くのは私には今回が初めて。

ソリストは、1996年スペイン生まれ、2021年ショパンコンクール第3位のピアニスト、マルティン・ガルシア・ガルシア。

ピアノはファツィオリ。

 

 

 

 

 

最初のプログラムは、ベートーヴェンの「エグモント」序曲。

この曲で私の好きな録音は

 

●フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィル 1933年セッション盤(CDYouTube

●トスカニーニ指揮 NBC響 1939年11月18日放送ライヴ盤(CD

●フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィル 1947年5月27日ベルリンライヴ盤(NMLApple MusicCDYouTube

●カラヤン指揮 ベルリン・フィル 1969年1月3-6日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube

●カラヤン指揮 ベルリン・フィル 1985年12月2,4日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube

●アバド指揮 ウィーン・フィル 1987年2月ウィーンライヴ盤(NMLApple MusicCDYouTube

 

あたりである。

 

 

今回のカンブルラン&ハンブルク響の演奏は、これらの名盤のずっしり感とは対照的な爽やかさだったが、それはそれで良かった。

ハンブルク響は、洗練度としてはいつも聴いている大フィルに敵わない印象で、大フィルのようなオーケストラを日常的に聴ける贅沢さを改めてかみしめたのではあったが、それでも音色としてはやっぱりヨーロッパの味があって、これぞ来日公演の醍醐味と感じた。

 

 

 

 

 

次のプログラムは、ショパンのピアノ協奏曲第2番。

この曲で私の好きな録音は

 

●ポリーニ(Pf) 井上道義指揮 シュトゥットガルト放送響 1973年頃ライヴ盤(CD)

●小林愛実(Pf) プリマ・ヴィスタ弦楽四重奏団 2011年1月13日ショパンコンクール in Asiaライヴ盤(CD) ※弦楽四重奏伴奏版

 

あたりである。

また、実演では2019年の山本貴志のものが最高の名演で(その記事はこちら)、この3つが私にとってこの曲の特別な演奏。

それに次いでは、

 

●内匠慧(Pf) 岩村力指揮 東京シティ・フィル 2011年8月21日ピティナ特級ライヴ(動画

●牛田智大(Pf) プリマ・ヴィスタ弦楽四重奏団 2012年1月13日ショパンコンクール in Asiaライヴ盤(Apple MusicCD) ※弦楽四重奏伴奏版

●チョ・ソンジン(Pf) ノセダ指揮 EUユース管 2018年8月19日ロンドンライヴ(有料配信

●三浦謙司(Pf) J.Sirvend指揮 フランス国立管 2019年11月15日ロンティボーコンクールライヴ(動画その記事はこちら

●フルネル(Pf) ドゥネーヴ指揮 ブリュッセル・フィル 2021年6月9日エリザベートコンクールライヴ(動画その記事はこちら

●イ・ヒョク(Pf) ボレイコ指揮 ワルシャワ・フィル 2021年10月20日ショパンコンクールライヴ(動画その記事はこちら

 

あたりも好きである。

作曲時20歳だった若きショパンの情感を、繊細にみずみずしく表現した演奏が好み。

 

 

今回のガルシア・ガルシアは、2021年ショパンコンクール時と同様(その記事はこちら)、明るく力強い、内向的というよりは外向的な、骨太の演奏。

若きショパンの情感というには風格がありすぎ、この曲の私の好みとは異なるが、こういう演奏を好む人もいるだろう(実際彼はショパンコンクールで第3位を受賞した)。

第2楽章の中間部など、オペラのレチタティーヴォか何かのようで、ラプソディックな味がよく出ていた。

 

 

そんなガルシア・ガルシア、アンコールのリスト作曲「エステ荘の噴水」はショパンよりも板についており、水しぶきが煌びやかに飛び散る様が目に浮かぶよう。

ファツィオリの明るい音色が最大限活かされた名演だった。

 

 

 

 

 

最後のプログラムは、ベートーヴェンの交響曲第7番。

この曲で私の好きな録音は

 

●トスカニーニ指揮 ニューヨーク・フィル 1936年4月9,10日セッション盤(CD

●フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル 1950年1月18,19日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube1234

●C.クライバー指揮 バイエルン国立管 1982年5月3日ミュンヘンライヴ盤(NMLCDYouTube1234

●カラヤン指揮 ベルリン・フィル 1983年12月1-3、5日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube1234

●西本智実指揮 ロイヤル・フィル 2009年9月22日東京ライヴ盤(CD

 

あたりである。

考え方の古い私としては、やはりベートーヴェンの奇数番の交響曲は、ずっしりとした重みをもってヒロイックに演奏してほしい。

 

 

カンブルラン&ハンブルク響のベートーヴェン交響曲としては、第8番の演奏動画があって、優美かつ爽快な、この曲で一二を争う名演となっている(その記事はこちら)。

ただ、それも第8番なればこそ、第7番となるとやはりもっと重みのある演奏のほうがいいかと想像していたのだが、今回の演奏は思いのほか良かった。

もちろんカンブルランなので重い響きを作ることはなく、全体に爽やかなのだが、肩の力を抜いたというよりは、しっかり汗をかいた情熱的な演奏だった。

終楽章など、音の響きを楽しみながらまったり進むかと思いきや、なんとクライバーのテンポ。

ハンブルク響のメンバーも、懸命に弾いているのが伝わってくる。

第7番にふさわしい、望外の名演だった。

 

 

 

 


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オーストラリアのシドニーで開催されている、第13回シドニー国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。

7月21、22日は、ファイナルの第3、4日、ついに最終日。

ネット配信を聴いた(動画12)。

ちなみに、第13回シドニー国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。

 

第12回シドニー国際ピアノコンクール ファイナル結果発表

第13回シドニー国際ピアノコンクール 出場者一覧

予選 第1日

予選 第2日

予選 第3~5日

セミファイナル 第1日

セミファイナル 第2日

セミファイナル 第3、4日

ファイナル 第1日

ファイナル 第2日

 

 

 

 

 

なお、以下の協奏曲はベンジャミン・ノーシー指揮、シドニー交響楽団との共演である。

 

 

 

 

 

第3日 7月21日(金)

 

 

08. Yungyung GUO (11 September 2003)

 

Robert Schumann: Piano Concerto in A minor Op.54

 

ピアノはカワイ。

 

 

12. Uladzislau KHANDOHI (7 October 2001)

 

Sergei Rachmaninoff: Concerto No.1 in F# minor Op.1 (revised version)

 

ピアノはスタインウェイ。

 

 

28. Yuanfan YANG (2 January 1997)

 

Johannes Brahms: Piano Concerto No.1 in D minor Op.15

 

ピアノはスタインウェイ。

 

 

 

 

 

第4日 7月22日(土)

 


26. Wynona Yinuo WANG (9 October 1996)

 

Sergei Rachmaninoff: Concerto No.1 in F# minor Op.1 (revised version)

 

ピアノはスタインウェイ。

 

 

13. Jeonghwan KIM (10 July 2000)

 

Béla Bartók: Piano Concerto No.2 in G major Sz.95

 

ピアノはスタインウェイ。

 

 

23. Vitaly STARIKOV (8 May 1995)

 

Johannes Brahms: Piano Concerto No.1 in D minor Op.15

 

ピアノはスタインウェイ。

 

 

 

 

 

まだざっとしか聴けていないが、ファイナル第1~4日の6人の演奏を気に入った順に並べると

 

1.  28. Yuanfan YANG (2 January 1997)

2.  13. Jeonghwan KIM (10 July 2000)

3.  12. Uladzislau KHANDOHI (7 October 2001)

4.  08. Yungyung GUO (11 September 2003)

5.  23. Vitaly STARIKOV (8 May 1995)

6.  26. Wynona Yinuo WANG (9 October 1996)

 

といったところか。

第1、2日を聴いて並べた順(その記事はこちら)と全く同じにした(ただし第3日のYungyung GUOの演奏はまだ少しも聴けていない)。

Yuanfan YANGのブラームス、例によって鄙びた音が心地よく、派手すぎない演奏が曲に合っている。

第1楽章は私の好みよりもテンポがまったり気味だが、これはこれで悪くないし、今大会で選ばれてきた面々を考えると、彼のようなタイプの人が優勝してもおかしくないかも。

とはいえ、1~3あたりは優勝圏内の印象であり、誰になるかは分からない(Jeonghwan KIMのバルトークは第1楽章が走りがちだったのと、Uladzislau KHANDOHIのラフマニノフは良くも悪くもやはり気ままだったけれど、それでも華々しさでいうと彼らはYuanfan YANGより上)。

 

 

 

 

 

さて、ファイナルの実際の結果は以下のようになった。

 

 

【ファイナル結果】

 

1位: Jeonghwan KIM (10 July 2000)

2位: Uladzislau KHANDOHI (7 October 2001)

3位: Yungyung GUO (11 September 2003)

4位: Yuanfan YANG (2 January 1997)

5位: Wynona Yinuo WANG (9 October 1996)

6位: Vitaly STARIKOV (8 May 1995)

 

Rex Hobcroft People’s Choice Award: Korkmaz Can Sağlam

Board of Directors’ Prize for Excellence: Wynona Yinuo Wang

Edward Cahill Best Preliminaries Round 1 Recital Prize Winner: Uladzislau Khandohi

Ignaz Friedman Best Semi Final Recital Prize Winner: Uladzislau Khandohi

Best Encore in the Semi Final Winner: Uladzislau Khandohi

Isador Goodman Best Preliminaries Round 2 Recital Prize Winner: Junlin Wu

Malcolm Williamson Best Performance of an Australian Piece Prize Winner: Junlin Wu performing Sam Wu: Tiny Forests

Rhondda Gillespie Best Performance of a Work from any Period Before 1950 by a Rarely-played and Unduly Neglected Composer Prize Winner: Denis Linnik performing Frank Bridge: 2 Solos for Piano H.54 and Boris Lyatoshinsky: 5 Preludes Op.44

Nancy Weir Best Australian Pianist Prize Winner: Reuben Tsang

Medal for the Most Promising Competitor: Reuben Tsang

Encouragement Award: Reuben Tsang

Best Program Presentation in the Semi Final Winner: Carter Johnson

Geoffrey Tozer Most Promising Pianist not Proceeding to the Finals Prize Winner: Carter Johnson

Hephzibah Menuhin Best Performance of a Sonata for Violin and Piano Prize Winner: Wynona Yinuo Wang

Geoffrey Parsons Best Performance of a Sonata for Cello and Piano Prize Winner: Vitaly Starikov

Una Bourne Best Accompanist Prize Winner: Vitaly Starikov

Roy Agnew Best Concerto 1800 and earlier Prize: Yungyung Guo

Miriam Hyde Best Concerto post-1800 Prize: Jeonghwan Kim

Eileen Joyce Best Overall Concerto Prize: Jeonghwan Kim

Prizes for each of the six Semi Finalists not Proceeding to the Final: Carter Johnson, Korkmaz Can Saglam, Philipp Lynov, Junyan Chen, Rueben Tsang, Junlin Wu

 

 

 

 

 

以上である。

まぁ、まずまず納得の結果。

ファイナリストの多くがそうだったように、優勝者もいぶし銀タイプが選ばれるかと思いきや、そこはさすがに協奏曲映えする技巧派タイプが選ばれた。

それならばそういうタイプの人をもっと残してほしかった気もするが、室内楽などで良い演奏をしたいぶし銀タイプの人を落とすわけにもいかないし、そこは現状のコンクールの難しさである。

そんな中、Jeonghwan KIMはソロ、室内楽、協奏曲とすべての局面で偏りなく安定的に良い演奏をした、ということができるだろう。

彼の優勝を祝福したい。

 

 


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オーストラリアのシドニーで開催されている、第13回シドニー国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。

7月19日は、ファイナルの第2日。

ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。

ちなみに、第13回シドニー国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。

 

第12回シドニー国際ピアノコンクール ファイナル結果発表

第13回シドニー国際ピアノコンクール 出場者一覧

予選 第1日

予選 第2日

予選 第3~5日

セミファイナル 第1日

セミファイナル 第2日

セミファイナル 第3、4日

ファイナル 第1日

 

 

 

 

 

なお、以下の協奏曲はウンベルト・クレリチ指揮、シドニー交響楽団との共演である。

 

 

 

 

 

23. Vitaly STARIKOV (8 May 1995)

 

Ludwig van Beethoven: Piano Concerto No.1 in C major Op.15

 

ピアノはスタインウェイ。

厚みのある美しい音を持つが、技巧面で難がある。

第1楽章第3主題後の経過句では左手が苦しそうだし、終楽章も主要主題の連続和音をはじめしばしば不安定。

第1楽章のカデンツァはジャズ風の個性的なもので、ここは楽しかったのだけれど。

 

 

28. Yuanfan YANG (2 January 1997)

 

Ludwig van Beethoven: Piano Concerto No.3 in C minor Op.37

 

ピアノはカワイ。

丸みのある鄙びた音色とくっきり明快な音づくりが、古典派のこの曲にぴったり。

技巧面では、第1楽章第2主題直前のトリル風和音パッセージが弾きにくそうなのと、終楽章がときどき危ういけれど、どうにか許容範囲内か。

終楽章など、速めのテンポだがペダルでのごまかしは最小限で、好感が持てる(最後のユニゾンオクターヴトレモロを左右のオクターヴ交互連打に逃げるのは好みでないが、まぁよくされていることである)。

 

 

26. Wynona Yinuo WANG (9 October 1996)

 

Ludwig van Beethoven: Piano Concerto No.1 in C major Op.15

 

ピアノはスタインウェイ。

彼女の少し力んだような硬めの音は、曲によっては合うのだけれど、この朗らかな曲には合わない気がする。

技巧面でも、終楽章を中心に不安定さが拭えない。

 

 

 

 

 

そんなわけで、ファイナル第1、2日の6人の演奏を気に入った順に並べると

 

1.  28. Yuanfan YANG (2 January 1997)

2.  13. Jeonghwan KIM (10 July 2000)

3.  12. Uladzislau KHANDOHI (7 October 2001)

4.  08. Yungyung GUO (11 September 2003)

5.  23. Vitaly STARIKOV (8 May 1995)

6.  26. Wynona Yinuo WANG (9 October 1996)

 

といったところか。

1と2は逆でもいいかもしれないが。

古典派協奏曲は基礎技術力が如実に表れ、音楽性でのカバーが難しいためか、今回のファイナルのいぶし銀メンバーでは全体的にいまいちな演奏が多かった(途中で落ちてしまったCarter JOHNSONやKorkmaz Can SAĞLAMや古海行子ほどの基礎力を持つのは、ファイナルメンバーではJeonghwan KIMくらいのものか)。

なお、第3、4日は二巡目というか、同じ奏者たちが別のプログラムを演奏する(ロマン派協奏曲)。

そちらに期待したい。

 

 

次回(7月21日)はファイナルの第3日。

 

 


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7月18日は、ファイナルの第1日。

ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。

ちなみに、第13回シドニー国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。

 

第12回シドニー国際ピアノコンクール ファイナル結果発表

第13回シドニー国際ピアノコンクール 出場者一覧

予選 第1日

予選 第2日

予選 第3~5日

セミファイナル 第1日

セミファイナル 第2日

セミファイナル 第3、4日

 

 

 

 

 

なお、以下の協奏曲はウンベルト・クレリチ指揮、シドニー交響楽団との共演である。

 

 

 

 

 

08. Yungyung GUO (11 September 2003)

 

Wolfgang Amadeus Mozart: Piano Concerto No.27 in B♭ major K.595

 

ピアノはカワイ。

予選でモーツァルトのアンダンテK.616も弾いていた彼女は、おそらくモーツァルトの後期作品が好きなのだろう。

確かに、彼女の美しい音色はそれにふさわしい面もあるが、全体的な雰囲気は、モーツァルトにしては地味な印象(天国的というよりは、暗い夜空に星が瞬くような)。

えいっ、と一音に気持ちを込める一方、滑らかな歌は犠牲になっており(終楽章は滑らかさも感じられたが)、好みが分かれそう。

 

 

13. Jeonghwan KIM (10 July 2000)

 

Wolfgang Amadeus Mozart: Piano Concerto No.22 in E♭ major K.482

 

ピアノはカワイ。

こちらはより自然で明るく滑らか、私としてはこちらのほうがモーツァルトのイメージに近いように感じる。

技巧面での安定性も高く、即興的な音型など遊び心もある。

ただ、音色のアドバンテージはあまりない。

また、ときどきあっけらかんとしすぎている部分があるのと(モーツァルトは全パッセージ歌ってほしい)、わずかにロマン派寄りの雰囲気なのが(ルバートなど)、気になるといえば気になる。

 

 

12. Uladzislau KHANDOHI (7 October 2001)

 

Ludwig van Beethoven: Piano Concerto No.3 in C minor Op.37

 

ピアノはスタインウェイ。

この日の3人の中では、音色面でも音量面でも最も華やかで、協奏曲にふさわしい。

ただ、弾けている部分とそうでない部分の差が大きく、見事な指捌きをみせる一方、第1楽章ではオーケストラと合わせづらそうにしている箇所があり、終楽章コーダでは高速テンポで攻めすぎてオクターヴトレモロで転んでしまっている。

 

 

 

 

 

そんなわけで、ファイナル第1日の3人の演奏を気に入った順に並べると

 

1.  13. Jeonghwan KIM (10 July 2000)

2.  12. Uladzislau KHANDOHI (7 October 2001)

3.  08. Yungyung GUO (11 September 2003)

 

といったところか。

3人とも一長一短あって、最終的には好みの問題になりそう。

 

 

次回(7月19日)はファイナルの第2日。

 

 


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7月14、15日は、セミファイナルの第3、4日。

ネット配信を聴いた(動画3-13-24-14-2)。

ちなみに、第13回シドニー国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。

 

第12回シドニー国際ピアノコンクール ファイナル結果発表

第13回シドニー国際ピアノコンクール 出場者一覧

予選 第1日

予選 第2日

予選 第3~5日

セミファイナル 第1日

セミファイナル 第2日

 

 

 

 

 

第3日 7月14日(金)

 

 

11. Carter JOHNSON (25 September 1996)

 

Franz Schubert: Sonata for Violin and Piano in A major ‘Duo’ D.574

Fritz Kreisler: La Gitana

(Violin: Andrew HAVERON)

 

ピアノはカワイ。

 

 

08. Yungyung GUO (11 September 2003)

 

Johannes Brahms: Sonata for Piano and Cello No.2 in F Major Op.99

David Popper: from Concert-Etudes Op.55

(Cello: Li-Wei QIN)

 

ピアノはカワイ。

 

 

22. Korkmaz Can SAĞLAM (18 October 1999)

 

Maurice Ravel: Sonata for Violin and Piano No.2 in G major M.77

George Gershwin/Jascha Heifetz: ‘It ain’t necessarily so’ from Porgy and Bess

(Violin: Andrew HAVERON)

 

ピアノはスタインウェイ。

 

 

13. Jeonghwan KIM (10 July 2000)

 

Frédéric Chopin: Sonata for Cello and Piano in G minor Op.65

Gabriel Fauré: Romance Op.69

(Cello: Li-Wei QIN)

 

ピアノはカワイ。

 

 

12. Uladzislau KHANDOHI (7 October 2001)

 

Johannes Brahms: Sonata for Piano and Violin No.2 in A major Op.100

Manuel Ponce/Jascha Heifetz: Estrellita

(Violin: Andrew HAVERON)

 

ピアノはスタインウェイ。

 

 

19. Philipp LYNOV (6 January 1999)

 

Sergei Rachmaninoff: Sonata for Cello and Piano in G minor Op.19

Edward Elgar: Salut d’amour in D major Op.12

(Cello: Li-Wei QIN)

 

ピアノはスタインウェイ。

 

 

 

 

 

第4日 7月15日(土)

 

 

28. Yuanfan YANG (2 January 1997)

 

Maurice Ravel: Sonata for Violin and Piano No.2 in G major M.77

George Gershwin/Jascha Heifetz: ‘It ain’t necessarily so’ from Porgy and Bess

(Violin: Andrew HAVERON)

 

ピアノはスタインウェイ。

 

 

23. Vitaly STARIKOV (8 May 1995)

 

Dmitry Shostakovich: Sonata for Cello and Piano in D minor Op.40

Sergei Rachmaninoff: from 14 Romances Op.34

(Cello: Li-Wei QIN)

 

ピアノはスタインウェイ。

 

 

03. Junyan CHEN (9 August 2000)

 

Maurice Ravel: Sonata for Violin and Piano No.2 in G major M.77

George Gershwin/Jascha Heifetz: ‘It ain’t necessarily so’ from Porgy and Bess

(Violin: Andrew HAVERON)

 

ピアノはファツィオリ。

 

 

25. Reuben TSANG (29 August 2003)

 

Johannes Brahms: Sonata for Piano and Cello No.2 in F major Op.99

David Popper: from Concert-Etudes Op.55

(Cello: Li-Wei QIN)

 

ピアノはカワイ。

 

 

26. Wynona Yinuo WANG (9 October 1996)

 

Richard Strauss: Sonata for Violin and Piano in E♭ major Op.18

Fritz Kreisler: from 3 Old Viennese Dances

(Violin: Andrew HAVERON)

 

ピアノはスタインウェイ。

 

 

27. Junlin WU (12 December 1997)

 

Frédéric Chopin: Sonata for Cello and Piano in G minor Op.65

Gabriel Fauré: Romance Op.69

(Cello: Li-Wei QIN)

 

ピアノはファツィオリ。

 

 

 

 

 

まだざっとしか聴けていないが、第3、4日を併せて、ファイナルに進める人数である6人を選ぶとすると

 

第3日

11. Carter JOHNSON (25 September 1996)

22. Korkmaz Can SAĞLAM (18 October 1999)

12. Uladzislau KHANDOHI (7 October 2001)

 

第4日

28. Yuanfan YANG (2 January 1997)

03. Junyan CHEN (9 August 2000)

27. Junlin WU (12 December 1997)

 

あたりになる。

第1、2日を聴いて選んだ6人(その記事はこちら)と全く同じにした。

本当は、第3、4日の室内楽は、選ばなかったJeonghwan KIMのショパン、Vitaly STARIKOVのショスタコーヴィチ、Reuben TSANGのブラームスあたりが印象に残ったのだった。

しかし、そうなると誰を選んだらいいのかもう訳が分からなくなるので、初志貫徹することにした(でもJunyan CHENあたりはだいぶ危うい気がしているが)。

 

 

 

 

 

さて、セミファイナルの実際の結果は以下のようになった。

 

 

【ファイナル進出者】

 

第3日 7月14日(金)

08. Yungyung GUO (11 September 2003)

13. Jeonghwan KIM (10 July 2000)

12. Uladzislau KHANDOHI (7 October 2001) ○

 

第4日 7月15日(土)

28. Yuanfan YANG (2 January 1997) ○

23. Vitaly STARIKOV (8 May 1995)

26. Wynona Yinuo WANG (9 October 1996)

 

 

なお、○をつけたのは私がファイナルに残ってほしかった6人の中の人である。

6人中2人。

そう来たか、という感じ。

希望はだいぶ外れてしまったが(贔屓目で選びすぎたか)、みな拮抗していたし、特にJeonghwan KIMとVitaly STARIKOVは室内楽が非常に良かったし、これはこれで仕方ない。

全体に、個性派タイプやいぶし銀タイプが多く残った気がする。

大人な感じのファイナルになりそうで、誰が優勝するかはあまり読めない(派手さならUladzislau KHANDOHIあたりが強そうだが、そういう闘いにはならないかも)。

 

 

 

 

 

今後の日程は以下の通り。

ファイナル:2023年7月18日(火)~22日(土)

 

 


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