(キアロスクーロ四重奏団の新譜 ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第1~6番) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

好きなカルテット、キアロスクーロ四重奏団の新譜が二枚発売された(NML12Apple Music12CD12)。

曲目は、一枚がベートーヴェンの弦楽四重奏曲第1~3番、もう一枚が第4~6番である。

詳細は以下の通り。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

注目盤! キアロスクーロ四重奏団がついにベートーヴェンを録音!
第1弾は弦楽四重奏曲第1~3番!

 

優美で高貴な演奏!
キアロスクーロ四重奏団によるベートーヴェンの弦楽四重奏曲第4~6番!


SACDハイブリッド盤。現代屈指のヴァイオリニスト、アリーナ・イブラギモヴァ率いるキアロスクーロ四重奏団がついにベートーヴェンを録音開始。第1弾には弦楽四重奏曲第1~3番を収録しました。2005年結成の当団は結成当初から楽曲の深い解釈で注目を集め、演奏活動とともに録音にも積極的に取り組んできました。「BIS」レーベルからはこれまでにハイドンとシューベルトをリリース。そのいずれのディスクも高い評価を得ており、なかでもハイドンの弦楽四重奏曲第77番『皇帝』はレコード芸術誌の特集「新時代の名曲名盤500」で同楽曲の第1位に選ばれました。結成当時から変わらぬメンバーで、さらなる進化を遂げている名団体です。
弦楽四重奏曲の第1番から第3番は、作品18として第4番から第6番を含む6つの弦楽四重奏曲からなり、1798年から1800年頃までに書き上げ、1801年に出版されています。30歳になろうかというベートーヴェンがついに挑んだこのジャンルではその生き生きとしたアンサンブルを楽しめる作品群。初期作品ながらベートーヴェンの個性と編み込まれた楽曲構成はさすがの一言です。キアロスクーロ四重奏団ならではのシャープにして実に温かみのある演奏は同曲集の新たな名盤誕生と申せましょう。今後のリリースにも期待が高まります! 団名の「Chiaroscuro(キアロスクーロ)」はコントラストを印象づける明暗法そして陰影法を意味します。(輸入元情報)

【収録情報】
ベートーヴェン:
● 弦楽四重奏曲第1番ヘ長調 Op.18-1
● 弦楽四重奏曲第2番ト長調 Op.18-2『挨拶する』
● 弦楽四重奏曲第3番ニ長調 Op.18-3

 

● 弦楽四重奏曲第4番ハ短調 Op.18-4
● 弦楽四重奏曲第5番イ長調 Op.18-5
● 弦楽四重奏曲第6番変ロ長調 Op.18-6


キアロスクーロ四重奏団
アリーナ・イブラギモヴァ(ヴァイオリン/Anselmo Bellosio, c.1780)
パブロ・エルナン=ベネディ(ヴァイオリン/Andrea Amati, 1570)
エミリー・ホーンルンド(ヴィオラ/Willems, c.1700)
クレール・チリヨン(チェロ/Carlo Tononi, 1720)

録音時期:2019年6月23-26日(1~3番)、2019年9月9-12日(4~6番)
録音場所:ブレーメン、ゼンデザール
録音方式:ステレオ(DSD/セッション)
SACD Hybrid
CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD 5.0 SURROUND

プロデューサー:アンドリュー・キーナー
サウンド・エンジニア:ファビアン・フランク(Arcantus Musikproduktion)
BIS ecopak

 

 

 

 

 

以上、HMVのサイトより適宜混ぜて引用した(引用元のページはこちらこちら)。

 

 

 

 

 

ついに始まった、キアロスクーロ四重奏団のベートーヴェンプロジェクト。

あらゆる弦楽四重奏曲の中でもとりわけ高く聳え立つベートーヴェンの弦楽四重奏曲は、音楽的な解釈の難しさも並大抵ではないと思われるが、そもそも解釈云々以前にテクニック面で安定していなければ聴き疲れしてしまう。

ベートーヴェンの初期の弦楽四重奏曲第1~6番をセットで録ったもののうち、私の好きな録音は

 

●クリーヴランド四重奏団 1991年7月25-30日、1993年5月17-20日、1993年9月23,24日、1994年5月4,5,8,9日セッション盤(Apple Music12CDYouTube12

●ミロ四重奏団 2004年10月7-22日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube

●アイブラー四重奏団 2015年6月29日~7月1日、2016年10月10-13日セッション盤(NML12Apple Music12CD12YouTube12

●ドーヴァー四重奏団 2018年11月30日~12月3日、2019年9月23-26日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube

 

あたりである。

これらの盤はテクニック面でレベルが高く、安心して聴くことができる(奇しくも全て北米の団体なのは偶然?)。

 

 

そして、今回のキアロスクーロ四重奏団の演奏は、これらに劣らぬ完成度となっている。

おそらくガット弦を用いた、古楽器風のすっきり爽やかなアプローチ。

特に、第1ヴァイオリンを務めるアリーナ・イブラギモヴァのニュアンスづけの細やかさは、上記のどの名盤をも上回るほど。

かくもあらゆるフレーズに意識を集中させることができるのか、といつもながら感嘆させられる。

 

 

ただ、解釈面では、彼女らの演奏はあんまり繊細で、ベートーヴェンよりもハイドンやモーツァルトを思わせる。

第1~6番セットでなく、個々の曲でみると、ハーゲン四重奏団が録音している第1、3、4、5番については、ベートーヴェンらしい力感や風格、オーストリアの音色といった点で、やはりハーゲンに軍配を挙げたくなる。

また、第6番については、端正ながら重厚な味わいをもつ上里はな子らの演奏が忘れがたい(その記事はこちら)。

 

 

とはいえ、これらベートーヴェン初期の弦楽四重奏曲は、後年の作品に比べると、ハイドンやモーツァルト風のアプローチもまだ合う。

また、劇的な曲想をもつ第4番については、イブラギモヴァ得意のクロイツェル・ソナタばりの求心的な激情表現が感動的(その記事はこちら)。

とにかく、第1~6番のセット録音としては最高峰の一つと言っていいのではないか。

今後、中期以降の作品でどうなるか、注目していきたい。

 

 

 

 

 

Beethoven: String Quartets, Op. 18 Nos. 1-3 - Chiaroscuro Quartet - YouTube

 

※YouTubeのページに飛ぶと第1~3番全曲聴けます。飛ばない場合は以下のURLへ。

https://www.youtube.com/watch?v=b-EhibcEDKM&list=OLAK5uy_nWWuz6W7e3LdrcRgbsIVYtaCAR_FTY9_4

 

 

Beethoven: String Quartets, Op. 18 Nos. 4-6 - Chiaroscuro Quartet - YouTube

 

※YouTubeのページに飛ぶと第4~6番全曲聴けます。飛ばない場合は以下のURLへ。

https://www.youtube.com/watch?v=kiKkl75NPvI&list=OLAK5uy_liItDQNshahoTQ7Zzfx-shnpc1IcydbC0

 

 

 

 

 

なお、キアロスクーロ四重奏団のこれまでのCDについての記事はこちら。

 

キアロスクーロ四重奏団の新譜)※ハイドン「太陽四重奏曲」後半

キアロスクーロ四重奏団の新譜 シューベルト 弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」、第9番

キアロスクーロ四重奏団の新譜 ハイドン 弦楽四重奏曲第75~77番

キアロスクーロ四重奏団の新譜 ハイドン 弦楽四重奏曲第78~80番

 

 

 

また、キアロスクーロ四重奏団の第1ヴァイオリン奏者、アリーナ・イブラギモヴァのこれまでのCDについての記事はこちら。

 

イブラギモヴァの新譜 フランク&ヴィエルヌ ヴァイオリン・ソナタ

イブラギモヴァの新譜 ブラームス ヴァイオリン・ソナタ全集

イブラギモヴァの新譜 ショスタコーヴィチ ヴァイオリン協奏曲第1、2番

イブラギモヴァの新譜 パガニーニ 24のカプリース

 

 


音楽(クラシック) ブログランキングへ

↑ ブログランキングに参加しています。もしよろしければ、クリックお願いいたします。

 

YouTube(こちら)やTwitter(こちら)もよろしければぜひ!