(キアロスクーロ四重奏団の新譜 シューベルト 弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」、第9番) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

好きなカルテット、キアロスクーロ四重奏団の新譜が発売された。

曲目はシューベルトの弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」と、第9番である(NMLApple MusicCD)。

詳細は以下の通り。

 

 

 

 

 


イブラギモヴァ率いる
キアロスクーロ四重奏団によるシューベルトの『死と乙女』!


SACDハイブリッド盤。今をときめくヴァイオリニスト、アリーナ・イブラギモヴァ率いるキアロスクーロ四重奏団。BISレーベルからリリースしているハイドンの弦楽四重奏曲第31~33番、第34~36番が高く評価される中、期待の新譜はシューベルトの弦楽四重奏曲第14番『死と乙女』と第9番です。古典派と初期ロマン派のレパートリーに特化して当団の期待の高まる録音です。
 1815年作曲の第9番ト短調。同年、歌曲、教会音楽、ピアノ・ソナタなど多数の作品を残した実りの年でした。ハイドン、モーツァルトの影響が見受けられるものの、シューベルトの個性も明確になりつつある作品で、本格的な短調の作品はこれが最初となります。
 そして、シューベルトの傑作の一つである第14番ニ短調『死と乙女』。第2楽章に歌曲『死と乙女』Op.7-3(D.531)のピアノ伴奏部を借用したのでこの通称を持ちます。全体を通じ、ロマン的な情趣に満ちており、ことに第1楽章の主題のもつインパクトと悲愁が印象的です。
 2005年に当時英国王立音楽大学(RCM)で学んでいた友人を中心に結成し、近年アンサンブルが成熟してきたキアロスクーロ四重奏団。団体名の「Chiaroscuro(キアロスクーロ)」は美術用語で、コントラストを印象づける明暗法や陰影法を意味しますが、その名の通りシューベルトの溢れる魅力を再発見させてくれているような見事な解釈を披露しております。(輸入元情報)

【収録情報】
シューベルト:
● 弦楽四重奏曲第14番ニ短調 D.810『死と乙女』
(40:11)
● 弦楽四重奏曲第9番ト短調 D.173(21:53)

 キアロスクーロ四重奏団
  アリーナ・イブラギモヴァ(第1ヴァイオリン)
  パブロ・エルナン・ベネディ(第2ヴァイオリン)
  エミリー・ヘルンルンド(ヴィオラ)
  クレア・ティリオン(チェロ)

 録音時期:2017年3月
 録音場所:ケルン、ドイッチュラントフンク・カンマームジークザール
 録音方式:ステレオ(DSD/セッション)
 SACD Hybrid
 CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD 5.0 SURROUND

 

 

 

 

 

以上、HMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。

 

 

キアロスクーロ四重奏団というと、ハーゲン四重奏団やアルカント四重奏団と並んで、世界最高の弦楽四重奏団だと思う。

彼らの演奏するシューベルトの「死と乙女」は、私は2年半ほど前に実演を聴いた。

 

2016年4月 西宮 キアロスクーロ四重奏団 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第4番、シューベルト:同第14番、他 (記録のみ)

 

これが大変な名演で、特に第1ヴァイオリンを担当するアリーナ・イブラギモヴァのあまりの洗練ぶりに、耳がくぎ付けになった。

といっても、従来型のいわゆる「第1ヴァイオリン主導型」、つまり第1ヴァイオリンばかりが目立つようなタイプの団体ではない。

第1ヴァイオリンが全体の音楽性を牽引しているけれど、第1ヴァイオリンが前に出すぎることはなく、アンサンブルは緊密でゆるぎない。

 

 

今回のCDを聴いて、このときの実演を思い出すことができた。

これまで、「死と乙女」の録音としてはハーゲン四重奏団のものが好きだったが、今回のキアロスクーロ四重奏団盤はこれを超えるほどの出来である。

ハーゲン四重奏団盤も温かみがあって良いけれど、キアロスクーロ四重奏団盤はよりシャープで繊細の極み、かつ曲の隅々まで緊張感が漲り、聴く者に息もつかせない。

 

 

それにしても、ハーゲン四重奏団盤が出て間もない頃はすっきりしたシャープな演奏だと思ったものだが、今聴くととても温かくまろやかな演奏に聴こえる。

時代の変化をしみじみと感じる。

1990年録音であり、私などまだ最近のような気がしてしまうが、考えてみれば30年近く前である。

短いようで、長い年月。

弦楽四重奏の演奏様式も、この間にかなり変わってきた。

キアロスクーロ四重奏団は、現代最先鋭の団体の一つだろう。

とはいえ、ベートーヴェンなどではやはり温かみや分厚さ、重心の低さ、芯のしっかりした安定感といったものが欲しく、これらと現代的洗練との絶妙なバランスという点において、未だにハーゲン四重奏団の右に出る者はいない。

ハーゲンとキアロスクーロ、どちらもかけがえのない四重奏団である。

 

 

ハーゲン四重奏団はシューベルトの弦楽四重奏曲第13、14、15番を録音しているけれど、キアロスクーロ四重奏団はこれまで第13番のみであった(なお、この第13番も最高の名演)。

それが、今回ついに第14番の名演が録音された。

次は、シューベルト最後にして最高の弦楽四重奏曲である第15番、これをぜひ録音してくれないものだろうか。

ハーゲン四重奏団盤ももちろん良いし、その他クス四重奏団盤なども悪くないのだが、キアロスクーロ四重奏団ならこれらを超える名盤になりうる、と私は考えている。

 

 


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