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音楽に映画たまに美術、そして読書三昧のブログです

手塚治虫展

 

 四日市市博物館で開催されている「手塚治虫展」に出かけてきました。この四日市市博物館は2017年にも出かけています。 北側入り口には、四日市市平津新町で発掘されたアケボノゾウの骨格復元模型が入り口に置かれています。博物館自体はこの建物の3-5階を占めていますが、4階は特別展示、5階はプラネタリウムになっています。今回はその4階で開催されている特別展です。実は2020年に愛知県は豊橋市の豊橋市美術博物館で開催されていたのですが、その時は足を運ぶことができなかったので今回リベンジで出かけたものです。

 

 

 

 

 今回は雨降りということもあり、近鉄電車とJR関西線を使って出かけました。四日市は三重県で県庁所在地の「津市」よりも大きな町ですが、あまり知られていないこともあり、以前は自虐的なキャンペーンを行っていたこともあります。

 

 

 

四日市市立博物館

 

4界の会場は正面に「鉄腕アトム」のお出迎えです

 

 17歳のデビューから60歳でこの世を去るまでの43年間、第一線の作家として活躍し続けた手塚治虫(1928-89)。「マンガの神様」と称される手塚の生み出した多様な作品や魅力的なキャラクターたちは、現在も日本はもとより世界中の人々から愛され続けています。子どもから大人までを対象とした幅広いジャンルの作品には、手塚が生涯問い続けた人間や生命の尊さに関わる深いテーマやメッセージが込められており、昭和・平成・令和という時代の移り変わりとともに、新たな事態に直面する現在においても普遍的な輝きを放っています。

本展は、マンガ家・手塚治虫誕生から「ジャングル大帝」「鉄腕アトム」「リボンの騎士」「火の鳥」「ブラック・ジャック」などの代表作を生み出した足跡を紹介するとともに、ストーリーマンガの確立、アニメーションへの挑戦など、多様な視点でその業績を振り返るものです。本展では、手塚治虫の生涯や、手がけた膨大なマンガ、アニメーション作品の中から、約200点におよぶ原稿、映像、資料に加えて、愛用品など貴重な品々をご紹介しています。手塚が手がけたマンガの原稿、映像・資料・愛用の品々なども合わせて紹介することで手塚作品の歴史をたどる構成になっています。

 

展覧会の構成

 

第1部 手塚治虫の誕生

第2部 作家・手塚治虫

第3部 手塚治虫のメッセージ

の3部構成で展示されています。このほか、映像作品として、

虫プロダクションのスタジオ内風景 6分

映画『手塚治虫のブッダ』(2011年)より 13分

手塚治虫伝 マンガ篇 25分

なども上映していてなかなか充実した時間を過ごすことができました。

 

 

手塚作品オールスター

 

写真撮影OKの手塚治虫のオブジェ

 

 

 そして、以下のパネルがあちこちに展示されていました。

 

手塚作品メインキャスター

 

リボンの騎士

どろろ

海のトリトン

不思議なメルモ

ジャングル大帝

ブラックジャック


火の鳥

 

こんなセットも組まれていました、

 

 

手塚治の愛用品が展示されています

 

 

 

 

シップウェイ/マーラー交響曲第5番

 

マーラー
交響曲第5番嬰ハ短調

1.第1楽章 In gemessenem Schritt. Streng. Wie ein Kondukt.    13:10

2.第2楽章 Stürmisch bewegt. Mit grösster Vehemenz.    15:27

3.第3楽章 Kräftig, nicht zu schnell.    17:36

4.第4楽章 Adagietto. Sehr langsam.    12:25

5.第5楽章 Rondo-Finale. Allegro giocoso. Frisch.    14:40

 

指揮:フランク・シップウェイ
演奏:ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団

録音:1996 ワトフォード・コロセウム

P:アラン・ピーターズ

E:リチャード・ミラード

 

 手持ちの「The Greatest Classical MASTERWORKS Vol.2」のなかで、もう一つ評価が高いのがこのフランク・シップウェイ指揮のマーラーの交響曲第5番です。ということでこちらも取り上げてみることにしました。画像は同じデザインでタイトルだけが差し替えになっているだけなので単品発売されているものを使いました。

 

 他のロイヤルフィルのこのシリーズの録音はCTIスタジオでもっぱら捲音されていますが、この一枚はワトフォード・コロセウムで録音されています。近年はこのホールでの録音も増えています。コロシアムは様々な映画のサウンドトラックの録音に使用され、BBCコンサート・オーケストラのコンサート(フライデー・ナイト・イズ・ミュージック・ナイトなど)も定期的に開催されています。以前のタウンホールの後継施設です。

 

ワトフォード・コロセウム

 

 ここで指揮をしてるイギリスの指揮者、フランク・シップウェイは、バルビローリに学び、カラヤンの助手を務め、ヨーロッパのオペラ・ハウスでも活躍してきました。ロイヤル・フィルとの共演においては成果を残しており、このマーラーも評価の高い演奏です。このボックスセットでも、ショスタコーヴィチの交響曲第10番も収録されています。 カラヤンとは違い、なりふり構わぬ叫喚が聴こえて来ます。その一方繊細な表現も素晴らしい。第4楽章アダージェットの霧の中から聴こえてくるような幻想的な美しさは、又カラヤンとは一味違う魅力的な世界です。 弱音から強音迄の振幅の大きさもマーラーに良く合っています。

 

 巷では結構評判のいい録音なんですが、発売されたタイミングと発売方法に難点があり、ほとんど世間に知られることなく駅売りのCDの中に抛りこまれてしまったので録音は良くてもB級クラシックとしての評価しか得られなかったのでしょう。フランク・シップウェイは1935年、バーミンガム生まれです。幼少期より父親にピアノを学び、ロンドンの王立音楽大学に進学してピアノを専攻しましたが、在学中に指揮法に興味を持つようになりました。マルケヴィチ、バルビローリに師事した後、カラヤンの助手も経験しています。

 

 1963年に南西エセックス交響楽団の音楽監督となり、同楽団がフォレスト・フィルハーモニー協会に名称変更した後も1991年まで音楽監督として在任した。1973年にはベルリン・ドイツ・オペラでロリン・マゼールの助手、1985年から1988年までDR放送交響楽団、1989年から1991年までベルギーのロイヤル・フランダース・フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者を歴任しています。イタリア国立放送交響楽団の初代首席指揮者を1994年から4年間つとめたほか、。1996年から1999年までベルギーBRT放送フィルハーモニー管弦楽団(現ブリュッセル・フィルハーモニック)、1999年よりザグレブ・フィルハーモニー管弦楽団で首席指揮者、芸術監督として活動していましたが、2014年8月5日、ウィルトシャーで交通事故に遭い、翌8月6日に死去しました。享年79歳でした。

 

どことなくカラヤンのイメージに似ているシップウェイ


 第1楽章冒頭の輝きのあるトランペットのソロは、素直にかっこいい響きです。この一連の録音は多分フリーのエンジニアを使っての録音なんでしょうが、ホールトーンをしっかりと捉え左右に広がるステレオ感の中にきっちりとマーラーサウンドを作り上げています。ロンドンの5大オーケストラの一翼を担っているだけあり、アンサンブルはよく整えられていて、バランスも良い演奏です。シップウェイも無理なテンポや表現で人を惹きつけようなどという山っ気は全くなく、あまり悲壮感を表に出さず、さりとて、一本調子にならない絶妙なバランスでマーラーの嗜好を描き出しています。

 第2楽章も序奏は派手にオーケストラを鳴らしますが乾いた響きででドロドロしないところが特徴です。その後に続く弦楽の響きの対比が見事で急と緩の対比を見事に描き出しています。こういう音響と曲の持つ情感をソナタ形式の音楽の中に見事に織り込んでいます。ここまでオーケストラを見事にコントロールしているシップウェイの力量にこの最初の2楽章を聴いただけで引き込まれてしまいます。

 第3楽章は何といってもロイヤルフィルの主席のジョン・バイムソンのスカッとするホルン。天を駆ける。やりすぎなほどのこの威勢は最高です。この素晴らしいホールで音を割らんばかりの最強音で朗々と鳴るホルンを聴くだけで爽快になります。打楽器群も鮮烈な響きで拾っています。

 第4楽章アダージョがまた絶品です。北欧の空気感に通ずるキーンと冷えた空気の中、抑えた弦がたおやかに進行していきます。この慎ましい情感の表出は天守テット/ロンドンフィルにも通じるものがあり英国のオーケストラの良さなんでしょうか。最後の盛り上がりから音は夢見るように儚く深淵の中に消えていきます。このオーケストラコントロールは見事です。ここではロイヤルフィルは金管ばかりでなく弦も素晴らしいことを認識させてくれます。

 終楽章は音を短く軽々と響かせて始まります。粘っこさはないのでスッキリとまとまっています。もともと精神分裂的な響きの重なりの中で、音楽が流麗な弦の流れの中を自在に響いていき、そこにストレートに響く金管と荒々しながらクリアーな打楽器が乗って気持のよいフィナーレに突き進みます。非常に分かりやすい演奏で葬送行進曲で始まる音楽が最後テンコセクの音楽にまで昇華されている様を感じ取ることができます。

 

 

 

 

ジェフリー・ブライアント

モーツァルトホルン協奏曲

 

曲目/モーツァルト

ホルン協奏曲全集
ホルン協奏曲第1番ニ長調K412
1..Allegro(4:44)
2..Allegro(3:51)
ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417

3..Allegro maestoso(6:13)
4.Andante(3:33)
5.Rondo(3:39)

ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447

6. Allegro(7:33)
7.Romance; Larghetto(4:23)
8.Allegro(3:37)
4.ホルン協奏曲第4番変ホ長調K495
9. Allegro moderato(8:28)
10.Romanza; Andante(4:27)
11. Rondo; Allegro vivace(3:30)
12.ロンド 変ホ長調 K.371(ハンフリーズ校訂版)  (4:42)

 

ホルン/ジェフリー・ブライアント
指揮/トーマス・ダウスゴー
演奏/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団


録音/1994/10   CTSスタジオ ロンドン 

menbran   233253-18



 

 多分ほとんど知られていない演奏でしょう。メンブランの30枚組のボックスセットで、2013年ごろに発売されています。このボックスの中からは当時はアレクサンダー・ギブソンのベルリオーズの序曲集を取り上げただけでした。

 

 

 で、すっかり忘れ去っていたのですが、久しぶりに棚の奥から引っ張り出したら結構面白い音源が含まれているのが分かりました。モーツァルトのホルン協奏曲はモーツァルトの協奏曲作品の中でも一番好きなもので、かなりの音源を所有していますが、このジェフリー・ブライアントは大手の通販サイトしか扱っていない音源だったので購入を見送っていた一枚であったのです。それがこのボックスセットにひっそりと収蔵されていたのですなぁ。


 ジェフリー・ブライアント48歳のときのモーツァルトのホルン協奏曲全集です。イングランド西部のブリストルに生まれています。16歳からホルンを始め、王立音楽院でアイファー・ジェームズに師事する。アイファー・ジェームズの弟子だったんですなぁ。BBCミッドランド・ライト・オーケストラ、ボーンマス交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団の首席奏者を経て、1975年から1997年までロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者を務めていました。ということで、ブライアントは当時ロイヤル・フィルハーモニーの首席ホルン奏者でした。

 

ジェフリー・ブライアント

 

 指揮のトーマス・ダウスゴーはスウェーデン人ですが日本と意外と関係が深く、1988年シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭にてバーンスタインのマスタークラスを受講。90年には岩城宏之に師事し、その後小澤征爾の指名によって1993-95年はボストン交響楽団のアシスタント・コンダクターをつとめていました。ですからこの録音はその時代になされたものです。最近でも頻繁に来日して、東京都交響楽団や新日本フィルハーモニー交響楽団を指揮しています。今年も来日して名フィルにも客演していました。今ではスウェーデン指揮界の重鎮ですから珍しい録音を残してくれたものです。当時は31歳です。ここではゆったりとしたテンポ設定でありながら、メリハリのあるバックを努めています。

 

トーマス・ダウスゴー


 ホルン協奏曲第1番はダウスゴーゆっくりとしたテンポに乗ってブライアントのレガートの美しい演奏になっています。イギリス伝統のホルンの響きがあります。第2楽章のロンドは流麗な演奏です。なお今では一般的ですが、モーツァルトの弟子のジェスマイアーの編曲版を使用しています。

 

 


 ホルン協奏曲第2番は実に美しい響きのホルンが流れます。第1楽章の展開部は素晴らしい演奏です。オーケストラの響きがまたきれいです。第2楽章のアンダンテはレガート、スラーと流麗な演奏でモーツァルトの美しい響きが聴かれます。第3楽章のロンドは軽快な演奏です。力みのないホルンがきれいです。途中に短いカデンツァが入ります。

 

 

 


 ホルン協奏曲第3番はモーツァルトのホルン協奏曲で唯一クラリネットとファゴットがオーケストラに入るので響きが違います。それだけにホルンの響きが引き立ちます。ホルンの主題もよくできています。ブライアントのホルンはレガートのきれいな演奏ですが、弦楽の美しさがまた素晴らしいです。ダウスゴーがいい仕事をしています。この曲でハンズフリーの実力の程が分かります。カデンツァは低音から高音まで使うオリジナルで演奏しています。この曲でハンズフリーのこの録音を見直しました。素晴らしい演奏です。第2楽章のロマンツェは丁寧な演奏でそのホルンの柔らかな響きがホールに広がります。第3楽章のアレグロは軽やかなホルンが魅力的です。この録音、発売時はロイヤルフィルの自主録音レーベルで発売されていますが、ディストリビューターがつかずほとんど知られていません。のちにメンブランが音源を買い上げて一括発売してこうして知られるようになりましたが、一般の流通ルートには乗っていないのでこういうボックスセットで発売されたのでしょう。

 

 

 


 ホルン協奏曲第4番は厚い響きの前奏が素晴らしいです。ホルンのソロは流麗で実に素晴らしい響きが流れます。カデンツァは長いもので見事な演奏です。第2楽章のロマンツェは大変美しい演奏です。ホルンのまろやかな響きが流れます。第3楽章のロンドは狩りのホルン風の軽やかなホルンが魅力です。コーダ前に短いカデンツァが入ります。

 

 

 


 ロンドK371はハンフリーズ校訂で提示部の60小節が入るヴァージョンです。この演奏はさわやかな印象を受けます。オーケストラのアレンジもきれいです。主部の一部フレーズの追加がありますが面白いです。カデンツァは表現力豊かで素晴らしい演奏です。このアルバムは隠れた名盤名演奏でしょう。

 

 

 

第18回楽遊会作品展

 

 

 ボールペン画は個人的に好きなので今週も出かけてみました。

 

 

今年も力作が並んでいます。ただ、配られていたリストは少々変更があったようで、下記のようになっていました。

 

作品を厳選して、最新のものが並べられたんで消なぁ。

 

 

 

写実一辺倒ではなく、こんな作品も並んでいました

 

金沢駅の東口のシンボル「鼓門」ですな

 

 

 

こちらは京都東本願寺の渉成園 燕申堂ですね今年公開されていました

 

 

 

清水氏は毎年車の絵を出品しています

 

今年の案内はがきは別バージョンの1965年の銀座の風景でした

 

カリフォルニア州レゲットにある高さ84メートルのセコイアの木ですな

 

 

 

 

 

雪除けの庇があるのはさすが青森ですなぁ

 

懐かしの瀬戸電です

 

 26日まで「市民ギャラリー栄」開催されています。

 

 

昨年の様子

 

 

 

 

 

 

 

第43回シンフォニックウィンズ定期演奏会

 

曲目/

 

 

 

今回の編成です。左にピアノと電子オルガン、右のコントラバスの横にはボイスシンセサイザーが配置されています。

 

 今回は指揮者としては四人登場していました。最初は山口尚人氏の指揮でお馴染みのジョン・ウィリアムズのロスアンジェルスオリンピックのために書かれた「オリンピックファンファーレとテーマ」でした。今でもよく覚えていますが、ジョン・ウィリアムズが入場行進の間中エンドレスで指揮していたのが印象的でいやが上でもこのメロディが頭にこびりついてしまいました。1984年のこのオリンピックはコマーシャルベースで運営されていて、その後のオリンピックを大きく変えた大会でした。オリンピックの競技のテーマ曲を集めたCDが製作され爆発的に売れたのを覚えています。

 

 

 

 2曲目も最近よく耳にするマルコム・アーノルドの「第六の幸福をもたらす宿」でした。この曲はもともと映画音楽なのですが、アーノルドの弟子のクリストファー・パルマーがオーケストラ用の管弦楽曲として作品化しています。それを瀬尾宗利が編曲したのが吹奏楽版で、ここで演奏されました。曲は3曲の組曲になっています。

 第1楽章 ロンドン・プレリュード

 第2楽章 ロマンティックな間奏曲

 第3楽章 ハッピー・エンディング

 

 マルコム・アーノルドは一般には映画音楽の作曲家としての方が知られているのではないでしょうか。最も有名な作品は「戦場に掛ける橋」でしょう。この曲も管弦楽組曲が存在しますが、この「第六の幸福をもたらす宿」も非常にわかりやすい作品です。

 

 1930年代に中国と中国人を心から愛して自らの人生を捧げて、100人の中国人孤児達を日本軍の攻撃から懸命に守り抜いたイギリス人女性宣教師グラディス・エイルウォード(1902年 - 1970年)の半生を描いたアラン・バージェスの小説を基にした映画化作品であり、マーク・ロブソンが監督、イングリッド・バーグマンとクルト・ユルゲンス、ロバート・ドーナットが主演して、シネマスコープを用いて撮影された。映画の題名となっている「六番目の幸福」(The Sixth Happiness)とは、中国では人の幸福には「長寿、富貴、健康、道徳、天寿」の5つがあると伝えられていて、最後にもう1つ、各自その人だけが持つことが出来る唯一の幸福が存在しており、自分自身で見つける自分だけの幸福をこの6番目の幸福というわけです。で、グラディス・エイルウォードは中国の奥地ワンチェンという村で宿を開いて布教に努めるというわけで曲のタイトルに宿がついています。

 

 第一楽章のように高らかにテーマが響くのですが、後ろから山越えの厳しさを表すように、伴奏が迫ってきます。不安や焦燥感を掻き立てまくった後、主題が鳴り響き曲は一転、軽やかにドラムマーチが始まります。ピッコロが歌い出すのは先程登場した童謡のメロディ。最初は遠くから聞こえて来るように軽やかに、そして楽器を変えながら何度も繰り返し続け、徐々に盛大になっていきます。転調してクライマックスを迎えると、木管達による温かな愛のテーマが流れます。最後は決意のテーマの断片と、盛大なハーモニーで終幕です。曲全体を通して登場する二つのテーマ、そしてマザーグースのメロディーなど、親しみやすい旋律が多く使われています。なかなか楽しめる演奏でした。

 

 

 プログラムにはただ曲名だけが描かれているという非常に不親切なものです。3曲目のネリベルの「二つの交響的断章」1969の作曲になる作品で、その名の通り対照を成す2つの楽章で構成されています。曲は

第1楽章 マルカート

第2楽章 アレグロ・インペトゥオーソ

という構成で、静と動の構成で書かれています。D-A-F-B♭を動機とした曲調は黒々としたイメージ。しかしながら生命力がたゆみなく感じられ、バッキングのリズムや和音の斬新さ、音色の多様さも示すなど、非常に多くの表情を持つ作品です。また打楽器群が大活躍するのですが、本曲中では打楽器の撥につき"very soft"から"very hard"の5段階で細かく指定されており、ネリベルの強いこだわりが感じられる作品になっています。

 

 

 前半最後はガーシュインの「ラプソディー・イン・ブルー」が演奏されましたが、出だしこそ通常のクラリネットのジャジーナソロで始まりますが、あとは全くポップス調に変わりちょいと付いていくのが大変でした。ちょっと場違いの編曲バージョンのような気がしましたがどうなんでしょう。下の演奏で確認してみてくださいな。

 

 

 後半のプログラムは今年から講師陣に加わった東大路憲太氏の作品の吹奏楽バージョンでアニメ「ウマ娘」の「ユメヲカケル」が演奏されました。一応世界初演ですぞ!!原曲は下です。

 

 

 なを、今年の12月17日の「シンフォニーコンサート」ではこの東大路憲太氏の委嘱作品が演奏されるそうです。これも世界初演ですから楽しみです。

 

 

 最後はいわゆる「ロード・オブ・ザ・リング」ですな。しかし、こちらは純粋な吹奏楽作品で、ヨハン・デ・メイがさっきょくしたものです。イギリスの作家ジョン・R・R・トールキンのファンタジー小説『指輪物語』を題材に、1984年3月から1987年12月にかけて作曲された、デ・メイの最初の本格的な作曲作品であす。5楽章からなる演奏時間約42分の吹奏楽のための交響曲として書かれた。今回はその第1楽章が演奏されました。

 

 

プログラム終了時は四人の指揮者が登場しました

 

 そして、今回の演奏会最後に動画撮影O.Kで、これも新作の山口尚人氏が作曲した「シンフォのアンコール(仮)」が演奏されました。総勢138人のメンバーによる演奏は大音響で聞き応えがありました。

 

全員勢揃いのアンコール