ジェフリー・ブライアント/モーツァルトホルン協奏曲 | geezenstacの森

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ジェフリー・ブライアント

モーツァルトホルン協奏曲

 

曲目/モーツァルト

ホルン協奏曲全集
ホルン協奏曲第1番ニ長調K412
1..Allegro(4:44)
2..Allegro(3:51)
ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417

3..Allegro maestoso(6:13)
4.Andante(3:33)
5.Rondo(3:39)

ホルン協奏曲第3番変ホ長調K447

6. Allegro(7:33)
7.Romance; Larghetto(4:23)
8.Allegro(3:37)
4.ホルン協奏曲第4番変ホ長調K495
9. Allegro moderato(8:28)
10.Romanza; Andante(4:27)
11. Rondo; Allegro vivace(3:30)
12.ロンド 変ホ長調 K.371(ハンフリーズ校訂版)  (4:42)

 

ホルン/ジェフリー・ブライアント
指揮/トーマス・ダウスゴー
演奏/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団


録音/1994/10   CTSスタジオ ロンドン 

menbran   233253-18



 

 多分ほとんど知られていない演奏でしょう。メンブランの30枚組のボックスセットで、2013年ごろに発売されています。このボックスの中からは当時はアレクサンダー・ギブソンのベルリオーズの序曲集を取り上げただけでした。

 

 

 で、すっかり忘れ去っていたのですが、久しぶりに棚の奥から引っ張り出したら結構面白い音源が含まれているのが分かりました。モーツァルトのホルン協奏曲はモーツァルトの協奏曲作品の中でも一番好きなもので、かなりの音源を所有していますが、このジェフリー・ブライアントは大手の通販サイトしか扱っていない音源だったので購入を見送っていた一枚であったのです。それがこのボックスセットにひっそりと収蔵されていたのですなぁ。


 ジェフリー・ブライアント48歳のときのモーツァルトのホルン協奏曲全集です。イングランド西部のブリストルに生まれています。16歳からホルンを始め、王立音楽院でアイファー・ジェームズに師事する。アイファー・ジェームズの弟子だったんですなぁ。BBCミッドランド・ライト・オーケストラ、ボーンマス交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団の首席奏者を経て、1975年から1997年までロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者を務めていました。ということで、ブライアントは当時ロイヤル・フィルハーモニーの首席ホルン奏者でした。

 

ジェフリー・ブライアント

 

 指揮のトーマス・ダウスゴーはスウェーデン人ですが日本と意外と関係が深く、1988年シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭にてバーンスタインのマスタークラスを受講。90年には岩城宏之に師事し、その後小澤征爾の指名によって1993-95年はボストン交響楽団のアシスタント・コンダクターをつとめていました。ですからこの録音はその時代になされたものです。最近でも頻繁に来日して、東京都交響楽団や新日本フィルハーモニー交響楽団を指揮しています。今年も来日して名フィルにも客演していました。今ではスウェーデン指揮界の重鎮ですから珍しい録音を残してくれたものです。当時は31歳です。ここではゆったりとしたテンポ設定でありながら、メリハリのあるバックを努めています。

 

トーマス・ダウスゴー


 ホルン協奏曲第1番はダウスゴーゆっくりとしたテンポに乗ってブライアントのレガートの美しい演奏になっています。イギリス伝統のホルンの響きがあります。第2楽章のロンドは流麗な演奏です。なお今では一般的ですが、モーツァルトの弟子のジェスマイアーの編曲版を使用しています。

 

 


 ホルン協奏曲第2番は実に美しい響きのホルンが流れます。第1楽章の展開部は素晴らしい演奏です。オーケストラの響きがまたきれいです。第2楽章のアンダンテはレガート、スラーと流麗な演奏でモーツァルトの美しい響きが聴かれます。第3楽章のロンドは軽快な演奏です。力みのないホルンがきれいです。途中に短いカデンツァが入ります。

 

 

 


 ホルン協奏曲第3番はモーツァルトのホルン協奏曲で唯一クラリネットとファゴットがオーケストラに入るので響きが違います。それだけにホルンの響きが引き立ちます。ホルンの主題もよくできています。ブライアントのホルンはレガートのきれいな演奏ですが、弦楽の美しさがまた素晴らしいです。ダウスゴーがいい仕事をしています。この曲でハンズフリーの実力の程が分かります。カデンツァは低音から高音まで使うオリジナルで演奏しています。この曲でハンズフリーのこの録音を見直しました。素晴らしい演奏です。第2楽章のロマンツェは丁寧な演奏でそのホルンの柔らかな響きがホールに広がります。第3楽章のアレグロは軽やかなホルンが魅力的です。この録音、発売時はロイヤルフィルの自主録音レーベルで発売されていますが、ディストリビューターがつかずほとんど知られていません。のちにメンブランが音源を買い上げて一括発売してこうして知られるようになりましたが、一般の流通ルートには乗っていないのでこういうボックスセットで発売されたのでしょう。

 

 

 


 ホルン協奏曲第4番は厚い響きの前奏が素晴らしいです。ホルンのソロは流麗で実に素晴らしい響きが流れます。カデンツァは長いもので見事な演奏です。第2楽章のロマンツェは大変美しい演奏です。ホルンのまろやかな響きが流れます。第3楽章のロンドは狩りのホルン風の軽やかなホルンが魅力です。コーダ前に短いカデンツァが入ります。

 

 

 


 ロンドK371はハンフリーズ校訂で提示部の60小節が入るヴァージョンです。この演奏はさわやかな印象を受けます。オーケストラのアレンジもきれいです。主部の一部フレーズの追加がありますが面白いです。カデンツァは表現力豊かで素晴らしい演奏です。このアルバムは隠れた名盤名演奏でしょう。