胸痛と首の痛み (肺炎の後遺症?!) の整体治療
癒着している可能性のある胸膜の解放と、気管支動静脈の循環促進により、胸痛・首痛を改善した症例の解説です。
患者Tさん=43才-女性-主婦/会社員の症例
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はじめに
・解説文は少し長文ですので、概略を簡単にご説明します。
・今まで、他院でマッサージ・骨盤矯正をされていても全く効果が無い胸痛・首痛ですから、他の原因を見つけることが治癒への早道であると考えました。
そこで見方を変え胸部聴診を確認すると、かすかな肺の副雑音が聴取され、さらに改めて問診すると、数か月前に家族の数人がマイコプラズマ肺炎に罹患し、Tさん本人も強い風邪症状の既往があった事が分かりました。
・現在、Tさんに肺炎or風邪所見はありませんから、現在進行形的な肺疾患の雑音の可能性は低く、その際の後遺障害(胸膜等の癒着・他)があるのでは、と思われました。それが今回の胸痛・首痛の原因では、と考えられました。
そこで先述の胸膜の癒着を取る整体治療や、肺その他の免疫力&細胞再生力の回復・向上を目的とした整体治療で、わずか5回の施術で完治した症例です。
・一般的に言えることですが、数回マッサージ等をしても改善しない場合、今回のTさんのように、何らかの基礎疾患の存在orその後遺症害があり、それが原因している事が極めて多いものです。
今回もその一例だったと思います。
但し、肺腫瘍のような、現在進行形の病変が潜在的に進行している可能性もあるので、整体治療で改善したとしても、念のための精査を勧めておくことは大切です。
不明な点やご質問は当院お問い合わせHPか、お電話 (06-6180-6880) にてご相談ください。
それでは、よろしくお読みください。
① Sさんの病歴・・・
・初潮の頃からひどい生理痛や排卵痛で悩まれていた患者Sさんでしたが、1-2か月前から月経時に「右の胸(☚R2胸骨右縁より約4cm外方で肋骨のすぐ裏付近/100円玉大)」も痛むようになったそうです。また、それとは別に右首の後部の筋も痛むことがあるそうです。月経時や排卵時以外でも痛むこともあるそうです。生理痛や排卵痛の治療と並行してこの件も整体治療する事になりました。
② Sさんの診察
※右胸の痛みの診察所見
・この件で、病院を受診した事は無いそうです。
・痛みの質は”ズキズキ”といった感じだそうです。痛みの持続期間はまちまちだそうです。
・若い頃から月経前になると胸(乳房)が痛くなり、時折乳房マッサージを受けた事があるそうです。しかし三度の出産後から痛まなくなったそうです。
・体重の変動は無いそうです。
・触診上、肋骨の骨叩打痛や圧迫による痛みの誘発はありませんでした。
・咳や痰などは無いそうです。また、発熱も無いそうです。
・頸部および腋窩や鼠径部のリンパ節腫脹はありませんでした。
・胸部打診上、当該部位は清音でした。
・胸部聴診上、当該部位でごく微弱な副雑音(パチパチ音=断続性ラ音又は湿性ラ音)を吸気時に聴取しました。反対側の同部やその他の領域では副雑音を聴取出来ませんでした。また、当該部位でのささやき雑音は陽性で、声音振盪も陽性でした。
・改めて呼吸器系の疾患等の既往歴の問診すると、呼吸器疾患の既往は心当たりがないとの事でした。さらによくよくお聞きすると、今から5-6か月前に末っ子のお子さん(9才・男児)が「マイコプラズマ性の蕁麻疹」との診断を受けた事があるそうです(☚蕁麻疹発症前に風邪症候群様の所見あり)。そのほぼ一か月後にSさんを始め家族全員(夫、子供二人)も風邪症候群的な所見があり(☚Sさん曰く=オオカゼ=と仰っていました。)、初期には発熱もあり、一か月超も咳や痰がかなり出ていたそうです。またその頃、その9才男児の所属する野球チーム内の男児3名がマイコプラズマ肺炎に罹患して、野球の練習を休んでいたそうです。
・首の痛みに関しては右首の頭板状筋or頭半棘筋上方で50円玉程度の範囲が痛むそうです。痛み方は気が付いた時に自然に生じていて、また気がつくと自然に痛みが消失しているそうです。安静時痛で運動による増強はそれほど強くないそうです。また、胸の痛みと首の痛みが連動する事もあれば無い事もあるそうです。接骨院では骨盤が歪んでいて、肩が下がっているので首に負担がかかり、それが首の痛みの原因との事で、2~3か月前から接骨院で骨盤矯正と首のマッサージをしているそうです。
※生理痛・他での初診時の診察所見
「月経時のこめかみ(眉毛の外側)の頭痛と鼠径部-会陰-下肢の生理痛の整体治療」参照
➂ 治療目標と整体治療
⑴ 絞扼されている可能性のある気管支動脈を解放し、気道の局所免疫力を回復する。また気管上皮細胞の繊毛運動の改善を図り、気道内の異物等の排出を促進する
⑵ 癒着している可能性のある胸膜(縦郭胸膜、肋骨胸膜、横隔胸膜)を解放する
⑶ 専門医での胸部の精査を勧める
・気管支動脈(B1~3領域)解放テクニック
・肋骨胸膜解放テクニック
・縦郭胸膜解放テクニック
・肋骨横隔洞解放テクニック
・念のために専門医を紹介する
④ 経過と結果・・・
・2診目来院時、
「前回の治療から胸の痛みが無くなりました。」と仰っていました。胸部聴診上、右上胸部の副雑音はやや軽減していました。ただ、病院には行っていないそうですので、改めて念のために受診する事を勧めました。
・3診目治療後、
「息が軽くなって、首筋全体のコリもかなり楽になりました」と仰っていました
・4診目来院時、
「(右胸の)痛みも咳も一度もありませんでした。」と仰っていました。しかし聴診上、極めて小さな副雑音が右肺上葉に聴取できましたので、念のためもう少し右肺上葉の局所免疫力を回復・増進する整体治療を施術しておきました。また、呼吸器系の病院に受診はされていませんでしたので、改めて受診するよう勧めておきました。
・5診目来院時、
「この2週間(右胸の)痛みも咳も一度もありませんでした。」と仰っていましたので、治療を終了する事にしました。
⑤ 今回の症例の概説、、、
・以前に月経周期によって膨張する乳房痛の治療歴のあるSさんは、当初は胸の痛みが月経と関係するものと思っておられたようです。ひどい生理痛や排卵痛に長年悩まされていたのですから、それも当然かもしれません。ただ疼痛部位が乳房の範囲よりやや上部にあり、疼痛の深さも肋骨のすぐ裏面付近との事ですから、とりあえず月経-乳房関連の可能性は低いのでは、と思いました(月経随伴性気胸的な病態の可能性は否定できないが)。
・部位的には肋骨を始め肺あるいは胸膜、そして大血管などの重要臓器のある部位ですから、念のために聴診するとやはり吸気時にパチパチといった断続性ラ音様の副雑音が聴取されました。そして同部におけるささやき音や声音振盪の増強も認められましたので、この段階で胸部の専門医への受診を勧めるのが妥当と思われます。
・ただこの過程で改めて問診してみると、数か月前からお子さんや本人を含むご家族の方々がひどい風邪症候群様の所見を呈していて、特に末っ子のお子さんはマイコプラズマ感染が確認され、さらにその末っ子さんの所属する野球チーム内にマイコプラズマ肺炎罹患者もおられることが分かりました。
・これらの病歴を勘案するとSさん本人もマイコプラズマ肺炎に感染していた可能性があるのでは、と思いました。マイコプラズマ肺炎は感染後数十日の潜伏期化を経て発症しますが、その症状発現には個人差があり、中には肺炎である事を気づかないケースもあるようです。
・末っ子さんのマイコプラズマ肺炎と思われる症状の1か月後にSさんも含む家族全員が風邪症候群的な所見に罹患している事から(☚Sさんは”オオカゼ”と言っておられました)、マイコプラズマ肺炎の可能性が高いのでは、と思われます。一般的に”マイコプラズマに対しては自然治癒するケースは低い”と言われていますが、Sさんは発症時に医療機関を受診されていませんでしたから、おそらく完治まではいかず、数か月経った今でもある程度のマイコプラズマ菌の活動が続いているのでは、と思いました。
肺の栄養を司る気管支動脈
・どちらにしましても、先述のごとく適切な医療機関の受診を勧めることが(家族も含めて)今回の胸の痛みに対する第一選択肢、には違いありません。ただ、整体師の本業として、患者さん自身の自然治癒力を最高の状態にしていくことも我々の仕事ですから、上記③「治療目標と整体治療」に掲げる施術をしておきました。
・右首の痛みについては、その臨床所見からただの不良姿勢や筋肉疲労などによるものではなく、何らかの基礎疾患が関与している可能性が高いと思われます。やはりこれもマイコプラズマ肺炎の後遺障害的機序によるものでは、と推定します。ちなみに頭板状筋はT3棘突起~項靭帯から乳様突起付近に、頭半棘筋はT7~C3横突起から後頭骨に起始-停止していますから、肺尖部の胸膜に緊張性癒着(?)などがあると同筋にもその緊張が伝搬し、首の当該部位の痛みとして生じる可能性があります。
・従って、右胸の治療と同様の目標-整体テクニックでもって施術にあたると、首の痛みも緩和するのでは、と思われました。実際に施術すると、頭板状筋や頭半棘筋だけでなく、その他の首筋にある筋肉群が全般的にスッキリしたそうですから、この仮説もある程度妥当性があるのでは、と思われます。
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上記解説文で不明な点やご質問は当院お問い合わせHPか、お電話 (06-6180-6880) にてご相談ください。
それではお大事にしてください。
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【参考整体コラム】
● 骨の血液循環
● 心臓疾患(大動脈弁狭窄症)の患者さん
●胸骨下角･･･ってご存知ですか?「おデブさんの呼吸困難について・・・」
● 肺線維症の患者さんの思いで
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