肺線維症の患者さんの思いで
肺線維症・・・
この言葉だけではピンとこないかもしれませんね。
簡単に言うと肺の中に線維=コラーゲンが増加-蓄積していく疾患です。
それでもピンときにくいかもしれません。
もう少し言うと肺の中で酸素と二酸化炭素を交換する「肺胞」と呼ばれる組織が次々と消失していき、その空洞部分にコラーゲンが蓄積していく病気です(☚原因は様々です)。
エッ、「それやったら呼吸はどうなんねん?」って。
それは当然呼吸困難、つまり息苦しくなっていくのです。進行すると小さな「携帯酸素ボンベ」からチューブで常時鼻に酸素を送り続けなければならなくなります。
この疾患の患者さん(60代・男性・自営業)が来院されました。やはり「携帯酸素ボンベ」を持参されていて、来院時にはかなり進行していたようです。
酸素吸入をしていても、10歩歩行するだけで「ゼイゼイ」と肩で息をしなければなりません。
毎回タクシーで来られるのですが、ご自宅から私の整体院に来院するだけでも命がけです。待合室にようやくたどり着いても、数分間は待合室の椅子にて苦しそうに息がある程度整うまでがまんされていました。
そして待合室から治療室に歩いてこられる、、、これも一苦労。
何気なく、何の苦労もなく、簡単に空気を吸うことが出来る、こんなごく単純な当たり前の「呼吸運動」が何とありがたい事なのか!! 改めて「健康」というものに感謝する、否感謝させられる光景でした。
私の父も40年前に肺癌で亡くなりました。最後の1-2ヶ月はとても呼吸が苦しそうでした。この患者さんを見ていると、当然の様に弱りきった父の姿が思い出されました。
私が整体の世界、医療の世界に入った大きな動機の一つである父の病気。
父の病気を、否、癌は無理でもチョットでも苦しんでいる方々を楽にして差し上げるために、今まで苦労してきたのではないのか? その様な自分の原点を見直させて頂ける患者さんでもありました。
数か月通って頂きましたが、その患者さんは入院されました。何度かお見舞いにも行きました。しかしやがて亡くなられました。
ほんの少しでも貢献できたのでろうか。。。お役に立てたのだろうか、、、それは全く分かりません。
今でもこの患者さんのお顔を忘れることが出来ません。
お話ししたことを忘れることが出来ません。
まだまだ勉強不足です。実力不足です。
お顔を思い出すたびに、「あ~、もっと勉強しなあかんな。」と思います。
その意味では私のお師匠さんの様な患者さんです。
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