授業を無断でサボり学校を抜け出した子どもに対して担任の先生がとった対応! | 元中学校教師が教える学校のウラ話

元中学校教師が教える学校のウラ話

公立の中学校で25年間、勤務していた私が「クラス替えの仕方」「修学旅行」「部活」「未納」「モンスターペアレント」「学級崩壊」「いじめ」「不登校」「人事異動」など、今まで話すことができなかった、学校のウラ話をお伝えしていきます。

テーマ:

担任の先生の愛情を感じた子どもが泣きながら担任に謝った!



1.バリバリの生徒指導ができる女性教諭
2.前向きにガンバル生徒や教師に優しい!
3.母親が父親を罵倒する家庭
4.お母さんに怒られるとイライラして友達にあたる生徒
5.早退?突然いなくなった生徒!
6.学校にもいない!家にもいない!どこに行ったの?
7.近所の公園やコンビニを捜索開始!
8.授業が終わったから私も捜索に出る!
9.漫画を立ち読みしている生徒を発見!
10.泣きながら生徒を抱きしめる担任教師
11.役割分担で怒ることも必要と言ってくれた先輩



1.バリバリの生徒指導ができる女性教諭

20代後半のことです。

私はある中学校で中学1年生の担任をしていました。

その時の副主任(担任頭)は加奈子先生(仮名)と言う、30代後半の先生でした。

見た目はホッソリした優しそうな先生なのですが、実は生徒指導の達人でもあります。

私と同じ学年を行う前年は最も荒れていた3年生の担任と副主任をしていました。

「ダメなものはダメ!」

問題行動を起こす生徒にはハッキリとこう言うのですが、見捨てることなく最後まで付き合う先生です。

(当時、小学校低学年のお子さんがいたため、副担任を希望していたそうなのですが、力のある先生がいなかったようで、最も荒れている学年で最も荒れている生徒の担任になっていました。)


2.前向きにガンバル生徒や教師に優しい!

加奈子先生は先輩教諭として、私にいろいろと教えて下さいました。

「先生の○○の気持ちはいいけど、その後の対応は良くなかった!」
「ああいうときは△△をして、□□のようにしたほうがいいわよ!」

もちろん、生徒の前で私を否定するのではなく、廊下や職員室などで声をかけて下さり、丁寧に教えてくれたのです。

加奈子先生は、努力をしてミスをしても怒りません。逆に褒めてくれます。

コレは子どもに対しても、後輩教師に対しても同様です。

私は加奈子先生にこう言われたくて、仕事をがんばれたことが何度かありました。

「先生のクラス、いいクラスになってきたね!」
「先生のクラスの授業はとてもやりやすい!」
「先生が上手に指導(支援)をしているのがわかるわよ!」


3.母親が父親を罵倒する家庭

加奈子先生のクラスには、康平(仮名)という、ちょっとした問題児がいました。

(前の年に加奈子先生が担任した子どもに比べればかわいいものです。)

康平は私が顧問をしている野球部の生徒です。

背の小さい、坊主頭のかわいい子です。

ただ、康平の家庭には少し問題がありました。

お母さんとお父さんの仲がとても悪かったのです。

当時、お父さんはリストラで仕事がなくなっており、家ではお母さんから罵声を浴びせられていたようです。

お父さんはおとなしい性格だったようで、お母さんに何も言い返していなかったそうです。


4.お母さんに怒られるとイライラして友達にあたる生徒

康平は、小さい頃に野球を教えてくれたお父さんが大好きだったようです。

そんな大好きなお父さんに対して、お母さんが大きな声で悪口を言うのが許せなく、よくお母さんとケンカをしていました。

ただ、お母さんはかなり強い性格のようで、背も低く小さい康平は、お母さんに歯が立たなかったようです。

(この後、康平が中学を卒業して高校に入学した4月、お父さんは自宅で首をつって自殺をしてしまいます。)

康平は、お母さんに怒られたり、注意をされたりすると、クラスの友達に当たっていたそうです。

そのため、加奈子先生によく指導をされていました。


5.早退?突然いなくなった生徒!

ある日の午後。

職員室で仕事をしていると、ある先生が職員室にきてこのように言います。

「康平くんが教室にいませんけど、早退か何かですか?」

加奈子先生は答えます。

「そんな話は聞いていません!」

保健室に確認をしましたが康平は来ていないとのことでした。

すると加奈子先生がこう言います。

「朝、表情がさえなかったんです。」
「昼に話を聞こうと思っていたのですが、急に会議が入って・・・。」


6.学校にもいない!家にもいない!どこに行ったの?

とりあえず、職員室にいる教員で学校中を探しました。

しかし、康平はどこにもいません。

加奈子先生が家や親に電話をしましたが、どちらも返事がありません。

加奈子先生は、すぐに家に確認に行こうとしましたが、管理職から6時間目の授業を行うように言われます。

そして、6時間目に授業がなかった私ともう1人の先生に、康平の家と校区内を捜索する指示がでました。


7.近所の公園やコンビニを捜索開始!

まずは2人で康平の家に行きました。

しかし、家には誰もいる気配がありません。

家の周りを一周させていただきましたが、誰かがいる気配はありません。

そこで、私たちは探す場所を分担することにしました。

私の担当になった場所は以下の通りです。

・近所の公園
・近所の公民館
・近所のコンビニ
・近所のお寺や神社
・少し離れたデパート


8.授業が終わったから私も捜索に出る!

公園、公民館、コンビニ、お寺や神社。

上記の場所を全て探したが、康平はいなませんでした。

残りの捜索場所が少し離れたデパートのみになったとき、加奈子先生から電話がかかってきました。

「康平は見つかった?」
「私も6時間目が終わったから探しに行こうと思う!」
「どこまでが探し終わった?」

残りは、少し離れたデパートの捜索だけと言うことを加奈子先生に伝えると、加奈子先生はこう言いました。

「私もすぐにそこに向かう!」


9.漫画を立ち読みしている生徒を発見!

私は加奈子先生より先にデパートに到着しました。

中学生がいるのはゲームコーナーか本屋のどちらかですので、私は入り口から近い本屋に向かいました。

すると、本屋で漫画を読んでいる康平に似た子を発見しました。

そーっと近づいてみると、その子が康平であることが確認できました。

私は後ろから康平を捕まえて、こう言いました。

「お~い!」
「学校、抜け出して、なに漫画、読んでんだよ!」
「この後、地獄が待っていると思えよ~!」

私に脅された康平は、『ヤバッ・・・』という顔をしました。


10.泣きながら生徒を抱きしめる担任教師

康平が『ヤバッ・・・』という顔をしたと同時に、後ろから加奈子先生の声がしました。

「康平!」

私が振り向くと、加奈子先生が泣きながら走ってきます。

そして、康平を抱きしめてこう言います。

「ケガはない?」
「心配したよ!」
「大丈夫!」
「今日は話を聞いてあげれなくてごめんね!」

普段はビシッとしている加奈子先生が、泣きながら康平に謝っています。

そして、加奈子先生の愛情を感じた康平も、泣きながらこう答えます。

「学校を抜け出してごめんなさい!」
「何かムシャクシャして、抜け出しただけなんだ!
「先生は何も悪くないよ!」
「僕の方こそ、ごめんなさい!」

ドラマのようなことが目の前で起きたのです。


11.役割分担で怒ることも必要と言ってくれた先輩

加奈子先生の、生徒への愛情の深さを見た私は、このように思いました。

『多分、康平が自分のクラスでも同じような対応するな!』
『そして、康平に謝ったりしないな!』
『逆に、迷惑をけたことを説教するな!』

後日、加奈子先生と話をすると、このようなことを話してくれました。

「あの日の朝、夫婦げんか(母親が一方的に)をしていた母親に康平は注意をしたんだって!」
「でも、いつもの通り母親に『子どもは黙ってなさい!』と怒られたんだって!」
「それで、朝からムシャクシャして、学校を飛び出したんだって!」

私は、加奈子先生にこのように言いました。

「自分なら康平を抱きしめたり、謝ったりしないと思います。」
「先生の愛情の深さに感動しました。そして、自分の愛情のなさも感じました。」

すると、加奈子先生はこのように言って下さいました。

「康平の行動を怒る人も必要なんだよ!」
「自分の気分次第で授業を抜け出したことを、先生が怒ってくれて良かったと思ってる。」
「康平も、先生に迷惑をかけてすまなかったと言っていたわよ!」

このブログは、筆者の経験を元に作成しています。ただし、個人情報や学校が特定ができないように事例を変えて作成しております。掲載している情報により生じたいかなる損害に関しても、筆者が責任を負うことはできません。