発達障害なんですよ!通常学級なんてムリ!大学なんて!カウンセラーに言われてショックを受けた言葉② | 元中学校教師が教える学校のウラ話

元中学校教師が教える学校のウラ話

公立の中学校で25年間、勤務していた私が「クラス替えの仕方」「修学旅行」「部活」「未納」「モンスターペアレント」「学級崩壊」「いじめ」「不登校」「人事異動」など、今まで話すことができなかった、学校のウラ話をお伝えしていきます。

 

  8年後、誰もが知っている大学に合格!

 



1.ADHDの子どもが不登校に
2.ADHDだから通常学級はムリ!?
3.通常学級に行かせたいのは親のエゴ!?
4.みんなと同じや勉強がストレス!?
5.勉強をさせたいなら親が教材を作って!?
6.発達障害なんだから大学なんてムリ!?
7.ADHDの本に書いてあったのは・・・
8.仕事から帰ってきて深夜まで教材準備をするが
9.もっと子どもに合った教材を作って!?
10.スクールカウンセラーに相談するのが怖い・・・
11.通常学級のまま不登校解決!
12.中学入学後は一緒に勉強!進学校に合格!
13.誰もが知っている大学に合格!
14.あのカウンセラーに報告したい!

 

 

  1.ADHDの子どもが不登校に

 

カウンセラーとしての仕事を始めたとき、不登校の息子さんをもつお母さんからADHDの診断を受けているお子さんの相談をいただきました。

息子さんは小学校5年生で、知能や理解力は平均より少し低い程度です。

ただ、ADHDの特性上、我慢をすることが苦手なため、友だちとのトラブルは多かったようです。

息子さんが登校しぶりを始めた頃、お母さんはスクールカウンセラーに相談をします。

そこで、お母さんは息子さんの対応についてのアドバイス(?)をいただいたのですが・・・。

 

 

  2.ADHDだから通常学級はムリ!?


母「毎朝、息子が『学校に行きたくない』と言います。」
母「どのように対応すれば良いのでしょうか?」

すると、スクールカウンセラー(以下SC)が答えます。

SC「ムリに学校に来させるのは子どものためになりません。」
SC「子どもの意志を尊重してあげましょう。」

お母さんは息子さんが発達障害の診断を受けていることを伝えます。

SC「息子さんはADHD何ですね!」
SC「それでは通常学級に行きたくないのは当然です。」
SC「特別支援学級に入れることを考えてください。」
SC「息子さんには通常学級はムリなんですよ!」

 

 

  3.通常学級に行かせたいのは親のエゴ?

 

お母さんが今のクラスに登校させたい旨を伝えます。

SC「息子さんは発達障害なんですよ。」
SC「通常学級はムリなんですよ!」
SC「息子さんにとってベストは特別支援学級を選択することです。」
SC「特別支援学級がイヤならフリースクールもありますよ。」
SC「公的なフリースクールである適応指導教室はどうですか?」
SC「とにかく、息子さんには通常学級はムリなんです。」

お母さんが将来のことを考えて通常学級に在籍させたい旨を伝えると・・・。

SC「それは親のエゴです!」
SC「親が『学校に行くべき』と思っているからダメなんです!」
SC「学校なんて行かなくても良いんです!」
SC「通常学級に行くべきという『べき論』をやめて下さい!」
SC「親が変わらなければ、子どもの不登校は解決しません!」

 

 

  4.みんなと同じや勉強がストレス!?

 

お母さんは、本人が「みんなと同じクラスに行きたい!」という気持ちを持っている事を伝えます。

SC「みんなと同じクラスがストレスなんです!」
SC「だから、息子さんは『学校に行きたくない』と言うんです!」
SC「勉強もついていけないのでしょう。」
SC「その劣等感がストレスになるんです!」

お母さんは、もう一度、「みんなと同じクラスに行きたい」という子どもの気持ちを伝えます。

SC「息子さんは通常学級が自分の居場所ではないと気づいているんです。」
SC「それでも、親が『学校、学校』と言うのでウソをついているんです。」
SC「本心は学校に行きたくないんです!」
SC「登校をしぶっている事から、その気持ちがウソだと分かりますよね。」

 

 

  5.勉強をさせたいなら親が教材を作って

 

自分の考えを否定されてショックを受けたお母さんですが、子どもの将来のことを考え、専門家であるSCに家庭での対応を聞きました。

SC「発達障害の本を買って読んで下さい!」
SC「その本を参考にして勉強をやらせて下さい。」
SC「ADHDの子どもは集中力が続きません。」
SC「部屋などに物が多いと気が移ってしまいます。」
SC「勉強部屋を準備したり机に工夫をするのも良いでしょう。」
SC「お子さんに合った教材をお母さんが作って下さい!」
SC「そうすれば勉強もできるようになるでしょう!」

具体的なアドバイスをもらったお母さんは、子どものためにガンバろうと思ったそうです。

 

 

  6.発達障害なんだから大学なんてムリ

 

最後に、お母さんはこのような質問をします。

母「将来は大学に入って欲しいと思います。」
母「そのためにも高校は全日制高校に進学させたいです。」
母「私がガンバるので特別支援学級ではなくても大丈夫ですよね!」
母「息子にあった問題集を作ってがんばります!」

しかし、スクールカウンセラーは冷たく言い放ちます。

SC「息子さんは発達障害だって分かっていますか?」
SC「大学なんてムリに決まっているでしょう。」
SC「高校にだって行けるか分からないのに。」
SC「お母さんが問題集を作れば、ある程度は理解ができるでしょう。」
SC「しかし、あくまでも『ある程度』なんですよ!」
SC「そこを間違えないで下さいね!」

 

 

  7.ADHDの本に書いてあったのは・・


お母さんはADHDの本を買ったり、ネットで対応を調べたりしました。

そこには下記のようなことが書かれています。

①    図や絵など視覚的に勉強できる教材を作る(買う)。

・算数:ケーキの絵を使って分数を意味を理解する。
・国語:漢字の部首は成り立ちと絵で覚える。
・英語:歌の歌詞で基本文法を理解する。など

② 集中できる部屋や机を用意する。

・勉強専用の部屋をつくり、そこには物を置かない。
・机の上には鉛筆と消しゴム、教科書、問題集など必要最低限を置く。
・仕切り板などを使って視界を遮断する。
・机の向きを壁向きにする。など

③ 勉強のスケジュールを決める

・勉強のスケジュールを作り優先順位をハッキリさせる。
・暗記と演習を交互に行う。
・「25分勉強-5分休憩」のポモドーロテクニックを活用する。など

④ 座学以外の勉強を場所を決める。

・通学中に単語や漢字の暗記をする。
・散歩をしながら英語の歌を歌う。
・部屋の中を歩き回って歴史の人物を覚える。など

⑤ 過集中をしたときの対応を決めておく。

・過集中の状態から勉強モードに切り替えるのは困難。
・無理に勉強に戻すとストレスとなる。
・過集中の時はとにかく待つ。など

⑥ 自分で選択させる

・「これをやりなさい!」と親が決めない。
・本人の意志を尊重する。
・いくつかの選択肢を用意して選ばせる。など

 

 

  8.仕事後、深夜まで教材準備をするが


ネットや本には小学校低学年が対象と思われる内容がほとんどでした。

しかし、専門家ではないお母さんはSCに言われたとおり、本やネットを参考に勉強の支援を始めます。

最初に取りかかったのは勉強部屋をつくることでした。

部屋を片付け、机を準備し、物を置かないようにしました。

同時に授業の教材や問題集も自分で準備をしたそうです。

お母さんは、これらの支援を仕事と家事が終わった後、深夜に1人で行ったそうです。

とにかく、お子さんのためにガンバったのです。

子どもと一緒に勉強のスケジュールもたてたそうです。

最初のうちは勉強に取り組み始めたお子さんですが、数日もすると勉強部屋や教材に飽きてしまいます。

(興味のないことは継続できないのもADHDの特徴と言えますが・・・。)

結局、一緒に考えた勉強スケジュールもほとんど達成することが出来ませんでした。

 

 

  9.もっと子どもに合った教材を作って?

 

1ヶ月後、SCが学校に来る日です。

お母さんは、自分で作った教材や一緒に考えたスケジュールを持って、SCに相談に行きます。

それを見たSCはこう言ったそうです。

SC「やる気が出ないのは教材や問題集が合っていないからですよ!」
SC「もっと、しっかりと調べて息子さんに合った教材を作らないと!」

一緒に考えたスケジュールについても注意をされます。

SC「決めた事を中途半端にするのはよくない!」
SC「毎日、親が確認をしたり、一緒にやったりしないと!」
SC「子どもへの愛情があれば時間を作ることができるでしょう。」
SC「仕事と子ども、どっちが大切なんですか?」

 

 

  10.カウンセラーに相談するのが怖い・

 

仕事、家事、子育て、ADHDの息子への支援を1人で行ってきたお母さんは自分を責めたそうです。

母「私の愛情不足なんだ!
母「他のお母さんはちゃんとやってるんだ!」
母「子どもの不登校は私の愛情不足なんだ!」

さらにこう思ったそうです。

母「もうカウンセラーに相談をするのはやめよう!」
母「どうせ、また、怒られんだから・・・。」
母「カウンセラーが怖い・・・」

 

 

  11.通常学級のまま不登校解決!

 

1人で悩んでいたお母さんが知り合いを通じて私の所に来たのは、息子さんが小学校5年生になったばかりの時でした。

お母さんやお父さんは仕事をしているため、私が週に1回のカウンセリングや勉強を行いました。

これにより、息子さんの不登校はスグに解決しましす。

そして、私が支援を始めてから、小学校を卒業するまでの約2年間の欠席は3日だけです。

さらに中学校に上がってからの欠席は0日でした。

 

 

  12.中学は一緒に勉強!進学校に合格!

 

不登校が解決してからは、勉強の支援を行いました。

特に予習に力を入れたことで、学校の授業にも落ち着いて参加できるようになったのです。

安定して登校出来るようになり、学校でのトラブルも減ったことで、中学入学と同時に訪問カウンセリングは終了となりました。

しかし、1学期の期末テストの結果が173位/200人だったため、再び訪問カウンセリング(勉強)の依頼をいただくようになります。

一緒に勉強をして、家庭学習を管理したことで、彼は少しずつ順位を上げていきました。

中学3年生の最後のテストでは65位/200人にまで順位を上げることが出来たのです。

そして、その地域で上から3番目の進学校に合格することが出来たのです。

 

 

  13.誰もが知っている大学に合格!

 

高校入学と同時に訪問カウンセリングは終わりとなりました。

しかし、高校1年生の夏休み前に彼から連絡があります。

「先生!数学で赤点を取っちゃった!」
「勉強を教えて!」

その後、大学に合格するまでの2年半、私は訪問カウンセリング(勉強)をすることになりました。

訪問カウンセリング(勉強)では、数学、英語、化学、物理、日本史を教えます。

これにより、卒業まで1度も赤点を取らずにすんだのです。

そして、今年の2月。

ついに大学に合格することができたのです。

偏差値が55程度で、名前を言えばみなさんが知っている大学です。

 

 

  14.あのカウンセラーに報告したい!

 

お母さんとお父さんは、節目節目でこのように言っていました。

「通常学級のまま、小学校を卒業できた!」
「あのカウンセラーに教えてあげたい!」

「中学では欠席が0日だった!」
「あのカウンセラーに教えてあげたい!」

「公立の進学校に合格できた!」
「あのカウンセラーに教えてあげたい!」

「大学に合格した!」
「あのカウンセラーに教えてあげたい!」

「通常学級はムリ!とカウンセラーに言われた!」
「高校はムリ!とカウンセラーに言われた!」
「大学なんてムリ!とカウンセラーに言われた!」

「どこの学校にいるのか探し出して報告に行きたい!」

 

 

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