交通費の節約?それとも横領?新幹線で行くとウソの書類を提出して相乗りで出張へ!差額を飲み代に回す | 元中学校教師が教える学校のウラ話

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公立の中学校で25年間、勤務していた私が「クラス替えの仕方」「修学旅行」「部活」「未納」「モンスターペアレント」「学級崩壊」「いじめ」「不登校」「人事異動」など、今まで話すことができなかった、学校のウラ話をお伝えしていきます。

 

  年に1~2万円だから許す?許さない?




1.出張の基本は電車移動!自動車での移動は許可制!
2.事務員さんの指示どおり普通電車と新幹線で移動!
3.事務員が「新幹線代は出せない!」と言った!?
4.「何で新幹線代が出ないんですか!」文句を言いに行くと
5.新幹線代は出るに決まっているじゃないですか?!
6.ウソの書類で交通費を横領しようとしていた?
7.交通費を節約しているんだ!みんなやってる!
8.年に1~2万円の横領を許せる?許せない?
9.さすが!交通費に敏感な事務員さん!

 

 

  1.出張の基本は電車移動!

 

先日、訪問カウンセリングに行くときに電車を使用しました。

教員時代、研修先に行くために使っていた電車です。

すると、その電車を使っていたときの記憶が蘇ってきました。

同じ学校にいた宮田先生(仮名)と事務員さんの記憶です。

その記憶は宮田先生が出張の交通費を横領?して、それに巻き込まれたときの記憶です。

ちなみに、私が教員をしていた場所では出張の基本は電車移動です。

出張先が不便な場所にあるときは自動車での移動が認められることはありますが、基本的には電車移動と決められている場所でした。

 

 

  2.事務員さんの指示どおり移動!


あるとき、遠い場所での宿泊研修に行くことになりました。

各学校から2名が参加して行われる研修です。

私は何も考えずに、事務員さんの提示して下さった在来線と新幹線を使って研修先に参加することにしました。

研修当日の朝。

私が乗っている在来線や新幹線には宮田先生の姿はありません。

しかし、研修先には宮田先生が先に到着しています。

『1本、早い電車で来たのかな?』

私は宮田先生が先に到着していた理由を深く考えませんでした。

 

 

  3.新幹線代がでない?何で?


午前の研修が終わると宮田先生が私に話しかけて来ます。

「西川先生、知ってますか?」
「事務員さんが『新幹線代は出せない!』って言ってたんですよ!」
「コッチはこんな遠くまで研修に来ているのに酷くないですか?」
「普通電車のお金しか出してもらえないなんて!」
「あの事務員さんケチですよ!」

私は驚きました。

『事務員さんに言われた新幹線を使ってきたのに!』
『新幹線代は出してくれないの?』
『出張は命令なのに自腹なの?』

さらには、このように思いました。

『帰りは普通電車で帰らなきゃいけないのか~。』
『4時間はかかるぞ~。』
『家につくのは8時ってことだよな~。』
『はぁ~。』
『何で出張で自腹をきって、さらには帰る時間も遅くなるんだよ!』

 

 

  4.文句を言いに行くと


宿泊研修が終わった翌日、私は事務員さんに文句を言いにいきます。

「何で新幹線代が出なくなったんですか!」
「出ないなら先に言って下さいよ!」
「自腹なら行きも普通電車で行ったのに!」

度量の小さい男と思われるかもしれませんが、自腹をきりたくない私は事務員さんを問い詰めます。

「先週は新幹線で行くようにと言っていましたよね!」
「どんな理由で新幹線代が出なくなったのかは知りません!」
「でも、これは完全に事務員さんのミスですよね!」
「だから、行きの新幹線代は出して下さいよ!」

事務員さんは私が怒っていることに驚いていました。

しかし、事務員さんは冷静に返答をします。

「もちろん、新幹線代は出しますよ!」

 

 

  5.新幹線代は出るに決まっている?


「えっ?」
「出してくれるんですか?」
「ん?」
「あっ、それならいいんです。」

予想外の事務員さん言葉に、私はキョトンとしてしまいました。

「西川先生!どうして、新幹線代が出ないと思ったんですか?」
「私が指定した方法で研修先に向かったんですよね?」
「それなら、新幹線代はでるに決まっているじゃないですか!」

さらに、私はキョトンとしてしまいました。

「もしかして、宮田先生から聞いたんですか?」
「新幹線代が出ないと私が言っていたと?」

 

 

  6.ウソの書類で交通費を横領?


私は宮田先生に聞いた内容を事務員さんに伝えます。

すると、事務員さんが「新幹線代を出さない」と言った理由を教えてくれました。

「他の学校の事務員さんから連絡があったんです。」
「宮田先生は車で出張に行こうとしていると。」
「それも、他校の先生と3人で相乗りしていく計画だったんです。」
「もちろん、事務に提出している書類には新幹線でいくことになっています。」
「校長に確認をしたところ『宮田先生を信じる』と言うんです。」

どうやら、宮田先生は仲の良い他校の先生と一緒に車で出張先に行こうとしていたようです。

事務員さんの話では過去にも同じようなことを何度もしているとのことです。

単純に新幹線代が往復で1万円程度、高速代とガソリン代の合計も1万円程度です。

しかし、車の場合は3人で相乗りするので1人あたま3300円となります。

そう考えると、差し引き6700円ほどお得(横領?)になる計算です。

しかし、波風を立てたくない校長は宮田先生に何も言いません。

「お金の事ですので、曖昧にするわけにはいきません。」
「他校の事務員と相談をして普通電車代を出すことにしたんです。」
「それでも、3人で相乗りしていくので、1人1700円が余計に支払われるんです。」

 

 

  7.交通費を節約しているんだ!


さらに、事務員さんは話を続けます。

「出張前に宮田先生に普通電車代のことを伝えたんです。」

『何で新幹線代が出ないんですか?』
『今までは出してくれていたのに?』
『事務員さんが細かすぎるんじゃないですか?』
『他の先生もやっていることですよ!』

「他の先生もやっていると言うので、事務長から校長会や教育委員会に伝えてもらうと伝えました。」
「そうしたら、宮田先生は私に捨て台詞を吐いて出て行きましたよ!(笑)」

『俺は交通費を節約しているんだ!』
『無駄なお金を使わないようにしているのに!』

「それが本当なら差額を返金してもらいたいんですけどね!(笑)」

 

 

  8.年に1~2万円の横領を許せる?

 

『俺は交通費を節約しているんだ!』
『無駄なお金を使わないようにしているのに!』

正直、このような発想は私にはなかったので、少しだけ宮田先生を尊敬しました。

1台の車に3人が相乗りしていけば出張費が抑えられるからです。

3人ではなく4人で相乗りすれば、さらに、出張費を抑えることができます。

しかし、宮田先生とその仲間たちは、今まで1台の車で相乗りして浮いた交通費を自分たちの飲み代に回していたそうです。

最近、知られれるようになってきましたが、教員の世界はブラックです。

先生たちの善意や自腹によって成り立っている世界です。

年に数回の遠方への出張で1万円~2万円を自分の懐に入れる行為。

あなたなら、校長のように見逃してあげますか?

それとも事務員さんのように注意をしますか?

ちなみに、現在、宮田先生は主幹教諭となっています。

来年あたりには教頭になり、数年後には校長になることでしょう。

 

 

  9.さすが!交通費に敏感な事務員さん!


宮田先生の話が終わった後、事務員さんが私にこう言います。

「西川先生!」
「昨日は普通電車で帰って来たんですね!」
「それなら、この書類の『新幹線』の部分を『普通電車』に書き直して下さい。」
「行きの新幹線代は出ますので安心して下さいね!」
「もちろん、帰りの普通電車代も出ますよ!」
「出張の交通費は自腹になりませんから安心して下さい!」

さすがは事務員さんです。

私との会話から、私が普通電車で帰ってきたことに気づき、すかさず書類の書き直しを提案してきたのです。

確かに帰りは普通電車で帰ってきましたが・・・・。

早とちり?して普通電車に変えたのは自分なのですが・・・・。

家につくまで4時間もかかったのですが・・・・。

生徒指導主事の私は性格的にも立場的にもルールは守らなければなりません。

私はスグに書類を書き直し、事務員さんに提出をしたのでした。

 

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