ぼくは今まで勘違いをしてた。
動物が終末期になって
食事も食べられなくなって
水も飲めなくなっていくと
脱水して状態が悪くなって
体力もなくなってつらくなったり
しんどくなったりするから
点滴あるいは皮下点滴だけでも
した方がいいと思ってた。
逆にそれで体が水で溺れていき
死に際を苦しめているなんて
思いもしなかった。
医療が発達していなかった時は
己の寿命を悟った者は食べ物と
特に水分を意識して減らしていって
苦しむことなく意図した時期に
人としての人生を終わらせていた
んだって。
食事が食べられなくなって
水分が取れなくなっていくと
まさに植物が枯れていくように
静かに眠るように逝く。
自分で水分を取らなくなっているのに
外から強制的に点滴などで水分を
入れると体が溺れて苦しくなる。
現代医学の進歩によってかえって
死に際を苦しめるような方向に
すすめているんだって。
これには驚いた。
最初はホンマかいなって信じて
いなかったけど
言われてみたら確かに
振り返ってカルテを確認すると
動物が何も食べられなくなって
水も飲めなくなった時に
「もうこれ以上は何もしません」
「あとはゆっくり看取ります」
と言われて何もしなかった子は
「眠るように逝きました」
と言われることが多い。
（これうちの猫で最後まで点滴してた）
最期まで何とか頑張って点滴して
治療してる子の方が
最期、呼吸が苦しくなったり、吐いたり
下痢したり、発作が起きて亡くなってる
ことが多かった。
これには驚いた！笑
ぼくが最期まで動物のために
と思って苦しまないように
頑張って治療をしてきたのに
それがかえって動物を苦しめてたか
と思うとやるせない気持ちになる。
自分が今までよかれと思って
動物のためにやってきたことが
全否定されたような衝撃。
信じてよかれと思ってやってきた
ことが実は違ったなんて
ショックが計り知れない。
獣医界では、今は栄養が大事
食べなければ鼻、喉、胃に
チューブをつけて
そこから栄養を入れて
栄養の確保をする
それが正しいことなんだ。
って言う流れになっているから
動物が食事を食べなくなると
「チューブをつけて栄養の確保を
しましょう」って言ってた。
チューブをつけなくても食べないなら
「点滴しましょう」「皮下点滴しましょう」
って言う。
それがいいことだと思ってた。
確かにそれは「治す」ことが前提の
獣医療で治らないものをどうするか
と言う獣医療ではない。
人が老いて人生を終えて逝くように
動物だっていずれは旅立つ。
死なない動物はいないのに
死を迎えるための獣医療がない。
何もできることがない子に
医療行為をしないと言うのは
諦めることだと勘違いしてた。
今まで正しいと思っていたことを捨てて
全く新しいことを受け入れていくのは
勇気と努力が必要だけど
それで動物が苦しませずに済むなら
ぼくのプライドなんてクソの役にも
たたないから新たな獣医療をしていこう
今日もありがとう
人間より動物好きの獣医
シワ神シワ男
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