Wasia Project
Wasia projectのコンサートに行った。デビューアルバムのNocturneの発売を記念して、少人数を招待して小さなライブハウスでもないアートギャラリーのようなスペースで曲を聴くというものだった。たまたまメールが来て、応募したら招待されたので赴いてみた。東ロンドンのQueens Road Peckham駅付近。こんなエリアには行ったこともないし、若い音楽愛好家のコミュニティに触れたこともないので少し逡巡する。7時半集合で7時40分くらいに門が開き、各々地べたの座布団に座って二人の兄妹を待つ。ドリンクやスナックが無料で提供される。イベント全体が完全招待制で無料だという。ビールとあられ(お菓子はアジア風のものばかりだった)をつまみながら、少し手作り感のある内装を眺める。照明と垂れ下がった白い綿のようなカーテンが夢の中にいるような、異空間を作り上げている。足元には百合の花と、兄妹が子供の頃に書いたであろう絵のプリントが何枚か無造作に置かれている。どれも趣のある絵で面白かった。
8時過ぎころになってようやく二人が登場する。背が高く、細身で二人ともスタイルが良い。入ってきたと思ったら、挨拶もなくいきなり観客と一緒に座布団に座り、Oliviaに至ってはそこで寝転んで、アルバムの最初の2曲を一緒に聞く。手を伸ばせば届きそうな場所に二人がいて、目を瞑って一緒に彼らの曲を聴いている。不思議な感覚だった。「2515」と「Vogue」を聞く。どちらも新しい趣向の、テンポは良いもののどこか暗く、徐々に乗っていくような印象の曲だった。3番目のWhale Callになって初めて二人がマイクの前に座り、手短な挨拶をしてから歌いだす。挨拶はWilliamが非常にスマートに、でもフレンドリーに行う。Whale Callは録音よりも声の通りや響きが透き通っていて、とても良かった。しっとりとした難しい曲だと思うけれど、本当に才能のある歌い手だと思った。そのあとはBleeding Gold、これは最近の曲でもテンポの良い曲の一つでYoutubeにもショート動画がいくつも上がっている。そこからはこれまでリリースされていなかった新曲で、一つ一つの曲名はわからなかったけれど、それぞれに個性があり、とても美しい曲もあった。Williamの曲もあり、相変わらず脱力系ながら、上質で上手かった。今回は特にピアノとギター以外バンドも用意せず、チルにいきたかったのかアルバムの半分は彼らが生演奏して、半分は一緒に聞くというスタンスだった。特に彼らと一緒に聞くというのが非常に特異な状況だった。
時間はあっという間に過ぎていった。何曲聞いたかわからないけれど、カクテルとあられをつまみながら、彼らの音楽に見ず知らずの人たちと肩を寄せ合って耳を傾ける。高級でも、VIPでもないけれど、とても印象的な空間だった。音楽を聴いていると、昨年のランダムな記憶がいくつもフラッシュバックしてきた。バークレーの丘から見た夕日とゴールデンアワー。サンセットから見た夕焼け。ゴールデンブリッジを越えて運転するドライブ。サンフランシスコでは幾度となく彼らの音楽を聞いていた。とてもクールで、サンフランシスコも彼らも他の世界とは異空間にいる気がした。そんな彼らにロンドンに帰って会うのは二つの異なる時空が重なるような、いびつな体験だった。
Oliviaが歌った曲は、特にStayがとても美しくて、心が洗われるようだった。Williamは最後の曲の前に、締めの曲のWildwireが一番好きだと言っていた。彼らとしてあらゆる方向にストレッチした曲で、今あるすべてを出し切った曲だと。最初聴いてもそれほどピンとこなかったが、繰り返し聞くととても良い曲だ。帰途では胸がいっぱいになり、感傷的ではなく、五感が満足しているのを感じた。久々に音楽って良いなと思える、そんな木曜日の夜だった。
Love you, and bye.
Union SquareのホテルからNob Hillを越えて、Pacific Heightsあたりまで歩く。Nob Hillは頽廃したUnion SquareやMarket Streetとは違い、おしゃれなカフェやレストランが立ち並び、雰囲気も良い。人気のレストランやシーフードショップには行列が出来ている。以前ブランチをしたThe Crepe Houseを通り過ぎる。鈍い痛みが琴線に触れる。
Pacific Heightsにはブティックショップやカフェが多くある。天気が良くて、皆上機嫌に見える。Limeの電動スクーターを借りてMarinaまで行ってから、Crissy Beachで本を読む。The Unbearable Lightness of Beingの再読。この日はとても天気が良くて、嘘みたいな晴れの日だった。英語力の問題なのだろうが、日本語訳の方が雰囲気があると感じる。それとも加齢による感受性の減衰だろうか。Palace of Fine Artsまで歩いて行く。6週間前に見たときと同じ威風堂々としている。そこからまたLimeの電動スクーターで海沿いを走る。自転車のレーンが長く続く、なんて最適なサイグリングコースなんだろう。Torpedo Wharfを越えてFort Pointまで行くと、Golden gate bridgeが聳え立つ。夕陽に照らされたGolden gate bridgeは壮麗で、この橋が人々を魅了し続けるのも理解できる。スクーターで坂を登ってBaker Beachで日の入りを見る。相変わらず綺麗だ。空気が透き通っていて、紅い太陽が、太平洋に落ちていくのがくっきりと見える。なんでこんなに綺麗なのだろう。涙すら出てこないような美しさだ。
そこからSF Symphonyまで行く。電動スクーターのバッテリーがなくなり、バスに乗って行くとちょうど開演時間になる。RavelのDaphinis and Chloeのオーケストラ。正直言ってオーケストラは苦手だが、全体の完成度はとても高い。サンフランシスコという土地柄か観客の服装は自由なもので、イブニングドレスを着飾っている人もいればTシャツの人もいる。前半は少し退屈したが、その後シャンパンを飲むと後半はより愉しい。
翌日、Market Streetでコーヒーを飲んで、本の続きを読む。パンプキンラテを飲み終えると、Missionのメキシコ料理La Taqueriaに行く。ランチ時は相変わらずの行列だが、そこそこ早く流れるので30分も待てば中に入れる。牛肉の頭部を使ったburritoを頼む。期待していたほどの味ではなく、前に食べた豚肉の方が美味しかった。そこからまた電動スクーターでBernal Heights Parkに行く。以前行こうかと思って結局行かなかった高台だ。登ってみると、サンフランシスコの街並みが360度見渡せる。北を見ればNoe ValleyやTwin Peak、東にMission、その先にはFinancial Districtが見える。晴れた、乾いた午後だが、Golden gate parkの上空には厚い雲がかかっている。暑くもなく、寒くもない、完璧な10月の午後。完璧とはこのことだ。カリフォルニアの空はあまりに天国に近く、眩しすぎる。もはや何もしたくない。何も欲しくないし、何も楽しみではない。ただこの完璧な天気の下で、静かに意識が遠のくのを待ちたい。
そうしてこの街から去っていく。Love you, and bye.
サンフランシスコ
またサンフランシスコに来ている。今回はSausalitoというGolden gate bridgeの反対側の半島に泊まっている。対岸にはサンフランシスコのFinancial Districtが見えて、夜景が綺麗だ。フライトを終えてホテルに着いたのが4時くらいだったので、夕方周辺を走ってきた。Golden gate bridgeが見える丘まで走って夕陽を見た。相変わらず美しいGoldden hourだった。ロンドンで見た夕陽よりも、既にサンフランシスコで見た夕陽の方が多いかもしれない。サンフランシスコはロンドンほど大きな都市ではないが、なんといっても剝き出しの自然がそこにあることが特徴のように思う。西側のSunsetには太平洋を見渡すビーチがあり、Golden gate parkには多くの植物があり、それらの自然はロンドンや東京のそれと比べてずっと荒々しく、足を踏み外せば断崖絶壁から落下するようなエリアがたくさんある。あるいは、East Bayまで足を延ばせば何もない山岳地帯で脱水症状になるなんてこともある。手に届くところにある雄大な自然が、いつでも自分の小ささや自分自身に対する挑戦を教えてくれる。サンフランシスコやベイエリアという場所がテクノロジーやイノベーションの中心になっている理屈も、分かるような気がする。圧倒的な自然が、常に自分に向けてこれが全力なのか、これが限界なのかと問いかけてくる。その度に自己は成長する。そうして偉大なファウンダーやアントレプレナーが生まれてくる。欧州における中小規模のスタートアップを形成して何かを成し遂げた気になっているファウンダーとはかなり違った精神性だと思う。そして、美しい夕陽に心を洗われて、また明日から全力を尽くす。その熱量に同調する優秀な人材が世界中から集まってくる。シリコンバレー神話が陥落し、テクノロジーの中枢は分散されるかと思われた時期もあったが、今は欧州や日本が米国ベイエリアに勝てないのは、構造的な問題なのだと思うようになった。
Impossible
Sinking, sinking slowly Sinking down, can't hold my breath Sinking out of your respect Drifting, drifting freely Drifting through your mind Drifting out of space and time
Gazing through a glass, am I just dreaming? Falling fast Or is my view of all your thinking Impossible? Lost in lands of dreams of different kingdoms Worlds unseen But something's wrong, it's all too perfect Impossible
Flying, flying solo Flying through your clouds of white Flying from another fight Floating, floating far from home Floating so high up Floating 'til we're out of love
Gazing through a glass, am I just dreaming? Falling fast Or is my view of all your thinking Impossible? Lost in lands of dreams of different kingdoms Worlds unseen But something's wrong, it's all too perfect Impossible
I don't want it to end Don't want to pretend That it wasn't real from the start It will break us apart Oh, no, no I don't want it to end Don't want to pretend That it wasn't real from the start It will break us apart
Gazing through a glass, am I just dreaming? Falling fast Or is my view of all your thinking Impossible? Lost in lands of dreams of different kingdoms Worlds unseen But something's wrong, it's all too perfect Impossible, oh
Gazing through a glass, am I just dreaming? Falling fast Or is my view of all your thinking Impossible? Lost in lands of dreams of different kingdoms Worlds unseen But something's wrong, it's all too perfect Impossible, oh
Wasia Project
Wasia ProjectというUKのバンドの音楽を聴いている。Croydon出身の兄妹で、クラシカル音楽のバックグラウンドを持ち、Jazz調の音楽を作っている。歌声が美しく、聴いていて引き込まれるものがある。2人とも20歳前後にも関わらず音楽は非常に落ち着いて、成熟している。メランコリックな雰囲気もとても良いなと思う。
色んな物事がぐるぐると廻って、精神的には一周してきた気がする。つまらない話だが、戻るべきところに戻ってきたということか。痛みを伴わなければならない喜びも、束の間の休息も、ちょうどあと2日ほどで終わりを告げることになる。一周して結局のところ、自分は何か変わったのだろうか。冒険して、得たものより失ったものの方が大きいかもしれない。Burning Eyes R Calling。
それでも進んでいくしかない。後退はありえず、人生は進んでいく。下り坂に差し掛かるのはまだ早い。物事の偶有性に右往左往していても仕方なく、僕ができることはこれからも登り続けていくことだけだ。how can i pretend?