<父Frankel>
現役時代は14戦無敗、種牡馬となっても毎年度(産)G1馬を輩出しています。
日本でも、本馬の他にソウルスターリング号、モズアスコット号を輩出している名種牡馬です。
父の馬体の特徴としては、
当歳時の貴重な写真(JuddmonteFarmsさん)
FRANKEL was born on this day in 2008. As a foal, he bore a remarkable resemblance to his dam Kind at the same age...
— Juddmonte (@JuddmonteFarms) February 11, 2021
13 years later, FRANKEL is the sire of 12 Gr.1 winners & the fastest European sire to reach 40 Group winners #WithoutEqual #FrankelWatch - https://t.co/yXZlS1GRRj pic.twitter.com/9zapgxoQVk
500kg近くで、スライドが大きく、
社台ファームの吉田照哉氏曰く「全身お尻」と表現するほど、パワフルな馬体の持ち主です。
グレナディアガーズ号は、460kg(ラストランは476kg台)と若干小柄ながらも、
筋肉質でありながら、スライドと跳びが大きく、走りが綺麗で、
馬体や動きに関して父に似ていると評価されているものと存じます。
それは募集時のコメントと価格にも表れています。
「厩舎戸口から出てきた瞬間、骨のバランスや筋肉の付き具合など馬体細部の観察作業をするよりも前に、『この馬はいい馬』と簡単に認識できる個体が世代に何頭かいるものですが、本馬がまさにその1頭です。ベースの骨格部分はそれぞれ申し分のない骨量と伸びを獲得したうえで正しく組み上がっており、トモ容量の豊かさには目を奪われます。これだけの筋肉量を持ちながら、その筋質が柔らかく薄い皮膚で覆われているため、父産駒はパワー型でありながらも日本の高速馬場に対応できるのでしょう。駆動力を伝達する背筋は強靱で、このフィジカルで運動能力がないということはまず考えられません。」
募集価格は最高額の12,000万円、
サンデーサイレンス、ディープインパクトやキングカメハメハなどの一部の産駒のみに適用される価格で、
持ち込み馬としては異例中の異例です。
Frankel系としてFrankelの父Galileoというよりも母父デインヒルの馬体を受け継いでいると仮定し、
配合もデインヒル系と相性の良いサンデーサイレンス系で検討すると、
ハーツクライを父に持つ繁殖牝馬が良いかと思います。ただ、ロードカナロアが優先されますよねぇ。
ハーツクライのようにトニービン由来のゆったりとした馬体が合うとなれば、ドゥラメンテ、ルーラーシップを父に持つ繁殖牝馬も良いかもしれません。
ちなみに、ノーザンファームさんのハーツクライ系スワーヴリチャード産駒(23年産)において、母父Frankel(エクセランフィーユとイルーシヴハピネス)は2頭いて、
エクセランフィーユの方は、余程デキが良かったのか、ロードカナロア(エピファネイア不受胎)が次の配合相手になっており、
イルーシヴハピネスの方もリアルスティールが次の配合相手になっています。
また、デインヒルのクロスを活かすという手もあると思います。
そうした観点からは、
ハービンジャーを父に持つ繁殖牝馬であれば緩い部分に筋肉が補強されそうですし
サトノダイヤモンドを父に持つ繁殖牝馬であればスピードが補強されそうですし、
ミッキーアイルを父に持つ繁殖牝馬であれば阪神・中山の短距離・マイルで有望な産駒が登場しそうです。
ちなみに、ノーザンファームさんのサトノダイヤモンド産駒(23年産)において、母父Frankel(イーストとトゥリフォー)は2頭いて、
余程デキが良かったのか、イーストはコントレイル(キズナ不受胎)、トゥリフォーはシルバーステートが次の配合相手になっています。
少し話がそれますが、サトノダイヤモンドとオーナーつながりでサトノアラジンも悪くないと思っています。
早熟性が好まれるニュージーランドにおいて、サトノアラジン産駒が活躍しており、
Lantern Wayの母父はデインヒルの直仔Redoute's Choiceであり、Tokyo Tycoonの母母父もRedoute's Choiceで、
他の産駒も米系の種牡馬が多いので、サトノアラジンが母父になるので一概には言えませんが、グレナディアガーズは合うと思っています。
父ダイワメジャーをもつ繁殖牝馬であれば、マイル・ダートの適性が増すでしょうし、
ダイワメジャー産駒はSadler's Wells(グレナディアガーズの父系)・Blushing Groom(グレナディアガーズの母系)の血が入ると大物が出現する確率が高かったので、
母父としても継続して同じ傾向があれば面白そうです。
なお、欧州でFrankelとニックスにあると言われているのは、母父Dubawiと母父Pivotalです。
来年度日本で種牡馬として導入されるアダイヤー号(母父Dubawi)は英ダービーとキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを優勝しており、
Mostahdaf号(母父Dubawi)は英インターナショナルステークスとプリンスオブウェールズステークスを優勝しています。
日本だとマクフィを父に持つ繁殖牝馬は、デインヒルのクロスも入るので、良いかもしれません。
Pivotalは欧州の名種牡馬Siyouniの父にあたり、Pivotalの父父がNureyev、母父がCozzene、母母父父がBustedです。
凱旋門賞Ace Impact号を輩出したCracksman号(母父Pivotal)は英チャンピオンステークスを2回、コロネーションカップ、ガネー賞を優勝しており、
Nashwa号(母父Pivotal)は仏オークス、ナッソーS、ファルマスSを優勝しています。
<母ウェイベルアベニュー>
4歳時にブリーダーズCフィリー&メアスプリントを制覇し、5歳時にも2着でした。
ブリーダーズCフィリー&メアスプリントの優勝馬には名繁殖牝馬ドバイマジェスティもいます。
3歳時までは未勝利でセリに回ってから、
1年でシンデレラガールとなり、その後も力があるところを示していました。
血統構成として、
父父Unbridledは、コントレイルやスワーヴリチャードの母父であるUnbridled's Songの父にあたり、
母父父Deputy Ministerは、クロフネやマインドユアビスケッツ、ドレフォンにもその血は流れていますし、
日本にゆかりのある血統構成となっています。
グレナディアガーズ号の体型が460kg(ラストランは476kg台)と若干小柄な理由としては、推測ですが、
半妹アストロフィライト号(父ディープインパクト)や半妹ソパーズレーン号(父ロードカナロア)もそれほど大きくないことから、
もしかしたらウェイベルアベニュー号自体がそれほど大きくなかったのかもしれません。
ただ、UnbridledやDeputy Ministerをクロスさせた場合、
例えばクロフネを父に持つ繁殖牝馬との配合は、馬体が大きくなる可能性があり、ダートに対応できる可能性があると思います。
また、クロフネ産駒自体、パイロなど気性が懸念される馬や
ステイゴールドのように気性と小柄な馬体が懸念される馬でも一定の成績を収めていることからも、
気性という観点からも、良いかもしれません。
また、Deputy Minister系とニックスのフジキセキを父に持つ繁殖牝馬も良いかもしれません。
UnbridledやDeputy Ministerと相性の良いディープインパクトを父に持つ繁殖牝馬も良いのかもしれませんが、
流石に、エピファネイア、ハービンジャー、ルーラーシップが優先されますよね。
父方を意識して配合するか、母方を意識して配合するかによって
産駒は結構違ってくるものと想定されます。
父キングカメハメハ、母父サンデーサイレンスをもつ繁殖牝馬は、
グレナディアガーズ号に限らずどんな種牡馬にも合うと思いますので、
エピファネイア、ハービンジャーが優先されますよね。
<スピード能力>
2020年朝日杯フューチュリティステークス(G1)をレースレコード(芝1600m 1分32.3秒)で優勝しています。
また、中日スポーツ賞 ファルコンステークス(G3)もレースレコード(芝1400m 1分20.1)タイの2着となっています。
左回りもそれほど苦手ということはないように思っています。
この頃は先行して持ち前のスピードの持続力で押し切るという競馬でした。
骨折後も、トモ容量、筋質と背筋といったフィジカルの良さから、スピードは失われず、
ケガの功名か、3F33秒台と切れ味を増した印象さえあります。
ラストランとなった阪神カップ(G2)も破れはしましたが、レースレコードから3/4馬身遅れの2着(芝1400m 1分19.4秒)となっています。
この1分19.4秒は、女傑グランアレグリア号(父ディープインパクト)が優勝した第14回と同タイムであり、
またイスラボニータ号(父フジキセキ)が優勝した第15回のタイムより0.1秒早いです。
2歳時のグレナディアガーズのスピードで押し切る特徴を強くするのであれば、キズナを父に持つ繁殖牝馬、
5歳時のグレナディアガーズの切れ味あるスピードという特徴を強くするのであれば、シルバーステートを父に持つ繁殖牝馬が、
先に挙げた以外のディープインパクト系父では良いのではないかと思っています。
母父がレコードホルダーという観点では、
クロフネはダートのレコードホルダーであり、
ロードカナロアはスプリントのレコードホルダーであり、
スピードを強調した配合というのも良いかと思います。
<気性>
入厩当初は、「フランケル産駒ですが気性は大人しく」と言われていましたが、
徐々に「フランケルの気性の真面目さ」や「フランケル産駒らしいチャカチャカしたところ」などがコメントされるようになりました。
Frankel産駒自体そうしたところがあるのでしょうが、
ただ、毎回、放牧・入厩・レースのサイクルで30kg近い増減を繰り返していたので、
調教のストレスがあったり、スイッチが入りやすくなっていたりしたのではないかと推測しています。
ただそうはいっても、配合相手としては、おっとりとした方が良いのかもしれません。
そうした観点からも、父系を意識したハーツクライやハービンジャー、母系を意識したクロフネなどをもつ繁殖牝馬と配合して、
クラシックを意識できる馬が生まれるのではないかという期待を持っています。
藤沢先生・角居先生といったしっかりと馬を躾られるような厩舎が良いと思います。
最近ですと、サイレンススズカ号、ゴールドアリュール号、ステイゴールド号など気性が敏感な馬を調教等でサポートしていたと知られる
上村先生の厩舎に所属した場合には要注目だと思っています。
もちろん、中内田先生もグレナディアガーズ号のことを分かっていらっしゃるので期待できますが、
出資することが実績からもうムリなので、記載していません。
<成長>
トモ容量、筋質と背筋といったフィジカルの良さから、
募集時から高い評価を受け、2歳G1をレースレコードで優勝したということからも、
フィジカルの良さが伝われば、早い時期から活躍できると思います。
また、Frankel(グレナディアガーズ号のラストラン)のようにコントロールが効いてくれば(ずぶくなれば)、
年齢とともに距離も伸ばせるかと思いますし、
ウェイベルアベニューに自体も4歳からの遅咲きですので、
年齢とともに成長する余地はあると思います。
5歳でケガをしてから、
短距離線における自身の持ち時計を1秒近く短縮できたということは
成長性があった点として特質すべきかと思います。
ただ、戦績として、グレナディアガーズ号の場合、
4歳6月の英国遠征もあり年間3レース、
※高松宮記念は18枠、全く合わないアスコット競馬場
5歳3月のレース後の骨折もあり年間4レースとなっていて、
※岩田望来騎手が阪急杯はコントロールできず、スワンSは後方で競馬とならず
まともに走ったのがいずれも外国人騎手が騎乗した暮れの阪神Cのみで、
成長した部分をなかなか示す機会がなかったことは痛手でした。
※の海外遠征と岩田望来騎手がへぐった2レースを除くと、実質4戦で、0-2-0-0-1-1となります。
着外の宮杯の馬番18、5着の宮杯の馬番16で、中京のスプリント戦で大外枠なので、
そこまで、戦績が悪いというものではなくなるように思います。
また、2歳G1を優勝した時点から種牡馬入りが確定していたとすると、
シュネルマイスター号がマイルということもあり、
グレナディアガーズ号にとって戦績の良い(掛かっても何とかこなせる)1400m以下にレースを集中させていたことで、
距離延長などで結果を示せなかったのかもしれず、
マイル以上も見てみたかったです。
出資者の手前勝手な感想でしたが、
生産界の皆さま、グレナディアガーズ号を種牡馬としてお導き下さいますよう、何卒よろしくお願いいたします。