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イーティーズ・プレイスの星空観測行

岩手の移動天文台、「イーティーズ・プレイス」による、星空と天体の観測記録。 http://www.justmystage.com/home/etplace/

あっつ~~~い!ここに来て10日以上連続の真夏日とか。8月末になって猛暑日も。それでも、夜には気温が下がってくる日が多くなり、そこだけ、「秋」なんだ、と言い聞かせてせっせと出かける日々。先週末から、好条件のISS通過が続き、それぞれの方角に合わせて観測と撮影を試みました。常光寺(盛岡市)、農業資料館(盛岡市)、銀河ステーション天文台(八幡平市)、星座の森(奥州市)、など。


常光寺、石川啄木生誕の地


星座の森、「風の又三郎」像

いずれも雲が多く、スカッとした画にはなりませんでしたが、ISSが-2等級程度でしたので、雲を通してでも十分見応えはありました。これからまた、しばらくは日本上空から径路がはずれ、来月中旬ごろまでは見られなくなります。次からは、秋晴れの空の中を航行していく姿がとらえられることでしょう。


ISS通過30分前は、月が輝き、ほぼ快晴でしたが・・・

27日の「星座の森」では、通過の10分前になって、南西からブワ~っと雲の塊がやってきてあっという間に空を覆いましたが、そのすぐあとに、これもあっという間に晴れ間がやってきてホッとしました。もっとも、通過の1時間後には、雲一つない快晴となりましたので、「なんだかなぁ」といった気分。よくあることです。逆に、通過まで快晴で、直後に雲がウワ~、ということもありますので、見え終わるまで毎回ドキドキです。

さて、天の川。上弦を過ぎて月明かりが強くなってきており、微光星撮影は難しくなってきています。月没は夜半過ぎですので、天気と相談しながら、各地に向かいます。20:00ごろには南中している天の川ですので、月明かりを避けると、この時期にはもう西に沈む姿の撮影が中心です。夏の大三角が、地平線や山の陰に消えていく経過は、それなりの趣を楽しむことができます。



碁石灯台、下から見上げて大三角が天頂


新鬼越池、水面に映るのはベガ

日の出がだいぶ遅い時間になってきましたので、朝の薄明前にはすでに冬の星座が姿を見せています。冬の大三角、そして冬のダイアモンド。現在は、そのダイアモンドの中に木星と金星が鎮座していて、まことにきらびやかな、にぎやかな、豪華な星空となっています。もちろん、あと一ヶ月もすれば、毎晩普通に見られる星座たちですが、今後、金星は足早に離れていきます。


日の出一時間前の東の空、1等星(以上)が9個!

この後、満月を過ぎれば、月の出前に南中する天の川の撮影ができそうです。薄明~暗夜~月明かり、という光の変化の中でどのように見え方が変わるのか、動画撮影を中心として記録してみるつもりです。週間予報を見ると、9月始めまでは真夏日の連続のようです。星空だけでも、季節を感じながら、涼しい景観を楽しむこととします。
7月は、晴れの夜が一週間に一度でしたが、8月に入ってもそのペースは変わらず。立秋を過ぎてからは、日中は晴れてぐんぐん気温が上がり、夜には大気の状態が不安定となり、曇りや雨の日が続きます。そんな中、遅ればせながら、「星景シリーズ」の一環として、県内各地の天の川を撮影しています。

12日~13日、ペルセウス座流星群が極大の日は完全に曇りで星一つ見えない夜空。そしてその翌日が晴れという、何ともタイミングが悪い日まわりです。流星群の残り火があるはずと、星景撮影と流れ星ハンティングに出かけましたが、晴れたのは夜半前まで。いざペルセウス、と準備を整えた途端に一気に雲が広がってそのまま朝までドン曇り。



樺山遺跡(北上市)と天の川


めがね橋(遠野市)と天の川

奥州市から撮影を開始したこの夜は、種山高原・星座の森、樺山遺跡、めがね橋、と順調に進み、その後移動した矢巾町あたりから曇り空となりました。星座の森では、少々雲が出ましたので、再撮影を予定してこの日はおしまい。その後も曇天・雨天続きで、結局ことしもペルセウス座流星群には振られ、また来年、です。

次の晴れは、きっかり一週間後の20日。そんな律儀にペースを守らなくても、と思いつつも、貴重な快晴の夜ですので、星座の森の再撮影から開始です。今回は、動画用と比較明用の撮影を兼ねています。前回は、夏休み中でお盆と重なったため、キャンプ場やキャビンは満員状態で、夜遅くまで、すぐそばで家族花火大会が行われるような状況。この夜は、さすがに人気も少なく、だいぶ落ち着いた中での撮影でした。



星座の森・風の又三郎像と天の川


風の又三郎像と北天の星々の軌跡

月明かりのない夜でしたので、普通の撮影では星の数が多すぎて、前景に勝ってしまいますので、感度を下げ露出を短めにして撮りました。又三郎がはるか北極星を望む体(てい)でアングルを工夫してみましたが、はたして。天の川版は超広角・超高感度による撮影です。

この後、矢巾町に移動し、満開となっているひまわり畑での撮影。ここ2~3年、開花のタイミングと月齢、そしてもちろん天気の状況が折り合わず、撮影できなかった場所ですが、今年はワンチャンスでゲット。展望所の正面には畑の中央に、ひまわりの中に通路が設けられたようです。ここも動画用撮影を兼ねます。天の川動画は、後日まとめて公開ということで。


通路が「十戒」のワンシーンを思わせる?

これからは、暗夜となる頃合いには、天の川(いて座あたり)は南中を過ぎた時間になりますので、前景としては南~西方向の景色での撮影となります。予定としては、北山崎・馬返し・焼走り・小岩井一本桜・新鬼越池、などです。夏の大三角が西に沈むギリギリまで撮るとすれば、12月の雪が積もる時期まで撮影可能です。もっとも、2~3月あたりには、明け方近くには東から上る天の川を楽しむことができますので、そこまで考えれば撮影地はさらに増えますが・・・。
縁あって、6月末から携わってきた某高校天文部の活動は、夏休みに入りついに合宿を迎えました。星が見たい、という強い希望を持った高校生たちでしたが、望遠鏡に触ったこともない、という初期状態から、組み立て・調整・自動導入までをこなせるようになっています。現時点での成果の確認の意味も込めて、一泊の野外合宿を決行です。何人かの保護者にも協力していただき、万全の態勢。

その前に、7月下旬から、ISSがようやく好条件で見られるようになってきました。が、8月上旬まではずっと曇りや雨の毎日で、うらめしく雲を見上げる日々でした。日中は晴れて暑い日が続きましたが、午後から夜にかけて「大気の状態が不安定」になり、雲が広がるというパターンです。やっと晴れ間が出始めたのは8月7日から。盛岡市内の愛宕山展望台、網張、再び盛岡の岩山展望台と、三日連続で撮影。


愛宕山展望台。通過直前に月が薄雲に覆われました


網張。こちらも直前から雲が出ました


岩山。三度、雲が・・・。

なかなか快晴にはなりません。そうこうするうちに合宿当日。天気予報では終夜曇り一時雨、という思わしくない状況でしたが、めげずに現地入り。場所は、八幡平市の焼走り国際交流村の中にあるキャンプ場(キャビン村)です。夏休み中とあって、家族連れなどのグループで、キャビンはほぼ満室です。到着時には小雨が降っていましたが、日没後から晴れ間が広がり、19:00過ぎあたりからはついに快晴の空が広がってきました。このような予報のハズレは歓迎です。もちろん最初から当てて欲しいわけですが。


北斗七星の下を通過するISS

夕食の後、20:00過ぎに通過するISSの観望と撮影。ふと思いついて、部員がそろって眺めている構図を作成。通過時間が3分ほどでしたので、その間は「口は動かしても体は動かさない」ということにして、一緒にISSが雲に吸い込まれていくまで観測・撮影しました。こちらの無理矢理の要求に、文句も言わずにポーズを取った、岩手の素直すぎる高校生たちに感激した瞬間です。

合宿の大きな目標の一つは、ペルセウス座流星群の観測です。これまで流れ星をはっきりと見たことがない、という生徒もいましたので、芝生にシートを並べて、寝転がってじっくり観望という態勢を敷き、一つでも二つでも見て帰ろうを合い言葉に時間を過ごしました。夜遅くから、やはり雲が広がってきたものの、その合間からは流星がいくつか見られました。流れるたびに「出た」「見えた」「見た」「あっ」「流れた」・・・「えっ」「どっち?」「おぉ!」など、にぎやかな高校生たちでした。


これは8日未明に出現したペルセウス群の流星

夜半を過ぎて、いよいよ雲が厚くなった頃から、睡魔に降参する生徒も出始めます。それでも頑張り続ける部員の味方をしたのか、03:00ごろから再び晴れ間が広がってきて、木星と金星が見えてきました。ほとんどの参加者にとっては、望遠鏡で初めて見る木金コンビです。この日は、月と金星の形がほぼ同じでしたので、なおさら面白かったようです。木星の縞模様と衛星ももちろん。


月がすっかり暈をかぶって、左下には木星と金星


朝焼けに染まる空・・・二人が睡魔によりダウンですねw

やがて、東の空が白み始めるとともに、きれいな朝焼けが広がり、示し合わせたように、一斉に携帯で撮影会です。その様子を撮影するのが私w。一晩中観測に精を出したメンバー達の顔も赤く燃えて、感激ひとしおの表情が並びました。だいぶ動いて相当疲れていたはずですが、みんな仲良くテキパキと後片付けまで。一人が思わず小声で漏らした「ちょ~眠い」の一言が笑いを誘いました。みんな眠いよね(もちろん私もw)。
恒例の、「週に一度の晴れ日」です。もっとも、26日午前中に、東北北部の梅雨明けが伝えられたことで、週末は晴れて暑い日が続きそうです。前回の観測・撮影からちょうど一週間経ちました。この間、これまで撮影した画像の整理や、HPの見直し、構成の変更など、積もっていた作業を一気に終えることができ、夏の本格観測シーズンを迎え撃つ準備は万端です。

25日夕方時点での天気予報は、全メディア基本的に「曇り」。ただし、GPV予報だけは、夜遅くから沿岸南部の晴れを予報していました。先日、一本松の保存について、①防腐処理をすること、②幹を分割し、くり抜いて心棒を通すこと、③現地で組み立てて元の場所に設置保存すること、④根は保存するが枝は複製を使用すること、が伝えられました。早ければ8月中にも作業に着手するとのことでしたので、約半年ぶりにダメ元で遠征しました。

往路、遠野市を抜けるあたりから雲が取れて月が見え始め、住田~陸前高田と進むにつれて快晴の空が広がります。「ホントですか~?」と疑いたくなるほどの好天です。現地到着後すぐに、当初は予定になかった、月・火星・土星・スピカの(ゆる~い)集合写真から開始。各天体はだいぶ西に傾いて、まだわずかに雲が残る空でしたので、とりあえずの記録写真として保存です。


月の上にスピカと土星、斜め右下に火星

月が沈み、天の川がはっきりと見えてくるのを待って、入手したばかりの魚眼レンズの試運転。いて座がほぼ南中する時間でしたので、南天の天の川を狙いました。超高感度・長秒露出でも、ノイズ処理によりまずまずの画像を得ることができました。


差し渡し180°ほどで画角の端が湾曲する構図

ここからは、微速度動画用の撮影です。こちらは連続シャッターによる撮影ですので、ノイズ処理なしです。熱カブリを心配しましたが、できあがりを見れば、小さな画面であればほとんど気になりません。技術の進歩は驚くばかりです。アングルを変え、南天と北天の天の川の動きを描写してみました。



ISSの通過時刻が近づいてきたところで切り上げ。ISSはこのところ、日本列島の遙か北方を通過することが多く、岩手でも最大仰角17°の予報です。それでも、ほぼ一ヶ月ぶりの対面ということで、全光跡を描写するために、こちらも魚眼レンズにて。ISSの15分後、HTV(こうのとり)が通過する予報でしたが、仰角10°で、低空には雲が出始めたこともあり、残念ながらこちらは確認できませんでした。


高度は0.5等の予報

02:00を過ぎると、東の空には、すばる~木星~金星がきれいに並んで壮観です。03:00を過ぎれば、かすかにオリオン座も姿を現します。真夏のオリオン・・・こんなタイトルのドラマだか歌だかがあったような。まだしばらくは、夜明け前の豪華な星空を楽しむことができそうです。そして、徐々に空が赤らんで、あっという間に日の出を迎えます。とは言っても、夏至から一ヶ月以上も経過し、日の出はずいぶんと遅くはなりましたが。


左にある三連星、上からすばる~木星~金星

冒頭でも触れましたように、津波に耐えた「奇跡の一本松」は、塩害等により枯死状態となりました。ひょっとして、今の立ち姿は今回が見納めになるかもしれません。周囲の瓦礫は・・・減ったようでもあり、変わらないようでもあり、まだまだ明確な展望が見えない状況なのでしょうか。
縁あって、先月末から盛岡市内のある高校にて、「部活動」のお手伝い。きっかけは、校内の戸棚に眠る新品の天体望遠鏡。旧知の友人から、使い方が分からないので何とか、との相談を受け、あれこれやっているうちに行きがかり上、星や天体・天文に興味を持っている高校生とともに、月や土星やあれこれ観望したのが今月の第一週。5~6月の、日食・月食・金星の日面通過など、珍しい天文現象に触れ、関心を持っている生徒が結構な数になっているとのことでした。

日頃、小中学生を対象に天体観察をする機会は多いのですが、高校生は滅多にありません。いい機会ですので、あれこれ趣向を凝らしながら、中長期にわたって援助していきたいと考えています。その分、個人的な観測時間はちょっとだけ少なくはなりますが。ということで、今月の個人観測第二回は月半ば。というよりも、週に一日ぐらいしか晴れの日がないのが実態です。

そして、盛岡でも真夏日となった18日、少し涼しくなった夕方の薄明時に出発。観測地は、八幡平市の「岩手山焼走り国際交流村」の敷地内にある銀河ステーション天文台の前です。この天文台は、いつでも閉まっている(!)ので、観望の絶好ポイントです。実際は、晴れた土曜日には開館しているようですが・・・。けっこう晴天率が高い地域だと、自分的には感じています。

19日が新月で、天気さえよければ、一晩中暗夜での観測が可能ですので、新しいカメラの威力を試すには最高の機会です。21:00過ぎから、星雲・星団・銀河を中心に次々と対象を変えては撮影。湿度が高く、透明度は今ひとつでしたが、期待通りの画像を生み出してくれます。10年前であれば、暗めの銀河を撮る場合には、高いガイドの精度が求められる中で数十分露出して1枚、という世界でしたが、今どきのデジカメは、30秒程度で済みます。しかも、もちろんその場で画像が確認でき何度でも撮り直しがききます。ホント、隔世の感ありです。



星雲(惑星状・散光)4態


大きく見応えのある球状星団4態

天の川が南中し、岩手山の上に直立する頃、しばし望遠鏡を離れて三脚を設置。天文台と岩手山、そして天の川の構図を狙います。スッキリとした快晴ではないので、やはりボンヤリした感じですが、いて座~夏の大三角~カシオペアまで続く天の川が見られたのは実に久しぶりのことです。新カメラ用に魚眼レンズも入手しましたので、その試運転も兼ねています。


これは標準レンズ(やや広角)による画像です

さて、そうこうしているうちに、東の空に目を移せば、早くも木星と、金星も顔を出しています。一週間見ないうちに、どちらも1時台には出てきます。その2惑星の上には、おうし座のすばる。右には、同じくおうし座のアルデバランとヒアデス星団、という何とも豪勢な星々の配置です。


実際はすばるが上で金星は一番下の縦型です

梅雨明けはもう少し先のようですが、今夜からまた天気は下り坂。観望はまた一週間ほどお預けのようです。週末には久しぶりに一本松(陸前高田市)を訪れる予定でしたが、来週の晴れの日まで延期です。一本松は、保存の方向で寄付を募っているようですが、防腐処理の後、心棒をとおして支える工法が検討されているようです。ひょっとすると、次の訪問・撮影が、自立する姿の見納めになるかもしれません。
天体写真を初めて撮ったのは今から25年ほど前のことで、最初に買ったカメラは、ペンタックスのK1000という、当然ながら銀塩マニュアル機でした。その後、同じくK2からビクセンのVX-1/VX-2を経て、星景写真専用に67/67Ⅱという中判カメラに凝り、デジタル時代になって、やっぱりペンタックスのistD/K10Dをしばらく使用してきました。

当初から、交換レンズや望遠鏡用のアダプターなど周辺機器がすべてペンタックス(Kマウント)仕様で揃えましたので、今でも使うのは同社のカメラのみです。デジタルのK10Dは、すべてオークションで入手した中古を3台駆使していましたが、撮影効率や処理能力・スペックなどを考慮した結果、新製品の購入を決断。

7月1日には手に入れたものの、天気がこの通りで、10日間ただ眺めていただけw。もちろん、どの対象をどんな風に撮るか、といった計画だけは万全でしたが。やっとこの日、約半月ぶりの晴天の夜空が広がり、暗夜、月、天の川、星雲、惑星など、カメラの性能を試すにはおあつらえ向きの星空です。今どきのデジカメは、感度(ISO)が6400とか、12800とか、ほんの10年前から見れば、もう別世界です。


県民の森から見る岩手山と天の川


八幡平アスピーテラインから見る岩手山と天の川

どちらも、ISO6400で露出は30秒、18mmF3.5による画像です。月明かりがない時間帯での撮影ですので、十分な可能性を感じさせる出来です。月が出た後、いくつかの星雲・星団も撮影してみましたが、そちらも能率・効率がこれまでの数倍にアップ。露出時間が短くできる分、より多くの対象を撮影でき、場合によっては、極軸調整やガイドが少々甘くても何とかなるほどのレベル。


M27/M57/M13

一段落したところで、撮った画像の確認のためちょっとだけ一休み・・・のつもりが、いつの間にかウトウト。目が覚めたらすでに3時を回り、あたりはすっかり明るくなっていて、東の空には朝焼けの筋雲が広がっています。金星は・・・雲間に見えています。すぐそばのアルデバラン(おうし座の1等星)は肉眼では見えません。


金星(下)の右にアルデバランとヒアデス星団、上は木星

わずか数時間ながら、外に設置・放置した望遠鏡などの機材は夜露に濡れてダラダラ状態です。気温は13度と、やや肌寒いほど。半月ぶりに見た金星は、地球からやや遠ざかり、三日月形から半月型に移行するところです。13日に最大光度(-4.5等)、8月15日が西方最大離角です。

カメラがこれほど高性能になると、苦労して工夫しながら技術を向上させて、ということが少なくなってくるんだろうなぁ。フィルム時代は、失敗ももちろん多くありましたが、そこから学んで、徐々に思い通りの撮影ができて納得できる写真をものにした時の満足感は、何とも言えないものがありました。天体写真に限って言えば、あの頃の経験はちょっと難しい時代になったかもしれません。何よりも泥臭い努力というものをしたがらなくなりそうで・・・。
急に晴れました。快晴です。実にほぼ三週間ぶりに、「まとも」な星空を見上げた夜でした。観測・撮影の始まりは、二ヶ月ぶりにお目にかかるISSですが、光度は-0.4等と明るめながら、最大仰角は22°と低く、撮影場所を迷いましたが、八幡平市の「上坊の一本桜」へ。

月明かりが弱いので、フラッシュを使用しての撮影ですが、近づきすぎるとISSの光跡が木の陰になりそうでしたので、角度を確認しながら試し撮り多数。しし座から見え始め、おとめ座の下で見え終わりの約3分間です。久しぶりのISSは・・・やっぱりきれいです。26日の夜(最大仰角44°)に好条件の通過の後は、7月後半までお預けとなります。



見え終わりの2分を撮影

この後、県民の森に移動して、星雲・星団・銀河や星座の撮影を予定しましたが、湿度が高くもんやりした感じで夜露も激しく、くっきりとした像が得られず、眼視のみとしました。この夜の狙いは、明け方の木星と金星、特に明けの明星の姿をとらえることでしたので、それまでの数時間、ゆったり・のんびりとあれこれ視野に導入しては、旧友に会った気分でまったりと。

木星の出は02:18、金星は02:38です。地平線付近には遠方の山々や低い木々がありますので、30分以上たたないと見えてきそうにありません。日の出が04:07ですので、3時頃からは薄明が始まります。マイナス等級の明るい惑星とはいえ、できるだけ暗めの空で観測したいところ。

そうこうするうちに、枝の間にキラキラ輝くもの・・・木星です。その上には、明るくなってきた空に浮かぶ「すばる」。20分後、ついに明けの明星、金星のお出ましです。6月6日の太陽面通過後初めての対面で、これから中長期にわたって観測を続けます。

朝焼けの中、大気の揺らぎが激しく、20°ほどまで昇っても望遠鏡で見える木星と金星は、水中のようなゆらゆら状態。一瞬でも像が安定してくれればいいのですが、結局最後まで(明るくなるまで)満足の一枚は撮れず。木星は本体撮影は断念し、衛星を撮影しておしまいです。金星は、今後のこともあるのでねばって何とか形が分かる程度の画像。


衛星は、左からカリスト・エウロパ・ガニメデ

まずは、姿を見られたことをよしとします。帰路、朝焼けがきれいでしたので、記念に(?)パチリ。さぁ、7月15日は白昼の木星食、8月14日は深夜~未明の金星食です。今年は、日食・月食もあり、前代未聞の「食あたり」の年。梅雨時の今日この頃、食中毒にはくれぐれも気をつけましょう。



では、今夜もISSで、明朝は金星。
2004年以来、8年ぶりに金星の日面経過(太陽面通過、以下「通過」)が日本で見られました。その前は1874(明治7)年、次回は105年後の2117年ということですので、文字どおりの「世紀の天文現象」と言えるでしょう。前回は仕事の都合や何やかんやで見ることができませんでしたので、今回が初めての観測となります。

事前の天気予報は、どのメディアを見ても思わしくありません。曇りや雨、おまけに台風が通過するとかで、雷雨の可能性もあります。県内で少しでも可能性がありそうな場所ということで、沿岸北部の黒崎園地(普代村)に向けて、前夜の23:00頃に出発。望遠鏡の設置・調整のために、星が見えている時間に現地に到着する必要があります。

到着時には、雲量50%程度の「晴れ」でしたが、日の出が近づくにつれて雲の量がみるみる増え、海からは白い霧状のものが広がってきます。「やませ!」とすぐにわかりました。というのも、沿岸の久慈市に長いこと暮らしたことがあり、だいぶ内陸に入った場所でも、平地を這うように進んでくる冷たいやませを何度も経験していたからです。


南西の空には月がいて青空も見えています(03:50)


日の出の頃、雲がかなり広がってきました(04:20)


そして「やませ」の襲来(05:30)


これは・・・太平洋です(06:30)

前途多難を思わせる朝の風景です。通過開始1時間前には、青空がほとんど見えない状態となりましたが、南の方から少しずつ晴れ間、雲の切れ間が近づいてきました。開始の10分前、その雲の切れ間(薄雲状態ですが)から太陽が顔を出してくれました。太陽面に見えてきた金星は、イメージしていたよりも大きく見え、日食グラスによる肉眼観測でもはっきりとその姿を確認することができ感激の瞬間です。

そこから13:47の終了まで、6時間以上にわたり、スッキリ青空の中に見えたのはほんのわずかで、ほとんどの時間は「天に雲、地にはやませ」、さらに午後からは強風が加わり大苦戦を強いられることと相成りました。それでも、散々撮り散らかした画像の中から見られそうなものを選抜して組写真にしてみました。


1時間ごとのハイライト写真と開始・終了間際の画像

彩度・輝度・明るさ・コントラストに加えて、フィルター処理を施したもので、現在の力ではこれが画像処理の限界です。動画は、1枚1枚の処理をしていては何日かかるか分かりませんので、一括処理としましたが、撮影条件、特にも露出時間が1枚ごとに変わるほどの画像を数百枚分並べたもので、雲ややませや強風などの外的要因に加えて、観測技術などの人的要因も重なり、揺れたりとんだりチカチカしたり。



日食や月食と比べて、決して見栄えのするものではないかもしれませんが、太陽系そして宇宙を感じる現象であり、広大な時空の広がりを体感できた時間でした。105年後には、是非快晴の元での観測をしたいものだと・・・。ただしその頃には、宇宙船に乗って、金星に近づいた空間から日面通過を人工的に楽しんでいるのかもしれませんが。
つい半月前に日本中を湧かせた日食は、新月の時に見られる現象ですが、その前か後の満月時には月食になることはよくあります。今回は、最大食分0.376という、肉眼でもはっきりと分かるくらいのまずまずの見ものです。月食観測は、昨年の皆既以来ですが、実はここ10年ほど、部分月食の時に好天に恵まれた記憶がありません。

当日の昼までの天気予報では、ほとんどが曇りベース。日中は雷鳴がしたり、県内各地で雨や雹(!)が報じられていました。少しでも可能性が高いと思われる場所と思い、出した結論は八幡平市です。ただし、GPV予報では、よくても雲量が4~5割ほどになりそうでした。現地に向かう途中の国道は、所々激しい雨が降ったと思われる水たまり。が、西から一気に晴れてきていて、東~南に雲がどんどん流れています。

観測地に到着した頃には、雲量10%未満の、ほとんど快晴状態です。ただし、そのわずかな雲がすべて南東、すなわち月が出てくる方角に集まっており、高度も10~15°ぐらいという、まさに奇跡w。さらに北に行けば良さそうにも思いましたが、時間的に厳しいと判断し、雲が動いてくれることを願いながら、観測の準備。日食と同様、天文台の建物と月食の構図を狙いました。日没前での機材の設置ですので、方角は磁石を使ってだいたいの位置取りとせざるを得ません。

18:50、月の出。18:59、食の始まり。南東の雲は動かず、月は全く見えず。低い位置にやっと赤い月が見えたのは19:20頃のことです。日没後30分ですので、まだまだ明るい空です。雲が居座っていましたので、食の前半は月が出たり隠れたりの繰り返しで、食の最大(20:03)の20分前になってやっと雲から抜け出して、後半の食の過程を撮影することができました。



ドームからの月食ビーム・・・みたいな

食の全過程を画角に収めようとすると、月があまりに小さくなりますので、少し離れた場所からやや望遠で、建物と月の大きさのバランスが美しくなるよう考えたつもりです。先日の日食撮影の直後からのアイディアです。日食とは違って、月食は食の進行、また高度の変化に伴い、適正露出時間がどんどん変わります。望遠鏡による拡大撮影カメラと、固定カメラの感度と絞りをほぼ同じにして、拡大画像で確認しながらの調整としました。これも日食撮影での学習効果です。


10分ごとの組写真

主に後半中心の観測とはなりましたが、天気予報も都合よくはずれて、久々の部分月食観測大成功、としておきます。次回の、好条件の月食は2年後ですが、星見人にとっての1年や2年はあっという間です。そして、6日(水)に見られるのは、金星の日面経過(太陽面通過)ですが、今のところ、天気予報は思わしくない。ひょっとすると、雨模様になってしまうか。遠征するにしても、かなり遠くまで足を伸ばさなければならないような。これは見ておきたいんだけど。最終判断は前日の午後。

ところで、月が出る方角と高度が、前日のシミュレーションとはちょっとだけずれてしまい、固定撮影では、事前にイメージした画像とはやや異なる結果に。まぁ、それはそれで面白い画になったからよしとしますが。原因は、シミュレーションの場所設定を盛岡にしていたこと。実際の観測地は、盛岡とは緯度も経度も異なるわけで、そこの修正をするのを忘れていたということです。ISSの観測などでしょっちゅう経験しているはずなのに、肝心な時にうっかりやってしまいます。もちろん、命に関わることはないですが。
日本の広い地域で金環日食が見られた朝です。前回、2009年の皆既日食(南西諸島など)では、岩手県内そして本州のほぼ全域が雨や曇りのため、山口県の下関まで遠征して観測しました。その時の最大食分は0.882でしたが、今回観測地に選んだ、八幡平市の焼走り国際交流村では、食分0.898の部分日食を楽しむことができました。

望遠鏡設置・調整のため、02:30頃に現地到着。快晴ですが、湿度が高く、空全体が白っぽくぼやけています。岩手山銀河ステーション天文台裏の通路にて観測予定です。天体ドームを前景として、昇る太陽と日食の画像を撮影しようと選んだ場所です。日の出前、03:39~03:45には、ISSが頭上を通過します。天文台をはさんで南西と北東の方角にカメラを設置、薄明の中を航行する光を待ち構えて撮影しました。


-2等級とはいえ、日の出30分前はさすがに厳しい(特に北東)

日食の開始は06:26ですが、比較明合成用に05:00頃から固定カメラによる撮影を開始、望遠鏡によるアップ画像は06:00からの開始です。今回は、アップ、固定、観測風景、木漏れ日、ピンホールと、フルコース撮影の予定でしたので、カメラは4台、三脚3台で臨みました。アップ画像は30秒ごとに露出を変えて各3コマ、固定撮影は1分ごとの各3コマです。前後を含めて3~4時間ですので、それぞれ1000~1500コマの撮影です。

日の出後1時間もしたら、雲一つない快晴で、空気がどんどん澄んできて、気温も順調に上がってきました。食の開始から終了まで、いろいろな現象撮影を挟みながら、集中!前回の経験が十分に活かされた観測・撮影行となりました。すべて詰め込んだ、少々欲張りな計画でしたが、95%は実施できたようです。残り5%は、気温・湿度の記録をし忘れたことによります。


食の最大画像を中心にした組写真


けっこう暗くなりました

観測・撮影風景は、明るさの違いが分かりやすくなるように、短い露出時間で撮影。木漏れ日には、現地で拾い集めた枯れ枝を使いました。ピンホール撮影は、シートをかざした状態での片手持ち撮影のため、少々ずれてしまいました。それぞれ、最大食分の頃の画像です。


固定撮影、日の出、観測機材

日の出直後には、けっこう雲が広がっていましたが、1時間もすると雲一つない快晴となり、日食終了まで天気を気にすることなく観測できました。固定撮影による連続写真は、日食の高度がやや高かったこともあり、広角による撮影ですので、太陽像がだいぶ小さくなりましたが、太陽の径路や食の進行の雰囲気は伝わるでしょう。動画は、アップ画像による食の進行と、固定撮影による比較明動画としました。



ところで、タイトルの「カチューシャ日食」とは、兵庫県姫路市の「星の子館(ほしのこやかた)」にお勤めの「星のおねーさん」こと月侍さん(ツイッターアカウント https://twitter.com/#!/tsukizamurai )の命名によるものです。何ともおしゃれ~な呼び名ですね。確かに、食分0.9ほどの形はそのものです。

さて、天気予報の的中率の検証です。今回の対象は、岩手県内テレビが、NHK/IBC/TVI/IAT/mitの5局、それと気象庁/GPV/ヤフー天気、さらには日食対応予報としてtenki.jpと、全部で9メディアです。15日(火)から20日(日)までのそれぞれの予報について、当日の天気との的中の程度を、日々客観的かつ複雑な計算式(これは個人の独断によるものですw)により算出しました。その結果、栄えある第1位は、「IAT」「TVI」が9.5ポイントで同率、次いで9ポイントの「IBC」「mit」と、上位4つまでをテレビのデータ放送が占めました。ただし、以下も僅差ですので、今回は際立った差は出ませんでした(tenki.jpだけは論外でしたが・・・)。梅雨時の、天気が不安定な時にでも再検証してみます。