事前の天気予報は、どのメディアを見ても思わしくありません。曇りや雨、おまけに台風が通過するとかで、雷雨の可能性もあります。県内で少しでも可能性がありそうな場所ということで、沿岸北部の黒崎園地(普代村)に向けて、前夜の23:00頃に出発。望遠鏡の設置・調整のために、星が見えている時間に現地に到着する必要があります。
到着時には、雲量50%程度の「晴れ」でしたが、日の出が近づくにつれて雲の量がみるみる増え、海からは白い霧状のものが広がってきます。「やませ!」とすぐにわかりました。というのも、沿岸の久慈市に長いこと暮らしたことがあり、だいぶ内陸に入った場所でも、平地を這うように進んでくる冷たいやませを何度も経験していたからです。

南西の空には月がいて青空も見えています(03:50)

日の出の頃、雲がかなり広がってきました(04:20)

そして「やませ」の襲来(05:30)

これは・・・太平洋です(06:30)
前途多難を思わせる朝の風景です。通過開始1時間前には、青空がほとんど見えない状態となりましたが、南の方から少しずつ晴れ間、雲の切れ間が近づいてきました。開始の10分前、その雲の切れ間(薄雲状態ですが)から太陽が顔を出してくれました。太陽面に見えてきた金星は、イメージしていたよりも大きく見え、日食グラスによる肉眼観測でもはっきりとその姿を確認することができ感激の瞬間です。
そこから13:47の終了まで、6時間以上にわたり、スッキリ青空の中に見えたのはほんのわずかで、ほとんどの時間は「天に雲、地にはやませ」、さらに午後からは強風が加わり大苦戦を強いられることと相成りました。それでも、散々撮り散らかした画像の中から見られそうなものを選抜して組写真にしてみました。

1時間ごとのハイライト写真と開始・終了間際の画像
彩度・輝度・明るさ・コントラストに加えて、フィルター処理を施したもので、現在の力ではこれが画像処理の限界です。動画は、1枚1枚の処理をしていては何日かかるか分かりませんので、一括処理としましたが、撮影条件、特にも露出時間が1枚ごとに変わるほどの画像を数百枚分並べたもので、雲ややませや強風などの外的要因に加えて、観測技術などの人的要因も重なり、揺れたりとんだりチカチカしたり。
日食や月食と比べて、決して見栄えのするものではないかもしれませんが、太陽系そして宇宙を感じる現象であり、広大な時空の広がりを体感できた時間でした。105年後には、是非快晴の元での観測をしたいものだと・・・。ただしその頃には、宇宙船に乗って、金星に近づいた空間から日面通過を人工的に楽しんでいるのかもしれませんが。