イーティーズ・プレイスの星空観測行

イーティーズ・プレイスの星空観測行

岩手の移動天文台、「イーティーズ・プレイス」による、星空と天体の観測記録。 http://www.justmystage.com/home/etplace/

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5月の連休明けから始めた、銀河ステーション天文台(八幡平市)の展示室改装作業は、やっと中盤~後半になってきました。15m×10mほどの広さに、展示物は「熔岩」のみという状況だったものから、天文・宇宙関連の展示物を設置し、展示室だけでも多くの方に見に来ていただけるような内容を目指しています。

現場での作業はほぼ一日おきに行っていますが、一階の展示室はだいたい姿が見えてきました。熔岩は、プレートを外して一カ所にまとめて展示、空きスペースにカメラなどの機材を陳列。プロジェクターによるスライド映写を行っていた場所には、モニターを設置して動画上映。天文関連の書籍や資料の整備。壁面には星景や天体写真を掲示。以上がイメージしている改装内容です。



熔岩が置いてあった展示台の一つにはカメラなど


後部壁面に書籍・資料の整備


入口に展示した写真


正面に動画・音楽再生システムを設置


天体望遠鏡を設置


星景写真を壁面に

星景と各種天体の写真は、ラミネート加工をして貼付したプラスチックのパネルを直接壁面に貼り付けることに。あれこれ考えた結果、これが最も簡便で、何よりお金がかからないという結論。何しろ予算がないもので、できるだけ安価に、ただしそれなりの見栄えがする展示方法を工夫しているところです。

星景写真は、岩手県内を10ブロックに分けて展示・・・パネル10枚分。天体写真は5~6枚になりそう。展示室四方の壁面に星景、階段から二階ギャラリーにかけての壁面に天体写真、という予定です。作業そのものはあと1~2回で終わりそうですが、その後の公開に向けた準備、営業のあり方など、考えるべき課題や内容はまだまだたくさん。関係者と協議しながら、一日も早い公開に向けて準備は進みます。
「岩手山銀河ステーション天文台」(岩手県八幡平市)の運営に参加させていただくことになりました。岩手山の麓、焼走り熔岩流から道をはさんで隣接する、焼走り国際交流村内にある施設です。キャンプ場、キャビン群、温泉施設などが点在する広大な敷地の中に天体ドームがきらめいています。

ここには、個人的な観測や撮影でしょっちゅう訪れており、内陸では晴天率が比較的高く、澄んだ星空が堪能できる場所として、日食や月食、そして数々の天体写真を撮影してきたところです。天文台は、現在は5月~10月の土曜日のみの開館で、観望のために入ったのは1回しかありません。

今回、観望会の実施に加えて、展示室の改装を任せてもらうことになりました。これまでに撮りためてきた星景や天体写真を公開できる場所を探してきたこともあり、広い展示室は魅力です。15m×10mほどの室内に展示されているのは、今のところ全国各地の「熔岩」のみです。天文台らしき展示はほとんどない状態。



展示室全景:入口付近の巨大なジオラマが・・・西根町!

計画では、四方の壁面に「岩手の星空」写真をパネル展示、正面にはモニターを設置してBGMを流しながら動画上映、背面には書籍や資料を整備、階段からギャラリーの壁面には各種天体写真、ドーム内には観測対象となる天体のハイライト写真、という段取りです。

「岩手の星空」については、県内を10ブロックに分けてそれぞれパネル1枚にまとめて、1ブロック15枚程度の写真。加えて、天の川やISSを含む星景あれこれパネル2~3枚。天体写真は5~6テーマに分けて、やはりそれぞれ15枚ほど、さらに展示解説や天文関連のパネルを数枚・・・とすると、300枚程度の画像になりそうです。



熔岩展示・・・これが3カ所


一旦撤去して一カ所にまとめます

熔岩の展示プレートはねじ込み式で据え付けられていますので、一旦外して奥の一角にまとめて陳列します。そちら方面の知識はありませんが、貴重な標本であることは想像できますので、丁寧に取り扱います。ただ、説明の中の「採取地」が天文台創建当時(平成4年)のものになったままですので、そこは現在の地名を明示したシートを掲示。


奥のコーナー:ここに熔岩展示を集めます

展示物のほぼすべてが「私物」になりますが、このようなスペースで、自分が撮った写真を展示公開し、自分が作った動画を見ながら、自分が好きな音楽を聴いて、それを多くの人に見ていただき聞いていただく、という夢が実現できそうです。基本的には一人での作業で、内容や規模にはどうしても制限がありますが、またとない機会ですので、思い通りに作ってみようと考えています。

リニューアルオープン・・・目標は5月中!
4月の満月は26日04:57で、その前後数日間は朝まで大きな月明かりの中での観測となります。晴れの日も少なく、4月下旬というのに最低気温は氷点下になるなど、春とは思われない日々が続きました。ここ一週間で、まずまずの夜空に会えたのは三回。明るい星空でしたので、観測・撮影の対象はパンスターズ彗星とISSに限定です。

彗星は4月中旬以降周極星となり一晩中観測できますが、日々その高度は高くなりますので、景色とともに撮影するとかなり小さくなってその存在すら分からないほどになってしまいます。今後は彗星本体の変化やその移動の様子、分かりやすい星座や各種天体との接近などが主な記録の対象となってきます。


岩手山の稜線と彗星:4月22日北中後


暗夜~薄明の彗星:4月26日


星間移動する彗星:4月28日


星間移動(微速度動画)

この間、ISSの通過も好条件で見られる日がありました。ただ、天気がスッキリしない日が多く、ダメもとで出かけての撮影となりました。通過の直前になって快晴が訪れたラッキー日、逆に直前に雲に覆われ、直後にさぁ~っと晴れるようなアンラッキー日、最初から最後まで雲がワクワク日、など、それぞれの顛末となりました。


めがね橋(遠野市):4月22日・・・通過後に雲が


穴通磯(大船渡市):4月25日・・・直後に快晴


山田湾(山田町):4月27日・・・全く見えず
上弦を過ぎた月が夜半まで夜空を照らしています。4月19日(20日)の月没は00:43で、日の出は04:51ですので、暗夜は2時間弱です。この夜は、「ISSとパンスターズ彗星」「パンスターズ彗星の北中」「星間を移動するパンスターズ彗星」の3つの企画の元に観測と撮影を目的として、普代村の黒崎漁港へと向かいました。

到着時の北天低空には、水平線上10度近くまで靄の層が広がっています。ISSの通過は19:25頃で、何を勘違いしたのか、20日の通過経路と間違って撮影アングルを設定してしまいました。19日は彗星の下、20日が彗星の上の通過です。画像処理の後、彗星を中央に配置したトリミングでどうにかそれらしく。



ISSは薄い靄の中を通過、彗星はかろうじてモヤ層の上

雲と靄の層は、時間とともに北東に流れています。時間を追って試し撮りをした画面でも、徐々に低空まで星が写ってきています。この分であれば、北中前後(22:00ごろ)の彗星の日周運動をとらえられそうです。適度な望遠にして、北中の前後1時間程度を連続撮影に取りかかりましたが、開始30分ほど経過したその時、防潮堤の背後から一艘の漁船が現れ、強烈な照明が真正面から当たることと相成りました。

漁船員の動きが分かるほど、すぐ目の前での出来事です。まさか、岩場の浅瀬が漁場だとは思いもせず。北中前後の30~40分間しっかりワカメを採っていただきました。いつもの通り、深夜23:00頃からの出漁だと予想していましたが、早めの漁をする船が2艘ほど海に出ていたようです。おびただしい数の海鳥に囲まれて、波にもまれながらの重労働です。



21:20~21:40、3分ごとの日周運動・・・順調でした


突如右から現れ船いっぱいに収穫した後に帰港

彗星が東の空に回ってからは、望遠鏡により、彗星の星間移動の撮影です。移動量はそれほど大きくはありませんので、長時間の連写モードです。少々疲れもありましたので、カメラ任せで数時間の仮眠。23:30~03:00に撮影された画像を確認したところ、00:00~01:00には雲が通過したようで、30秒露出の100コマ以上にわたって真っ黒な画面が続いています。寝ている間の出来事でした。


01:30~03:00の30分ごとの4コマを合成

結局、動画は作ってはみたものの、「おいしい」時間帯の画像がないこともあり、今回はボツ。1時間での移動量は2分強と小さく、月明かりの中での撮影で尾が淡くなり、好条件の空を待って再チャレンジとします。03:30頃には、東の空はすでにジワ~っと明るくなり始めます。アップ画像ではわずかに空が青くなり、淡い尾の全体像をとらえることはできませんでした。


20日03:30
北の空に現れてからちょうど一ヶ月。いよいよパンスターズ彗星が周極星となり、一晩中観測できるようになります。シミュレーションでは、北緯40度の地点で4月13日から。西空の低空を移動した彗星は、22:30頃に真北を通過して東の空に回ります。ただし高度は2度程度ですので、よほど空の状態がよくなければ見ることはできません。内陸では、山などの遮蔽物があって北中通過はしばらくは観測できそうにありません。

4月12日、翌日用の下見と練習を兼ねて沿岸に遠征しました。普代村の黒崎園地は北緯40度地点です。残念ながら、水平線上は10度ほどまで厚い靄で覆われています。この時期、海はどこに行ってもこのような状態なのでしょう。この日の彗星の没は22:00頃の予報でしたが、20:00前にはすでに靄の中に突入して影も形も見えなくなりました。

上空は澄んだ快晴が広がっていますので、通常観測には最適です。月明かりもなく、夏の星座の星雲・星団・銀河を次々と視野に入れてはそれぞれの美しさに見とれていた時、背後(北方向)が急に明るくなるのを感じました。後日判明するのですが、深夜から朝まで続くワカメ漁です。近くの漁港から出漁した小型船があっという間に数十艘、ひしめき合っての漁です。



黒崎漁港と太田名部漁港から出漁しています

翌13日は、漁の様子も見られたら、ということで黒崎漁港の隅の方で観測準備。やはり低空にはモヤがたまっていますが、早い時間には彗星は見えていて、すぐ上をISSが通過します。ISSの予報光度は1.4等で、彗星はこの時期5~6等級の予報です。かなりの光度差がありますが、それはそれで一つの記録として面白い画になるのではないかと思い撮影してみました。


光跡上の明るい二星はカシオペア座のαとβで2等級

10日が新月で、12~13の両日にはきれいな地球照の月を見ることができました。しかも13日にはM45(プレアデス星団:すばる)とのやや接近もあり、すばらしい眺め。望遠鏡の設置場所からは岩陰で月が見えませんでしたので、港の岩壁・遊歩道に回っての固定撮影です。対岸には太田名部漁港の明かりが見えています。


月齢は12日が2.0で13日が3.1


山陰に沈む月は4分ごとの画像を比較明合成

深夜になると、トラックが次々と漁港に下りてきて、舟が漁へと出航していきます。やがて、ワカメを満載して港に戻り、それをトラックに積みかえて、舟は再び海に出て行きます。トラックは(たぶん)加工場へと運搬してはまた港に戻ります。朝までこの繰り返しで、見事な連係プレーによる作業でした。帰宅後に検索して分かったのですが、普代周辺での風物詩「深夜のワカメ漁」でした。

漁の様子を横目に見ながら、こちらはパンスターズ彗星の集中観測です。予想どおり、低空は厚い靄で星一つ見えません。わずか数度上空は圧倒的に快晴の夜空が広がっているのですが。真北の方向をうらめしく見やりながら、彗星は今ごろあのあたりの超低空を沈むことなく通過しているはず、と想像しながら過ごした時間でした。



彗星が通過したであろう真北の方角

01:00過ぎからは、靄の中から抜け出した彗星が徐々にはっきりとした姿を見せ始めます。淡い部分まで含めると、大きく羽を広げた鳥の姿にも似て、大彗星の片鱗を垣間見せてくれています。望遠鏡では少々はみ出してしまうほどの大きさで、写真写りもよくかっこいい彗星となりました。5月いっぱいぐらいまで見頃・撮り頃ではないでしょうか。


1000mm直焦点と500mm望遠


薄明の中でM31アンドロメダ大銀河とともに
パンスターズ彗星が北天に姿を現してからちょうど一ヶ月。M31との接近を経て、間もなくカシオペア座を通過、そして4月中旬には周極星となって一晩中観測できるようになります。現在5等級と思われますが、澄んだ空が得られず、カメラや望遠鏡をとおしてのみの観測となっています。

暗い空であれば標準~ちょっと望遠でも存在だけならば写すことができます。夕方はまだ高度が上がってきておらず、観測条件としては夜明けの方がはるかによくなっています。薄明開始のころには20度近くまで昇ってきますし、一週間ほどは月明かりのない中ですので、観測・撮影チャンスと言えます。

春の霞が広がる中、悪天候も重なり内陸での観測はほぼ絶望的な4月上旬です。しばらく早朝に日本上空を通過していたISSが夕方の空に見え始め、その撮影も兼ねて沿岸に遠征しました。8日の予報は、最大仰角49度、光度-1.9等です。何ヶ所か観測ポイントを考え、向かったのは大槌町です。



城山公園から大槌湾~太平洋を望む

快晴ではありましたが、台風並の強風。通常観測は諦め、彗星が昇る方角が開けた場所を求めて北へ南へ。結局落ち着いたのは山田湾の織笠漁港です。風が止んだのは9日の01:00を過ぎた頃。東の水平線方向には10~15度ほどの高さまで濃い霞がたまっているのが分かります。彗星がそこを抜けるまで待つしかありません。そうなると、薄明開始までは30分程度しかありませんので、空の明るさとの競争です。


M31とともに。最接近時から見るとかなり離れてきました


霞の中に昇る朝日

10日の朝は内陸が晴れそうでしたので、遠征は一晩限りです。そして10日深夜、雫石町の、スキー場を間近に見る田んぼの中の観測ポイントに到着。ほぼ快晴の空が現れたのは02:00近くになってから。彗星の出はこの日にはもう1時台になっています。晴れの訪れがあと30分早ければ、岩手山の陰から姿を現し、徐々に昇っていく様子を連続画像に収めることができたのですが。


岩手山とパンスターズ彗星


彗星のアップ画像(1000mm直焦点と300mm望遠)

4月1日以来、3日ぶりに晴れの予報。そして、4日夜と5日朝はパンスターズ彗星とM31アンドロメダ大銀河が3°ほどまで最接近します。内陸部もほぼ快晴で推移しそうな予報でしたが、夜も朝も彗星の高度が低く、好条件で観測できそうな場所がありません。とくれば、当然水平線を見渡す海辺に行くしかないわけです。

夜は北西に沈み、朝は北東から昇りますが、知っている場所の中で、両方の条件を満たすところが思いつきません。朝の北東は何ヶ所かありますが、北西が難しい。しかも、望遠鏡を設置して観測もしたいわけですから、かなり制限されます。出した結論は、夜は普代の黒崎、朝は宮古の浄土ヶ浜。

往きの国道455号線、早坂トンネルの手前で車の大行列。事故の模様。しばらく待ったあとで、交互通行が開始されましたが、どうも大型と普通車が衝突したようで、大きな怪我などなければいいな、と思いながら普代村へ。快晴・・・なのですが、低空10~15°ぐらいの高さまで、ぐるりと霞に覆われています。彗星の見え始めは高度10°ほどからですので、大変厳しい状況。結局、夜は何枚か試し撮りをしただけで潔く諦めて移動。



普通に撮っても夕日がこんな状態になるほどの霞


高感度にしてやっとこの程度(高度10°弱、右下が彗星)

宮古市に入り、夜食の調達。コンビニで購入したのは、「アン」ドロメダと「パン」スターズにご縁がありますようにと、甘さ控えめの「ミニつぶアンパン」5個入り+最近流行りのモンスターエナジー(炭酸の栄養ドリンクみたいなの)+あれやこれや。浄土ヶ浜に下りてみたところ、願い空しくやはり海上は霧と霞。まだだいぶ時間はありましたので、食事の後に軽く仮眠。

目が覚めて観測準備をし始めた時に、浜に下りてくる1台の車。停まって降りてきたのは、あらあら、宮古警察署のパトロール警官。思わず「毎度どうも」と言ってしまいましたが、お一人が前にもここで(かな?)会った方で、憶えていてくれました。それで何事もなく準備継続。東の低空には霞がかかったままです。

2時頃には彗星の出を迎えます。わずかに遅れてアンドロメダ。肉眼では見えませんので、望遠鏡の自動導入で視野に入れます、が、それでも見えません。方向に当たりをつけ、カメラを向けては何度か試し撮り。何とか画角内には導入しましたが、とても見られるような写りにはなっていません。霞を抜けて昇るまで待つしかなさそうです。そうなると今度は、月明かりと薄明との競争。暗夜チャンスはせいぜい15分程度です。画角ギリギリに入る300mm望遠と、望遠鏡による1000mm直焦点で撮影終了。



わずかにカスミ色が残りましたが撮るだけは撮った、と


すでに薄明が始まっています(1000mm直焦点)

彗星撮影の時間中に、ISSが通過します。メインカメラはコメットさんにかかりっきりでしたので、サブカメラを放置して撮影しました。画素数がだいぶ落ちますので画質はやや荒くなりましたが、夏の大三角の中央に見え始め、月に向かってすい~っと消えていきました。ISSは、ここしばらくは早朝の通過でしたが、来週からは夕方に見えるようになります。


連写モード撮影のためノイズ処理はせず

数ヶ月にわたるパンスターズ彗星観測の中でのハイライトの一つ、M31との接近は無事に見る・撮ることができましたが、最接近のみならず、その前後も撮って比較するというのも目標の一つでした。が、これはかなわず。数日続けて晴れるということは、この時期ほとんどありません。

5日夜、予報は快晴で、方角的に、盛岡市内から見る岩手山方向に沈みます。岩山展望台で日没を待ち、方向とアングルを確かめます。7時頃にはもう高度10°ぐらいまで落ちてきているはずですが、それを確認することさえできないほどの霞み具合です。上空には、木星や冬の大三角がきらめいているというのに。確かに快晴ではあります。


天気が悪い日が続いています。パンスターズ彗星は、月明かりの中で日々移動し、日々光度が下がってきています。夜は、日没後2時間程度は地平線の上ですが、西の低空はどこに行っても何らかの遮蔽物(山とか)が目に入るのが岩手県。朝は朝で、水平線から顔を出して1時間もすれば薄明の始まり。ということで、天気だけではなく、物理的にも観測が難しい時期です。

折も折、アンドロメダ大銀河(M31)との最接近が数日後に迫ってきました。4月4日の夜と5日の朝には離角4°程度にまで近づきます。高度などから見て、朝の方が条件的にはよさようです。そこで、リハーサルとして、また、どの程度近づいてきているのかを確認するためにも、事前に見ておく必要があります。4月1日、快晴チャンス。低空時から視野に導入するためには、水平線が見える場所へ。

宮古市の浄土ヶ浜に到着したのは31日23:00ごろで、まだ雲がだいぶ流れています。準備を進めるうちに、予報どおり西から快晴の空が広がり、下弦前の月が浜を照らします。その月も山陰に隠れた03:00ごろ、彗星は水平線上に出ているはずです。が、東の低空には、流れていった雲が高度5°ほどまでたまっています。雲が流れ去るのと彗星が昇るのと、競争です。

M31はその30分前には昇り始めていますので、そちらを先に視野に入れてからモニターで彗星を探します。両者の距離を確認しながら、適当な焦点距離を設定します。まだ離角は7~8°ありますので、望遠120mmが今回はギリギリ。最接近当日はこの半分の距離まで近づきますので、200mm以上の望遠でとらえられそうです(天気さえよければ)。


右に彗星、左に銀河

すでに時刻は4時を回っていましたが、彗星本体のアップも撮影しておきます。300mm望遠と1000mm直焦点の2点を保存。日の出1時間前となり、空はすでにうっすら青みがかっています。暗夜であれば、もっとはっきりした尾が広がって見えるはずですが、こればかりはしょうがない。条件が整う時を待つしかありません。今後、徐々に光度を落としながら、高度は上げてきますので、5月までずっと追い続けていきます。


アップ画像
3月下旬、夕空の西低空に沈むパンスターズ彗星は北に移動し、夜明け前の東天でも見え始めます。快晴の予報が出ていたのは、やはり沿岸地域。出の方角から考えて、山田町の織笠漁港、湾口方向が最適と判断しました。満月の前日で、月没は5時近くですので、一晩中強い月明かりに照らされます。月の満ち欠け動画の作成用に、月齢15の撮影予定もありましたが、それ以外は普通の観測・撮影は無理そうです。

山田に向かう前に、知人を訪ねて陸前高田市へ。モビリア(オートキャンプ場:仮設住宅)の敷地内で月と木星の観望を短時間。残念ながら、19:00過ぎぐらいまで西から雲が流れてきていましたので、沈む彗星の姿をとらえることはできませんでした。ここから、広田半島を見渡す箱根山展望台に登り、快晴の星空が広がった半島方面を撮影。


一年間での変化は?カメラは変わりました

この日のうちに山田町に到着。彗星の出は03:55。それまでに漁港から見る湾内の様子を撮影し、先に撮った広田半島の画像と合わせて画像処理。PC持参でしたので、その場で比較明画像ができあがりです。気温-3度前後と、この時期にしては冷えた朝を迎えましたが、水平線まで晴れ渡り、朝方には、ペガスス座~アンドロメダ座~ケフェウス座など、「秋」の星座が顔を出し始めます。


工事中。漁船は3時頃に出航(定置網漁か?)

4時前から彗星モードに切り替え。4月5日に最接近するアンドロメダ銀河を確認しましたが、彗星とはまだ相当離れていて、同一視野に入れるとかなり小さくなってしまいますので、今回はその構図は見送り。前景として、湾内の小島か大島(オランダ島)を入れ込みたいと考えましたので、望遠は135mmに設定しました。これでも彗星はだいぶ小さくなってしまいます。


中央上がパンスターズ彗星。右下の盛り上がりが小島

比較明画像あるいは動画作成のつもりで連写撮影(露出5秒)を行いました。撮影中には気づきませんでしたが、帰宅後に確認したところ、ISS(国際宇宙ステーション)の光跡が写り込んでいます。高度にして5°程度、明るさは4~5等級でしょうか。あまりの低空通過ゆえ、事前に調べもしませんでしたが、ちょうどいいところを通過してくれました。今後も何度か同じような機会があるようですので、今度は意識的に狙って撮影してみます。


光跡の上が彗星

1分間に撮影された12コマを合成し、写った星で明るさを確認してみました。中央の、ISS光跡の上がパンスターズ彗星です。左のやや明るい星は、アンドロメダ座δ(デルタ)星で3.3等、光跡の下はε(イプシロン)星で4.3等、彗星の上が28番星で5.2等です。これらと比較すると、パンスターズ彗星、ISSの光度ともに4~5等級ではないかと思われます。

彗星や星雲・星団・銀河の等級は、その天体全体の光を集めた場合の明るさで決められますので、星の等級のイメージとはだいぶ異なります。彗星の場合は、発表される等級よりは2~3等級低くイメージした方が無難です。肉眼で見えるのは、空の状態や高度にもよりますが、2等級か3等級以上になると思った方がよさそうです。現時点でパンスターズ彗星は肉眼では見えませんので、「星」の感覚で言えば、6~7等級以下になっているのではないでしょうか。
3月21日、快晴無風の宮古市。遠くの山並み、山際までくっきりと見渡せています。パンスターズ彗星の観測と撮影にやってきました。19日に続いて、またもや田老の夕日展望台に立っています。日々の移動量が大きく、数日前には真西に沈んでいたのが、この日は西北西。まだ姿が見えない、明るさが残る中で撮影の位置取りをする必要があります。うかうかしていると、あっという間に山陰に沈んでしまいますので。

方位磁石を頼りに、この辺り、という場所に三脚と望遠鏡を設置。日が沈んで刻一刻と暗くなっていく空に向けて、何枚か試し撮りをしながら彗星をとらえます。4等級前後にまで光度が落ちているはずですので、暗夜でもなければ肉眼では無理な状況になってきました。望遠と直焦点、そして望遠による沈む連続画像を撮影する計画でしたが、わずかな方向の読み違いにより、連続動画は逃しました。次回再トライ。



直焦点は恒星追尾モード

彗星の没予報は19:28でしたが、山並みの関係で、見えたのは19:00を少し回った頃まで。ここしばらくは月明かりの中での観測となります。月末には、早い時間帯には暗夜が訪れますが、その頃には光度はさらに落ちているはずで、やっぱり肉眼では無理、望遠でもかなり小さく写ることが予想できます。望遠鏡に完全切り替え、ということになりそうです。それはそれで、いろいろとやってみたいことがあるので、今から楽しみですが。

彗星観測後、早い時間に沈む星座の中の二重星をいくつか撮影。その後この場所は撤収して、移動先は山田町。山田湾の比較明撮影と天の川、その間に通常観測をしながら、朝方のISSを待つ、という「完璧」な計画。予報どおり、終夜ほぼ快晴の中で、予定したことは全部達成。3月にしては冷え込んだ夜でしたが、港の埠頭を歩き回りながら、運動で暖を取る作戦もいつものとおり。



織笠漁港から望む湾口方向、中央は小島、左に大島


同じく北方向。左から月明かりが迫ります

ISSは、樺太上空の通過で、北緯39度ぐらいでも、予報最大仰角は21°と、かなり低空です。当然光度も低く、この日は0.1等。撮影開始直後に、出航する漁船に灯が入り、何やら怪しい影が写り込んでしまいました。漁師の皆さん、早朝、寒い中での出漁、大変だと思いますが、舟に乗り込む姿、実にかっこよく映りました。港を出たと思ったら、あっという間に外海に消えていきました。


北極星の下からカシオペアまでの光跡

東の空を見上げると、天の川がきれいにアーチを描いて湾上にかかっています。南のさそり座~いて座方向は、国道45号線が走っていて、織笠大橋は一晩中車が通ります。街灯も明るく、やむなくあかりを避ける方向のアングルとしました。それでも、カシオペア座からいて座までギリギリ画角におさまったようです。


超高感度撮影のため、画質がだいぶ荒くなります

星景をあれこれ撮影する合間には、通常観測として、星雲・星団、そして二重星と、夏の星座中の天体を可能な限り観測します。月没が02:11でしたので、薄明が始まる4時台まで、2時間程度の中で、望遠鏡を次々と向けてはシャッターを切る、の繰り返し。朝に向かって湿度が徐々に高くなり、大気の状態も完全ではありませんでしたが、次へのステップということで、今回の遠征は終了です。


散光星雲、球状星団、暗黒星雲、二重星・・・