4月12日、翌日用の下見と練習を兼ねて沿岸に遠征しました。普代村の黒崎園地は北緯40度地点です。残念ながら、水平線上は10度ほどまで厚い靄で覆われています。この時期、海はどこに行ってもこのような状態なのでしょう。この日の彗星の没は22:00頃の予報でしたが、20:00前にはすでに靄の中に突入して影も形も見えなくなりました。
上空は澄んだ快晴が広がっていますので、通常観測には最適です。月明かりもなく、夏の星座の星雲・星団・銀河を次々と視野に入れてはそれぞれの美しさに見とれていた時、背後(北方向)が急に明るくなるのを感じました。後日判明するのですが、深夜から朝まで続くワカメ漁です。近くの漁港から出漁した小型船があっという間に数十艘、ひしめき合っての漁です。

黒崎漁港と太田名部漁港から出漁しています
翌13日は、漁の様子も見られたら、ということで黒崎漁港の隅の方で観測準備。やはり低空にはモヤがたまっていますが、早い時間には彗星は見えていて、すぐ上をISSが通過します。ISSの予報光度は1.4等で、彗星はこの時期5~6等級の予報です。かなりの光度差がありますが、それはそれで一つの記録として面白い画になるのではないかと思い撮影してみました。

光跡上の明るい二星はカシオペア座のαとβで2等級
10日が新月で、12~13の両日にはきれいな地球照の月を見ることができました。しかも13日にはM45(プレアデス星団:すばる)とのやや接近もあり、すばらしい眺め。望遠鏡の設置場所からは岩陰で月が見えませんでしたので、港の岩壁・遊歩道に回っての固定撮影です。対岸には太田名部漁港の明かりが見えています。

月齢は12日が2.0で13日が3.1

山陰に沈む月は4分ごとの画像を比較明合成
深夜になると、トラックが次々と漁港に下りてきて、舟が漁へと出航していきます。やがて、ワカメを満載して港に戻り、それをトラックに積みかえて、舟は再び海に出て行きます。トラックは(たぶん)加工場へと運搬してはまた港に戻ります。朝までこの繰り返しで、見事な連係プレーによる作業でした。帰宅後に検索して分かったのですが、普代周辺での風物詩「深夜のワカメ漁」でした。
漁の様子を横目に見ながら、こちらはパンスターズ彗星の集中観測です。予想どおり、低空は厚い靄で星一つ見えません。わずか数度上空は圧倒的に快晴の夜空が広がっているのですが。真北の方向をうらめしく見やりながら、彗星は今ごろあのあたりの超低空を沈むことなく通過しているはず、と想像しながら過ごした時間でした。

彗星が通過したであろう真北の方角
01:00過ぎからは、靄の中から抜け出した彗星が徐々にはっきりとした姿を見せ始めます。淡い部分まで含めると、大きく羽を広げた鳥の姿にも似て、大彗星の片鱗を垣間見せてくれています。望遠鏡では少々はみ出してしまうほどの大きさで、写真写りもよくかっこいい彗星となりました。5月いっぱいぐらいまで見頃・撮り頃ではないでしょうか。

1000mm直焦点と500mm望遠

薄明の中でM31アンドロメダ大銀河とともに