前回の記事
‐シリーズ 日韓会談反対闘争の展開とその歴史的役割 その8(「目標達成」に向け奔走する日米)‐
・『日韓会談反対』を求めた具体的な動き
『安保』をたたかった経験を持つ日本民衆は、こういう動きに警戒心を持たないはずはなかったし、また池田首相が『第二の安保闘争』を恐れていることを知った以上、いまこそ追い打ちをかけて、第二の安保闘争を繰り広げようと決意したのも当然でした。
この当時、安保国民会議を中心とする日本の中央・地方における大衆運動の主流は、主たる目標を『政暴法粉砕』においていた。
※『政治的暴力行為防止法案』 (Wikipediaより)
政治的暴力行為の定義は「政治上主義を推進して殺人、傷害、逮捕監禁、強要、集団暴行、脅迫、器物損壊、政府中枢施設への不法侵入による暴行、殺人予備を予見される者に対して継続して特定人物を殺害することの正当性を主張する行為」と規定している。
政治的暴力団体が継続または反復して政治的暴力行為を行ない、将来継続または反復して政治的暴力行為を行なう明らかな恐れがある場合、4ヶ月以内(殺人の場合は6ヶ月)に限定してデモ活動や機関紙誌発行を禁止できる団体規制が行えるとした。さらに殺人を犯した政治的暴力団体が、将来継続または反復して殺人を行なう明らかな恐れがある場合は団体解散を可能とする規定も設けられた。これらの団体規制について調査権限は公安調査庁、規制処分権限は公安審査委員会にあると規定した。
しかし、日本社会党は団体規制に反対し個人の処罰する規定のみとすることを主張して対案となる法案を提出して自民党案との溝が埋まらなかった。1961年6月3日に衆議院で可決されたが、参議院で採決されずに廃案となった。
政暴法粉砕でスト権を確立した労働組合は、1961年10月12日現在、13組織に達していました。各種の大衆集会が政暴法一色に塗りつぶされていた時に、先駆けて『日韓会談反対』をスローガンに送り込んだ集会がありました。
それは同年10月14日に開かれた中央青年学生共闘会議主催『安保廃棄、政暴法粉砕、政策転換要求、日韓会談反対中央青年総決起大会』であった。日比谷に集まった青年は、1万5000人を数えた。
『箱根会談』の時期における米日韓三国要人が、一連の会談を行っている最中の1961年10月29日。日本共産党の中央機関紙『赤旗』は、いち早くその主張『東北アジア軍事機構の陰謀・日韓会談即時中止を要求する』と発表しました。
‐シリーズ 日韓会談反対闘争の展開とその歴史的役割 その8(「目標達成」に向け奔走する日米)‐
その具体的内容を見ていきましょう。
「東北アジア軍事機構の陰謀・日韓会談即時中止を要求する」で、「日韓会談の陰謀は、新安保条約を強行し、政暴法の継続審議をたくらみ、ますます政治反動をつよめ、軍国主義復活の強化をはかっている米日反動の反民族的反人民的政策の重要な一環であり、新安保条約の具体化である」
『アジア・アフリカ講座 日本と朝鮮』第3巻 勁草書房 171頁より
と、その「本質」明らかにしたあと、
日韓会談は政暴法につづいて米日反動と日本人民との重要な政治闘争の課題となるであろう
『同』 同頁より
という運動の展望にもふれた。それから三日目の1961年11月1日『日韓対連』は声明を発表し、ラスク訪日は『日韓会談』の促進と東北アジア軍事同盟結成にある、これに反対して協力な運動を展開すると宣言しました。
‐シリーズ 日韓会談反対闘争の展開とその歴史的役割 その3(遅れすぎた朝鮮との接触)‐
‐シリーズ 日韓会談反対闘争の展開とその歴史的役割 その6(「朝鮮半島有事」に関する介入論)‐
‐シリーズ 日韓会談反対闘争の展開とその歴史的役割 その8(「目標達成」に向け奔走する日米)‐
なんか昔の人たちの方が、今の日本人よりも遥かに物事の本質を見抜いていますね。
ネットなんて存在しないのに、識者はちゃんと事実を認識し、支持者はそれを深く捉えることが出来たことに、深い尊敬の念を抱きます。
・運動を介したリベラル勢力の胆力
『在日本朝鮮人総聯合会<朝鮮総連>』 (Wikiより)
さらに同月4日には、在日朝鮮人総連合会も『韓日会談反対』の声明を発表。続けて7日には「おそろしい軍事体制へ拍車をかける日韓会談を中止させましょう」と東京杉並母親連絡会のおかあさんたちが、国電高円寺、阿佐ヶ谷、萩窪、西萩窪の4駅で『日韓会談即時打ち切り』を訴えるビラを約一万枚まき区民に連帯を呼びかけました。
これには在日の婦人朝鮮人たちが自発的に参加し協力をしました。
朴正熙議長の来日を前にする1961年11月8日には、東京日比谷音楽堂で、『日韓対連』主催の『日韓会談粉砕中央国民大会』が、7000人を集めて開かれた。
この集会では、次のような日韓会談粉砕の統一行動のための『共同行動申し合わせ』が採択された。
【共同行動申し合わせ】
一.本集会に結集したすべての団体、労組はただちに『日韓会談』反対、韓国軍事政権朴正熙議長訪日反対を決議し、(日本)政府に即時その打ち切りを要求する。
一.本集会に結集したすべての団体、労組は、(1961年11月)10日を期し、いっせいに首相、杉(道助)首席代表に『日韓会談』の即時打ち切りを要求する。
一.全国各地、職場で抗議集会をもとう。
一.本集会に結集したわれわれは、『日韓会談』の危険性、欺瞞性を広く国民に知らせ日韓会談粉砕の運動をますます強め、(同年)11月下旬、さらに大きな粉砕の行動を展開する。
この同じ日(1961年11月8日)、社会党第三五回中央委員会は、日韓会談の粉砕、憲法擁護の国民運動を強めることを方針として決め、共産党は翌9日付で、中央委員会幹部会が「米日反動の新しい陰謀に大衆的に抗議しよう」とい訴えを発表した。
続く10日、在日朝鮮人総連合(朝鮮総連)は、朴正熙の『売国的策動』(いわゆる買弁右翼主義)を糾弾するという声明を発表した上、同月11日は実際に羽田空港付近におしかけ、朴議長来日反対、『韓日会談』即時中止を要求する在日朝鮮人約1万人の抗議集会を開きました。
共産党は、同日(1961年11月10日)の『赤旗』主張で「朴来日反対、日韓会談粉砕の闘争をさらに発展させよう」「安保共闘をさらに強め、全人民的な戦いに発展させよう」と呼びかけると同時に、民主青年同盟との共同主催で、東京芝公園を会場として「朴来日反対、日韓会談粉砕総決起大会」(参加人員約2000人)を開いた。
・「自由」を私物化する連中の言い訳
「自由朝鮮」が動画公開 金主席らの肖像画を破壊(19/03/22)
ANNnewsCH
https://www.youtube.com/watch?v=9BInzQSME7A
それから半世紀以上が過ぎた現代。われわれを取り巻く「言論環境」はどうなったでしょうか。
‐「人権屋」ヒューマンライツウォッチの横暴(北朝鮮の『性暴力』と中国の『ウイグル問題』)‐
こういう連中のやることは、「政府の独裁」なんやらと騒いで、人々の目を本質から逸らせ、結果そうした「活動」が、米国務省の資金提供を受ける『全米民主主義基金(NED)』など、諸外国への内政干渉や政権崩壊を目論む似非人権団体の恰好のエサとなる。
大事なことは、そうした行動をおこなう「動機」と「構造」を知ることです。
一体、彼らの叫ぶ「自由」の先に何があるのかわからない。
しばしば、この言葉は恣意的な口実で用いられることがあるが、今回も御多分に漏れず、そのような傾向が強いと見える。仮に北朝鮮が「民主革命」によって崩壊し、それによって「主権を守る政府」がいなくなれば、すぐさまアメリカ軍が進駐し、日韓と同じような『植民地』として活用するのが目に見えている。
【北東アジアの戦後史】
‐新シリーズ・朝鮮統一と日本を考える 最終章(日本自主化のプロセスと東アジアの平和樹立)‐
‐韓国に進出した日本の独占企業の話 最終回(日米独占資本の「相違」と平和国家の欺瞞)‐
‐シリーズ『日米同盟』の正体 最終回(米日韓の断ち切れぬ軛)‐
‐シリーズ こうして「在日」は生まれた その10(リアルにおける差別)‐
・自分たちに不利益な情報は一切無視?
イラク、リビア、シリア、そして現在係争中のベネズエラの件にしろ、自由云々をアリバイとして、アメリカはこれらの国におぞましい侵略戦争を仕掛け、現地国民を虐殺し、生活や住む家を破壊しつくした上で、現在の大量難民発生の根源を作っている。何より、そうした「本当の人権問題」を欧米や日本のメディアは一度たりとも報じたりはしない。
マスコミに載らない海外記事 『ベネズエラに関する国連報告を見て見ぬふりをする売女マスコミ』より
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/cat73897717/index.html
これだけでもかなりの矛盾を抱えるのだが、彼らの中では別段「民主主義政府」を作ろうとしているのでなく(そうであろうとも主権侵害)、単に自らのヘゲモニーを侵す「反米国家」の存在が許せないから、物質的には諜報組織や軍隊を動かし、精神的にはメディアや似非人権主義者を動員して、ひたすらネガティブキャンペーンに没頭するわけです。
要は、大人しく「同盟国」となって主権を差し出せということ。
この国に、この大統領あり、レジェップ・タイイップ・エルドアン
この中で、英語ブロガーのMichikoさんがプーチン大統領の発言を訳されていたが、実際「国家主権」を維持する国は本当に少ない。そして「それを守るため」に、トルコのエルドアン大統領は、アメリカによって引き起こされたクーデターで殺されかけ、理不尽な経済制裁を課せられながらも、強力な胆力と指導力を発揮して、今もなおトルコを「主権国家」とたらしめている。
私はあまり『タブー』という言葉は好かないが、米軍産複合体や、大メディアやその太鼓持ちが絶対に触れないものが、それであると考えている。
『軍産の世界支配を壊すトランプ』 (2018年7月24日 田中 宇)
http://tanakanews.com/180724trump.htm
無論、拙ブログで北東アジアにおける近代・戦後史や、Michikoさんなど、氏は2012年から6年以上におよび、さまざまな立場のアメリカ人たちと、個別・フォーラム含め何度もやり取りをされ、時には酷い日本人差別や「北朝鮮工作員」などとレッテル貼りされながらも、見事に彼らの「本音」を引き出されている。
そうした海外ニュースに精通されるブロガー方のフィールドワーク含め、そうした内容を常に深め総合していく中で、どんな攻撃や醜聞を撒き散らされようと、認識は揺るがないし、動くことはない。
自分たちに都合の悪いことは、ひたすらスルーを決め込んだり、意味もなく「左翼」だの「妄想」だのと、必死にその火消しつとめ、「一種の情報戦」を仕掛けているようだけど、私自身は絶対に彼らを本質から逃がさないし、何百、何千回と記事を更新し、よりグレードアップしながら、識者方の声を皆さまにお届けできればと思います。
<参考資料>
・『アジア・アフリカ講座 日本と朝鮮』第3巻 勁草書房
・Youtube動画 ANNnewsCH 『「自由朝鮮」が動画公開 金主席らの肖像画を破壊(19/03/22)』
https://www.youtube.com/watch?v=9BInzQSME7A
・マスコミに載らない海外記事 『ベネズエラに関する国連報告を見て見ぬふりをする売女マスコミ』
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/cat73897717/index.html
・Cluttered talk blab blab blab 『この国に、この大統領あり、レジェップ・タイイップ・エルドアン』記事
https://ameblo.jp/cluttered-talk/entry-12401932434.html
<ツイッター>
【歴史学を学ぶ大切さを伝えるブログ(ふーくん)】
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