すべてがあり、ありすぎる国トルコ

個人的に、非常に気になっている国トルコ。
東洋が終わり、西洋が始まるという、その境にある場所。
トルコには、ありとあらゆる、すべての要素がある。
あまりにも、いろいろありすぎて、とても、説明しきれない。

エルドアンがいなければ、今ごろは「イラク状態」に

とにかく、思うのは、こんなややこしい状況で、よく、「政治の舵取りをしたい」などと、思う人が、出てくるな、ということかな。
誰だって、60をいくつか過ぎたら、碁でもやるとか、孫と遊んだりして、楽隠居でもしているほうが、いいに決まっている。
が。
レジェップ・タイイップ・エルドアンには、まだまだやることがある。
そう、たぶん、この人がいなかったら、今ごろ、トルコというのは、「イラク状態」になっていたということは、確実である。
非常にざっくり言うと、エルドアンがやっていることは「主権の確保」である。
本当に、それに尽きる。それだけ。
というか、彼がやっていることを見ると、「トルコが主権を守ること」が、どれだけ大変なことかということが、非常にしみじみと、感じられるのである。
プーチンが言ったように、「主権」というものは、あるようでなくて、世界でも、主権を行使している国は、少ないんだと。
もちろん、私が生まれた国には、生まれた時から、主権はなかった。
ないのは、私のせいなのかって、そうではないと、思うんだけど。
とにかく、トルコには、今はまだ、主権があり、そして「それ」を、必死で守ろうとする人たちが、いて、その人たちが選んだ誰か=エルドアンのような、「難局を乗り切るだけの資質のある人」が、いる、ということだ。
トルコの人が、「主権を守ること」について、一致しているというのは、以前に、やりとりをした一般の相手からも、ひしひしと、伝わってきた(More reliable partners than two-faced Europeans)。
一般人が、「自国の主権」に対して、これだけの「決意」を持っているという国が、トルコという国なんだろう。
この人なんかも、エルドアンの「役割」に対して、非常に冷静にとらえている。

トルコ情勢について最低限押さえておくべきこと

  • トルコは、NATO加盟国。
  • トルコは、EU加盟を希望しているが、意地悪をされて、据え置かれている。
  • トルコは、基本的にイスラム教国。
  • アメリカのやらかした戦争によって起こった難民危機によって、EUとの取引を行うことにより、ある程度の難民を引き受けるという条件でもって、トルコは、まとまった金と、自国民のEU通行権を得た。が、金を取られたことによって、欧州民は、エルドアンを憎んでいる。
  • いろいろあって、ドイツとの関係は、非常に悪化した。
  • クルド人問題を抱えている。クルド人問題とは、一言では説明できないくらいに、ややこしい。
  • アメリカ政府は、アンチエルドアン派の中心人物であるフェトフッラー・ギュレンを、アメリカ国内で匿っており、再三に渡るトルコ政府の引き渡し要求にも、応じていない。
  1. 2015年11月、トルコは、アメリカにそそのかされ(たぶん)、ロシアの戦闘機を撃墜した。
  2. 怒ったプーチンは、トルコに経済制裁をした。
  3. 困ったエルドアンは、プーチンに詫び状を書いた。
  4. その後、エルドアンは、2016年7月に、CIA主導の(たぶん)クーデターを起こされ、暗殺されかけている。
    このときに死んでいたはずなのだが、死ななかったのは、どうしてかというと、ロシアの情報機関から、クーデターの情報が入り、いちはやく身を隠したからだと、言われている。
    その後のプーチンとの接近を考えれば、それは、事実だったと見るほうが、妥当である。
    軍主導のクーデターだった↓
    クーデターを起こした一部の軍勢力↓
    クーデターは、一般の民衆が軍関係者に翻意を促し、制圧することで鎮圧↓
    クーデターの企画・指揮者と名指しされているギュレン(アメリカに亡命中)↓
  5. アメリカに殺されかけたエルドアンは、ロシアとの接近に舵を切った。特に、プーチンとは蜜月となり、エネルギー関係を含め、各種の協力関係を進めた。
    ラブ↓
  6. トルコは、アンチアサドだったこともあり、アメリカ主導の「テロリスト支援作戦」の中心だったが、自国内でのテロの多発に悩まされたことと、ロシアとの関係でもって、それをやめることにした。
  7. たぶんCIAの謀略で、2016年12月、トルコに派遣されていたロシア大使アンドレイ・カルロフが、白昼堂々、美術館の中で暗殺された。
    暗殺現場↓
    変わり果てた姿で帰郷したカルロフを前に、悲しみのプーチン↓
  8. 2017年、ロシア・イラン・トルコは、シリア内戦を終わらせるための共同調停者になった。
  9. 2018年8月、トルコ当局は、米国人牧師をスパイ容疑で勾留。
  10. アメリカは、報復でもって、経済制裁を行った。
  11. リラが暴落、大変なことに←今ここ
エルドアンは、精力的に国民に呼びかけることでも、知られる。
2年前に、ガチで殺されたかけた人の「スピーチ」だから、なんか、真剣味が違うよね…。

年齢的には、近くても、いっぽうは修羅場をくぐった百戦錬磨の闘士、いっぽうは、温室育ちで脳内戦争のボンボン…。

相当にがんばらないと主権が守れない

地理的特徴から、相当にがんばらないと、主権が守れない、そういう国。
そこに、エルドアンのような、似ても焼いても食えない、不屈のおじさんが。
だから、トルコの大統領がエルドアンであるということには、なんか、非常に納得してしまうのだった。