映画とか海外のドラマとかの感想を。
ナイブズ・アウト:グラス・オニオンGlass Onion: A Knives Out Mystery(2022)ダニエル・クレイグが名探偵ブノワ・ブランを演じる2作目。ナイブズ・アウトは1作目のタイトルだと思いますが、そのままシリーズ名になったのかな。コロナ禍にあえぐ2020年、富豪マイルズ・ブロンの招きによりブノワ・ブランは地中海の島を訪れる。そこには同じく招かれた富豪の友人たちが揃い、そして富豪主催のミステリーゲームが開催されようとしていた。ブランの警告もむなしく、実際の殺人事件が発生し事態は一変する。「君はここへ何をしにきた?それを思い出せ」ナイブズ・アウト グラス・オニオン : 作品情報・キャスト・あらすじ - 映画.comナイブズ・アウト グラス・オニオンの作品情報。上映スケジュール、キャスト、あらすじ、映画レビュー、予告動画。ダニエル・クレイグが主演し、ライアン・ジョンソン監督がオリジナル脚本で描いた人気ミステリー「ナイブズ・アウト 名探...eiga.comネタバレしてます大富豪が、孤島でもあるプライベートアイランドへ「友人」たちを呼び寄せる。いずれも私利私欲のみで富豪にへつらう人間たちで、かつ弱みも握られていて逆らえない。さらに、過去に裏切り、共同設立した会社から追い出した元相棒まで呼び寄せる。そして富豪主催のミステリー・ゲームは「週末に自分が何者かに殺される」というもの。ブランはコロナ禍もあって、たいした事件も手掛けられずにすっかり退屈しきっていた。そこへ届いた謎の招待状により、島へとやってくる。しかし、富豪は名探偵を招待した覚えはないーー。誰が?何故?ブランをここへと導いたのか?というミステリーあるある、名探偵あるあるをこれでもかと詰め込んではじまった第2作。前回と比較すると、人物の多さはそのままでも関係性はそれなりにシンプルなためか説明も少なめですんでいる。ブランの名探偵ぶりが際立ち、推理も展開もテンポが良くなっていると思った。重要なのは恐らくそれぞれ人物の「性格」。それこそが一番の肝になっているのも、クリスティのミステリーを想起させてくる。事件発生後は、ブランの推理展開がメインになっていくが、真犯人はやはり早々に想像できるのでこれもうまい兼ね合いだと。なぜ?どうして?さらに「何をしたのか?」「していないのか?」という部分が見えてくる。ある意味使い古された手法を駆使しているけれど、何しろ愚かな真犯人VS世界最高の名探偵なので、これくらい仕掛けを施してくれているほうが自分は楽しかった。あと合間合間の「島の時報」が結構驚く(どーいうセンスだよと思うけど、不気味さを出すには最高だった)一つ多少疑問に思うのは、アナフィラキシー起こすほどひどいアレルギーなのに、ウイスキーに混ざってるだけで気づかないものかな…って…。酔っ払っていたとしても命に関わりすぎるし、本当に命に関わってしまったナッツとかだとあらゆる姿で紛れているのが理解できるけど、パインジュースはだいぶ自己主張持ってるような……。ただ、他部分で気になった人もいたようだしそれを言っていたらキリがないのかも。今回の事件、犯人の頭がとても悪い。でも悪賢さはものすごい。行き当たりばったりと見せかけて、相手のアイデアや発想をどんどん盗んでいくその速さには驚いた(プライドが無いのかもしれない)。でも、逆に「頭脳明晰な犯人」ではなく「ただのバカな犯人」というのは、ちょっと意外性があって面白い。そして名探偵の前に立ちはだかるのが、真実ではなく「金、権力」という理屈を必要としないもの。真実を暴いても壊せない壁の前に、ブランは素直に引くしかないわけだが最後にここまで危険をともにした相棒に託す。ここまで来た理由は?誰のためなのか?という最初に立ち返り、そして相棒は思い出す。ぶっ壊すのは壁ではない。お前(犯人)だ。結果、終盤はミステリー路線を少し外れた痛快復讐劇になっていて、これはこれで好きだった(ブランの推理とアドバイスあってのものなので)今回のカメオは、ヨーヨーマ、セリーナ・ウィリアムズ、イーサン・ホークと相変わらず豪華。ブランの友人役として出ていたスティーヴン・ソンドハイムとアンジェラ・ランズベリーは今作が遺作となったそうです。(世界最高の名探偵ブノワ・ブランがAmongUs激ヨワなの、ほっこりする)素晴らしい演技の数々に拍手と感謝を捧げます。このシリーズ、コメディ混じりでもブランの頭脳明晰さはちゃんと出ているし、上質ミステリーとしてもやはりエンタメ力あると思う。(本格ミステリー派には物足りないのだろうか)3作目の予告も出ていて、とても楽しみですダニエル・クレイグ主演「ナイブス・アウト3」の配信日が発表 : 映画ニュース - 映画.comダニエル・クレイグが名探偵ブノワ・ブランを演じる人気ミステリーシリーズの第3作「WakeUpDeadMan:AKnivesOutMystery(原題)」が、12月12日にNetflixで世界同時配信されることが発表された。5月31日(現地時eiga.comSNSで、「ナイブズ・アウトは1作目のタイトルでシリーズ名じゃないだろ」「ブノワ・ブランシリーズでええやん」みたいな意見が出てて、自分もダヨナァって思いました。そういえば、最後まで正体が明かされなかった「島で暮らす人物」(ノア・セガン)は何だったのだろう。
ビーキーパーThe Beekeeper(2024)ステイサムが無双するアクション映画。これ以上のあらすじがいるだろうかって感じだけど、物語としては国家機密レベルの凄腕元エージェントのクレイは今は引退し養蜂家として平穏にハチミツとって暮らしていたけど唯一優しくしてくれた大恩ある人物がこの世で最も邪悪な犯罪の一つであるフィッシング詐欺により全財産を失い自ら命を絶ってしまいそれを知ったクレイはクズの皆さんの掃除に取り掛かるのだった(早口)という内容で、ちょっとイコライザーも彷彿とさせる。ビーキーパー : 作品情報・キャスト・あらすじ・動画 - 映画.comビーキーパーの作品情報。上映スケジュール、キャスト、あらすじ、映画レビュー、予告動画。ジェイソン・ステイサムと「スーサイド・スクワッド」のデビッド・エアー監督がタッグを組んだリベンジアクション。 ア...eiga.com以下ネタバレ予告も見ていたし、あらすじも読んでいたので、フィッシング詐欺により財産盗難は辛すぎるがしかし死ぬ前に出来ることはあったのでは…(だいたいお金は戻ってこないだろうし、犯人も捕まらないらしいんだが)と思っていたから、映画を見て納得。詐欺直撃のショック直後だったから、いわゆる「喪失」状態に陥っていたのだろう。(ソファに座ってアルバム見ながらの姿勢なのがさらに辛い)その隣の小屋ではクレイが彼女へのハチミツをせっせと瓶に詰めていたのに……。とりあえずその場にいるクレイに何か話してみるとか、ましてや娘はFBIなのだからまずそっちに電話してみるとかさあこうした崩壊の感情は言葉にするだけで、事態は変わらずとも心は少し解放される。しかし、優しい人ほど「愚痴るまい」「言い訳するまい」で胸中におさめがちこのあたりについては、クレイと娘の会話でも少し参考になった。詐欺に次々にかかっていくのを見てるのは本当に辛い。今はもう少し、リテラシーやセキュリティの知識や啓もうが広まっていると思いたい。(だから、闇バイトとかいう鬼平の急ぎ働きみたいな犯罪が今度は広まっているのだろうか)今回のあのフィッシング詐欺は広告ポップアップと似たような技術なのだろうかと思ったけど、ネタをばらせばCIAの開発したソフトを使用というか、解析してセキュリティ突破できるようにしていたようだ。黒幕というか、親の権力と財力を使ってるだけのただの若者が組織のトップで、そのお守り役にジェレミー・アイアンズ。映画そのものは元ビーキーパーのクレイが強すぎて、権力も財力もあるのにただ追い詰められていってしまうだけの残念な役(特に強い信念とかもあまり感じなかった。ただ黒幕の母親に惚れてるだけで)。本当はこっちがラスボスになるかなと思ったけど…。そんなこんなで元ビーキーパーを本気にさせてしまったため、FBIが2年追い続けて見つからない相手を数分で見つけてしまうビーキーパー(本部の人)。ビル全焼、今回の直接の張本人であるガーネットくんが上に言われて「始末」をつけにくるが(略)。かつてのビーキーパー(本部の人)が情報をくれるの、なんかいいなぁと思っていたのに国家権力を前に現役ビーキーパー(違う人)がクレイを処分することになり、ビーキーパーVS元ビーキーパーの構図に。そうか、敵になってしまうのかビーキーパー部隊……となりかけたが、クレイが現役を瞬殺してしまった結果「我々は今回は中立で」でさっさと退場していくの笑った。ただ、現役のビーキーパーは悪目立ちすぎてテロリストにしか見えないんだけど、なんであの人が現役ビーキーパーに…。その後も絶体絶命になりそうだけど、実はそうでもなかった(マッコールさんか)を繰り返し、最凶最悪の息子の前に立つが……。どう落としどころを見せるのかと思ったら、息子は想像以上に狂っていたという感じだった。ああいうのがソシオパスって言うんだろうか……というより、今回は「ビーキーパーつよい!!!」が主体の映画なので、人物造型もいろいろクセをつけつつも基本はシンプルにしたのではないかと思う。ジェレミー・アイアンズがマシンガンを取り出すことも無かった(御年76歳)。FBIも特殊部隊もあとよくわからない強そうな集団(ラザローとかの)も出てきて、混戦になりそうだったけど全部クレイの見せ場となって片付けられていく。純粋にアクション映画を楽しみたいときには最高にマッチする映画だった。エンタメとしての正解の一つ。2も決定したようなので、そちらも楽しみです。パターン化しているのにエンタメ力がある、というのはやはりアクションも不滅の芸術の一つだからじゃないのかなと思う。もちろんなんでも安易にしてしまうと飽きるけれど、パターン化っていうのは本来は骨だけにとどめるべきで、肉付けは丁寧に行うべきなのだ。
憑依천박사 퇴마 연구소: 설경의 비밀(2023年)インチキ祈祷師のチョン博士は助手のインベとともに、悪霊祓いのフリをしてはお金を稼いでいる。その手首にある鈴は鳴ることはない。そこに悪霊はいないからだ。しかし、一人の女性から「妹に憑いた悪霊を祓ってほしい」という依頼が来る。そして、その妹の前で鈴は鳴るーー。憑依 : 作品情報 - 映画.com憑依の作品情報。上映スケジュール、映画レビュー、予告動画。韓国の人気ウェブトゥーンを「ベイビー・ブローカー」のカン・ドンウォン主演で映画化したホラー。 インチキ祈祷師のチ...eiga.com姉妹の家の前では鳴らず、妹の前まで来て鳴るということはチョン博士は今までやらかしてきた疑惑がある。※最初の除霊でも家の前で鈴を振って確認してた。すっかりご無沙汰している映画記録です。ここでいうことじゃないけれど、国際情勢がもう少し落ち着いてほしいです。映画見てるよりニュース見てる時間のほうが長くなっていて少し辛い(でも気になって見てしまう)。今回のこの作品は、ウェブトゥーン原作の原題は「チョン博士の退魔研究所」というらしい。翻訳にかけたら「雪景色の秘密」とあって、そこはよくわからず。もう少し詳しく韓国のサイトを確認したら、「Seol Kyung」とあり、これは物語の中の「説経」という封印図のこと。音が同じだから「雪」「景」と翻訳されてしまうのだろうかチョン博士の退魔研究所:説経の秘密 | 韓国 | 映画 | 英語やその他言語の字幕付きでご覧いただけます ✔️2023年の韓国のダークファンタジー映画「チョン博士の退魔研究所:説経の秘密」では、カン・ドンウォンが超常現象に直面し、予期せぬ謎を解くことになります。www.viki.com↑こちらできちんとサブタイトル翻訳されていました。日本の予告編に違和感があって、これはホラー映画というよりファンタジー映画だと思う。だから「ホラーじゃない、怖くない」とかで不評出たら残念だなあ…という気持ち。上記アドレスでも「ダークファンタジー」とあるし、韓国のnamuwikiでもジャンルが「ダークファンタジー」が一番に来てる。(そして、コメディホラーってある)実際、ホラー耐性が低い自分も一度も恐怖で音を消すことはなかった(ホラー耐性ないけど、幽霊映画を見たいときの回避策)。- YouTubeYouTube でお気に入りの動画や音楽を楽しみ、オリジナルのコンテンツをアップロードして友だちや家族、世界中の人たちと共有しましょう。www.youtube.com↑韓国版予告。こちらは内容の雰囲気やテンポにきちんと合ってる。どことなくゲーム要素も感じさせる、エンターテインメント映画で本来は年齢性別関係なく楽しめる分野のものだと思う。俳優陣は豪華で、やはり圧巻の演技を見せてくるし、話の本筋もわかりやすい。ただ、ストーリーの展開に特筆すべき点はないかもしれない。それくらい「どこかで見たような」的平凡さ。個人的には、活劇エンタメに無理やりな捻りは不要と考えているけれど、今回はもう少しキャラの深みを追ってほしかった気もする。続編ありき、であったとしても。悪役(ホ・ジュノ)は意外に生身の人間らしくて、ちょっと驚き。でも、「やつを封印する」物語だから、やっぱりもう人間じゃないのかな。仙女様は「半分悪霊になってる」と言っていたし。※予告では悪霊とか言われていたような。先天的なのかわからないけど、あらゆる霊が見えるヒロイン(イ・ソム)。なかなか過酷な状況だからか、表情も言葉も少なめでチョン博士とのバディ感はあんまりだった。助手のインベとのほうが、凸凹コンビかつ本当は深い信頼で結ばれているあたり、見どころがあったと思う。ただ、彼女は彼女で必死に妹を救うため、チョン博士をサポートしていた勇敢なところが好印象。イ・ソムは知らなかったのだけど、「暴君」のクリップとか見るとこっちのほうは個性溢れまくり(返り血あびまくりでもある)。チョン博士演じるカン・ドンウォンはやはりかっこいい。2枚目から3枚目を行き来する緩急で魅せてくる。アクションをもう少し見たかったなぁ……。自分の好きな「役者の魅力」に「目線の動かし方」があって、この俳優さんも昔からあの視線の流し方がすごく好きだ。チョン博士の面白いところは、やはり辛い過去や仇敵との関係を背負っているにも関わらず、一方であのちょっと調子いい性格も、上辺ではなく生来のものらしいところ。それは、彼を引き取って育ててくれたファン社長(キム・ジョンス)の影響もあるのだろう。影を持つ人生なのに、性格に影が無いところがいい。ちなみに、予告やあらすじで散々「霊を信じない」「霊能力がない」みたいなことを言われていたけど、本編では信じない素ぶりではないし(悪霊が存在することを知っている)、霊能力も高いっぽい。なぜと思ったら、原作ではそうだったらしい。すごく気に入ってしまったのは、売れっ子巫堂(パク・ジョンミン)とそこに降りる仙女様(BLACKPINK ジス)。この巫堂のほうがインチキ臭さ炸裂していたのに、こちらも本物で神霊を降ろしお告げが出来る。仙女は仙女で、神々しくて麗しい姿で降臨するのに、口と態度が悪すぎて可愛いしかし、重要な情報を与えてくれて、ものすごい強力な味方っぷりを見せてくれる。特別出演なので、ちょっとしか出番はないが……でも、この一連のシーンは緊張感とコメディ感のバランスがすごく好きだった悪役ばかりが凄腕ではなく、主人公側にもそれなりに強い霊がいるという描写はいいアクセントになります。(例:ダイハードシリーズ)よくユーモアな場面をユーモラスな演技で見せてくれるキム・ウォネさんが、主人公の祖父役で登場し、今回はシリアスな迫真の演技を見せてくれた。貴重なベテラン俳優さんである。社会派映画や重厚な物語もいいけれど、こうしたエンタメ全振りみたいな映画も人気が出てほしいと思う。視界はそうして広がるから。皆さま、良いお年をお迎えください
殺人鬼の存在証明Казнь(2021)36人を殺害した犯人は、まだ捕まっていないーー1988年に上級捜査官イッサ・ダビドフ(ニコ・タヴァゼ)が逮捕したはずの殺人犯。その手口と酷似した事件が1991年に再び起こり、過去は誤認逮捕だったとわかる。逃げのびることができた被害者から話を聞き、イッサは新たな容疑者であるアンドレイ・ワリタ(ダニール・スピヴァコフスキ)の尋問を始めるが……。殺人鬼の存在証明 - 株式会社クロックワークス - THE KLOCKWORXklockworx.com日本公式サイト© 2021 HYPE FILM – KINOPRIME>ソビエト連邦史上、最凶の連続殺人鬼を捕まえろ!実話に基づいたサイコスリラー公式サイトより引用日本公開は2024年のロシア映画で、実際の事件をモチーフにしている。それなりにネタバレしてますとにかく複雑で深いサスペンス映画で、何をどう言ってもネタバレにすぐ繋がりそうで難しい。でも少なくとも引用のようなシンプル?な話ではない。ていうか、こんな話じゃない……いや、正確にはこういう話なんだけど……これはもう見てもらったほうが早いので、詳しく感想をつけるのはしばらく後にしようと思います。実話をもとに……というか、実際の事件と犯人をベースにしてフィクションを展開させた作品。ソ連時代の連続殺人鬼、アンドレイ・チカチーロを素にしていて、彼は1978年から1990年の間に連続殺人を犯している。この映画では名前を微妙に変えてあるが、主人公の警察官イッサも実在の人物イッサ・コストエフ(チカチーロを逮捕した人物)からきていると思われる。(一方、もう一人の殺人鬼「チェスプレイヤー」は、やはりソ連時代の殺人鬼アナトーリィ・スリフコをモデルにしてるようだ)物語は過去と現在を往復し、それは場面が変わるたびに年代が表示されるのでわかりやすい。初めは何が何やらよくわからなかった出来事がしだいに明確になっていき、伏線が結ばれていく。邦題は「殺人鬼の存在証明」で原題は「Казнь」、英語だと「Execution」とあってこれら全ての意味が内容に集約されている。どの人物に対しても「その方法しかなかったんか……」という気持ちになる全てが解き明かされても気持ちは暗いままの映画ですが、無数の仕掛けが見ごたえありました。(にも関わらず終わってわかることは「とても単純な事実」でもある)それにしてもロシア映画は(ロシア産ゲームとかもだけど)、この『天然』ともいえる陰鬱さがすごい。暗いどんよりとした空の下の閑散とした風景はとても綺麗だけれど、どこか「重い」なお、少しグロいシーンもあるので注意。とあちこちで言われていました。個人的にはちょっと痛そうなシーンが多くて、そこですくみあがってました
ウィリーズ・ワンダーランドWilly's Wonderland(2020)(動物ロボットたちの)地獄は終わらない。ようこそ、この世で最も恐ろしい(ニコラス・ケイジの)楽園へ。ちょっとした事故により、立ち往生することになった主人公。幸い、通りがかった田舎町の住人に助けられ、車を修理することになったが代金は1000ドル。なんとATMが使えない、クレジットカードも使えない(無茶)。代替案として、廃墟となったテーマパークを一晩掃除することになる(不審)。もちろん、そこは普通の『廃墟』でも『テーマパーク』でも無かった。ウィリーズ・ワンダーランド : 作品情報 - 映画.comウィリーズ・ワンダーランドの作品情報。上映スケジュール、映画レビュー、予告動画。ニコラス・ケイジが製作・主演を務め、廃墟となったテーマパークで悪魔のようなアニマルロボットたちに襲われる人々を描い...eiga.comポスター画像はこちらから……(C)2020 LSG2020, Inc. All rights reserved.ぶっとび映画だと言うのは聞いていたけれど、ショーン・オブ・ザ・デッドもタッカー&デイルも宇宙人ポールも見た自分に隙は無い(※ポールはホラーではない)。でもアタック・オブ・ザ・キラートマトは見ていない……。とか思っていたけれど、これは楽しいぶっとび映画でした。評判いいのわかるな~~ニコラス・ケイジのキャラが無言なだけではなく、かなり行動がわけわからなくて(動物ロボが目の前にいるのに、休憩時間になるとさっさと休憩室にひっこんでしまう)なにもかも正体不明すぎる男という存在。すごい役やってる……と思ったら、これ製作もケイジなんですね……(さすがDBDにも登場する男)。でも、主人公だけが謎に謎を重ねた主人公なだけで、ホラーストーリーの主軸や定番はそれなりにちゃんと抑えていたと思う。殺人鬼が悪霊化して最強にみたいな流れからの、街の人たちの考え方とか、ようするに四面楚歌でしたというのもなんだかホラーらしいそして、いかにも巻き込まれそうな学生たちとかいかにも生き残れそうなヒロインとか(ヒロインに片思いしてるっぽいあの学生くんは助けてほしかったなぁ)。正直言うと、主人公がもう少し主人公していたらほぼみんな助かった気がする。破壊したロボたちをゴミ袋に入れて冷静にきちんと片付けるのがまたホラーでした(ホラー要素変わってきてる)。とうとうラスボスのウィリーロボ登場で、さすがの無敵主人公も(何故か)ボコられて反撃かなわずボールプールに吹っ飛ばされそのまま立ち上がれなくなってしまう……のを、のぞき込んだだけできちんと確認もせずに立ち去るウィリーロボ。その後、ボールプールから伸びた手がフチを掴む……。そう、主人公はまだ死んでいなかったのだ!相手にトドメをちゃんとささないから、その油断した背後を狙われてしまうというホラーのド定番をかましてしまうウィリーロボ(ラスボス)。危ない!ウィリーロボ(ラスボス)!!だからホラー要素が変わってきてるんよ。しかし、何気に悪い奴らは人でも悪霊でも全員滅ぼされたりして、見終わると純粋に「面白かったー」となれる映画でした。これはB級娯楽映画だと思う。ネットのレビューを徘徊していたら、「これはゲームを完全実写化したようなもの」みたいな考察があって、納得しました。なるほど、確かに主人公の動きはプレイヤーの動きだ(←ミニゲームにすぐはまるタイプの人間)
田中敦子さんの訃報を知りました。アニメ、ゲーム、映画、海外ドラマ、あらゆる媒体の中でその世界にとけこみ、構築してくれる素晴らしい声優(女優)さんでした。上質な吹替無くして、『吹替版』の魅力は出せません。大好きでした。そしてこれからも大好きです。ご冥福をお祈りいたします。
イコライザー2The Equalizer 2(2018)敵はイコライザー。ハラハラドキドキの「アクションサスペンス映画」を、途中から「悪党から見たホラー映画」に変える主人公再び。イコライザー2 : 作品情報 - 映画.comイコライザー2の作品情報。上映スケジュール、映画レビュー、予告動画。オスカー俳優のデンゼル・ワシントンが、「トレーニング デイ」のアントワン・フークア監督とタッグを組んだアクションサ...eiga.com2も3も面白い、と評判だったこのシリーズ。本当に面白かった最初から飛ばしていくのスゴイ。序盤の展開は諸説ある感じでしたが、自分はマッコールさん行きつけの本屋さん→が、ある日売りにだされる予定に→話を聞いたマッコールさん、トルコへ飛ぶ。みたいな流れだと思ってました。でも確かに、前回のあのダークウェブみたいな掲示板に書き込みがあったのもありえそう(娘が戻ってきたことを、マッコールに言わなかったし)。とにかく、改心をすすめるもまあしてくれるはずもなく。母親の元から娘を父親がさらうという複雑な事件を29秒くらいで終わらせてしまうマッコール。無事に母子は再会し、本屋もそのまま経営続行。めでたいめでたいと思う間もなく、タクシー稼業をしているマッコールは出会う人々の問題をちょいちょい解決していってあげる。暴行されたインターンの女性も痛々しくて辛かったけれど、生き別れの姉を探すお爺さんの話を、誰もまともに聞こうとしなかったのに、マッコールだけはこっそりと捜索を手伝っているのが良かったなエクスペンダブルズ3のバーニーとガルゴのやりとりをちょっと思い出してしまった(うっかり感動した)。それから今回のラルフィポジと思われるマイルズ。ギャングとの関わりが危険すぎてマッコールクラスじゃないと、あれ大変だよな……。あのあと復讐とかで付け狙ってくるかと思ったけど無かったな(マッコールさんが手配済の可能性)。そして本筋の不穏な空気が流れてくるのだけど、もうあらすじ読んでいたのでスーザンの展開はずっとハラハラしっぱなしだった。ていうか、あんな高齢のか弱そうな女性にすることじゃねえだろ(予想外に強かったけど)どうも不自然さがあちこち散見されて、黒幕は早々にわかる感じにしたのだろうか……。彼もなにがしか「襲われた感」を出したほうが良かったのでは……と思ったけど、『強盗事件』とするためだったんだろうな。マッコールがスーザンの仇を討つため出てきたことで、悪党側も彼も始末せざるを得なくなる。しかし、タクシー運転中に客のフリした暗殺者が包丁みたいな凶悪な武器を後部座席から振りかざしてきても、ボコボコにやり返してしまう無双マッコール。この時の暗殺者もちょっと様子おかしくて、なにか裏設定ありそうだったな。迷いがあるというか……。そんなことより、結局敵も『イコライザー』。元仲間たちが道を外し、欺瞞の善と悪を語る。しかしマッコールにそんな理屈が通じるはずもなく、嵐の来る中、かつてマッコールが住んでいた町(村?)へと皆は集結する。……でも、敵もカッカしていたとはいえ、なんで暴風雨の中、相手が熟知しているテリトリーで戦おうとしたんだろうなって……しかも、スナイパーだからってあの嵐の中で体を固定するものもなく、吹きさらしの高いところに昇って銃をかまえる敵……。凄腕のプロなのはわかるんだけど、それでもさすがに風に重心持ってかれそうに思うが……。ただ、彼はそもそも「仕事をいつもどおり引き受けて始末したら、なんとウチ(CIA)の内通者だった」「大事になって、CIA(元)上層部の友達にばれそうになった」「慌てて強盗装って殺した」という、うっかりにうっかりを重ねてるタイプなので、ここでもうっかりやらかしたのかもしれない(命がいくつあっても足りなそう)そして、嵐の中で一人ずつ精鋭は屠られていく。やられ方が完全にプレデターに出会ってしまった人である。ちなみに、保険代わりにマイルズも人質にとっていったのだけれど、これはかなりハラハラさせられてああああ危ないよ危ないよどうしようマッコール→あ、大丈夫でしたねを、再び見た。この映画は、アクションもドラマも見せてくれて飽きさせないし、心に残るものもある。懸命に生きてる人と、傲慢に人を踏みつける人。どちらもをしっかり見せてくれるところが面白さなのかなと思います。ラスト、マイルズの完成させた壁画も素晴らしかったし、お爺さんの再会も素晴らしかったこれ、実はマッコールに依頼されたスーザンが見つけてくれた情報。殺ししか出来ず、手を汚していった敵側との光と影の対比のように感じました。
ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密Knives Out(2019)大人気ミステリー作家であるハーラン・スロンビーの85歳の誕生日パーティが屋敷で開催される。翌朝、彼は死体で発見された。そして、謎の人物から依頼を受けた探偵ブノワ・ブランが屋敷に到着する。ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密 : 作品情報 - 映画.comナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密の作品情報。上映スケジュール、映画レビュー、予告動画。「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」のライアン・ジョンソン監督が、アガサ・クリスティーに捧げて脚本を執筆したオリジ...eiga.comポスター画像はそうですこちらから予告がおしゃれでかっこいいです。- YouTubeYouTube でお気に入りの動画や音楽を楽しみ、オリジナルのコンテンツをアップロードして友だちや家族、世界中の人たちと共有しましょう。www.youtube.com>「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」のライアン・ジョンソン監督が、アガサ・クリスティーに捧げて脚本を執筆したオリジナルの密室殺人ミステリー。と、eiga.comの解説にありました。ざっとみると評判もいいようだし、伏線もきちんと回収される(ミステリでは当然であってほしいが……)し、本格ミステリとして楽しめそうな期待でもって見ました。ネタバレしてますクラシカルな屋敷に、裕福な主人とその裕福さにすがる家族一同たち。巻き込まれる「外国人」の看護士。設定も舞台も素敵だし、俳優陣も素晴らしくてかなりの「舞台は整った」ではじまる物語でした。ただ、個人的にあまりテンポが良くない……特に人物が多くて序盤は紹介がてらの展開が必要だろうに、尋問形式なので個々の特徴がうすくなってる。クリスティに捧げるからといってクリスティと同様の形式をとる必要は無いけれど、ポワロ定番の「自身が歩いてそれぞれの相手と話をする」は、本当にいろいろな仕掛けを仕込むことができて、いい流れなのだなと改めて思いました。(それでも人物の多さでごっちゃにはなるんですが)ただ、警察の尋問なので「個々を部屋に呼び出す形式」なのは普通だし、これはもう主人公ブランが警部補たちと動いているので、こうなる展開としてるのだろうと。面白いのは、並行して犯人側の視点も交えて話を進めていること。ヒロインがどう考えても悪手なほうを選んでいるように見えるが、恐らくそれに真犯人の思惑を隠しているんだろうなと無駄に脳みそフル回転で見てました。それにしてもクリスティでもカーでもそうだけど、「若くて美しい女性」はアホ(しかし善良)でもなんだかんだ助かるし許されるの、うらやましい限りでありますよ※でも助からなかったら助からなかったでまた文句を言う。クリスティ作品だと巻き込まれたりやらかす男性キャラは多いけど、「若くて美形の男性」でやらかすやつはたいていやばい奴である(例外は『満潮に乗って』くらいかと)。ただ、今回のマルタは「移民」「強制送還」という(しかも自分ではなく母親)厳しすぎる現実、社会問題があったからああするしかなかった、というのも説得力はありました。自分自身だけのことなら、決してしなかったであろう本来の善良性が結局、邪悪を打ち破ることになる。この構図はミステリものでもかなり後味を良くすると思います。なのに、何ていうか一番怪しいやつがそのまま犯人でそこがズコーヽ(・ω・)/そこはもすこし二転三転させて、「やっぱりお前かー!」ってさせてほしいし、もっと伏線どうにか出来そうだけどな……。そういう意味では、ウエストエンド殺人事件のほうが読めたけれども意外性は高かった気がする。伏線に偶然や必然、さらに誰かの思惑が重なることでわけがわからなくなる妙が、ミステリの面白いところだから……。クリスティの「葬儀の後で」では、この似たような状況が反転した事実が出てきて「盛り上がってまいりましたー!」みたいになったんだが……。(でも、ドラマ版ミス・マープルに「一番それをしそうな人間がそれをするもの」という台詞があり、犯人に限って言うならクリスティ定番の展開ではある)あとダニエル・クレイグはすごくはまっていたけど、ブラン探偵は「紳士」な感じはあまりなかった(そういう演技なのだと思われる)。ツイードのスーツを着て紳士然としていても、「変な人」のほうが印象強い。しかも怪しい。あの作品とかこの作品とか思い出しちゃうよね……とかやっていたのに、普通に続編が出ていたのを後で知った。全体的には、テンション上がりかけて拍子抜けして落ちた、という感想だけど……最後周辺のヒロインの仕掛けは見事だったな。アナ・デ・アルマスの微妙な表情演技が素晴らしかった。そして、ナイフ。まるでハーランがマルタをとことん守ったみたいだった。ただ、もっとハーランについてはもっと方法があったのではとも思うし……でも、やっぱり無理か……とも思うし……。薬品には詳しくないけど、マルタは優秀な看護士だし、症状が出たかどうか見ることができた気がするんだよな……。でも、これもまた「恐ろしい人間」の「恐ろしい犯罪」だったということなのでしょう。(パニックになってるんだからやっぱり無理か……)今回は少し物足りなかったけど、でも本格ミステリとしてこういう雰囲気の良い映画があるのは嬉しい。続編もそのうち見てみようと思います(こちらはネトフリにしかないらしい)。
ムーンライズ・キングダムMoonrise Kingdom(2012)12歳の孤独な少年サムと、同じく周囲になじめず孤立する少女スージーはお互いにひとめ見たときから惹かれ合い、そして駆け落ちを決行する。それはやがて、周囲への大きな影響力となっていく。ムーンライズ・キングダム : 作品情報 - 映画.comムーンライズ・キングダムの作品情報。上映スケジュール、映画レビュー、予告動画。「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」「ダージリン急行」のウェス・アンダーソン監督が、1960年代の米東海岸ニューイング...eiga.comポスター画像はやはりこちらからというわけでさらにウェス・アンダーソン作品。(正確にはブダペストホテルはだいぶ前に見た映画だけれども)やはり独特のキャラクターに舞台にカメラワーク。なんというか、この監督の映画は「本を開いたような」感覚に近いかもしれない。だから、全体を包む不可思議な力みたいなものを強く、けれども自然に感じることができる気がする。ボーイスカウトのキャンプに参加していたサムは、スージーと駆け落ちするためテントを脱走し、スージーも鞄に本をつめて、猫と一緒に待ち合わせ場所にやってくる。何とも独特なのが、サムもスージーも表情が乏しいこと。それでも互いに会話するときにはちょっと微笑みを見せるのも印象的。眼差しとか雰囲気よりも、純粋に互いの言動で互いの愛情を感じさせてくれてる気がする。サバイバル慣れ(?)してるサムはなかなかワイルドな提案が多いけれど、スージーは素直にうなずいて実践していく。どうみてもアウトドアする感じじゃないスージーの格好や、持ち物(本などばかり)でもサムは特に批判もしない。どう見ても長続きできそうな逃避行ではない(実際、嵐も近づいていた)が、2人の絆がかたいことだけはわかったもちろん、これは逃避行を主軸におくも逃げ続ける物語ではないので、捜索を開始した大人たちの網は早くも広がっていく。そこで、サムを嫌っていたボーイスカウトメンバーたちも追手となって2人の前に現れるのだが、正直12歳(あたり)の子供たちの争いとは思えないほど危ないガチの手斧を武器にして取り囲み、首魁(言い方)は小型だけど2輪駆動で突っ込んでくる。そしてサムを守ろうとしてそいつをハサミで刺しちゃうスージー(正当防衛……かな……?)スヌーピー……。そんなふうにカッとなると過激な行動が出てしまう自分に落ち込むスージー……こんな感じの性格のため、どこでも孤立してしまっている。それらを問題視する大人たちの中で、ブルース・ウィリス演じる島の警察官シャープは2人に対して同情的だし、やたら問題児扱いしようとする大人たちに懐疑的なようにも見える。2人の運命はどうなるんだろうな……と途中までハラハラしていたけど、雷にうたれてもサムは無事だし(マーベルキャラ並)、刺されたアイツも松葉杖だけどなんか元気だし、爆発だか落雷だかで大変なことになったテントにいたお爺ちゃんも助かってるし(リーダーのおかげだけど)、なるほど突然し……みたいな展開はなさそうだと安心(あまりに2人の未来に希望が見えなかったので不安に)連れ戻され、引き離されたが2人の愛は揺るぎない。ただ、サムの悲壮な顔つきがまた心配になる。サムの見た目は「僕の大事なコレクション」のイライジャ・ウッドみたいな感じで、12歳なのもあって「可愛い」「ちょっと冴えない」といった印象なのに、中身はとても大人びていて現実的な部分を持っている。それは孤児であり、里親を転々とし、いずれの場所でも「変な子」扱いされてきたことが影響していそうだった。見た目はアイシャドウメイクなどもあってスージーのほうが大人っぽいのに、中身は逆なのだ。タイプの違う「孤立した」2人がここには存在していたのである。サムはこの駆け落ちに終わりがあることも、何ていうか全てに終わりがあることも自覚しているようで、12歳なのに(偏見)何か覚悟しているようで……実はこのとき、サムはシャープ警部から里親からの「もう戻ってこないでほしい」というひどい手紙を受け取り、帰る場所がなくなったことを知ったのだ。(サムは以前、スージーとの会話で『今の里親のところは悪くない、本当の家族みたいなかんじ』といったことを言っていた……)荒れ狂う天候の中、2人は手に手をとって教会の屋根の上まで逃げのびる。大人たちはやめろと声を上げるばかり。その中でたった一人、シャープ警部だけが2人を助けるために危険なそこへ追いかけていく(警察だからそりゃ行くのではと言われるとそれまでですが)。行き場のなくなった2人に道を示してくれたのは、そんな孤独な中年男(不倫中)のシャープ警部の決断だった。全てが日常に収束していくエンディングが良かった。こうして終わりを見ればわかるけど、「変な子」ではなく「少し変わった子」程度であるし、子供はみんな少し変わってる。大人が助けずに彼らを誰が助けるというのだろう、と思いました。そういえば、ブダペストホテルも年長者が若い孤独な新人を助ける話だった(物理的にはムスタファのほうが助けてたけど)。「ムーンライズ・キングダム」ってどういう意味なのだろうと思っていたけれど、最後にそれは明示されました。この物語の終わりにふさわしい。ところで一番印象に残っていた場面が、サムが自分を嫌い仲間たちといじめていた相手(スージーに刺された少年)と遭遇したところ。サム「どうして僕を嫌悪するんだ?」ガキ「みんなに嫌われてるやつを好きになる必要が?」みたいな会話。いじめっ子の返答は終始ふわふわしてる。誰かをいじめる人間に結局理由なんて無い。これって、世界で共通してるんだろうなと思った。当人は何かしら理由を探そうとするだろうけれど、それは都度かわる言い訳と同じ。「いじめられる人間にも原因がある」という錯覚に陥っているだけなのだ。(しかしまあ、サムは彼らをまるで相手にしてなかったようだけど)あと、だいぶ高い位置に小屋を作っちゃってた男子。あのセンスは逆にサムと気が合いそう…と思ったのに、彼も一応最初はサムを避けている一団の1人で意外だった。でもその後、一連の事件のあとで一番最初に改心し、サムとスージーを助けるために皆を説得したのも彼だった。今回も名優たちがそろっていたのですが、サムとスージーの物語に夢中になってしまいました……
グランド・ブダペスト・ホテルThe Grand Budapest Hotel(2014)夕食をご一緒しませんか。そこで、私の物語をお聞かせしましょう。現在。1人の少女が、著名な作家の墓石の前で本を開く。1968年。作家は本の舞台であるグランド・ブダペスト・ホテルに訪れ、謎の人物からこのホテルについての話を聞く。1932年。かつて無一文だった彼は、新人ベルボーイとしてベテランコンシェルジュのグスタヴ・H氏とグランド・ブダペスト・ホテルで出会う。師であり、親のような存在でもあった彼からたくさんのことを学ぶ日々だったが、突然の殺人事件が状況を一変させた。全ての物語は、そこから始まる。グランド・ブダペスト・ホテル : 作品情報 - 映画.comグランド・ブダペスト・ホテルの作品情報。上映スケジュール、映画レビュー、予告動画。「ムーンライズ・キングダム」「ダージリン急行」のウェス・アンダーソン監督が、高級ホテルのコンシェルジュとベルボーイ...eiga.com独特の色調と正面から見るような画面の構成。だけでなくて、予告の何もかものテンポの良さも映画の中にちゃんとあり、素敵な映画でした。というか、ウェス・アンダーソン作品は全部予告に魅かれる。本編も順番に見ていきたいものである。完璧な?コンシェルジュである一方で、というかだからこそというかあらゆるご婦人(年齢高め)の夜の相手までするのをさらっと出してくるでも、それらは何となく優雅で上品で(上品ではないかも)「古き良き時代」を連想させる。それもそのはずで、このホテルはそもそも上流階級の集まる社交場でもあり、昔の貴族たちの世界の一つだからだ。その色をあっさりと変えてしまうのはいつも戦争の二文字。そして、ぼかしてみてもすぐわかるナチスの特徴の濃さエイドリアン・ブロディがわかりやすい悪役をコメディ含みで演じていて、「戦場のピアニスト」の弱々しい姿とは真逆でした(そういえばこれもナチスだ)。一番好きなシーンが、エイドリアン・ブロディ演じるドミトリーがホテルで銃撃戦をはじめるところ。これ、逃げるアガサを追った末に出くわしたグスタヴに威嚇射撃(当てるつもりだったかも)として何発か発射、という短気で衝動的な悪党の一面だったのだが、銃声を聞いた滞在客(接収されているので軍関係者)、スタッフたちがそれぞれ携帯していた武器を取り出し何故か多数の銃撃戦がはじまるという、わけのわからない場面に話の流れは誰が悪いかは最初からわかっているし、推理劇というより逃走劇である。いわゆる豪華俳優たちの競演なのだが、ウィレム・デフォーが(演じる役の)イメージそのままの役すぎて、この素晴らしい「無駄遣い」(positiv)が素晴らしかった。エドワード・ノートンはいつもカメレオンすぎて気づかない……(ハーヴェイも)シアーシャ・ローナンのアガサはとても可愛らしくて、ゼロがグスタヴに口説かないよう度々釘をさしている命懸けの遺産相続、逃亡しながらの犯人捜し、悪党と善人とベテランコンシェルジュたちの戦い。それらがポップで明るく、でも上品に描かれていて自分には美しい宝石のような、というか美味しいケーキのような(美味しいケーキはいつも幸せにしてくれる)素晴らしい作品だぁーというところからのラスト。ウェス・アンダーソン監督の作品には「突然の暴力」もまた、その特色としてあるらしいですが……。これが、実際は過去の物語であること(正確には本の中の物語である)を考えれば、皆の顛末が描かれていくのは当然の結果だった。グスタヴ・H氏の最期はとても氏らしいものです。ナチスは、捕虜のアイデンティティを奪うことにあらゆる手を尽くした。(ナチスだけではないが)しかし彼らは結局命を奪うばかりだった。これは推理劇というより逃亡劇で、そして一つのホテルが終わりを迎えるまでの物語でした。
サン・ジャックへの道Saint Jacques... La Mecque(2005)人生って、捨てたもんじゃない。不仲で多々問題のある3兄弟。彼らが母親の遺産を相続するには、フランスからスペインは聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラまでの巡礼路をともに行くことが条件だった。その距離およそ1500km。サン・ジャックへの道 : 作品情報 - 映画.comサン・ジャックへの道の作品情報。上映スケジュール、映画レビュー、予告動画。「女はみんな生きている」のコリーヌ・セロー監督が贈るハートウォーミングな人間ドラマ。遺産相続の条件として、聖地サン...eiga.com今はどうも日本ではどこにも配信が無く、DVDを買うかかりるかするしかないらしい。こんないい映画がどうして。大人の事情は全然わからないちょっとgoogle先生に聞いてみたら、やはりそこそこ前のものは放映や販売の契約に「配信」が含まれていないからではないだろうか、とありました。同監督の「女はみんな生きている」はU-nextにあるのに……。なので、ユネクにそのままリクエストしてみる。一度に3つできるらしいので、どさくさまぎれてデヴィット・ウィンクラーの「グレイスランド」(ハーヴェイ・カイテルのやつ)もリクエストしてみる。でも補記欄みたいなの無くて、これでどのグレイスランドかわからんのではと思う。本当に受けてくれる気あるんか。ユネクお前ほんとそういうところさあ高いくせにさあ(以下略)コメディタッチで描かれる人生悲喜こもごもの物語。それらを現すような旅路……というのが、ロードムービーの醍醐味だと思っています。この映画もまさにそう。※ずっと以前に見たので、若干あやしい記憶と(ネット情報と)ともに記録。会社経営をしており、特にお金には困ってないが他兄弟に引っ張り出されて嫌々来てる長男ピエール。彼は自身の病気(精神疾患だったと)と、自殺衝動をかかえるうつ病の妻に悩まされている。国語教師をしている長女クララは頭が固くで、支配的で独善(みたいな紹介がされていたけど、そこまでとは思わなかった)。彼女には家庭があり、遺産は欲しい。アルコール依存症で、定職にも就かずに借金をしてその日暮らし。妻にも愛想をつかされ、娘ともあまり会えない次男クロード。もちろん遺産が欲しい。(ただ、娘に何か買ってやりたいだったか、学費を助けたいようなことを言っていたと)そして、他ガイドや女子高生コンビのエルザとカミーユ、そのカミーユに好意を持ち追いかけて参加する男子高校生サイッドと、何も知らずメッカへの巡礼に行けると思ってるイトコのラムジィ。持病を持つ女性マチルド。それぞれの思いを持って一行は旅立つ。問題そのものは結構深刻だけれど、展開はドタバタ劇のよう。笑えるかどうかはともかく、合間合間に挟み込まれる美しい風景と、そこをただ歩いていく一行の姿に細かい問題などどうでもいいような気がしてくる。そして重くなりすぎないのもいい。そして、さらに印象的なのが「夢の世界」とでもいうか、個々の問題が空想的に、象徴的に表現されているところ。ディスクレシアの少年、ラムジィは綺麗な風景の中で巨大なアルファベットのAがこちらに倒れてくる(夢?を見る)。彼の中で「文字を知る」ことは非常に困難で、そして強い憧れを持つ。彼は、メッカ(ではない)へ行くことで、文字が読めるようになると信じており、そのときは病気の母親に詩を送りたいと思っている。母親の死をさほどに悲痛としてはいない3兄弟だが、彼らが母親を失ったことを知ったラムジィは同情し、その悲しみに寄り添おうとする。その純粋さが逆に兄弟に「肉親の喪失による悲しみ」の感情を少しずつ実感させる構図が面白い。彼らは『邪悪な』人間ではなく、多忙な人生や個々の性格性質により、目の前の問題のみに注力するしかなかったのだ。自分が一番印象に残っているのは長男のピエールで、彼は彼なりに妻の自殺衝動を心配し、治療しようとし(しかしそれはナースにまかせるもの)、自身も恐らく睡眠薬等を処方してもらい……。地位もお金もある兄弟の中では一番の成功者のようなのに、悲しい顔で生きている。奥さんとのやりとりはとてもリアルで、奥さんはいつも静かで無感情で、というか魂を失ったようだ。「酒はあまり飲むんじゃない」と言われれば「ええ、飲まないわ」と答えて数分後には飲んでいる。「自殺なんてしないでくれ」と言われれば「ええ、しないわ」と答えて、その後自殺未遂したと連絡がくる。彼は心の底では妻の病気をあきらめているようにも見えた。現代人らしい多量の荷物を車に運ばせたりしていたピエールだけど、道中で結局重すぎる荷物からいらないものをこっそり道に捨てていく(ダメです)。(ここは他の皆も、持ちすぎた荷物をこっそりどんどん捨てていく笑える場面でした)やっと宿について、大切な薬まで捨てていたことに気づく。戻ろうとするがもう間に合わない。あの薬が無ければ体調を崩すと、パニックになるピエール。……だったのに、その後何事もなく巡礼路を健康に歩いている彼は、薬なんかなくても自分は歩けるし、体調を崩さないし、ちゃんと眠れることをこの巡礼で思い出した。(くたくたに疲れていたので、薬なんかなくても熟睡した)※一応、医師の処方した薬を勝手に止めるのは良くないと記しておきます皮肉にも、この巡礼旅は彼に本来の健康を取り戻させていたのだ。最終的に、彼は自らの意思で旅を続行し、皆と一緒に聖地を目指す。(その選択を喝采をあげて迎える一行がなんかいい)この一行の中にも「天使のように」純粋な存在が、上記のディスクレシアを持つラムジィなのですが、やむをえず文字の読み書きを教えることになってしまうクララ(←なんだかんだこの人優しいんだよな)このラムジィには最大の試練が訪れてしまうのだが、その先の結末も含めてこの巡礼の旅の意味を考えてしまう。このとき、皆と、クララともしも出会ってなかったら……。実際のところ、ラムジィはカミーユを追いかけたいサイッドに若干騙されてここにいる。サイッドはラムジィの母親から旅費を借りて2人で巡礼に参加しているのだ(家計が苦しいのに)。さすがにひでえと思ったのだけど(結局、サイッドは想像以上の責任と現実を背負うことになる)、ラムジィはこの旅で言葉を会得し、そして友人も得た。彼のこの先の人生はまだまだ厳しいかもしれないが、恐らく一人ぼっちではない……と思う。様々なラストシーンは、「再生」を感じさせる。そしてそこで、不仲の子供たちを遺していく母親の真意が垣間見え、贈りたかった『遺産』が何なのかを示唆する。ここの演出もとても素敵でした。旅を終えて帰宅したピエールの選択が素晴らしく、その後の奥さんに初めて本当の笑顔らしきものが見えているのが良かった。この映画の大筋は、実際はとてもシンプルです。でも自分は「禍福は糾える縄の如し」という言葉を思い出しました。そしてそれは救済と再生へも繋がっている。この監督の目線はとても暖かいと感じました。
ウエスト・エンド殺人事件See How They Run(2022)1950年代のロンドン。場所はウエスト・エンドの劇場、死体は舞台上、容疑者は舞台関係者たち。殺人事件の『開幕』である。ウエスト・エンド殺人事件|映画/ブルーレイ・デジタル配信|20世紀スタジオ公式『ウエスト・エンド殺人事件』公式サイト。『グランド・ブダペスト・ホテル』のサーチライト・ピクチャーズが贈る、キュートな異色バディが挑むコミカルなマーダーミステリー!|映画のあらすじや予告映像、キャスト情報のほかブルーレイ、DVD、デジタル配信の情報を紹介。20世紀スタジオ公式www.20thcenturystudios.jpあらすじ要約「こんなアガサ・クリスティは嫌だ」サム・ロックウェル&シアーシャ・ローナンによるミステリー・コメディ映画。なのですが、「夜の来訪者」的な英国産ミステリーと思い込んでいた自分。映画『夜の来訪者』の感想・レビュー[2414件] | Filmarksレビュー数:2414件 / 平均スコア:★★★★3.8点filmarks.comもちろん、予告を見ているので上記↑ほど暗く重厚なものではなくて、コメディシーンもありつつの、華麗なワケあり社交界の人々が織りなすクラシカルなミステリーだと思っていたのです。(それこそポアロ的な)物語はアガサ・クリスティの原作である戯曲「ねずみとり」の舞台で、関係者が殺害されるところから始まる。実際に1952年のウエスト・エンドにて初演され、それからずっと連続して上映をしているそうです(名物なんだな)。「ねずみとり」そのものは切なくも悲しい真実が語られる物語ですが、クリスティ独特の「人間の物悲しさ」と「殺人を犯す人間の愚かさ」も同時に語られていると思う。この映画でも同様のはず……とみせかけて、実際は「うるせぇ!俺がルールだ!」でどいつもこいつも持っていく。(※イメージです)多分名探偵がここにいたら殺されてる。サム・ロックウェルを初めて見たのはグリーン・マイルのあの残忍な殺人犯。だったので以降どうしても好意的には見れなかった俳優(それだけ演技が素晴らしかったということです)。しかしここではそんな面影はなく、アルコール依存症(?)でちょっと怠惰な風貌のマイペースなストッパード警部となって登場。シアーシャ・ローナンは見覚えがある……と見ていたら、グランドブダペストホテルのアガサでした。相変わらずキュートすなぁそのほかにも過去に見たドラマの中で、ちょいちょい見たことある方々が。エイドリアン・ブロディはちょっとグランドブダペストホテルを彷彿させるキャラクターで、かなり個性的で楽しかった。でも「過去の人」となっていたため、重要な場面で影響していても存在していない。そんな役どころで、そこがまた良かったです彼を知ったのは「戦場のピアニスト」だったので、悲しそうな面差しがハマリ役だな……って感動してたのに、もう変な人のほうがクセになってくる良さ。これだけのメンバーを集めて、1900年代の素敵な舞台を用意したのだから、本格英国ミステリーが観たかった気もする。でも、こんな贅沢なコメディだってあっていいはず。主演2人が最高に素晴らしかったし、サム・ロックウェルのうだつの上がらない警部の姿がとても良かった。アーガイルでまた違った姿でいるのほんとすごい(若返ってないか)。これは、英国の人もしくは英国通の人ならもっといろいろ見えてきて楽しめたのかもしれない。ちなみに、「ウェス・アンダーソン風味」とあちこちで言われている。まだブダペストホテルしか見てないけど、だから自分も魅かれてしまうのかな最後に、「虐待」はいつも悲しい結末しか残さない。舞台の上でも下でも。人は肉体を殺すこともできるし、また魂も殺すことができることを自覚するべきだ。知識として蓄えるのではなく。この内容は、他のクリスティ作品でもしばしば出てきますね……。
キングスマン:ファースト・エージェントThe King's Man(2021)始まりも超過激。キングスマンシリーズの3作目にして、前日譚で始まりの物語。キングスマン:ファースト・エージェント|映画/ブルーレイ・デジタル配信|20世紀スタジオ公式『キングスマン:ファースト・エージェント』公式サイト。世界大戦を止めろ!超過激なファースト・ミッション始動!表の顔は、高貴なる英国紳士。裏の顔は、世界最強のスパイ組織キングスマン。国家に属さない秘密結社の最初の任務は、世界大戦を終わらせることだった!|映画のあらすじや予告映像、キャスト情報のほかブルーレイ、DVD、デジタル配信の情報を紹介。20世紀スタジオ公…www.20thcenturystudios.jpカバーはここからネタバレしてます2作目のゴールデン・サークルを未見のまま観たのですが、だいぶキングスマン(1作目)と毛色が違う……と思いきや、マシュー・ヴォーン監督作品でした。だから、あえてこういう撮りかたということなんだな……。うわあああああああああああコンラッドーーーーーーーー!!!!!!全てそこに持っていかれて、展開に驚くどころじゃなかった。1作目でハリーが死んだ(と思われた)とき、「ああ……これは世代交代も含めた物語なんだろうな」(ハリーはえらいこと仕出かしてしまったしな)ぐらいの思いで見ていたけど、まさか一番若い、有望な、イケメン(私情)をこんな……こんな……中盤で……戦争の虚しさをあの短い時間で描いていると思う。前線の現実から危機からの脱出、仲間が命懸けで自分をかばい、自分もまた命懸けで怪我した仲間を運ぶ。あの、コンラッド決死の手負いの仲間をかついで砲弾を避け、塹壕寸前でふっとぶところすごく重いものがある。生き残って生き残って、最後も残酷な形で生き残ったのに、一瞬で殺されてしまう。情け容赦ない世界。(しかもあの射撃はダメなやつでは)ちょっとボーゼンとなりながら後半を見ていました。ラスプーチン戦までの流れ見るとふつーに「キングスマン創始者になるんかなぁ」とか思っていたのに。(同性愛者で『甘いマスクの男子』が好きなはずのラスプーチンに、つまらん言われてしまう素朴青年コンラッドほんとすき)思えばオックスフォード公も、平和主義者なだけあってイマイチ詰めが甘いというか、頼りないようななんなようなという印象があった。これははじまりの物語だから、まだキングスマンのギアが入っていない状態でもあるのかもしれない。一方で悪役たちはとっても「キングスマン」な人たちで、サラエボ事件の若者とかほんとに「なんだかうまくいった」レベルで暗殺成功してる。ちなみに、この暗殺者のガヴリロ・プリンツィプ氏本人は未成年だったため20年の懲役刑。第一次世界大戦引き起こしておいてそれでいいんかみたいな判決だったらしい(しかし、劣悪な環境で数年で獄死しているそうな)あとイメージがあんまり合わないマタ・ハリとか、こんなだっけか?なレーニンとか、ハヌッセンとかいう全然知らなかった人(占星術師らしい)とか、何故か一人だけちゃんと本人に寄せてるラスプーチンとか、更に登場人物的に消去法(メタ推理)でだいたい誰か見当がつく首魁とか。いろんな意味でヤバい敵たちに安心する。要するに世界は『黒幕』が牛耳っており、彼らの一派が政府や王宮へ入り込み世界を操作している……という構図。そこを潰すため、息子の死から奮起してオックスフォード公は仲間たちとそのアジトを突き止めていく。英国の欺瞞に嫌気がさして平和主義へとなり、軍隊を退き『命を救う』ことに徹していたオックスフォード公。かつてまだ少年だったころ、『英国紳士』たちに親の工場を奪われ、それを怨恨としていた黒幕。"Mannersmakethman"キングスマンの有名なセリフで、決め台詞だとも思うけれどここでは若干の皮肉も感じる。『英国紳士』の汚さを知る2人だけれど、オックスフォード公は息子の遺志を継ぐことでこの言葉を乗り越えていったように見えた。最後の最後でキングスマンが誕生。この初期メンバーの中に、コンラッドに頼まれて入れ替わった本物のアーチー・リードがいてくれて嬉しい。チョイ役と思わせて、コンラッドの葬式にもいてそのときの表情がとても印象深かった。もしかして、彼は事実を知ってオックスフォード公の手助けをするのでは……と思ったけど、ラストバトルには同行していない。ので気のせいか……と思ったけど!!ここで、彼のシーラへの自己紹介を思い出す。「ばかげていると思うけれど……」同時に、悪党たちもまた残党がおり『世界の均衡』と称して裏から操っていこうとしていたーー。的な、まさに「はじまりの物語」でした。(世界の均衡、とかは陰謀論の形成のようです)全体的には1作目キングスマンのテンポの良さや、主人公無双みたいな圧倒的なのが足りない気がしたけど、今回は歴史を背負ってることもあって、その闇と対決するキングスマン前身という構図なのかな、とも。それにしても歴史的にはヒトラーに付け入ろうとし、しかし結局は暗殺されたとされるハヌッセンが利用する側になっているのは、フィクションの妙だなと思いました。実は最強メイドのポリーが、正体があるのだと思っていたけれどただの最強メイドだったようで……。字幕だと、主人であるはずのオックスフォード公にタメ口でしかもキスまでしていて、階級とは、状態。吹替だと敬語でした。でも、最強スナイパーから最強暗号解読からかっこよかったです「ヘンゼル&グレーテル」のグレーテルの役者さん(ジェマ・アータートン)で、アクションも表情もかっこいいのだ。
ライダーズ・オブ・ジャスティスRetfærdighedens Ryttere(2020)クリスマスを前に、とある街で少女が祖父に自転車のプレゼントを買ってもらおうとしていた。だけど自転車の色は赤。青がいい、という少女に不愛想な店員は「注文するかい」と。そして別の街で、青い自転車が盗まれる。軍人である主人公マーカスが海外に駐留中、妻は列車事故で亡くなってしまう。遺された娘の元へと帰国したマーカスだが父娘はこの悲劇を受け入れることができず、日々苦しんでいた。そのさなか、電車に乗り合わせていた1人の学者がマーカスを訪れ、これは事故ではなく「証人」を殺害するために仕組まれた事件であると告げる。ライダーズ・オブ・ジャスティス : 作品情報 - 映画.comライダーズ・オブ・ジャスティスの作品情報。上映スケジュール、映画レビュー、予告動画。「アナザーラウンド」のマッツ・ミケルセンが主演を務め、列車事故で失った妻の復讐に燃える軍人の姿を描いたアクション。...eiga.comカバーはここから映画予告ハシゴしていたら見つけた、「ナメてた相手が実は最強」系のMads Mikkelsen版。相棒が頭脳系3人で武闘派がミケルセンだけってすごいチームだなと思い、でも面白そうですぐ見てしまった。結論から言うとこれは予告詐欺みたいな感じでそんな話では無く……自分が見た予告↓マッツ・ミケルセン、最強の軍人が復讐の鬼と化し暴れまくる!!映画『ライダーズ・オブ・ジャスティス』予告編マッツ・ミケルセン × アナス・トマス・イェンセン 北欧最強タッグが贈るリベンジ・アクション・エンターテインメント!最強の軍人 × 理数系スペシャリスト!予測不可能な復讐劇が幕を開ける!?『ライダーズ・オブ・ジャスティス』予告編が解禁!列車事故で妻を失った軍人。事故は仕組まれたものだと主張する数学者とその仲間。傷...www.youtube.comwikipediaには「ブラックコメディ」とか書かれており、またジャンル勘違いでやらかした感があるけど、映画そのものは、心に傷を負った人々が不器用ながらも関わり合いぶつかり合い、なんとかかんとか今日も生きていく。偶然によって悲劇に導かれてしまっても……みたいな、切ないヒューマンドラマ系だと思いました。その合間に、アクションがあって血が流れたりして悪党が1個小隊くらい死んでたりするというだけで。すごいと思ったのは、所詮詰めの甘い素人集団だったことが終盤に露呈し、最大の「勘違いで決めつけ、そして殺した」という十字架と、同時にそこで主人公マーカスの「愛する人を突然失った」傷もあらわになるところ。(ある意味プロであるエメンタールの言う通りで、結論ありきで人を探した結果なんだな)そもそも最初も、銃をつきつけられて顔色一つ変えずにカッとなってしまったマーカスが、顔色一つ変えずに相手を瞬殺してしまって「カッコイイ……」て見てたら、当の本人が顔色一つ変えずに「どうしよう……」てパニクっていて、ここで「あれっ?」ていう気づきはありました。この人はただのアンガーマネジメント必要な人では……。この人に必要なのは「英国王のスピーチ」に出てくるライオネル医師のような人では……というか、いっそハンニバルがいてくれたなら(スターシステム)相手のギャングもわけもわからず狙われている(ギャング視点から見ると軽くホラーだろうな)、ということでしかしこっちのほうがその手のプロなので、エメンタールをきっかけに追い詰めていく。なのに主人公たちは気づいてない。で、なんだかんだいいやつのシリウス(娘のボーイフレンド)が指へし折られたり(海外の人は簡単に顔出し動画をアップするよな)、ラストは自宅が一斉射撃をくらったりして、これはスカッと系などではなく一般市民がヒーローの真似事をした結果、現実を思い知らされる切ないムービーってことなんですかうわぁぁぁと見てる側の心配をよそに、銃持って侵入してくる武装したギャングたちを次々に仕留めていくマーカス。動きのキレだけはすさまじい(多分19秒で終わらせてる)。しかし最後はとうとう娘とBFが人質にとられ、マーカスは武器を捨てる絶体絶命のピンチ。そこへ問題だらけだった仲間たちが助けてくれるのだけど、ちょっとリベリオンの戦闘シーン思い出した(至近距離で弾避けるクリスチャン・ベール)。結局全員生存できて(ギャングには申し訳ないけど)ホッ何かがはっきりと解決するというより、やがて回復に向かえるといいねゆっくりとね。というエンディングだと思いました。盗まれた自転車のくだりもきちんと繋がっていて切なかった。過酷な運命をたどっていたウクライナ人のボダシュカ(Gustav Lindh)が、何気にこの中では無傷(?)で生き延びていて強運と呼んでいいのか悩むけど、彼の存在が今回の事件と対比されているように見えました。何気ない日常を生きていた人が、突然の暴力で命を失う。過酷で危険な人生にさらされていた人だけど、ギリギリで無事生き延びている。あと、情緒不安定な人ばかりの中でボダシュカの善良な性格が印象的だった。映画の中では結局列車事故は「ただの事故」だったようだけど、個人的にはやはりそこで大事な証人が死ぬのは、あまりにタイミング良すぎる気がするが……(一転無罪だったし)だからといって、物的証拠ないまま復讐はじめるのもそれはいかんよという。マーカスは警察の事情聴取とかどうなったんだろうな……。※他のかたの感想や考察を読んでいて、なるほど陰謀論にはまってしまった図、なのか……と。
ベネチアの亡霊A Haunting in Venice(2023)名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊|映画/ブルーレイ・デジタル配信|20世紀スタジオ公式『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』公式サイト。『オリエント急行殺人事件』、『ナイル殺人事件』に続く、アガサ・クリスティ原作、ケネス・ブラナー監督・主演で贈る《名探偵ポアロ》シリーズ第3弾。|映画のあらすじや予告映像、キャスト情報のほかブルーレイ、DVD、デジタル配信の情報を紹介。20世紀スタジオ公式www.20thcenturystudios.jpカバー画像こちらから***ネタバレしてます***ケネス・ブラナーがエルキュール・ポアロを演じる3作目。こうした作品は常に原作はもちろん、過去作品と比較されると思いますが、多分に漏れず自分もデビット・スーシェのポアロが大好きです。元ネタは「ハロウィーン・パーティ」ということですが、なぜベネチアになったんだろう……(仮面の効果?)。それから、あれって降霊会あったっけ?とかいう程度の記憶ですが、原作では雰囲気が幻惑してくるクリスティの妙を見ることができます。先入観、思い込みでミスリードさせるのが上手いのがクリスティ作品の面白いところだと思います。ここでも、ハロウィーンの夜に催される降霊会へとオリヴァ夫人に誘われて向かった先で殺人事件に遭遇するポアロ。字幕で見ているのですが、何ていうかポアロも含めてどいつもこいつも口が悪い紳士淑女の体で、丁寧に悪口を言ってくる。ポアロも、降霊術を行うレイノルズ夫人にえっらい穏やかに攻撃的で驚きました。普段のポアロなら陰でこっそり言うのに(それはそれでアレだが)。原作では口さがないところもあるアリアドニ・オリヴァ夫人だけど、基本的にはポアロを信頼する友人。しかしここでは普通に性格悪くて笑ってしまった。どうしてアリアドニ……。結局ここでも、ポアロは孤立気味。このシリーズ、とことん親友ヘイスティングズを排しているのは原作の時代に合わせているというより、そういう意図があるんだろうなとも感じる。ブークがいればな……。ジャップ警部もおらなんだよ……。(あと、有名な作品を使用しているから『誰が犯人かわからない』を出来るだけ効果的に使用しようとしているのかも)何となく感じた程度だけど、他に『第三の女』と『復讐の女神』の気配を感じました。超常現象が起こり始める理由はもう、それしか考えられなかったしポアロで『幽霊の仕業』はちょっと無理が。って思ってたのに、最後にかましていきましたね配役はもちろん色々変えられていましたが、本来は子供たちがわーっといる中での殺人事件でハラハラなのにここではレオポルドだけ。ミランダもジョイスもいない。いやいたけど、名前だけ。どうしてこうなった。(ミシェル・ヨーは素敵でした)マイケル・ガーフィールドもいないのだけど、マキシム・ジェラードがなんか名前似てるしそれなのかなとか。原作に当てはめるとドロドロどこじゃなくなるけど、どうせ何かしら悪い奴だろと思っていたら「と思わせて実は」というタイプ……。クリスティ作品にいないようで時々いるキャラ。でも、こうしてオカルト色強めにしてキャラクターにも変更かけて、そして舞台も……だと何も「名探偵ポアロ」にこだわらなくてもいいような気がした。自分自身のイメージもあるけれど、エルキュール・ポアロはどれほど超常現象らしいものがあっても、不思議があっても、「ありえない」ことが展開されても、そこにある生きた人間の意思を『心理学』と『観察』によって導き出す人物(灰色の脳細胞)。ブラナー版ポアロももちろん謎を解き明かしていくけれど、だいぶ翻弄されていたという印象。普通に、ケネス・ブラナーが素人探偵役のミステリーで展開しても違和感はなさそう。ただ、ベネチアの風景や、古い屋敷の景観とその部屋たちの様相がとても雰囲気があって素晴らしかった。名探偵ポアロという作品の持つ優雅な世界観も維持していたと思う。(抑え気味の音楽も良かった)前半の降霊会、殺人事件のあたりは展開が変わっていて「これブラナーポアロの中で一番面白いかも……!」とテンション上がりました。(けれど、終わってみたらオリエント急行が一番好きカモと思っている)今回とうとうカバーを使ってしまい、最初にどこからの画像かをリンクとともに載せてみました。映画ブログだから、引用したいのですがうーんうーん
映画……のポスター画像をカバーに……したいのですが、グレーゾーンどころかやっぱりほぼアウトなのですね。引用ということにしたいけど、カバーにすると著作権表示をどうしたらいいのか
暗数殺人암수살인(2018)のどかな休日の昼間に見てしまった。暗数殺人 : 作品情報 - 映画.com暗数殺人の作品情報。上映スケジュール、映画レビュー、予告動画。実際の連続殺人事件をモチーフに、7人を殺したと告白する殺人犯と、その言葉に翻弄される刑事の姿を描いた韓国製サスペン...eiga.com>実際の連続殺人事件をモチーフに、7人を殺したと告白する殺人犯と、その言葉に翻弄される刑事の姿を描いた韓国製サスペンスミステリー。俳優が好きで気になっていた映画。テレビドラマの「魔王」でチュ・ジフンを知ったのですが、演技どんどんうまくなっていったように思う。でも、「神と共に」のヘウォンメクみたいな、外見が二枚目で中身が三枚目な役が一番合ってるように見えます。韓国映画は、陰鬱な雰囲気の出し方が本気のすごさがある。普通に見える街並みも、郊外の風景も一瞬でどんよりとして重いように見せるのがうまいなぁと。基本的には収監された殺人犯カン・テオ(チュ・ジフン)と、その余罪の告白を聞かされた刑事の対面の心理戦が主。お金とか渡すのいいんかな……と思っていたら、やっぱりダメだったんだでも、それらを含めてキム刑事(キム・ユンソク)はわかっていて、構わず情報を引き出そうとしている。対する犯人はさらに逆手にとって、証言を覆し自身の減刑(無罪だったかな)を企むという形。とにかくキム刑事の執念がすごく、犯人は確かに頭はいい(?)のかもしれないけれど、人の心というものを理解しなさすぎたのが、最終的に杭となったように見えた。というか、自分には犯人はサイコパスには見えなかったけど、このあまりに自己中心的な思い上がりはそのタイプの一つなのかな~。キム刑事の静かに、でもあきらめずにゆっくりと真実に近づいていくのが頼もしい。犯人の「お前は俺には勝てない」という吐き捨てに、「お前に勝ってどうする?」「子犬が迷子になっただけで、誰もが大騒ぎで捜すというのにお前に殺された者たちは、誰にも知られずウジ虫の餌になってると思うとそれが気の毒でな」「刑事でいるのが面目なくて」「だから諦めないんだよ」というキム刑事の台詞がとても良かった。実話が元なので消化はあまり良くないものの、カン・テオを無期懲役へと送ることができた。しかし、犯人はその後獄中で自殺。キム刑事は今も他の犠牲者の遺体を捜索しているという。複雑で静寂で二転三転する展開とみせ、全体を総括すると純粋な「善と悪」の対決になっていると思った。2人の演技がとても良かったです。
イコライザーThe Equalizer(2014)Finalが配信……という報を見て、ずっと見たかったけど見てなかったという映画。とりあえず主人公(デンゼル・ワシントン)がめちゃくちゃ強いという話だけ聞いていて視聴。やっぱりマフィアとか人身売買系を束ねてるやつらを相手にすると、しつこいのなんので終わりなき戦いみたいなのを想定してしまうのだけど、この雰囲気で痛快娯楽みたいなのを出すのはすごい。ああああ危ない危ないよマッコール→あ、余裕でしたねみたいな繰り返しで、何というかこういうヒーロー物はこれからもずっと存在していてほしい。もちろんエクスペンダブルズ大好きです自分ただ、マッコールのキャラクターが落ち着いているのと、どこか陰があるのでアクション/スリラーって言われるのは納得。マッコール強すぎるのでスリラーとは、みたいなのもあるけれど悪役のテディ(マートン・ソーカス)の狂気っぷりも良かった。そういえばスラヴィとかもいたな。いい感じに邪悪さを出すも瞬殺されていた。マッコールのフットワークの軽さが一番のホラーみたいなとこあって、通常は悪役か悪魔みたいな(ファンタジー)のがこれを担うのだろうけど、ここでは主人公。マーベル系映画ではチラホラ見るけど、モスクワでの侵入が早すぎてラスボスとラストバトルを凝縮しましたみたいなのとても好きでした同僚のなんだかんだいいやつのラルフィ、最後には勇敢にもマッコールを助けに来ててまさかお前しn……!!!て不安もよぎったけれど、これはイコライザー。なんか最後までああああ、やばいよやばいよマッコール→あ、余裕でしたねて、いい感じに騙されていた自分。娼婦のアリーナ、スラヴィがガキ呼ばわりしてたけどラストに出てきたとき本当にあどけない顔で、こんな若い子を……ってまた切なくなった(もうやつらはいないが)お友達が残念でしたねアントワーン・フークア監督は「トレーニング・デイ」の監督でもあったんですね。いやでもまさかデンゼル・ワシントンだし、この人がまさかはははって思ってここでも(だいぶ)騙されていた自分。ちなみに、主人公が殺されかかってしまうマフィアのアジトみたいなところ、メンバーが本当に怖すぎて映像も怖すぎて(ゾディアックみたいだった)、あとでそこにMajor Crimes(重大犯罪課)のサンチェス捜査官(レイモンド・クルツ)がいたことを知った。いや、悪役が多い俳優さんだとは聞いてたけど全然気づかなかったよ!(でも、サンチェス捜査官が犯人への怒りを爆発させる瞬間の表情とか、どっちが悪役かわからん迫力をだしていたりもする)
オリエント急行殺人事件Murder on the Orient Express(2017)****ネタバレしてます****ケネス・ブラナーがエルキュール・ポアロを演じる1作目。こうした作品は常に原作はもちろん、過去作品と比較されると思いますが、多分に漏れず自分もデビット・スーシェのポアロが大好きです。そして実はナイルより先にこちらを見てました。正直、犯人とそのトリックにすごい驚いた作品。アクロイドなんて目じゃない。同時にその背景に気持ちが沈んだ作品。もう有名ですが、リンドバーグ子息誘拐事件が元ネタとなっている。しかも、犯人は冤罪の可能性がいまだ残されているという。クリスティーは「無実はさいなむ」でも疑惑の目で見られる人々の感情をうまく使っているけれど、ここでも「疑惑」の犠牲者が存在する。ただ、本編はアームストロング事件から発する多岐に渡る被害者たち。それが復讐者を生み出す結果になるのだけど……。次々にあらわになる乗客たちの秘密に、推理は二転三転していくのが面白い。そしてポアロはこのややこしい迷宮を綺麗に解いていくのが鮮やかでした。この映画の印象としては、とにかくハバート夫人を演じるミシェル・ファイファーが迫真の演技だった。ポアロとの対峙は緊迫感があり、しかもその切実な気持ちと叫びにもらい泣きしそうでした原作のポアロがどういう態度だったか、ちょっと詳しく今は出てこないけれどスーシェ版はとにかく暗く、そしてブラナー版も明るいものではないといったところ。それはそうかもしれない。単純に悪が成敗されたと喜べるかどうか……。視覚としてのオリエント急行は、とても素敵なブルートレインで車内もクラシカルで落ち着いた雰囲気が見れて、舞台に浸ることができました実はオリエント急行殺人事件の映像化で一番楽しみなのがここですよ。そして緊急停車し、雪に閉ざされる。舞台は整った職員たちは過酷な労働になるわけですが……。今回の映画版では自分が聞き逃したのでなければ、出ていなかった設定。原作では、マクィーンの父はカセッティに息子を殺すと脅され、そのために彼の罪を追い詰めることができませんでした。ーーを知った息子の辛さを考えると……。映画では、それでラチェットから横領して父の借金を返済したということが告白されてましたが、全力でグッジョブと思いました(犯罪)。しかし、これで犯人は罪を背負い失われた人々は戻らず本当の犯罪者は正当な罰を受けることもなく死んだ。そしてポアロもこの一端を背負うことに。スーシェ版のラスト間近の推理展開で、これを象徴するかのような皆のやりとりがあります。ポアロの友人、ブークだけが良心だった。そんな気がしました。
ナイル殺人事件Death on The Nile(2022)****ネタバレしてます****ケネス・ブラナーがエルキュール・ポアロを演じる2作目。こうした作品は常に原作はもちろん、過去作品と比較されると思いますが、多分に漏れず自分もデビット・スーシェのポアロが大好きです。さらに、原作を通して一番好きな犯人です。全ての理由が「愛」なのだけど、その動機が深い……というか、ああああそうかあああって突っ伏してしまった。この文字通り命懸けの選択をしてしまった、そしてポアロと出会ってしまった……。原作をしみじみと読んだものでした。ただ、スーシェ版ではそこは省略されてしまい、そしてブラナー版はもっと省略されてしまっていた。かなり凡庸な人間にされてしまったなあという印象です(しょんぼり)。それから、サイモンかっこいいかなぁ?そんなに?そんな女たちが争うほど???でも、原作にある「かっこいいけどバカ」みたいなのはわかりやすかった。スーシェ版ではJJ・フィールドが演じていて、優男だけどそこまで愚鈍には見えなかったので。リネットが意外に常識人?な感じなのは新鮮でした。ルイーズに対しても正しいことしてる。残念ながら逆恨みされていたが……。一方でピラミッドの中で夫のズボン脱がそうとしたりして、セレブはよくわからんなみたいなところもあった。1作目から出ているポアロの友人ブークがブラナー版のヘイスティングズ的存在なのかなと思ったら、いい感じに原作のキャラにはめこんできて、いい感じにアレンジしおって、いい感じに舞台から去ることにあれはポアロのせいだろと思ったのは、恐らく原作既読で展開わかっていたからだろうか……。(基本的に犠牲者が増える展開がポアロなのですが)ヴェネツィアでも会えると思ったのに……。すごくいいキャラでした。道徳観念がちょと欠けていて、不作法で非常識で陽気で悪気のないおしゃべり。でもいつもポアロの味方だった……。そこ大事なのに……。スーシェ版でもロザリーは失恋してしまうのだけど、実は原作ではうまくいく幸せな結末を迎えている(たと思う)。なんでこういう演出されてしまうのだろ。風景や音楽は綺麗だったと思います。多分背景CG多めだけど、神殿もセットなのかな……。ただ大河を行く船上での事件はロマンを感じる。それにしてもここでもポアロはボロクソ言われててひどい。世界最高の探偵だぞ。