ベネチアの亡霊 | きのうは今日の物語

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ベネチアの亡霊

A Haunting in Venice(2023)

 

 

カバー画像こちらから

 

 

***ネタバレしてます***

 

 

ケネス・ブラナーがエルキュール・ポアロを演じる3作目。
こうした作品は常に原作はもちろん、過去作品と比較されると思いますが、多分に漏れず自分もデビット・スーシェのポアロが大好きです。

 

元ネタは「ハロウィーン・パーティ」ということですが、なぜベネチアになったんだろう……(仮面の効果?)。

それから、あれって降霊会あったっけ?とかいう程度の記憶ですが、原作では雰囲気が幻惑してくるクリスティの妙を見ることができます。先入観、思い込みでミスリードさせるのが上手いのがクリスティ作品の面白いところだと思います。

 

ここでも、ハロウィーンの夜に催される降霊会へとオリヴァ夫人に誘われて向かった先で殺人事件に遭遇するポアロ。

字幕で見ているのですが、何ていうかポアロも含めてどいつもこいつも口が悪い魂が抜ける

紳士淑女の体で、丁寧に悪口を言ってくる。ポアロも、降霊術を行うレイノルズ夫人にえっらい穏やかに攻撃的で驚きました。

普段のポアロなら陰でこっそり言うのに(それはそれでアレだが)。

原作では口さがないところもあるアリアドニ・オリヴァ夫人だけど、基本的にはポアロを信頼する友人。
しかしここでは普通に性格悪くて笑ってしまった。どうしてアリアドニ……。

結局ここでも、ポアロは孤立気味。このシリーズ、とことん親友ヘイスティングズを排しているのは原作の時代に合わせているというより、そういう意図があるんだろうなとも感じる。
ブークがいればな……。ジャップ警部もおらなんだよ……。

(あと、有名な作品を使用しているから『誰が犯人かわからない』を出来るだけ効果的に使用しようとしているのかも)

 

何となく感じた程度だけど、他に『第三の女』と『復讐の女神』の気配を感じました。

超常現象が起こり始める理由はもう、それしか考えられなかったしポアロで『幽霊の仕業』はちょっと無理が。

 

って思ってたのに、最後にかましていきましたねガーン

 

配役はもちろん色々変えられていましたが、本来は子供たちがわーっといる中での殺人事件でハラハラなのにここではレオポルドだけ。ミランダもジョイスもいない。
いやいたけど、名前だけ。どうしてこうなった。(ミシェル・ヨーは素敵でしたラブ

マイケル・ガーフィールドもいないのだけど、マキシム・ジェラードがなんか名前似てるしそれなのかなとか。原作に当てはめるとドロドロどこじゃなくなるけど、どうせ何かしら悪い奴だろと思っていたら「と思わせて実は」というタイプ……。
クリスティ作品にいないようで時々いるキャラ。

 

でも、こうしてオカルト色強めにしてキャラクターにも変更かけて、そして舞台も……だと何も「名探偵ポアロ」にこだわらなくてもいいような気がした。
自分自身のイメージもあるけれど、エルキュール・ポアロはどれほど超常現象らしいものがあっても、不思議があっても、「ありえない」ことが展開されても、そこにある生きた人間の意思を『心理学』と『観察』によって導き出す人物(灰色の脳細胞)。

ブラナー版ポアロももちろん謎を解き明かしていくけれど、だいぶ翻弄されていたという印象。

普通に、ケネス・ブラナーが素人探偵役のミステリーで展開しても違和感はなさそう。

 

ただ、ベネチアの風景や、古い屋敷の景観とその部屋たちの様相がとても雰囲気があって素晴らしかった。名探偵ポアロという作品の持つ優雅な世界観も維持していたと思う。(抑え気味の音楽も良かった)

前半の降霊会、殺人事件のあたりは展開が変わっていて「これブラナーポアロの中で一番面白いかも……!」とテンション上がりました。(けれど、終わってみたらオリエント急行が一番好きカモと思っている)

 

今回とうとうカバーを使ってしまい、最初にどこからの画像かをリンクとともに載せてみました。
映画ブログだから、引用したいのですがうーんうーんあせる