ライダーズ・オブ・ジャスティス

Retfærdighedens Ryttere(2020)

 

クリスマスを前に、とある街で少女が祖父に自転車のプレゼントを買ってもらおうとしていた。

だけど自転車の色は赤。青がいい、という少女に不愛想な店員は「注文するかい」と。

そして別の街で、青い自転車が盗まれる。

 

軍人である主人公マーカスが海外に駐留中、妻は列車事故で亡くなってしまう。遺された娘の元へと帰国したマーカスだが父娘はこの悲劇を受け入れることができず、日々苦しんでいた。
そのさなか、電車に乗り合わせていた1人の学者がマーカスを訪れ、これは事故ではなく「証人」を殺害するために仕組まれた事件であると告げる。

 

カバーはここから

 

映画予告ハシゴしていたら見つけた、「ナメてた相手が実は最強」系のMads Mikkelsen版。
相棒が頭脳系3人で武闘派がミケルセンだけってすごいチームだなと思い、でも面白そうですぐ見てしまった。

結論から言うとこれは予告詐欺みたいな感じでそんな話では無く……ショボーン

 

自分が見た予告↓

 
wikipediaには「ブラックコメディ」とか書かれており、またジャンル勘違いでやらかした感があるけど、
映画そのものは、心に傷を負った人々が不器用ながらも関わり合いぶつかり合い、なんとかかんとか今日も生きていく。偶然によって悲劇に導かれてしまっても……みたいな、切ないヒューマンドラマ系だと思いました。
その合間に、アクションがあって血が流れたりして悪党が1個小隊くらい死んでたりするというだけで。
 
すごいと思ったのは、所詮詰めの甘い素人集団だったことが終盤に露呈し、最大の「勘違いで決めつけ、そして殺した」という十字架と、同時にそこで主人公マーカスの「愛する人を突然失った」傷もあらわになるところ。
(ある意味プロであるエメンタールの言う通りで、結論ありきで人を探した結果なんだな)
そもそも最初も、銃をつきつけられて顔色一つ変えずにカッとなってしまったマーカスが、顔色一つ変えずに相手を瞬殺してしまって「カッコイイ……びっくり」て見てたら、当の本人が顔色一つ変えずに「どうしよう……ガーン」てパニクっていて、ここで「あれっ?」ていう気づきはありました。
 
この人はただのアンガーマネジメント必要な人では……。
この人に必要なのは「英国王のスピーチ」に出てくるライオネル医師のような人では……凝視
というか、いっそハンニバルがいてくれたなら(スターシステム)
 
相手のギャングもわけもわからず狙われている(ギャング視点から見ると軽くホラーだろうな)、ということでしかしこっちのほうがその手のプロなので、エメンタールをきっかけに追い詰めていく。
なのに主人公たちは気づいてない。
で、なんだかんだいいやつのシリウス(マチルダのボーイフレンド)が指へし折られたり(海外の人は簡単に顔出し動画をアップするよな)、ラストは自宅が一斉射撃をくらったりして、これはスカッと系などではなく一般市民がヒーローの真似事をした結果、現実を思い知らされる切ないムービーってことなんですかうわぁぁぁネガティブ
と見てる側の心配をよそに、動きのキレだけはすさまじいマーカス(多分19秒で終わらせてる)
 
しかし最後はとうとう娘とBFが人質にとられ、マーカスは武器を捨てる絶体絶命のピンチ。
そこへ問題だらけだった仲間たちが助けてくれるのだけど、ちょっとリベリオンの戦闘シーン思い出した(至近距離で弾避けるクリスチャン・ベール)。
 
結局全員生存できて(ギャングには申し訳ないけど)ホッニコニコ
何かがはっきりと解決するというより、やがて回復に向かえるといいねゆっくりとね。というエンディングだと思いました。
盗まれた自転車のくだりもきちんと繋がっていて切なかった。
 
過酷な運命をたどっていたウクライナ人のボダシュカ(Gustav Lindh)が、何気にこの中では無傷(?)で生き延びていて強運と呼んでいいのか悩むけど、彼の存在が今回の事件と対比されているように見えました。
何気ない日常を生きていた人が、突然の暴力で命を失う。
過酷で危険な人生にさらされていた人だけど、ギリギリで無事生き延びている。
 
あと、情緒不安定な人ばかりの中でボダシュカの善良な性格が印象的だった。
 
映画の中では結局列車事故は「ただの事故」だったようだけど、個人的にはやはりそこで大事な証人が死ぬのは、あまりにタイミング良すぎる気がするが……(一転無罪だったし)
だからといって、物的証拠ないまま復讐はじめるのもそれはいかんよという。
マーカスは警察の事情聴取とかどうなったんだろうな……。
 
※他のかたの感想や考察を読んでいて、なるほど陰謀論にはまってしまった図、なのか……と。