キングスマン:ファースト・エージェント
The King's Man(2021)

 

始まりも超過激。
キングスマンシリーズの3作目にして、前日譚で始まりの物語。

 

 

 

カバーはここから

 

 

ネタバレしてます

 

 

 

 

 

 

2作目のゴールデン・サークルを未見のまま観たのですが、だいぶキングスマン(1作目)と毛色が違う……と思いきや、マシュー・ヴォーン監督作品でした。だから、あえてこういう撮りかたということなんだな……。

 

うわあああああああああああ

コンラッドーーーーーーーー!!!!!!えーん

 

全てそこに持っていかれて、展開に驚くどころじゃなかった。

1作目でハリーが死んだ(と思われた)とき、「ああ……これは世代交代も含めた物語なんだろうな」(ハリーはえらいこと仕出かしてしまったしな)ぐらいの思いで見ていたけど、まさか一番若い、有望な、イケメン(私情)をこんな……こんな……中盤で……ショボーン

戦争の虚しさをあの短い時間で描いていると思う。

前線の現実から危機からの脱出、仲間が命懸けで自分をかばい、自分もまた命懸けで怪我した仲間を運ぶ。あの、コンラッド決死の手負いの仲間をかついで砲弾を避け、塹壕寸前でふっとぶところすごく重いものがある。
生き残って生き残って、最後も残酷な形で生き残ったのに、一瞬で殺されてしまう。情け容赦ない世界。

(しかもあの射撃はダメなやつでは)
ちょっとボーゼンとなりながら後半を見ていました。

 

ラスプーチン戦までの流れ見るとふつーに「キングスマン創始者になるんかなぁおねがい」とか思っていたのに。

(同性愛者で『甘いマスクの男子』が好きなはずのラスプーチンに、つまらん言われてしまう素朴青年コンラッドほんとすき)


思えばオックスフォード公も、平和主義者なだけあってイマイチ詰めが甘いというか、頼りないようななんなようなという印象があった。

これははじまりの物語だから、まだキングスマンのギアが入っていない状態でもあるのかもしれない。

 

一方で悪役たちはとっても「キングスマン」な人たちで、サラエボ事件の若者とかほんとに「なんだかうまくいった」レベルで暗殺成功してる。
ちなみに、この暗殺者のガヴリロ・プリンツィプ氏本人は未成年だったため20年の懲役刑。第一次世界大戦引き起こしておいてそれでいいんかみたいな判決だったらしい(しかし、劣悪な環境で数年で獄死しているそうな)

あとイメージがあんまり合わないマタ・ハリとか、こんなだっけか?なレーニンとか、ハヌッセンとかいう全然知らなかった人(占星術師らしい)とか、何故か一人だけちゃんと本人に寄せてるラスプーチンとか、更に登場人物的に消去法(メタ推理)でだいたい誰か見当がつく首魁とか。

いろんな意味でヤバい敵たちに安心する。

 

要するに世界は『黒幕』が牛耳っており、彼らの一派が政府や王宮へ入り込み世界を操作している……という構図。
そこを潰すため、息子の死から奮起してオックスフォード公は仲間たちとそのアジトを突き止めていく。

英国の欺瞞に嫌気がさして平和主義へとなり、軍隊を退き『命を救う』ことに徹していたオックスフォード公。
かつてまだ少年だったころ、『英国紳士』たちに親の工場を奪われ、それを怨恨としていた黒幕。

 

"Manners maketh man"

 

キングスマンの有名なセリフで、決め台詞だとも思うけれどここでは若干の皮肉も感じる。

『英国紳士』の汚さを知る2人だけれど、オックスフォード公は息子の遺志を継ぐことでこの言葉を乗り越えていったように見えた。

 

最後の最後でキングスマンが誕生。

この初期メンバーの中に、コンラッドに頼まれて入れ替わった本物のアーチー・リードがいてくれて嬉しい。
チョイ役と思わせて、コンラッドの葬式にもいてそのときの表情がとても印象深かった。

もしかして、彼は事実を知ってオックスフォード公の手助けをするのでは……と思ったけど、ラストバトルには同行していない。

ので気のせいか……と思ったけど!!びっくり

 

ここで、彼のシーラへの自己紹介を思い出そう。

「ばかげていると思うけれど……」

 

同時に、悪党たちもまた残党がおり『世界の均衡』と称して裏から操っていこうとしていたーー。

的な、まさに「はじまりの物語」でした。

(世界の均衡、とかは陰謀論の形成のようです)

 

全体的には1作目キングスマンのテンポの良さや、主人公無双みたいな圧倒的なのが足りない気がしたけど、今回は歴史を背負ってることもあって、その闇と対決するキングスマン前身という構図なのかな、とも。
それにしても歴史的にはヒトラーに付け入ろうとし、しかし結局は暗殺されたとされるハヌッセンが利用する側になっているのは、フィクションの妙だなと思いました。

実は最強メイドのポリーが、正体があるのだと思っていたけれどただの最強メイドだったようで……。
字幕だと、主人であるはずのオックスフォード公にタメ口でしかもキスまでしていて、階級とは、状態。
吹替だと敬語でした。でも、最強スナイパーから最強暗号解読からかっこよかったです昇天

「ヘンゼル&グレーテル」のグレーテルの役者さん(ジェマ・アータートン)で、アクションも表情もかっこいいのだ。