“ビジネス”と称して人殺しを平気で行う組織の頂点にいる家族の絆を格調高く描いたフィクションの「ゴッドファーザー」に対して、この「グッドフェローズ」は実話が元になっており、あるとあらゆる犯罪に手を染めるチンピラギャング集団が主人公で、彼らは仲間同士でも殺し合い、最後は薬に手を出して自滅してしまう。

「ゴッドファーザー」とは対極にある映画。

 

 

 

 

<ストーリー>

ヘンリー・ヒル(レイ・リオッタ)は幼い頃より、“グッドフェローズ”と呼ばれるマフィアの世界に憧れ、12歳の時からブルックリンの街を牛耳るポール・“ポーリー”・シセロ(ポール・ソルビノ)のもとで使い走りを始める。

 

ポーリーの店には夜な夜な怪しい連中が集まって来る

 

やがてヘンリーは本物のマフィアとして、強奪専門のジミー・コンウェイ(ロバート・デ・ニーロ)や、チンピラのトミー・デビート(ジョー・ペシ)といった仲間たちと共に荒仕事に手を染める日々を送るようになる。

 

少年時代のヘンリー(左)とトミー(右)、中央にジミー・コンウェイ

 

 

成人したヘンリ(右)とトミー(左)

 

 

何度かの刑務所暮らしを経ながらも、ヘンリーはカレン(ロレイン・ブラッコ)と結婚、子供ももうける。

 

初めてのデートでそっけないヘンリーと相手にされず不機嫌なカレン

 

 

怒り狂ってヘンリーを責めるカレン

 

 

紆余曲折あったがめでたく結婚

 

 

刑務所に入れられるヘンリーとポーら。賄賂まみれのおかげで刑務所とは思えない優雅な生活を送っている

 

 

そして1978年、ケネディ空港で犯罪史上空前のルフトハンザ航空600 万ドル強奪事件が発生、FBIの威信をかけた捜査が始まるが、事件の鍵を握る証人たちは実行犯のジミーらの手によって次々と口を封じられてしまう。

策に窮したFBIが目をつけたのが、ヘンリーだった。その頃麻薬密売事件で逮捕されていたヘンリーは、事件に直接の関係は持っていなかったが組織の内部事情には十分すぎるほど精通していた。

 

ポーリーから薬はやめろと忠告を受ける

 

売るだけでなく自分たちも薬ざんまい

 

 

 

薬に手を出し育ての親ポーリーにさえ見離されたこと、そして相棒のジミーが自分の命を狙っているのを知ったヘンリーは連邦証人保護制度の下で余生を送るために証言する。

 

 

ついに捕まったヘンリー

 

 

 

 

 

 

主人公たちは悪い奴ばかり

 

 

 

 

  ギャングにあこがれ、ありとあらゆる犯罪に加担し最後は麻薬にも手を出してしまうヘンリー(レイ・リオッタ)

 

 

 

 

  すぐにキレて簡単に人を殺してしまうトミー(ジョー・ぺシ)

 

恐怖のトミー① ふざけて騒いでる時に急にマジになって怒る

いつものように飲みながらバカ騒ぎ

急にマジになるトミー

ひきつるヘンリー

冗談だよ!緊張が解ける

 

 

 

 

恐怖のトミー② 怒ると簡単に人を殺してしまう

 

昔の知り合いに「靴を磨け!」とからかわれる

背後からトミーが襲う

ジミーも加わり殴る蹴る

最後は殺してしまう

 

 

恐怖のトミー③ 恨みが無くても簡単に人を殺してしまう

博奕場で飲み物を運んでいたた少年を些細なことで撃ってしまう

 

 

暴走しすぎる問題児のトミー 最後は組織に消されてしまう

 

 

 

 

 

  強盗事件の発覚を恐れ平然と仲間を殺していくジミー(ロバート・デ・ニーロ)

 

 

当時、40代後半のデニーロは青年期から中年期、初老まで見事に演じ分けている

青年期

 

中年期

 

老年期

 

 

 

  犯罪が日常にある生活

 

タバコの横流し

 

カネを払え!暴力で屈服させる

 

自分の彼女にちょっかいを出す奴を痛めつける

 

 

 

仲間を馬鹿にした男を殺し、死体を処理しに行く途中でトミーの家で普通の母親の手料理で食事をして再出発

 

死体を埋めに行かなきゃ

 

途中でトミーのママの手作り料理をごちそうになる

 

再出発後、“とどめ”を刺して埋める

 

 

 

 

  様々な映像テクニックを駆使したスコセッシの演出

 

スコセッシは短いカットや長回しなど緩急自在な様々な映像テクニックを駆使してテンポよく描いていく。
特に印象に残るのは、ヘンリーとカレンがデートでコパカバーナに入店してから着席するまでを“Then He Kissed Me“をバックにスティディカムでワンカットで追うシーンと、“Layla“の後半部分をバックに死体が次々と発見されるシーンで、全体に音楽の使い方もうまい。

 

 

ステディカムカメラで見せの裏口から着席までワンカットで追う

 

 

次々と発見されるルフトハンザ事件の共犯者たち

 

 

 

めまいショット

窓の外の景色が近づいてくる

 

 

 

 

  なぜか犯行シーンがなかったルフトハンザ事件

 

後半の最大の山場であるはずのルフトハンザ事件の強盗場面がまったく描かれていないのは何故だろう。あくまで主人公のヘンリーの目線の映画であり、ヘンリーは強奪現場にいなかったので描かなかったのかと思ったが、ヘンリーがいない場面もいくつかあるのでヘンリー目線は理由にならず、ここの省略は謎。

 

シャワーを浴びながら強奪成功の報道を聞き喜ぶヘンリー

 

成功後の集まりのシーンはあるのだが

 

 

 

 

 

  愛人と奥さんの描写がちょっと退屈

 

もう一つの不満はヘンリーの奥さんや愛人が出てくるとストーリーが停滞気味になってしまうことで、長い映画なので脚本にもう一つ工夫が欲しかった。演じた女優も魅力がなく、この映画の大抜擢の後は鳴かず飛ばずであった。そのほかの出演者は皆好演なのだが。

 

超ケバイ愛人

 

愛人宅に乗り込む妻のカレン

鬼のような顔

子供連れ!

 

 

 

 

 

 

  仲間を売って生き延びる

 

最初に捕まった時に仲間を売らずに、皆に祝福されたヘンリーが最後は仲間を売って証人保護プログラムで余生を送る皮肉な幕切れだった。

 

少年時代、捕まっても決して仲間を売らなかったヘンリー

 

仲間に祝福される

 

 

麻薬密売で捕まったヘンリー

証言するヘンリー

 

被告席のジミーとポーリー

 

承認保護制度で生き延びる

 

 

 

 

 

  こんな人たちも出ています

 

サミュエル・L・ジャクソン 遅刻した罰で撃たれて即退場

 

 

 

ポール・ソルビノ ミラ・ソルビノの父(いい演技と存在感)

 

イレーナ・ダグラス 名優メルヴィン・ダグラスの孫「ケープ・フィアー」のも出てきます。(ニック・ノルティの愛人役でデ・ニーロに襲われる)

 

 

 

 

 

 

1990年 アメリカ カラー145分

 

【鑑賞方法】ブルーレイ(吹替)ワーナー

【英題・原題】GOODFELLAS

【制作会社】 アーウィン・ウィンクラープロ作品

【配給会社】ワーナー

 

【監督】マーティン・スコセッシ

【脚本】ニコラス・ヴィレッジ マーティン・スコセッシ

【原作】ニコラス・ヴィレッジ

【制作】アーウィン・ウィンクラ―

【撮影】ミハエル・バルハウス

【編集】セルマ・スクーンメイカー

【美術】クリスティ・ジ―

 

 

【出演】

ロバートデ・ニーロ:ジミー・コンウェイ

レイ・リオッタ:ヘンリー・ヒル

ジョー・ぺシ:トミー・デビート

ロレイン・ブラッコ:カレン・ヒル

ポール・ソルヴィノ:ポール・シセロ

フランク・シベロ:フランキー・カーボーン

サミュエル・L・ジャクソン: スタックス・エドワーズ