「ゾンビの怒り」(1973)

 

ポール・ナッシーが3役を演じるゾンビホラーをAmazonプライムビデオで観ました。初見。

 

 

監督はレオン・クリモフスキー。予告編はコチラ

 

ロンドンで墓場泥棒夫婦が出現。女性の死体から指輪を奪おうとすると、ゾンビとして生き返った女性殺されます。ゾンビとなった女性はグロリア。同じ頃、いとこの彼女を亡くしたばかりのエルヴァイラ(ロミー)は恋人の精神科医ローレンスに連れられて、最近話題になっているヒンズー教のインド人導師クリシュナ(ポール・ナッシー)道場を訪問。やがて、別のゾンビがエルヴァイラの家族を惨殺。立て続けの不幸でますます傷ついたエルヴァイラは、地方都市に引っ越したクリシュナの自宅を訪問。電車で最寄り駅に到着すると、駅長からクリシュナの引っ越した家が"悪魔の家"と昔から忌み嫌われている場所だという情報を聞きます。クリシュナに快く迎え入れられて、しばらく滞在することになったエルヴァイラ。クリシュナの助手をしている女性は、導師と親しげな彼女に敵意むきだし。その夜、エルヴァイラは悪魔の手下に拉致されて悪魔(ポール・ナッシー)に襲われる悪夢を見ます。

 

少しずつ仲間を増やして殺人を繰り返していくゾンビたち。彼女たちを操っているのはちょっとひょうきんな覆面をしている謎の男で、殺された女性はもれなく覆面男の下僕として、ゾンビ軍団のメンバーに正式加入するシステムのようです。やがて、連続殺人事件の異常性に気づいた警察がさまざまなオカルトに精通しているローレンスに相談すると、現場の状況証拠からブードゥー教の呪いで復活したゾンビの仕業であると判明。さらに、これまでの被害者はかつてインドに住んでいた名家の女性ばかりで、次はエルヴァイラの身が危ないと判断。そのエルヴァイラはクリシュナから真相を聞き出します。ゾンビを操る覆面男は自分の兄カンタカ(ポール・ナッシー)で、インド在住時に自分を殺そうとした英国人たちへの復讐を実行している最中で、クリシュナ自身も兄に無理やり協力させられているとのこと。彼女は急いで逃げようとするも、すでにゾンビ美女軍団に囲まれていて・・・というのが大まかなあらすじ。


原題は「La rebelión de las muertas」。"死んだ女性たちの反逆"という意味。ゾンビと縁が深いブードゥー教だけでなく、ヒンズー教も絡めた珍しい設定。インド時代に交際していた英国人の恋人を殺したことで被害者の家族や関係者に家ごと燃やされる報復を受けて、生き残った犯人が英国に帰った関係者の娘を皆殺しにしようとしたというんですから、完全に逆恨みです。殺した女性をゾンビにする必要性は特にない気もします。美女ゾンビ襲撃シーンがスローモーションで、少しだけペキンパー風味あり。缶詰をグイグイ押し付けて首を掻き切る殺戮行為はなかなか斬新でした。他に、金粉女シースルーゾンビヘンな覆面女も出てくるし、エロバイオレンスサービス精神及第点エルヴァイラ兄弟殺されそうになったところで、手下の女性が裏切ってカンタカを刺殺。その女を遅れて到着した刑事銃殺して一件落着。1人3役を演じるポール・ナッシーが脚本も手がけていて、麻薬の影響でこんなストーリーになったと告白しているとのことです。

 

 

 

 

 

 

「七小福」(1988)

 

香港アクションスターの幼少時の修業時代を描いた作品をU-NEXTで観ました。初見。

 

 

監督はアレックス・ロウ。予告編はコチラ

 

1962年冬の香港。9歳のアロンが母親に連れられて、中国京劇学校の生徒となります。京劇の世界で育った大ベテランのユウ校長(サモ・ハン・キンボー)が1人で数十名の生徒を教えていて、年長者のリーダー的存在のサモ幼いピョウまで、生徒たちの年齢はバラバラ学校での衣食住は無償(生活費は生徒たちの公演で得た収入で賄うシステム)ですが、日々の京劇の過酷な訓練があって、死んでも学校側は責任を取りませんという契約を親と交わします。で、"デカ鼻"というアダ名をつけられたアロンはすぐに溶け込んで、校長による厳しい稽古も、遊びも、ケンカをする時も、いつも仲間と一緒に過ごします。近所の人たちフツーの学校に通う同年代の子たちにバカにされながらも、研鑽を積んで共に成長していく生徒たち。やがて、年長組が思春期に差し掛かった頃、女性たちだけの広東歌劇団に客演を頼まれることになって、アロンは団員の女の子に恋をします。同時に、ユウ校長も女性団長チェン(チェン・ペイペイ)一目惚れ

 

一方、彼らが学校を卒業したからといって、将来が約束されているわけではありません。京劇という伝統芸能自体への世間の関心が薄れていて、身につけた技を活用できる舞台がどんどん無くなっているという現状が彼らには待ち受けています。実際、ユウ校長と仲良くなりつつあったチェン団長も劇団を解散して、海外行きを決意。一緒に行かないかと誘われたユウ校長は京劇と生徒たちを見捨てることができず、今の生活を継続する道を選択。それでも、時代の波は押し寄せてきて、劇場での公演は閑古鳥が鳴いて、大事な収入源である出演契約は解除。すると、ユウ校長の弟分であるスタントマンのファーおじさん(ラム・チェンイン)を頼って、映画のスタントマンの仕事に生徒たちを斡旋して、新たな活路を見出そうとします。その後、ファーおじさんが撮影中のスタントで失敗した時に、あるハプニングが発生。そして、京劇学校の建物が取り壊しになることも決まってしまって・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「七小福」。サモ・ハン、ジャッキー、ユン・ピョウ等を輩出した中国戯劇学院の師範だった于占元(ユー・ジムユェン)を主役にした学園モノ。 "七小福"とは、中国戯劇学院の選抜メンバー。それぞれに元(ユン)という苗字が芸名につけられたそうで、ユン・ピョウ(元彪)やユン・ワー(元華)は当時の芸名をそのまま使用しているそうです。時代の趨勢には抗えず、1971年に解散したとのこと。本作では、成長した生徒たちが映画界に入っていくところまでを描いています。史実をほど良く美化していると思われ、懐かしさ可愛らしさ、甘酸っぱさ、ほろ苦さ、切なさが絶妙に配分されたウェルメイドな青春物語になっていました。スパルタ親父だけど、どこか憎めない先生サモ・ハンが好演。サモ・ハンジャッキーに相当する子役たちは雰囲気を似せています。先に映画界に入って辛酸を舐めているスタントマンを演じるラム・チェンイン(彼も別の京劇学校出身)終盤に見せる悲哀は胸に迫るものがあります。恩師と別れることになる終わり方キレイでした。

 

 

 

 

 

「SHOGUN 将軍」シーズン1(2024)エピソード1-5

 

今さらながら、エミー賞受賞ドラマをDisney+で見始めました。

 

 

ショーランナーはジャスティン・マークス。予告編はコチラ

 

亡くなった太閤の遺言で、息子の八重千代か元服するまでは五大老制を敷いて権力を分散させている日本。その頃、オランダの貿易船エラスムス号が伊豆の網代に漂着。生存していた英国人舵手ジョン(コスモ・ジャーヴィス)他数名のクルーは当地領主の樫木藪重(浅野忠信)の甥である樫木央海(金井浩人)に捕らえられます。彼らは日本で活動するカトリックのイエズス会のポルトガル人と対立するプロテスタント。藪重は貿易船に積まれた武器を没収して、藪重の主君で大老の一人である吉井虎永(真田広之)が暮らす大坂へ連行。捕虜代表となったジョン虎永と面会。虎永の家臣戸田広勝(阿部進之介)の妻でボルトガル語に通ずる鞠子(アンナ・サワイ)イエズス会司祭のマルティン(トミー・バストウ)も立ち会って、事情聴取を行います。政敵の大老石堂和成(平岳大)は他三人と結託して虎永を殺す機会を狙っていて、虎永はその窮地を脱するために、ジョンを自身の政治利用の武器に使うことを画策。すると、カトリックを信仰する大老の木山がジョンの処刑を強く要求。同時に、ポルトガル商人と組んで暴利を貪っている裏の顔を知るジョンを暗殺しようと動きます。

 

やがて、虎永は妻の桐の方(洞口依子)や鞠子、ジョンたちだけを網代に移送させるように藪重に命じます。これは虎永自身もこっそりと大坂から脱出する作戦でした。その異変に気づいた石堂やジョンを抹殺したい木山は船で逃げようとする一行を襲撃。ピンチに陥った虎永は、外交を統括する虎永の許可なく出航しようとしていたポルトガル貿易船に助けを求めます。商業上の利権を与える交換条件が成立した虎永は襲撃する敵から脱出することに成功。置き去りにされそうになっていジョンもしぶとく生き残ります。虎永は武勲を示したジョンを船上で旗本に任命して、網代で藪重の軍隊に西洋戦術を伝授するよう命令します。さらに、大坂に残した側近の戸田広松(西岡徳馬)を伝令役にして、大老の職を降りることを石堂に通達。網代到着早々、別件で江戸に旅立った虎永の指示に従って、戦争経験がないジョンは聞きかじりの戦法を藪重に伝授。ジョンが船で運んできた大砲の想像以上の命中率に驚く藪重。そこに、石堂の家臣根原丞善(ノブヤ・シマモト)が少数の軍隊と共に訪れて、石堂側につくか、虎永側につくか、藪重に決断を迫ります。

 

翌日に大砲の威力をプレゼンすると言って、返答までの時間を稼いだ藪重。しかし、虎永の息子長門(倉悠貴)が央海と結託して、大砲を連射して根原丞善一行を虐殺する暴挙に出ます。虎永と石堂を両天秤にかけていた藪重は、もう石堂側につくことができなくなったため、怒り心頭。その時、虎永が江戸から軍勢を連れて網代に戻ってきます。大坂での修羅場を生き延びた戸田広勝も一緒にいたため、死んだと思っていた鞠子はビックリ。ジョンの正室にさせられていた藤(穂志もえか)と共にジョンの邸宅に居候している鞠子は、日本の武家社会独特の風習や人生観に戸惑っていたジョンの通訳として交流を重ねていく中で、男と女の関係になっていました。広勝も同居することになり、気まずい空気が流れます。ジョンは日本から永久に離れたいと虎永に直訴。そんな中、大きな地震が発生して、土砂崩れに巻き込まれた虎永が生き埋め状態になったところを、近くにいたジョンが咄嗟の判断で救出。その頃、大坂では、石堂以下4人の大老たちが八重千代の母である落葉(二階堂ふみ)を仲間に引き入れて、反目した虎永とどのように戦っていくかを思案中で・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Shogun」。ジェームズ・クラヴェルの歴史小説『将軍』が原作で、エミー賞の主要部門を受賞したヒット作。オリジナルの「将軍 SHŌGUN」(1980)は未見で、主役の三船敏郎以上に島田陽子が国際派女優と騒がれていたことを知っている程度。虎永のモデルが徳川家康であることも、観始めてやっと気づいたくらい。とにかく、プロデューサーも兼ねている真田広之の重厚なサムライの振舞いの全てが立派の一言。美術もしっかりしていて、奇妙な日本描写をそれほど感じません。「ゲーム・オブ・スローンズ」のスケール、クオリティ、物語の密度と比較するのはさすがに酷とはいえ、ジャパンのエキゾチック要素込みで大健闘してます。地震の場面のインパクトが強烈。主君に忠誠を誓う老練な西岡徳馬、風見鶏的存在で少しコミカルな浅野忠信、完全な敵キャラの憎たらしい平岳大あたりの安定度が大作感を担保している中で、男尊女卑社会での葛藤と異文化の衝突という物語の柱になる要素のキーマンとなっている鞠子を演じるアンナ・サワイの堂々とした演技が出色。蛮人に妻を寝取られた武骨なサムライ役の阿部進之介の精悍さも印象的で、藤を演じていた穂志もえか儚げなキュートさに萌えました。シーズン2があるということは、シーズン後半でも関ケ原の戦いまでは行かないのかな。