「小さな巨人」(1970)

 

先住民虐殺の歴史をユーモアを交えて描いた西部劇をAmazonプライムビデオで観ました。初見。

 

 

監督はアーサー・ペン。予告編はコチラ

 

養護施設で暮らしている121歳のジャック(ダスティン・ホフマン)が歴史家のインタビューを受けて、自分史を語り始めます。小さい頃に馬車で移動中の家族がポーニー族に襲われて、荒野に姉と二人きりになったジャック。そこにシャイアン族の"迫り来る影"が現れて、彼らの集落に連れて行かれます。姉は男たちに犯されると思い込んで逃亡。ジャックだけが残って、長老である"古いテントの皮"(チーフ・ダン・ジョージ)の息子として育てられます。17才になったジャックは、インディアン狩りをする白人の軍隊との戦いに初めて参加。ライフルで戦う白人に槍で戦うインディアンが勝てるはずがなく、ジャックも殺されそうになったところ、攫われて育った白人であることを告白して助かります。その後、牧師の家に引き取られて、敬虔な信者になる教育を受けます。牧師の妻である禁欲的なペンドレイク夫人(フェイ・ダナウェイ)の色気に欲情するものの、別の男と浮気している現場を見て家出します。次にペテン師のメリウェザー(マーティン・バルサム)弟子入りして、インチキ薬販売をする旅をしていると、詐欺に気づいた購入者にリンチを受けます。しかし、自分を痛めつけているリーダーが生き別れになった姉だと気づいて、姉の家での居候を開始。

 

姉に教えられた時に早撃ちの才能があることが発覚して、早撃ちガンマンとして周囲から恐れられる存在になったジャック。伝説のガンマンであるワイルド・ビル・ヒコック(ジェフ・コーリー)と知り合った時、人殺しができない性分に気づいてガンマンを引退。ガッカリした姉に見捨てられたジャックは、スウェーデン人のオルガと結婚して、友人と雑貨商の経営を開始します。 でも、泥棒だった友人が財産を持ち逃げ。たまたま通りかかったカスター将軍(リチャード・マリガン)からのアドバイスで西部に向かうと、インディアンに襲撃されて妻を奪われてしまいます。その後、カスター将軍の使いっ走りをした後、インディアン狩りで女子供まで皆殺しにする騎兵隊に嫌気が差して、またシャイアン族の集落に戻ります。 新しい妻を迎えた頃、生き別れた妻オルガがシャイアン族の友人の妻になっていて驚きます。政府の指示でインディアンの各部族が特別居住エリアに移動させられた後、子供を産んだ妻と未亡人となっていた妻の姉3人も自分の妻に迎えて、幸せな生活を送れると思ったら、民族浄化を狙う騎兵隊が1か所に集まって暮らすインディアンを大量虐殺しはじめて・・・というのが大まかなあらすじ。

原題は「Little Big Man」。シャイアン族の一員となった主人公ジャックにつけられた名前を指しています。トーマス・バーガーの同名小説が原作。1人の架空の人物を通して、白人のインディアン狩りの当事者になったことを語っていくスタイルの西部劇。「フォレスト・ガンプ/一期一会」(1994)で現代史をおさらいしていくパターンの走りですね。いきなり老人メイクで登場するダスティン・ホフマン。精巧な特殊メイクの担当はディック・スミス。で、運命のいたずらで白人とインディアンの間を行ったり来たりするユニークすぎる人生をコミカルなタッチで描く塩梅が絶妙。偶然が重なりするエピソードが本当なのかどうかは分かりませんが、"西部開拓"の名目で白人が先住民を追い込んで虐殺していった負の歴史を両者の狭間で揺れる人物主観で体感できる点が見どころ。"ウォシタ川の戦い"、"リトルビッグホーンの戦い"といった史実を織り交ぜて、カスター将軍ワイルド・ビル・ヒコックバッファロー・ビルといった実在の人物も登場。インディアン虐殺シーンの迫力は一見の価値あり。虐殺後に絶望したジャックは世捨て人になって、また白人側に付いて、いろいろあってから、またまたシャイアン族の父の元に戻ります。あと、1970年代の先頭を走っていたフェイ・ダナウェイの輝きもさすがでした。

 

 

 

 

 

 

 

「栄光のバックホーム」(2025)

 

これからという時に難病に冒されたプロ野球選手横田慎太郎選手を描いた再現ドラマをNETFLIXで観ました。

 

 

監督は秋山純。予告編はコチラ

 

元プロ野球選手横田真之(高橋克典)の息子として生まれた横田慎太郎(松谷鷹也)。鹿児島実業時代には県大会決勝にサヨナラ負けで甲子園出場を逃すも、阪神の九州地区担当スカウト田中秀太(萩原聖人)に素質を見込まれて、2013年ドラフト2位で阪神に入団。先輩から愛される天然キャラで、練習の取り組みもひたむきでマジメ。高校時代の同級生(伊原六花)に淡い恋心を持ち続ける面もある純情な慎太郎は、3シーズン目の2016年には2番センターで開幕スタメン入り。俊足強打のホープとしてさらなる成長が期待されていましたが、2017年シーズンのキャンプで体に異変が起きます。ボールが二重三重に見える症状を訴えて病院で検査したところ、診断の結果は脳腫瘍でした。選手復帰は絶望的と言われてショックを受ける慎太郎は、母まなみ(鈴木京香)や姉真子(山崎紘菜)といった家族の支えもありながらの闘病生活がスタートします。

 

球団は彼の復活を信じて待ちます。退院後も視力が完全に回復することはなかったものの、"育成選手"枠として球団に残って、専属トレーナーと共に懸命なリハビリを重ねて選手復帰を目指します。しかし、かつての状態に戻ることは叶わず、2019シーズンをもって現役引退を決意。2軍のウエスタンリーグ公式戦で用意された引退試合では、1イニングだけセンターの守備位置につきます。試合を見守っていたチームメイトや家族は彼の視力に問題があるのを知っているので、センターに打球が飛んだらと不安視する中、2死2塁のピンチでセンター前に打球が飛んできます。ここで慎太郎選手が捕球すると、ノーバウンドのダイレクト返球でタッチアウト。最高のプレーで現役生活の幕を閉じます。引退後はYouTubeへの出演や講演活動を積極的に行っていましたが、病気が再発してしまって・・・というのが大まかなあらすじ。


劇場公開は2025年11月28日。横田慎太郎本人の自伝エッセイ『奇跡のバックホーム』と母親目線で書かれたノンフィクション『栄光のバックホーム 横田慎太郎、永遠の背番号24』をベースにして、豪華な俳優陣が脇を固めてTV局の期首特番2時間ドラマみたいな演出で作られた再現ドラマ。期待の野手として阪神タイガースに入団。これからという時、難病に襲われながらも、最後まで家族と一緒に戦い抜く姿が描かれます。最後の試合で見事な捕殺を決めたこと、引退後にYouTubeに出ている姿(とても素直な青年だった)は知ってましたが、本作の企画が進行していた時はまだ存命中だったというのはオドロキ。横田慎太郎を演じた松谷鷹也は巨人で投手だった松谷竜二郎の息子さんなんですね。体格もバッティングフォームもプロ選手らしくて素晴らしかったです。

 

掛布(古田新太)金本(加藤雅也)川藤(柄本明)平田(大森南朋)といったプロ野球人を俳優さんが演じているのもとても新鮮。個人的には、好きだった落合博満が監督を辞めてからプロ野球もほとんど観ていないため、彼と同時代にロッテで活躍した父の横田真之選手の方が記憶に残っています。闘牛場でのBGMのイメージがある『エスパーニャ・カーニ』の応援歌で打席に立って、シュアなバッティングで1、2年目には打率3割を記録した好選手でした。1993年にまた中日で落合とチームメイトになったことは忘れてましたが。。。本作を観た後に横田慎太郎選手や父の真之さんが出ているYouTubeをたくさん観てしまいました。金本、鳥谷、矢野といった実際の横田選手を知る阪神タイガース関係者本人のインタビューを織り交ぜた構成のTVドラマ版(朝日放送制作)の方も観てみたいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エイペックス・プレデター」(2026)

 

シャーリーズ・セロンが獲物になって追われる映画をNETFLIXで観ました。

 

 

監督はバルタザール・コルマウクル。予告編はコチラ

 

ノルウェーのトロールで恋人のトミー(エリック・バナ)チューをしながらロッククライミングをしているサーシャ(シャーリーズ・セロン)。しかし、スゴイ嵐に襲われた時にうっかりミスをしてしまって、トミーが落下死してしまいます。その5か月後、オーストラリアに戻って孤独な一人旅をしていたサーシャが目的地の国立公園に到着。売店で美人のサーシャをジロジロ見ながら話しかけてくるおっさんを地元の常連らしいベン(タロン・エガートン)がたしなめたことで、2人は顔見知りとなります。その夜、サーシャがベンに紹介された野営スポットに向かうと、そこに売店で絡んできた狩猟家グループもやって来ます。無視されたおっさんは去って、車内泊をしたサーシャは翌朝からカヌーに乗り込んで、さらに森林の奥深くに移動。そこに張ったテントで一泊した次の日の朝、自分のリュックがなくなっていることに気づくサーシャ。仕方なく先を向かうと、売店で親切にしてくれたベンがいたので、心を許して会話を交わす2人。ただ、しばらくすると、ベンが昨夜の野営スポットでの狩猟家との絡みを覗き見していたことや、リュックを盗んだのがベンであることが分かります。

 

態度が急変したベンはボーガンを手にして、リュックをサーシャに返すと、スマホから流れる曲が鳴り終わるまでにできるだけ遠くに逃げろと言い出します。事態を察したサーシャは逃走を開始。ベンによる人間狩りの始まりです。形勢は大自然の地理を知り尽くしているベンが圧倒的有利。逃げ回るサーシャに向かって、ボーガンの矢を次々と放っていくベン。あっさり仕留められるのかと思ったら、上映時間はまだ50分くらい残っています。しばらくして捕獲されたサーシャは囚われの身となります。ベンはこの地にやって来た時にサーシャが登録した名簿から、彼女の情報を事前に調べていたようです。その後、鎖につながれたまま彼女が連れて行かれたところには、この地を観光で訪れた家族の死体が冷凍状態で保存されていました。売店で買ったジャーキーの正体を知ってゾッとするサーシャ。なぜベンがそういう凶行に及んでいるのかという理由もそこで分かります。やがて、一瞬のスキを突いたサーシャは逃走を再開するも、彼女を拘束している鎖についたロープをベンが自分の身体に固定させたため、繋がった状態の2人の逃走劇が続いていき・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Apex」。"頂点"という意味。シャーリーズ・セロンを狩るという無謀な試みをするのは、タロン・エガートン。サーシャに道案内をした時に、直進するルートと野営ルート経由のアドベンチャールートの両方を提示したベン。サーシャが危険なルートを選択したことで、ベンの標的になることが確定します。ヤバイ人に目をつけられた彼女が瞬時の判断でどうやって切り抜けるのかという点が見どころ。過酷なクライミングを実際にやれそうな説得力を持つシャーリーズ・セロンの肉体性はさすが。猟奇殺人鬼がボーガンを所持していることでようやく彼女と対等に戦えるのも納得。かなり怖い状況下の話なのに、知名度の高い2人が演じている分、得体の知れない恐怖やスリルは削がれている気はします。個人的には、危険なエリアに自分から進んで行った人が危険な目に遭うのは自業自得だと思うので、そこに変態殺人鬼が潜んでいようと知ったこっちゃないです。と言いつつも、自分は絶対やらないことをする人の様子を体感できる面白さはきちんと表現されている映画でございました。絶景の映像は美しく、高所恐怖症の私はずっとビビリっぱなしでした。