昼下がりの公園のベンチ。
初老の男が、遠い目をして虚空を見つめている。
周りには、幼い子供達がはしゃぐ声が響いている。
男は、虚空から、ちらとその子度たちに目をやった。
男の顔に、なんともいえぬ表情が浮かぶ。
男は、おもむろに立ち上がり、一度空を見上げてから歩きだした。その手には、小さな花束が握られている。
自分が嬉しいのか悲しいのか、男自身にもよくわからない。
男は、今日定年を迎えた。
仕事は身の回りの片付けだけで、午前中に済んだ。
昼になると、社員から花束を贈られ、半ば追い出されるように会社を出てきた。
これまで、仕事一途に生きてきた男にとって、明日からすることがなくなるのは、とても寂しい気持ちだ。
だが、家に帰ると、あの公園で遊んでいたような、幼い孫が待っている。
息子も、息子の嫁もよく出来た子で、嫌がらずに同居してくれている。
明日からは、一日中孫と遊んでいられる。
孫は可愛い。目の中に入れても痛くないほどに。
その孫と、ずっとおれるのだ。
それを思うと、嬉しい気もする。
泣きたいのか笑いたいのか、複雑な気持ちを抱えて、男は家路についた。
歩きスマホの男性にぶつかられて、電車の到着間際に線路に突き落とされて亡くなった女性。早くに両親を亡くし、その姉を親代わりとして生きてきた琴音は、その名から逃げ去った犯人に復讐を誓う。
姉の死から一年後、ふとしたことから、犯人の男と琴音は出会うことになる。
複数の歩きスマホの加害者と被害者。
歩きスマホに理解を示す人と憎悪する人。
それらの人々が交差するとき、運命の歯車は回り出す。
2018年お正月特別版(前後編)
これまでの長編小説の主人公が勢揃い。
オールスターキャストで贈る、ドタバタ活劇。
大手の優良企業に勤めていた杉田敏夫。
将来安泰を信じていた敏夫の期待は、バブルが弾けた時から裏切られた。家のローンが払えず早期退職の募集に応募するも、転職活動がうまくいかず、その頃から敏夫は荒れて、家族に当たるようになった。
そんな時、敏夫は不思議な体験をする。
幻のようなマッサージ店で、文字のポイントカードをもらう。
そこに書かれた文字の意味を理解する度に、敏夫は変わってゆく。
すべての文字を理解して、敏夫は新しい人生を送れるのか?
敏夫の運命の歯車は、幻のマッサージ店から回り出す。
夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。
ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?
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無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。
その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。
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旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。
そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。
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果たして、勝者は誰か?
奪われた物は誰の手に?