「今日は、プレゼントについてです」

 おっ、珍しい内容だな。

「クリスマスや誕生日や結婚祝いや結婚記念日と、いろいろな場面で、プレゼントを贈る習慣があります」

 そうなんだよな、結構煩わしいんだよな。

「俺、贈ったことももらったこともないけど」

 なんて不遇なやつなんだ、石田。

「夫婦間で忘れてはならないのが、相手の誕生日と結婚記念日です」

 俺は独身だからよくわからないけど、夫婦によるんじゃないのか?

「もちろん夫婦によりますが、うっかり忘れたりすると、喧嘩になったり、離婚の原因になったりします」

「怖え~」

 確かに、誕生日や結婚記念日のプレゼントで離婚の原因になるとは、怖いな。

「ほんと、怖いんです。私も、一度うっかり妻の誕生日を忘れたんですが、即離婚されました」

 なんと!

「結婚されているみなさん、奥様の誕生日と結婚記念日だけはしっかりプレゼントをするようにしてください。でないと、私にみたいになりますよ ク~」

 今日は、ナレーターの愚痴が言いたかっただけか?

 おい、石田、なに泣いてる?

 先日、友人が離婚した。

 原因は、友人の浮気だ。

 結婚して20年になるのに、なぜ浮気なんかしたのか。

「だって、若いほうがいいだろ。20年も一緒にいると飽きちゃうよ」

 離婚してから飲みにいったとき、あっけらかんと友人は言った。

「だいたい、一度の浮気くらいで離婚なんて、酷くないか?」

 私は、奥さんもよく知っている。

 大人しくて、旦那を立てるいい奥さんだった。

 友人の言葉を聞いたとき、別れて正解だったと奥さんに対して思った。

 長年の付き合いだが、こんな奴とは思わなかった。

 私は、なにも言う気がおきなかった。

 慰めも、戒めの言葉も発しない。

「そうか」

 一言だけ返すと席を立った。

 長い付き合いだったが、これで終わりだ。

 20年もいると飽きる?

 若いほうがいい?

 友人の言葉を思い出す度に頭にくる。

 私も結婚して20年以上になるが、今でも妻は大切な存在だ。

 若いほうがいいなんて、微塵も思わない。

 間断なく銃弾の雨が降り続く。

 攻めてきた敵は大国なので、物量は豊富だ。

 防戦するこっちは、もうあまり残弾がない。

 銃弾の嵐に耐え、一発必中を狙って敵が近づくのを待っている。

 先ほどまで話していた隣の奴が、急に静かになった。

 見ると、顔が半分ない。

 そんな光景には、もう慣れた。

 これまで、どれだけ親しい者の死を見てきたことか。

 一秒先は俺かもしれない。

 もう、いい加減にしてくれ。

 そう思っても願いは叶えられない。なぜなら、戦争をおっぱじめた奴は、自分だけ安全なところにいて指示を下しているだけだからだ。

 割を食うのは、普通に生きてきた俺たちだ。

 そして、戦争をおっぱじめた奴は、俺たちを一つの駒としか見ていない。

 たぶん、虫けら同然に思っているのだろう。

 だから、どれだけの人間が死のうが関係ない。

 出来ることなら、戦争をおっぱじめた奴に銃を突き付けたい。

 泣いて命乞いをしようものなら、こう言ってやる。

「これが戦争だ」

 言ったあと、恐怖に引き攣る顔を見ながら引き金を引くのだ。