小雨の降る夜を、俺はとぼとぼと警察署に向かっていた。
妻の死に顔を見たくないため、俺はタクシーを使わず歩いていた。
この悲しみを、少しでも雨が流してくれることを期待しながら。
だが、そんなことくらいで、悲しみが消えるはずもない。
突然、最愛の妻を奪われた、行き場のない怒り。
復讐しようにも、犯人は自殺してしまった。
ストーカーをした挙句の無理心中。死ぬのなら、自分ひとりで死ねばいいものを。
男は妻の上司で、妻子持ちだ。なぜ、家族がありながら、ストーカーになんてなるのか。
俺は、さ迷う心を抱えたまま、警察署に着いた。
そこで待っていたものは、妻を殺した上司の妻だった。
「わたしの夫を返して」
その女は、鬼気迫る顔で叫びながら、俺の襟首を掴んだ。
なぜ、ストーカーの妻がそんなことをいうのか、俺にはわけがわからない。
揉みあっていることろに、警察がやってきた。
警察署で、俺は真実を知った。ストーカーをしていたのは、俺の妻のほうだったのだ。
上司に、夫と別れるからあなたも別れて一緒になってくれと迫り、それをきっぱりと断られるとつけまわすようになり、挙句に無理心中しようとして、上司に包丁を突きつけた。
上司が包丁と取り上げようとし、二人が揉み合ううちに、誤って妻を刺してしまった。
上司は正当防衛だったが、人を殺した罪の重さに耐えかねて自殺したという。
俺は、どうしたらいいのだろう。
歩きスマホの男性にぶつかられて、電車の到着間際に線路に突き落とされて亡くなった女性。早くに両親を亡くし、その姉を親代わりとして生きてきた琴音は、その名から逃げ去った犯人に復讐を誓う。
姉の死から一年後、ふとしたことから、犯人の男と琴音は出会うことになる。
複数の歩きスマホの加害者と被害者。
歩きスマホに理解を示す人と憎悪する人。
それらの人々が交差するとき、運命の歯車は回り出す。
2018年お正月特別版(前後編)
これまでの長編小説の主人公が勢揃い。
オールスターキャストで贈る、ドタバタ活劇。
大手の優良企業に勤めていた杉田敏夫。
将来安泰を信じていた敏夫の期待は、バブルが弾けた時から裏切られた。家のローンが払えず早期退職の募集に応募するも、転職活動がうまくいかず、その頃から敏夫は荒れて、家族に当たるようになった。
そんな時、敏夫は不思議な体験をする。
幻のようなマッサージ店で、文字のポイントカードをもらう。
そこに書かれた文字の意味を理解する度に、敏夫は変わってゆく。
すべての文字を理解して、敏夫は新しい人生を送れるのか?
敏夫の運命の歯車は、幻のマッサージ店から回り出す。
夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。
ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?
会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。
無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。
その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。
小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。
奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。
旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。
そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。
ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。
世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。
果たして、勝者は誰か?
奪われた物は誰の手に?