「いったい、いつまで待たせる気。早く、わたしをメジャーデビューさせなさい。さもないと、あんたの人生をお終いにするわよ」
カレンが険しい目で、冬月やまとという小説家を目指しているおっさんに、銃を突き付けている。
「珍しく意見が合うじゃない」
そう言って、ターニャが忽然と姿を現した。ターニャの手にも拳銃が握られている。
「私たちは気が短いの。いつまでも待っていられないのよ」
ぞっとするエンジェルスマイルを浮かべながら、ターニャも冬月やまとに、銃口の狙いを定める。
「なに、勝手なことを言うとるんや。俺だって、おまえらのことを本にしたいわ。会社もヤバいし、印税で稼がんと、おまえらに抹殺される前に干上がってまうわ」
日頃温厚(?)な冬月やまとも、声を荒げて二人を睨んだ。
「なに、逆キレしてるのよ。あんたの文章能力がないから、わたしの魅力を伝えきれないんでしょ。せっかく、こんなうってつけの主人公がいるのに、もったいないとは思わないの」
「同感ね。カレンはさておいて、私のような、ハリウッドで映画化してもいいくらいのキャラクターがいるってのに。まったく、使えない男」
二人の言葉に返す言葉もなく、冬月やまとが、がっくりと肩を落とす。
「まあ、そんなに落ち込みなさんな。人生まだまだこれからや。世の中、どこでどうなるかわからへん。希望を捨てたらあかんで」
悟の慰めに、「絶対やってやる」と、決意を新たにする冬月やまとだった。
歩きスマホの男性にぶつかられて、電車の到着間際に線路に突き落とされて亡くなった女性。早くに両親を亡くし、その姉を親代わりとして生きてきた琴音は、その名から逃げ去った犯人に復讐を誓う。
姉の死から一年後、ふとしたことから、犯人の男と琴音は出会うことになる。
複数の歩きスマホの加害者と被害者。
歩きスマホに理解を示す人と憎悪する人。
それらの人々が交差するとき、運命の歯車は回り出す。
2018年お正月特別版(前後編)
これまでの長編小説の主人公が勢揃い。
オールスターキャストで贈る、ドタバタ活劇。
大手の優良企業に勤めていた杉田敏夫。
将来安泰を信じていた敏夫の期待は、バブルが弾けた時から裏切られた。家のローンが払えず早期退職の募集に応募するも、転職活動がうまくいかず、その頃から敏夫は荒れて、家族に当たるようになった。
そんな時、敏夫は不思議な体験をする。
幻のようなマッサージ店で、文字のポイントカードをもらう。
そこに書かれた文字の意味を理解する度に、敏夫は変わってゆく。
すべての文字を理解して、敏夫は新しい人生を送れるのか?
敏夫の運命の歯車は、幻のマッサージ店から回り出す。
夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。
ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?
会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。
無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。
その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。
小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。
奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。
旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。
そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。
ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。
世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。
果たして、勝者は誰か?
奪われた物は誰の手に?