昔、あるところに非常に栄えた国があった。
まだ、今のように空や海を自由に行き来できない時代である。
その国は、閉ざされた島にあり、外からの侵略がないのも幸いして、独自の文化を発展させていった。
いろいろ便利な道具を発明し、農耕や狩猟であくせくと働かなくても、最小限の労力で暮らしていけるようにしていった。
しかし、自然と共存することだけは忘れなかった。
人々は神に感謝し、自然が与えてくれる恵に感謝し、生きとし生けるものすべてに感謝して暮らしていた。
だが、悲しいかな。人間というものには、欲というものがある。
それも、際限のない欲が。
その国の人々も、時が経つにつれ、周りへの感謝が薄くなってゆき、もっと快適な暮らしを求めるようになっていった。
そうなると、発明する道具も便利さのみを追求し、自然を破壊し、生きとし生けるものを冒とくするようなものばかりになっていった。
お蔭で、人々の暮らしはますます豊かになったが、自然は失われ、多くの動植物は絶滅の危機に瀕した。
そして、ついに、自然の鉄槌が下った。
島にあった休火山が、突如大爆発を起こした。
一夜にして、その国は滅んでしまった。
歩きスマホの男性にぶつかられて、電車の到着間際に線路に突き落とされて亡くなった女性。早くに両親を亡くし、その姉を親代わりとして生きてきた琴音は、その名から逃げ去った犯人に復讐を誓う。
姉の死から一年後、ふとしたことから、犯人の男と琴音は出会うことになる。
複数の歩きスマホの加害者と被害者。
歩きスマホに理解を示す人と憎悪する人。
それらの人々が交差するとき、運命の歯車は回り出す。
2018年お正月特別版(前後編)
これまでの長編小説の主人公が勢揃い。
オールスターキャストで贈る、ドタバタ活劇。
大手の優良企業に勤めていた杉田敏夫。
将来安泰を信じていた敏夫の期待は、バブルが弾けた時から裏切られた。家のローンが払えず早期退職の募集に応募するも、転職活動がうまくいかず、その頃から敏夫は荒れて、家族に当たるようになった。
そんな時、敏夫は不思議な体験をする。
幻のようなマッサージ店で、文字のポイントカードをもらう。
そこに書かれた文字の意味を理解する度に、敏夫は変わってゆく。
すべての文字を理解して、敏夫は新しい人生を送れるのか?
敏夫の運命の歯車は、幻のマッサージ店から回り出す。
夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。
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