この頃、少し暖かさを感じられるようになってきた。長かった冬も、そろそろ終わりを告げようとしている。
いつの頃からか、日本に四季がなくなった気がする。ほとんどが夏と冬で、春は桜、秋は紅葉と、目でしか感じられない。
お花見でもまだ肌寒く感じられ、紅葉を見に行っても汗が出る。
過ごしやすい季節なんて、ほんの一二週間だ。
古来、四季を通じて生活のリズムを作ってきた日本だが、近い将来、それも崩れるかもしれない。
そうなるにつれ、日本人も持っている良さも失われていくのかもしれない。
それも、仕方のないことだろう。
このAIの時代に、侘び寂びだと言っても始まらないのだ。
科学は、人の文化どころか、地球のサイクルそのものまで変えてしまった。
そう思う私は、古い人間なのだろうか。
時代の流れを嘆くことなく、時代の流れに抗おうとはせず、時代の流れに身を任せつつ、刹那を楽しみながら生きてゆくのが幸せなんだろう。
だが、時代の流れに身を任せようとしても、溺れてしまいそうで怖いのだ。
科学の進歩と共に、世の中は複雑化してゆく。
便利だが、単純ではない。社会の仕組みも、物事の考え方も、価値観も、すべてが細かく分析され、いろんな角度から考えられて複雑化していくのだ。
私みたいな昭和世代の人間にとっては、まことに住みにくい世の中となってしまった。
歩きスマホの男性にぶつかられて、電車の到着間際に線路に突き落とされて亡くなった女性。早くに両親を亡くし、その姉を親代わりとして生きてきた琴音は、その名から逃げ去った犯人に復讐を誓う。
姉の死から一年後、ふとしたことから、犯人の男と琴音は出会うことになる。
複数の歩きスマホの加害者と被害者。
歩きスマホに理解を示す人と憎悪する人。
それらの人々が交差するとき、運命の歯車は回り出す。
2018年お正月特別版(前後編)
これまでの長編小説の主人公が勢揃い。
オールスターキャストで贈る、ドタバタ活劇。
大手の優良企業に勤めていた杉田敏夫。
将来安泰を信じていた敏夫の期待は、バブルが弾けた時から裏切られた。家のローンが払えず早期退職の募集に応募するも、転職活動がうまくいかず、その頃から敏夫は荒れて、家族に当たるようになった。
そんな時、敏夫は不思議な体験をする。
幻のようなマッサージ店で、文字のポイントカードをもらう。
そこに書かれた文字の意味を理解する度に、敏夫は変わってゆく。
すべての文字を理解して、敏夫は新しい人生を送れるのか?
敏夫の運命の歯車は、幻のマッサージ店から回り出す。
夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。
ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?
会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。
無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。
その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。
小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。
奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。
旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。
そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。
ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。
世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。
果たして、勝者は誰か?
奪われた物は誰の手に?