やるだけのことはやった。
後は、天命に従うだけだ。
義彦は、満足げに微笑ながら、ゆったりと椅子に座っていた。
この企画が当たらなければ、会社は倒産してしまう。
経営者の自分が破産するのは仕方がないが、社員とその家族を路頭に迷わすわけにはいかない。
義彦の経営する業界は、最初はニッチであった。それが故に、起業してから順調に業績を伸ばしてきた。
だが、ひとたび儲かるとわかると、大手の会社が資本力にものをいわせて、ハイエナのように参入してきた。
そうなると、価格競争に陥り、資本力のある方が勝るに決まっている。
いくら先駆けで大きくなったとはいえ、創業してからまだ3年。上場しているような、大手の会社に太刀打ちできるはずがない。
義彦の会社は、じり貧に追われ、あと少しで倒産とおいうとこまできていた。
だが、義彦は、持ち前の根性と粘り強さで、大手を凌ぐ案を考えついた。
この数か月、不眠不休で戦略を練った義彦は、これで盛り返せないようなら仕方がないと思い定めることができるまでになった。
人間、死ぬ気でやれば、報われるものだ。
義彦の手は当たって、会社は盛り返した。
それからも義彦は気を緩めず、ついにその業界のトップに立った。
歩きスマホの男性にぶつかられて、電車の到着間際に線路に突き落とされて亡くなった女性。早くに両親を亡くし、その姉を親代わりとして生きてきた琴音は、その名から逃げ去った犯人に復讐を誓う。
姉の死から一年後、ふとしたことから、犯人の男と琴音は出会うことになる。
複数の歩きスマホの加害者と被害者。
歩きスマホに理解を示す人と憎悪する人。
それらの人々が交差するとき、運命の歯車は回り出す。
2018年お正月特別版(前後編)
これまでの長編小説の主人公が勢揃い。
オールスターキャストで贈る、ドタバタ活劇。
大手の優良企業に勤めていた杉田敏夫。
将来安泰を信じていた敏夫の期待は、バブルが弾けた時から裏切られた。家のローンが払えず早期退職の募集に応募するも、転職活動がうまくいかず、その頃から敏夫は荒れて、家族に当たるようになった。
そんな時、敏夫は不思議な体験をする。
幻のようなマッサージ店で、文字のポイントカードをもらう。
そこに書かれた文字の意味を理解する度に、敏夫は変わってゆく。
すべての文字を理解して、敏夫は新しい人生を送れるのか?
敏夫の運命の歯車は、幻のマッサージ店から回り出す。
夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。
ふとしたことから知り合った、中堅の会社に勤める健一と、売れない劇団員の麗の、恋の行方は?
会社が倒産し、自棄になっていた男の前に現れた一匹の黒い仔猫。
無二の友との出会い、予期せぬ人との再会。
その仔猫を拾ったことから、男の人生は変わっていった。
小さな命が織りなす、男の成長と再生の物語。
奥さんが、元CIAのトップシークレットに属する、ブロンド美人の殺し屋。
旦那は、冴えない正真正銘、日本の民間人。
そんな凸凹コンビが、CIAが開発中に盗まれた、人類をも滅ぼしかねない物の奪還に動く。
ロシア最凶の女戦士と、凶悪な犯罪組織の守り神。
世界の三凶と呼ばれて、裏の世界で恐れられている三人が激突する。
果たして、勝者は誰か?
奪われた物は誰の手に?