うちの会社には、裸の王様がいる。
その王様は、なんの権力も持っていない。
しかし、その王様のために、就業規則が変えられてゆく。
まっとうに仕事をしている社員にとっては、窮屈になるばかりだ。
だけど、誰もその王様に逆らえない。
意見をすると、「パワハラ」、「モラハラ」、「苛め」と、あらゆる手段で攻撃してくるからだ、
仕事は手抜きだらけだが、そういったことには隙がない。
いつも録音機を身にまとい、動画用のスマホを2台持ち歩いている。
そうやって、王様は我が身の権利を主張する。が、義務があることには気付いていない。それを教えても、「パワハラ」、「モラハラ」、「苛め」になるからだ。
今では、王様に近づく者は誰もいない。当然だ。誰だって、加害者という名の被害者にはなりたくない。
そうやって、王様はますます裸の王様になってゆく。
自分では身を守っているつもりだろうが、着々と王様のための包囲網は敷かれていっているのだ。就業規則という名の包囲網が。
本当に身を守るのだったら、得をしたいのだったら、仕事に打ち込めばいいのに。
覚えた知識や技術は自分のものだし、築き上げていった人脈も自分のもだ。
そういったものが、本当に我が身を守る鎧にも盾にもなるし、結果的には得するのだ。
今日も王様は、録音機を身に付け、我が物顔で社内を闊歩している。
歩きスマホの男性にぶつかられて、電車の到着間際に線路に突き落とされて亡くなった女性。早くに両親を亡くし、その姉を親代わりとして生きてきた琴音は、その名から逃げ去った犯人に復讐を誓う。
姉の死から一年後、ふとしたことから、犯人の男と琴音は出会うことになる。
複数の歩きスマホの加害者と被害者。
歩きスマホに理解を示す人と憎悪する人。
それらの人々が交差するとき、運命の歯車は回り出す。
2018年お正月特別版(前後編)
これまでの長編小説の主人公が勢揃い。
オールスターキャストで贈る、ドタバタ活劇。
大手の優良企業に勤めていた杉田敏夫。
将来安泰を信じていた敏夫の期待は、バブルが弾けた時から裏切られた。家のローンが払えず早期退職の募集に応募するも、転職活動がうまくいかず、その頃から敏夫は荒れて、家族に当たるようになった。
そんな時、敏夫は不思議な体験をする。
幻のようなマッサージ店で、文字のポイントカードをもらう。
そこに書かれた文字の意味を理解する度に、敏夫は変わってゆく。
すべての文字を理解して、敏夫は新しい人生を送れるのか?
敏夫の運命の歯車は、幻のマッサージ店から回り出す。
夜の世界に慣れていない、ひたむきで純粋ながら熱い心を持つ真(まこと)と、バツ一で夜の世界のプロの実桜(みお)が出会い、お互い惹かれあっていきながらも、立場の違いから心の葛藤を繰り返し、衝突しながら本当の恋に目覚めてゆく、リアルにありそうでいて、現実ではそうそうあり得ない、ファンタジーな物語。
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